第4研究室 創作に関するQ&A 25P | トップへ戻る |
聖冶 鏡介さんからの質問  
 一冊を何度も読み返すべきか、新しいのを読むべきか?

 こんにちは。聖冶です。
 現在、あまりに少ない読書量を増やそうとラノベを次々と読んでいっています。
 しかし、読み終わった本は読み返すと一回目 (純粋な読者視点)
 で見たときに気付かなかった所に気が付きますよね。
 それが創作の役に立つことも多々あるはずです。
 しかし、世の中にはたくさんの本があります。私が一生を費やしても読みきれないほどに。
 色々な本を読めば、それだけ自分の中に色々な世界が生まれていくわけですよね。
 これも創作に役立つはずです。
 そこで悩んだのが、一回読み終わった本はまた読み返した方が良いのか、
 それともまた別の本を新しく読むのがいいのかということです
 また読み返すのか、次の本を新たに読むのか。果たしてどちらの方が良いのでしょうか。


●答え●

 詳しいタイトルは忘れてしまったのですが、私が高校時代に読んだ本で、
 「小説家の成り方」とかいう本がありました。
 その中で効果的な修行法としてこのような方法が紹介されていました。

 3人の師匠ともいうべき作家を見つけて、彼らの文章を模写して研究するというものです。

 1人の作家から技を学ぼうとすると、どうしてもその人の影響が色濃く作品に反映されてしまいます。
 でも3人の作家から同時に学べば、彼らの持ち味がちょうど良く組み合わさって、
 自分独自のスタイルが確立しやすくなるという訳です。
 私はこの方法論に感銘を受けたので、それ以来、
 虚淵玄さん、吉田直さん、榊一郎さんの3人の方から、主に技術を吸収するようにしてきました。
 
 小説を読んでいると、それらは4つのタイプの本に分かれるんですね。
 1つは、最期まで読めないで封印、もしくは中古書店に売却してしまうような本。
 1つは、一度読んだら、もうそれっきり読まない本。
 1つは、2,3回読み返して、それっきりの本。
 最後は、師匠として参考にすべき本です。
 
 で、なにが言いたいかと言えば、いろいろな小説に手を出して、
 早く3人の師匠を見つけようということです。
 そして、その3人の本は、何度でも読んで研究すべきです。


 これはあまり難しく考える必要はありません。
 聖冶さんが心底おもしろいと思った本。感銘を受けた本が、研究対象にすべき本です。
 そういった本を書いた著者とは、不思議とフィーリングが合うので、それ以外の著者の作品も、
 おもしろいと感じるハズです。
 おもしろいと感じなかった小説を無理に何度も読み直しても、
 頭には入ってはきませんので、効率が悪いですよ。


通りすがりeさんからの意見
 通りすがりの主張、2006。

 本題です。
 さて、このサイトで言ったらまずいのかなと思いますが……。

 ライトノベルだけを読むというのはいただけないですね。
 読み返すか、新しく読むかではなく、読んだことのない別のジャンルを読むべきです。


 構成力をつけるなら推理小説。構成がしっかりしていないと成り立たないからです。
 伏線がどこにあるか分かる状態で再読することによって、さらに役立つのです。
 そのような本を何冊か読んでから、ラノベを読みましょう。
 良い作品と悪い作品の区別がつくようになります。
 そして、自分が良いと思った作品を再読するのです。

 私は純粋な読者として読みながらも、良いところは吸収して、
 悪いところは自分もそうしていないだろうかと考えながら読んでいます。
 単純に読むだけなら、一冊を言一時間半くらいで読めます。
 ちょっと楽しみながら読もうとすれば、三時間くらいです。
 吸収しようとすれば……六時間はかかります。実質上、再読と変わりませんね。
 また、読了してから気になった部分だけ確認することもあります。
 理解力がないのではなく、ひとつの文を深く吟味しながら読んでいるのです。
 まあ、これは人それぞれで好みが分かれることですので、特に気にする必要はないでしょうね。

 ああ、それと、語彙力を鍛えるのなら実用書を読むのもありですね。
 もちろん、哲学系のです。理解できない難しい単語がちらほら――
 どころではなく、大量に出てきますから。
 その点、雑学系の本は小説にはあまり役立ちません。小ネタとして使うだけなら構いませんが。
 小ネタが多ければ、私も前文に困らないのです。

 一つひとつ説明する気ですか。と思われるかもしれませんが、私もそこまで詳しくありません。
 神話を読むのも良いでしょうね。私個人としては、ケルト神話がお勧めです。
 ファンタジー小説を書くのなら、結構役に立つことが多いです。
 それ以外だとしても、先人の知恵を得ることは有益です。小説とは違いますけどね。
 問題点は、語彙力がないと理解できない可能性が高いということですね。
 難しいですよ、ラノベと比べることができないくらいに。

 余談ですが、魔術書もファンタジーには役立つでしょう。
 元素を例にとると、こうなります。
 一般化しているのは、水が青、火が赤、土が茶色、空気(風)が緑、でしょうね。
 本来は、水が濃紺、火がオレンジ、緋色、土があずき色、緑、空気が淡黄色なのですよ。

>色々な本を読めば、それだけ自分の中に色々な世界が生まれていくわけですよね。
 これも創作に役立つはずです


 あなたの考えは間違っていません。それは正しいでしょう。
 ただ、色々な本というのが、ライトノベルだけではないことを理解してください。

 まあ、言ってしまえば……常に小説のことを考えていれば、
 どんなことでも創作の役に立つのですけれどね。


 頬を流れる風、誰かが言った何気ない一言、たゆたう水……何でも、吸収してしまいましょう。
 ライトノベルだけでは、いつか限界が訪れるのですから。


みつきさんからの意見
 聖冶さま。

 繰り返して読みたいな、と読み終えてから思った作品は、
 何度でも繰り返して読めばいいと思います。
 そうでもない、一回読んでしまえばそれまで、
 と感じた本は、再読の必要はないのではないでしょうか。
 一度読んでピンときた部分がないのなら、
 それは自分にはあまり必要のないものなんだな、と私なんかは思います。

 繰り返し読むのも大事ですけど、たくさん読むのも大事ですから、
 取捨選択を素早くできるように、
「これをもう一度読みたいと思ったのは、
 いまの自分に何が足りないと感じているからか」
 とか、そういう自己の内面部分に目を向けていくと
 いいのではないかな、と思います。
 それでは。


イトウさんからの意見
 こんにちは。
 ミステリーは読み返したほうが良いです。
 ミステリーの場合、「こんな伏線があったのか!」という新しい発見がありますから。
 それ以外なら、どんどん色々な種類の本を読むことをオススメします。
 では。


緑葉さんからの意見
 このような事を決める場合、(前置きしますが「悪い」と言い切るわけではありません)
 他人の意見を参考にするとなかなかに危険だと思います。
 どうもこんばんは、緑葉です。

 学校の、国語の授業を思い浮かべてみてください。
 集中できました? モノにできました?
 私はできませんでした(100%の自信が無いという意味です)。

 どのようなジャンルだろうと、どのようなストーリーだろうと、どれだけためになる内容だろうとも、
 自分が読んでいて集中できなければ記憶にも心にも残らないと思います。


 「勉強のため」そうやって頭に叩き込んだ事が、果たして役に立つか。
 全国の塾通いの方、ごめんなさい。私は「立たない」と胸を張って言います。
 上記の方法を主に「一夜漬け」「暗記」というと思います。
 皆さんはテスト直前に唸った事はともかく、
 その内容についても詳細に記憶にとどめる事が可能ですか?

 ひどく個人的な見解で申し訳ないのですが、創作上役に立つ
 (心に残っており、必要に応じてふっと思い出せる)ものというのは、
 「楽しめた」ものではないでしょうか。


 「楽しむ」方法は言わずもがな、自分以外の誰にも断定できない事だと思います。

 「読み返したほうが良さそう」で読み返しても、集中できなければそれは徒労になり残りません。
 「新しくどんどん読んだほうが良さそう」で本を買っても、
 内容が気に入らなければそれは「本」から「ゴミ」へと変わってしまいます。
 どちらがより好きか。今は、あるいは最近はどちらをしたいと思うか。
 そういった事に重点を置いた方が、より深く、広く、けれど気楽にモノにできるのではないでしょうか。


DoZunさんからの意見
 こんばんは。

 えー、既に通りすがりさんが仰っていますが、ライトノベルだけ読むのは、いただけないです。

 このサイトに限らず、こんなコトを書いていいのかはわかりませんが、ラノベと純文学、
 文章として優れているのがどちらか、と問われれば、
 僕は間髪入れずに「純文学」と答えるでしょう。
 というのも、ラノベは「気軽に読める」程度のものだからです。
 もちろん、純文学は気軽に読めないのか、と言われると、ノーとしか答えられないのですが。
 しかし、純文学はラノベに比べると、明らかに語彙力・理解力を必要とするのは事実です。
 森鴎外でも読んで頂ければ、わかると思います。
 まあ、彼の作品は言文一致ではないので仕方ないのかもしれませんが。
 ラノベはあくまで中高生をターゲットの中心としたジャンル、
 かつては一種の贅沢でもあった純文学とは読者の知識という前提が違います。
 そういう意味で、純文学から得られる知識などは、ラノベを遙かに凌駕したものになると思います。
 
 それと、誤解しないように書いておきますが、純文学作家なら誰でも良い作家だ、とは言いません。
 世間で持て囃されていたとしても、
 特別凄い(十分に凄いのは当たり前なのですが)わけではない方もいますし。
 それに、もちろんラノベにも純文学作家に引けを取らないような
 優れた作家さんは大勢いると思いますので。

 まずは純文学を読みましょう。出来るだけ多く。
 ただし、ここで注意したいことが一つ。
 少し読んで面白いと思えない作品を何時間、何度読んだところで、意味はありません。

 第一章くらいを読んでつまらなかったら、読むのはやめましょう。時間の無駄です。

 幸いにして、純文学作品は図書館に行けば、名作は大抵置いてあります。
 ですので、買ってみてつまらなかった、損をした、なんてことはないでしょう。
 肌に合う作家を見つけて、その作家の本を何度も読むことをお勧めします。

 あと、小説以外のジャンルを読むのもいいです。
 通りすがりさんも仰っていますが、実用書、評論文、魔術書、神話。
 どれも優れた文章であったり、知識の宝庫と呼ぶに相応しい物が数多くあります。
 上の物は既に通りすがりさんが推して下さっているので、
 僕としては和歌や俳句、川柳を読むことをお勧めします。
 図書館に行けば、平安〜江戸程度の作品集ならば解説付きの本が置いてあるでしょうし、
 現代の作品(サラリーマン川柳などは当然除きますが)にも優れた作品は数多く存在します。

 もしかしたら、気分を悪くなさったかもしれません。
 ですが、ラノベだけ読んでいては、いつか近い内に限界が訪れるでしょう。
 読める内に、様々なジャンルの、
 自分が面白いと思えた作品・書籍を出来る限り多く読むことをお勧めします。
 では、長文・乱文で失礼致しました。


雪野銀月さんからの意見
 おもしろい小説を再読するのは趣味。
 ですが、勉強のためとなると、事情が少し変わる気がします。
 まず、勉強のためなら、同じ小説を二度三度読むのはむしろ当然と言えます。
 文章表現だけならともかくとして、全体の構成など細かい部分に注目して行くなら、
 一回読むだけでお終いなどというのはとてつもなく、もったいない。

 傑作と言われる小説を何度も読むと、どこがどうなってどうなんだ、
 というのが身体に刻み込まれます。


 私などとてつもなく頭が悪いものですから、勉強のためには少なくとも三回同じ本を読みます。
 効率が悪いように映るかもしれませんが。
 ともかく、勉強のための読み方、というのがありますから、
 それを勉強してみるのがいいかもしれません。

 蛇足。学校の勉強でも言えますが、
 集中したところで一発ですべてが身に付くやつにはある種の才能があります。
 基本は反復です。読書においても同じである。私はそう考えます。
 それに、真の傑作は再読してもなおおもしろい。
 駄作は再読するとダメな部分がボロボロ出てきます(苦笑)

 また、端々で「ラノベだけ読んでいたらダメだ」という話が見受けられますが、
 これは知識経験など、己の中にある小説を書くための基盤を
 自分から小さくしてしまう行為になりかねないから、というのが理由でしょうね。
 もっとも、純文学を読めばおもしろい物が書けるかというとそうでもないので、
 まずは何かに興味を持つことから入るのが楽です。
 おすすめなのは、日本怪奇小説傑作集(創元推理文庫)なんかですね。
 多くの小説家によるアンソロジーになっています。漱石や芥川も入っていたり。
 他にも、河出文庫なんかにはSFの傑作選なども売っています。
 こういうのは多くの作家を同時に知ることができるので、
 もしおもしろい物が見つかれば、そこを入り口に少しずつジャンルの幅を広げられるはずです。
 まあ、最終的には、自分が勉強したい分だけ勉強しろ、ということになりますね。
 ただ、奇想天外な発想力が、豊富な経験から生まれ出ることもある、
 ということだけは主張させてください。
 以上です。


峰しずくさんからの意見
 こんにちは。
 あっちこっちでえらそうにレスしてますが、ここ数年、
 小説なんぞオンラインのものを除いて読んだことないですなあ。
 オンラインなら青空文庫なんかで純文学も読んだりしますが。
 しかしながら、漫画なら相当読んでますよ。
 多分手元にコミックス2000冊は下らない。今も増殖中。
 お客様の閲覧に供するためせっせと職場に運んだものの、
 書棚がいっぱいで400冊程度で挫折中。

 ま、そんなわけで、聖治さんは漫画は好きですか?
 購入されたコミックスは手元にありますか?
 そして、読み返したり、新しく買ったりって、どうしてます?
 それと同じでいいと思います。


mayaさんからの意見
 こんにちは、mayaです。

 まず先にお答えしますが、再読をすること、別の作品を読むこと、あるいは新刊を追いかけること、
 いずれが良くて、いずれかが悪いということではないように思います。

 どれにしても良い点が多くあるといった方がいいかもしれません。

 ところで、このご質問は、本読みには悩ましき問題ですよね。
 わたしも二十歳くらいのころ、一年に読める冊数と生涯年数をかけたりして、
 残りの人生で何冊読めるのか計算した覚えがあります(笑)。
 結局のところ、一日一冊のペースで読んだとしても、
 十年で三千六百冊、五十年で一万八千冊(それでも十分に多いですが)。
 ちなみに、一年間で国内において発行される点数は七万五千ほどですから、
 一生涯かけても、一年間に刊行される作品の一割くらいしか読めないことになります。
 世界中の文学シーンを視野に入れれば、何と言っていいのやら……(涙)。

 そんなことを考えるうち、わたしは新刊ばかり追いかけるのをやめました(笑)。
 特に、わたし自身が作品を書くようになってからは、再読することの楽しみを知りました。
 村上春樹さんがエッセイで書かれていたように、精密時計の仕掛けをばらばらにするように、
 一つの作品を何度も精読して、部品や技術に分けることに興味を持ちはじめたんですね。

 つまり、再読の良いところとは、作品の細部を読み込み、
 その技術的な仕掛けを読み解くことで自分のものにすることができる点にあるのだと、
 わたしは思います。


 好きな作家の文章を何度も書き写すという練習がありますが、
 それはこうした効果を考慮したものだと思います。

 その一方で、文学シーンにもファッションというものはあります。
 最近なら、日本のライトノベルの流行、イギリスのニューウィアードの流行など、
 新刊からしか伝わらないその時々のムーブメントというものですね。
 ちょっとだけ昔の話をするなら、日本では少女小説出身作家の台頭やJ文学、
 欧米ではサイバーパンクなんてものもありました。
 プロになれば、そうした業界全体を見渡す目も必要になってきます。
 そういう意味では、新刊に目を通すことも大切ではあります。
 しかし、いつの時代もファッションが昔のシーンの焼き直しであったことを考えれば、
 古い作品に傾倒することも否定はしません。

 とりとめもなく書いてきましたが、再読にしても、別の作品を読むことにしても、
 新刊を追うことにしても、それぞれが補完しあって良い効果を生むのだと思います。


 どれか一つに絞った読書傾向は偏食と変らないと、わたしは考えます。
 参考になりましたでしょうか。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|