渓谷さんからの質問
　万能型主人公はどうすれば許容できる？
　
　こんばんは。渓谷です。
　研究室の方で、「万能主人公は嫌われる」という記述がありました。
　理由に「リアリティを損なう」とありましたが、
　物語の方向としては（特に少人数の冒険ものでは）主人公が多芸な方が描きやすいと思います。
　そこで質問ですが、どこまでの能力なら主人公として許容できますか？
　主観もあるでしょうけれども、そこも含めてお聞きしたいのです。

関連情報
完璧すぎる主人公は良くない？


● 答え ●

鹿渡森さんの意見
　こんにちは。
　「万能主人公は嫌われる」ということでいろいろ考えてみたのですが、

　これは周りの態度が大きく関係するのではないでしょうか。

　容姿端麗スポーツ万能頭脳明晰、しかも性格もよい主人公Ａがいたとします。
　そんな主人公を囲む人たちが、
　誰もが彼を誉めるような発言しかしないストーリー、どう思いますか？

「あいつなら何とかしてくれるよ」
「やっぱりあいつにはかなわないな」
「お前がそこまで言うなら…」
「付き合うなら絶対あの人よ！」

　多分、むかつくと思います（笑）。
　そこに、アンチ主人公的な性格の人物Ｂを置くと、

Ｂ「確かにお前は優秀かもしれないさ。誰にだって好かれてる。
　　だがな、そういうところがむかつくんだよ！」
Ａ「ごめん、直せるなら直したいけど、どうすればいいかな」
Ｂ「……そういうところがムカつくんだよ！」

　脇役の方に感情移入して「ん、確かにムカつくよな」と思ってもらうことで、
　嫌われることから回避できるのではないかと思いました。

　ちょっと質問の答えとして外れてしまった気もしますが、失礼します。


長月理恵さんの意見
　私も万能主人公大嫌いです。
　とある某シリーズの某キャラクターが超美少女、
　推理力抜群、薀蓄王、料理万能、運動万能、誰からも好かれる。
　誰からも好かれるって点で「…むぅ」です。

　描写も何もかもがそのキャラを誉める事ばかりで。そのキャラには欠点が無いんです。
　まぁあるとすれば性格が悪いと言う所です。そんな描写はありませんが。

　欠点が無いキャラは嫌で、やはり何かしら欠点を持たせたいです。

　でもそれがとても難しいのです…


零壱さんの意見
　零壱とかいてゼロワンです、オッスおら零壱。
　さて、万能の主人公に対してですが――
　西尾維新の出世作、「戯言シリーズ」があるのですが、その中に哀川潤という女性がいます。
　その人は武力・知力・魅力・権力（というか人網）などほとんどを持っている最強の請負人です。

　もし彼女が主人公の小説が出たらどうするか――私なら本編以上に即買決定です。
　最強だからといって、他のキャラクターに劣るとは思いません。
　
　しかし、同作品で彼女（いや、別のやつだったか？）のセリフで
　「最強ゆえに、本気が出せない」というのがあります。
　つまり、あんまり最強すぎると敵なんて出てこないのではないか？　と思うのです。
　触らぬ神に祟りなし。最強なんてのに挑んでも負けが決定してるんですから、
　物語として動くのかが不安です。　そんな意味で、一長一短だと思います。


蒼井さんの意見
　こんばんは。蒼井です。

　万能主人公ですか。
　研究所でいろいろなことが「タブー」として挙がっていますが、

　あれは「タブー」というより初心者はやらない方が無難、ということだと思います。

　私個人の意見では「全知全能の神じゃね？」と思われるくらい完璧だろうと、
　ちょっと成績いい程度だろうと結局はそれで面白ければ何も気にすることはないと思われます。
　ただ、リアリティは当然損なわれます。
　私は開き直って「現実じゃありえないｗ」と思われることを前提で書いてます。
　書きたいものが日常的なものなら万能にする必要はないですし、
　メリットがなくデメリットだけある状態になってしまいます。

　なので、何を書くかによって違ってきますが、とりあえず私はどこまでも許容範囲です。
　三分間で家一軒建てられたとしても、その「万能」に意味があればオッケーです。


嶋さんの意見
　精神力、権力、知力、魅力、武力。
　人間の強さはこの５つの力に集約されていると嶋は思います。
　万能主人公というのは、全てを叩き潰す暴力(武力)、神算鬼謀を備える知力、
　敵味方問わずひきつける魅力、誰もがひれ伏す権力、
　自らの信ずる道を突き進み、いかなる障害にも負けない精神力を持っている主人公のことです。
　なるほど、ど〜にも好きになれません。

　さて、本題に移ります。

　私の許容範囲は上記５つの力のうち、４つの力が完璧な主人公までです。
　その場合、必ず１つの力をかけさせてください。
　
　何を欠けさせるかによって読者に好かれるか、嫌われるか分かれるんですけどね。

　逆に知力偏向型の主人公なら無条件でOKです。


黒夢さんの意見
　どうもー黒夢です。
　うーん、正直どれだけ万能であろうが私は構いません。ただ、面白ければの話ですが。
　恐らく研究室の方で否定的なのは万能の主人公を据えた作品に面白い物が少ないからです。

　『万能主人公』が嫌いなのではなく、『それに付随する』理由付けが甘いから嫌われるのかと。

　ちなみに私も嶋さんと同意権で、知力偏向型の主人公は好きですね。


レイナスさんの意見
　はじめまして、レイナスという通りすがりです。
　たぶんまた来ます。

　例え万能でも、他に特定分野における天才がいて、主人公を上回るようにするとか、
　更に万能天才な敵役が出てくれば何とかなるかと。

　また、万能であっても悩むところを見せることで人間にすることが出来ると考えます。

　例え万能でも、人間である以上欲求や悩みとは切っても切り離せないはずです。
　何かを望み、そこに自分ひとりでは手が届かない現実があればドラマは生まれる。
　渓谷さんの小説では、なんでも簡単にこなし悩みも何も無い奴が主人公ではないようですから、
　おそらく大丈夫じゃないでしょうか。


ロボ太さんの意見
　え、えーと……こんばんは。
　多分初めて書き込むロボ太です。あまり役に立てないかもしれませんが、おねがいします。

　僕が見てきたラノベで実例を挙げるとすると、万能系キャラクターとしては

・「魔術士オーフェン」のチャイルドマン先生
・「終わりのクロニクル」の佐山御言
・「戯言シリーズ」の潤さん
・小説版「スパイラル」の鳴海清高

　……等ですね。
　彼らはまあ、能力的には作品世界で最強です。
　チャイルドマン師は最強の黒魔術士で誰もが彼に追いつけないし、
　佐山は交渉能力は世界を相手取るレベルでしかも個人技能も鬼のように強いです。
　請負人はあの通り、出てきたらいろいろ解決して終了ですし。

　でも、彼らは万能、下手をすれば全能であるかのようにすら作品中で語られたりしますが、
　嫌いな人は……（あまり）いない、ですよ……ね？

　で、考えてみたのですが、彼らはやっぱり欠点があります（語弊があるかもしれませんが）。

　戦闘力やその他においても、例外なく多大な才能・能力を有する彼らは、
　その実とても個性豊かで、むしろムッツリ葛藤していたり、尻を奉っていたりセクハラしたり、
　尖っていたり圧倒的だったり、最悪で最低だったりするわけです。

　ここからはあくまで僕個人の見解ですけど、
　主人公が戦闘力などに加えて人格的にもイイやつすぎたりすると、
　いわゆる作者の自己満足の二次創作（二次創作活動を否定するものでは決してありません）の
　主人公のようなことになってしまって無敵のキラ様のようなものと化すからではないでしょうか？

　万能系のキャラクターにも、背景となる過去や性格・家庭環境・人物関係や
　自身の性格によっていろいろな『それらしい』肉付けがあると思います。
　それが書ければ、よっぽど暴走したりしない限りは
　（主役じゃないのにほとんど主人公を陰にして全解決とか）
　そこまで批判されるものにはならないんではないかと思います。
　長い文章で失礼しました。
　何かのお役に立てれば幸いです。


渓谷さんの返信（質問者）
　ご意見ありがとうございました。
　まとめると、

・能力には　武力・知力・権力・魅力・精神力があり、この５要素が全て揃っているのはよくない
・知力偏向型はむしろ歓迎
・何か欠点が１，２個あったほうがよい
・万能主人公は「絶対禁止」ではないが、面白いストーリーが立てにくい。面白ければ構わない
・アンチキャラを登場させるのもよい

　実はこのサイトを訪れる前、万能に近い主人公の小説を書き始めてしまい、
　研究室を見てから「しまった！」と思っていたのです。
　皆様のレスを参考に、不自然にならない程度に方向修正していきます。