第4研究室 創作に関するQ&A 218P | トップへ戻る |
ShouSheepさんからの質問
 各キャラの視点から多くの回想シーンを描く「奈須きのこ技法」は使いこなせる?
 
 近年、様々なメディアで活躍されている奈須きのこ氏が得意とする
 各キャラの視点から回想シーンを多く用いてストーリーを描く技法は、
 創作活動を初めて一年程度のアマチュアでも使えるこなせると思われますか?
 皆様のご意見を頂きたいので、宜しくお願い致します。


● 答え ●

亘さんからの意見
 お初にお目にかかります。亘という者です。以後お見知りおきを。
 と、堅苦しいあいさつはこれっきり。普段の口調に戻します。

 奈須きのこは武さんと一緒にtype-moonという会社を経営しているのは知ってますよね? 
 有名どころでは「月姫」「fate」などがあります。
 これは知っている人も少なくはないと思います。
 どちらも18禁ですが。ってか僕は17歳だけど……

――で、何が言いたいかと言うと。

 奈須きのこは元々ゲームのシナリオライターです。
 つまりゲームの展開のために書いてるんです。


 ゲームというのは小説よりも遥かに視点移動が多いですよね。
 マンガもそうですが、映像があれば分かりやすいです。
 
 逆に言えば、映像のない小説ではデメリットの方が多いためあまり使われません。

 しかし、奈須きのこは多分…(あくまで多分)アニメやゲームのノリで小説を書いているのでしょう。
 というかゲームのために小説を書いています。
 だからこそ、それが転じて今の書き方になったと僕は考えます。
 
 それ故に奈須きのこはすごい! 
 と言う人もいれば、あんなの読めないよ、と言う人まで様々です。


 結論を言うと、可能です。
 しかし、可能だからといって成功するわけではないです。
 ある程度名前が知られた人物だったから今でこそこうなりましたが。
 素人または新人賞にこの文章で出したら、よほどの筆力を持ってない限り
 「何だこいつ、アニメ感覚で小説書いてるよ」とか言われるかもしれません。
 あくまでも「かも」ですが。
 だからあまりオススメはしません。
 僕は多分しない、いや、できないでしょうね。

 しかし、僕は結局のところ奈須きのこさんの作品は大好きです。
 「fate」とかすごく好きです。18歳以下だけど…
 もしもあなたがこんな文章を書いてくれるなら是非読みたいですね。
 頑張ってください。応援していますよ。


ペケジさんからの意見
 こんにちは、ペケジです。
 小説を描き始めて、1ヶ月ちょっととなりました。
 まぁまぁ、1ヶ月ちょっとの私の純粋(?)な意見を適当に眺めてやってくれれば良いです。
 鵜呑みにされて、私のせいにされると困るのりますが。 

 私、実は奈須きのこに憧れたというか、あの方の作品によって、
 “心のスイッチ”が切り替わった気がしました。
 「月姫」「Fate」はゲームで有名ですね。
 「空の境界」と言うライトノベルも書いてますね。
 最近では「DDD」と言う作品も書かれているそうで……まぁ素敵。

 彼の作品と言うのは、基本的に主人公が動くのは物語を進めるため……
 主人公は伏線係りな気がしますね。
 何と言うか、一定のストーリーを主人公が進めて、
 次に各キャラクターを使って回想シーンなどを出す。
 これは、主人公には情報を教えず、読者にだけ与える。
 主人公は答えが全く見えないけど、読者は少しずつ答えが見えてきて、
 主人公に、“あぁ!? そりゃマズイぞ!”と強く思わせたりさせますね。
 
 そういった目的でなら、少しは使えそうかなぁ、と思います。
 ただ答えを明確にしながら、展開だけで読者を惹き付けるテクニックが必要かなぁ? と思います。
 または、それを使っても答えが不鮮明であること。そして無意味に使わない事。

 また奈須きのこの視点変更時は、キャラクターこそつかめないものの
 “あっ! 変わったな”とすぐに分かるのがポイントです。
 つまり“濃いキャラクター性”が必要となるわけです。
 
 キャラクター性の非常に強い彼の作品だからこそ出来るのだと思うので、
 キャラクターを光らせる必要がありますね。

 
 それが出来ているかどうかで判断してみるのが良いかと思います。
 ではでは、今度こそ〜

 長々と書いておきながら纏まった文になってないようで、もうしわけない。
 参考になれば幸いです。
 ではでは。


めたさんからの意見
 DDD、空の境界、Fate、月姫などなど。
 もはやライトノベルいうべき範疇を越えて活躍されている奈須きのこ氏。
 私も彼のファンの一人です。作品は期せずして彼の影響を受けてしまいます。

 とはいえ、回想そのものが素人が使うには危険にすぎるものですし、
 ましてや一人称がころころと変わる技法を上手く使えるとは思えません。
(というか奈須さんでさえ『わかりにくい』『読みにくい』と不評を買っています、私のまわりでは)


 というわけで、使わないほうがよろしいかと思います。
 奈須さんの魅力は回想シーンと一人称取り回しだけではありませんし、
 彼から学べる事はほかにもたくさんあるかと思います。


kanaさんからの意見
 こんばんわ、kanaです。
 奈須氏の技法がアマチュアでも使えるか、とのことですが、恐らく難しいと思われます。
 まず、奈須氏はシナリオライターだったと思います。
 また、小説も書かれていますが、現在私達が「DDD」などで見ている文は、
 シナリオライターとしての文章と小説家としての文章が入り交じった独特のものです。
 
 その他、思考、喋り方、容姿のいずれか(もしくは二つ以上)が
 似通った人物が書かれることが多いので、視点移動が判りにくいという弊害もあります。

 …と、否定的な意見ばかり言いましたが、まずは試してみてください。

 携帯からの長文、失礼します。


匿名希望さんからの意見
 どうも、匿名希望です。
 いきなりですが、あの方は確か、黒澤明監督に憧れていて、映画監督になりたかったはずです。
 だから、視点が多く移動するのは、
 そういう映像的な物から持ってきているんじゃないでしょうかね。
 
 ちなみに、あの書き方ですが、人気だから好かれているかと言えば、
 別にそういう事もなく、苦手な人は苦手です。


 それに、今更似たようなことをやったとしても、パクリと叩かれ、
 良い評価はもらえないんじゃないでしょうかね。
 『涼宮ハルヒシリーズ』『撲殺天使ドクロちゃん』なども、今似たような作品を書けば、
 オリジナルの強い印象が先に来てしまうので、それを拭い去るほどの衝撃がなければ、
 ただのパクリと叩かれてしまうでしょう。

 まあ、大きく脱線しましたが、技法が使えるかどうかと言えば、可能です。
 努力と研究次第でしょうね。
 ただ、使えるようになったからどうなんだ、とは思いますがね。

 自分の求めている作風、自分の表現したいものを的確に表現するために、
 その技法が必要かどうか、だと思うので。
 まあ、あって困る事はないでしょうが、それだけ追い求めていたら困るかと。
 では、失礼しました。


MAYOさんからの意見
 こんにちは。きのこファンの一人たるマヨです。電撃の〆切に追われてます。

 まず奈須きのこ先生といえば次の3つ
・魅力的なキャラクター性
・異常に多いセリフ
・濃厚な世界設定
 が挙げられます。
 視点移動についてですが、これは特にキャラクター性が重要視されます。
 一人称であればなおのこと。
 
 ひと目で「あ、アイツに視点変わった」と読者に伝えるわけですね。
 まぁ、DDDでは逆にコレを叙述トリックに使いやがって、
 まんまと騙されて笑い転げたマヨですがッ!(そこに憧れる)
 
 結論として、視点をコロコロ変えたいのであれば、
 それがわかりやすくなる仕掛け(奈須先生の場合は個々のキャラクター性)を散布しておけば、
 それなりに可能と思われます。


 以下駄文。

 奈須きのこ先生の作風を真似したいのであれば、氏の小説を読むことをお勧めします。
 デビュー作である『空の境界』、次点で『DDD』ですか。
 『月姫』はギリギリです。小説とシナリオの境界? 全ぺージに挿絵が付いたラノベって感じです。
 『Fate』は(作品的にはマヨも大好きだけど)やめておいたほうが無難でしょう。
 アレは完全にシナリオと化しています。
 奈須きのこ先生の本分はやっぱり小説でして、
 初めてシナリオとして書いた『月姫』も限りなく小説に近い文体でした。

 『Fate』に関してですが、吉里吉里のスクリプト演出が充実したため、
 情景描写(戦闘シーンetc)はあえて削ったとコメントしています。
 つまりグラフィックと演出に頼り、文字媒体ではそれ以外(セリフや心理描写)に重点を置いた、
 いわゆる"シナリオ"の文体にしたわけですね。
 まぁそれでも他のAVGよりは圧倒的に描写が多い氏ですが。

 というかTYPE-MOONが特殊なブランドなんですよね。
 どうにも武内先生が奈須先生のファンなんですよ。
 奈須氏の小説を中学生時代から「面白い!」と絶賛していた武内氏は、
 「俺は絵を書く。お前は小説を書け」と言ってHP『竹箒』に氏の小説を載せ(これが空の境界)、
 『月姫』のシナリオを書かせてギャルゲー業界に引っ張り込み、
 サークル名をどうしようかと悩んでいたら武内氏は昔の奈須作品に登場するキャラ
 (月のアルティメットワン・タイプムーン)を付けてしまうわ、
 あげく月姫の次は何作ろうかという話で「(奈須の中学時代の未完小説)Fateにしよう!」
 と突っ走る方なのです。
 
 奈須きのこワールドを世に繰り出すための全面バックアップ機関、
 それがTYPE-MOONというブランドだったりすのですよハイ。

 ……いつの間にか熱談してるマヨでした。


森鹿さんからの意見
 このまえ「DDD」という奈須きのこさんの作品を読んでみました。
 そして「あれ、この作風はどこかで読んだことがあるぞ?」と疑問が浮かびました。

 そして「ああ、綾辻行人さんの作風に似ているな」と思い出しました。
 なんかこう、綾辻行人さんの作風をライトノベル風にしたような印象を受けました。

 それで奈須きのこさんをグーグル先生で検索してみました。
 やはり綾辻行人さんの影響を受けたお人のようで。
 好きな作家は「綾辻行人」と宣言もしているようです。

 もし、奈須きのこさんのような構成力を身につけたければ、
 綾辻行人さんの作品を読むべきです。構成力が抜群にうまい。


 奈須きのこさんが足元にも及ばないくらいに。
 どの作家さんも、だれかの影響を受けています。
 ですから、奈須きのこさんの影響を受けたのなら、
 さらに奈須きのこさんの「原点」を読んでみるべきです。
 そして読み比べてみると、おもしろい発見があります。

 たとえば――奈須きのこさんは、綾辻行人さんの構成のマネをしている。
 そして綾辻行人さんの短い文体も同様にマネしている。
 (意図的なマネなのか、無意識に影響を受けているのかはさだかではない) 
 また、殺伐とした雰囲気も、綾辻行人さんからの影響である。

 と、ここまでがふたりの作家を読み比べることでの発見です。
 おもに、奈須きのこさんが綾辻行人さんの、どのような部分の影響を受けたのかがわかります。

 しかし、それだけではおもしろくない。
 そこで、奈須きのこさんの個性はどこからきているのか、個人的に考察してみると……。
 奈須きのこさんは――綾辻行人さんの構成の仕方、なんども使われる回想シーン、
 殺伐とした雰囲気の影響を受けている――奈須きのこさんは、
 それに「アニメのような記号的なキャラクター」を使うことで、
 奈須きのこさんとしてのオリジナリティーを獲得している……

 なんてまあ、適当に考察はしてみましたけど、これらが発見できるだけで、
 これから自分がどのようなポジションにつけば、
 己のオリジナリティーがでるのかということのヒントにはなります。
 
 たとえば、綾辻行人さんの作風に、「アニメのような記号的なキャラクター」をくわえることで、
 オリジナルティーが獲得できるなら、その「」部部にほかの要素を取り入れてみれば、
 また違う個性が浮き上がるはずです。


 技法について脱線しました。オリジナリティーなんどどうでもいいですよね。
 奈須きのこさんの技法をしたければ、まずは綾辻行人さんの作品にも触れてみてください。
 参考になりますよー。

 あと、趣味の領域ならいいのですが、賞などに応募しようとしてるなら、
 奈須きのこさん(綾辻行人さん)の構成の仕方は、絶対にやめたほうがいいですよ。

 よほどの構成力がなければ、頻繁に回想シーンがある作品や、
 キャラクターの視点が入れ替わる作品は、下読みさんに落とされるそうです。


 下読みさんは、膨大な素人さんの作品を読まなければいけません。
 ですから、何度も回想シーンがある、何度もキャラクターの視点が入れ替わる、
 などのややこしい作品は、「分かり難い!」とすっぱり落とされるそうです。

 それが、物語上の重要なトリックなら、しかたありません。
 しかしそうでないのなら、ただ読みにくいだけです。
 しかも初心者のレベルなんてたかが知れてるわかですから、そのような高度な技術をすれば、
 もちろん作品の構成力なんてあってないようなもんです。逆効果。

 もし、「荒波があろうとも、オレは行くんだ!」と勇ましい決意があるのなら、止めません。
 それでもまずは、たくさんの小説を読んで、たくさん書いて、自身のレベルをあげてからでないと、
 奈須きのこ風味が災いしてストーリー構成が破綻しまくりになるかも。気をつけて!

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