第4研究室 創作に関するQ&A 31P | トップへ戻る |
一本桜さんからの質問  
 魔法を取り込んだ現実味のある世界を作るためには?

 はじめましての人ははじめまして、
 一回でもあったことのある人はこんばんわ。
 一本桜です。
 
 えっと、それでは本題に入ります。
 今書いているのは魔法もの、いわゆるファンタジーなんですが、
 世界設定を現実世界に手を加えて現実感を出そうと設定したのですが、
 どうしても魔法のようなものを加えると、非現実的になって現実感がなくなってしまいます。
 僕的には菊池秀行さんみたいな感じの現実とファンタジーのかみ合った世界が書きたいんですが、
 どうしたらいいでしょうか?
 みなさんの知恵を貸して下さい。お願いします。


●答え●

 現実世界には魔法なんてありませんから、
 魔法という異分子をポンと放り込むと浮いた感じになってしまいますよね。 

 現実味を持たせるためには、魔法を取り込んだ社会がいかなるものだか、
 細部にわたって想像することが大切です。


 例えば、遠く離れた人間と意思疎通することができる念話・テレパシーといった魔法を、
 誰もが使いこなせる世界だったら、電話や手紙といった通信手段は発達していないでしょう。
 また、そういった能力を使いこなせない人は、劣等人間のレッテルを貼られて、
 たいした仕事に就けないかも知れません。

 こういったことを考えずに、なんとなく魔法というものを取り込むと、
 その世界は矛盾に満ちたものになります。
 空を飛ぶ魔法があるなら、軍事施設や軍隊などは空からの攻撃や浸入にも
 対応したものにしなくてはならないでしょうし、 
 治癒魔法使いなどは、医者と反目し合う存在になるかもしれません。
 
 また、あまりに魔法を万能のなんでもありのものにしてしまうと、
 人間の使う技術という枠組みから外れてしまう恐れがあります。
 科学技術でも、なにか現象を起こすためにはそれなりの手順や機械が必要になりますよね。
 部屋に灯りを付けるためには、電気を作るための発電所、それを伝えるための電線、
 電気を光に変えるための電灯が絶対に必要です。
 今の科学技術は、ほとんど魔法と同レベルと感じるものが多いですが、
 その恩恵を受けるためには、様々な人や施設、機械の働きが必要になってくるわけです。
 今使っているパソコンだって、停電になったら、ただの箱になっちゃいますよね(笑)。

 そういった制限、制約といったものを盛り込むことが、現実味のある「魔法」作るコツだと思います。

 私の好きな小説に榊一郎さんの「ストレイト・ジャケット」という作品があるのですが、
 これは魔法を近代社会に取り込んだ見事な世界観を形成しています。
 魔法がないと成り立たない社会構造、魔法の便利性と、その裏にある恐るべきリスク、
 魔法使いに向けられる羨望と嫌悪の目など、まさに現実そのもののリアリティがあります。
 こういった作品にたくさん触れて、プロがどのように現実味を持たせてる工夫をしているのか、
 肌で味わってみるのも良いと思います。


蜜柑さんからの意見
 答えられそうな質問♪ということで蜜柑ですよ。(ナニサマ?

 簡単です。その世界の住人の視点で書けばいいのです。

  ……てこれだけだとさすがにまずいので追加を、
 現実では〜だけど、この世界ではこうだよ。というようなシーンを入れましょう。
 現実では〜の部分は絶対にキャラ(その世界の住人)に喋らせてはいけません。
 地の文でならいいのかは作品によります。
 そのシーンに矛盾があると雰囲気ぶち壊しなので、チェックは特に念入りに。
 非現実が当然の世界を書くには、作者が自分に酔わないと無理(笑)
 熟考して時間をかけた方がいいかもです。


蒼い人さんからの意見
 答えにならないかもしれませんが、答えさせて頂きます。
 現在執筆しているのは現代系ファンタジーの蒼い人です。

 私の場合ならば、非現実的な要素はその通りに描こうとしています。
 「変わった事」を現実に馴染ませるよりも、逆に切り離します。
 魔法とか、特殊能力を日常の場面では出さないようにするのですよ。
 出すのはそこから隔てられた場面、特に戦闘シーンを中心に据える予定です。

 馴染まないのはアリなのです。
 ただ、「どうして馴染まないのか」「馴染まないのならどうなるのか」をよーく考える必要があります。
 しかしこれは、逆でも言える事です。
 結局は世界観に関連するものなので、中途半端にしておくのは危険でしょうね。


無用斎さんからの意見
 僕は、ファンタジーは書いたことがないのですが、
 何かの役に立つかもしれないので、答えようと思います。
 現実味をもたせる、なるほど。魔法の世界ですから、最初から現実感も何もあったものじゃない、
 という気もしますが、そんなこといっても始まりませんね。

 魔法があるからって、なんでも出来たり、
 都合がいいようにうまく行くばっかしだと、現実感はありませんね。


 では、魔法が使えても、やっぱり所詮こんなものか。
 とがっかりするようなストーリーを挟んではどうでしょうか?

 例としては、まあ使い古された話ですが、ホレ薬とかですかね。
 恋のライバルが主人公(もしくは、ヒロイン)に使って、最初はうまく行って両思いになるんだけど、
 結局はその薬が切れて元のところに帰っていく。
 魔法が使えても、人の心までは思い通りに行かない。

 魔法の非万能性をアピールすることによって、現実は甘くない、という事を表現できれば、
 現実味が増すと思います。


 ただ、やり過ぎると、ファンタジーとしての面白さが消えてしまうかもしれないので、
 物語の中に隠し味として加えるぐらいがちょうどいいと思います。


通りすがりeさんからの意見
 通りすがりある限りー、ある限りー……ある、かぎりー……えーと。
 通りすがりある限り! 「!」つけても続きが思いつかない通りすがり(ある限り)です。

 小説はいくら現実味を持たせようとしても、本当の現実とは違うものになってあたり前……
 などという持論を述べます。
 恋愛小説(軟文学と呼ばれるらしい)のような恋愛、現実でお目にかかれることはありません。
 SF? 百年くらい生きたら可能かもしれません。
 ファンタジー……夢でやって下さい。
 探偵小説……そんなニュース聞いたこともありません。
 ともかく、小説の世界に現実を求めてはいけないのです。
 
 小説はノンフィクションではありません、もともとフィクションです。
 99パーセント現実味を追求しても、1パーセントは現実味がないことなのです。
 持論終了。
 本題です。

 現実味を求めるなら、人物の言動に現実味を持たせればよいのではないでしょうか。

 そうすれば、少しはましになるかと思います。もちろん、それだけですむなら誰も苦労はしません。
 今私は探偵小説を書いているのですが、探偵という時点で現実味はありません。
 どこまで突き詰めても非現実的な部分は必ずできるのです。
 ならば、その非現実的な部分を目立たなくさせればいい。
 それが当然のことであるように、そうでないとその世界は成り立たないかのように、
 弁護士がはったりをかますかのごとく、読者をミスリードさせるかのように……。

 比喩表現だけで分かりにくいのですが、カモフラージュと考えれば良いと思います。
 一つの非現実に現実味を帯びさせるために、十の現実を利用するのです。
 経験上、十倍あればたいていのものは薄くなります。
 非現実さが薄くなり、現実の一つのように錯覚させることができるのです。
 魔法に現実味を持たせるなら……と、ここは自分で考えるべきところですが、

 代表的なものとして、魔法がないと成り立たない世界、魔法の理論などがあります。
 ともかく、魔法に何か現実的なものを付加するのです。


 どんな魔法かにもよりますが、探せば見つかるものです。
 そこまでやれば、現実に埋もれて非現実は隠されます。
 一度思い込ませてしまえばこっちのものです。


リンチェさんからの意見
 こんばんは、リンチェです。
 私も昔現代風ファンタジーを書いていました。途中で頓挫しましたが。
 頓挫した作品に応用した手法を紹介するのはちょっと恐縮ですが、
 ヒントにしていただければ幸いです。

 さて、フィクション、特に非現実的なファンタジー作品に現実味を持たせるには、
 現実と同じであるべき点と異なるべき点をはっきりさせてから描写することが大切だと思います。

 まずは同じであるべき点について。
 「事実は小説より奇なり」という言葉には、現実で奇妙な事件・人物が存在しても、
 それはただの奇妙な事件・人物として認識されるが、
 小説に出てきたら不自然な展開とみなされるという意味もあるという話を聞いたことがあります。
 魔法が存在する世界でも人間の心理や行動原理は現実世界と同じはずです。(ですよね。)
 登場人物の言動が現実世界の人間のパターンと類似していれば、
 それは不自然・非現実的なものにはならないのではないでしょうか。
 自分や周囲の人々だったらどう行動するかをシミュレートし、
 それを登場人物の行動に投影させればいいのではないかと思います。

 さて、次の異なるべき点ですが、これは第1研究室の「リアリティのある世界観を作ろう」と同じで、
 非現実的な要素が存在したら社会は、文化は、思想はどう変わっているかを考えて書くことが、
 大切だと思います。
 近代市民社会に毒されたような江戸時代人、人間臭い人外知性体、
 電気を魔法に言い換えただけの現代ファンタジー……、よくありますよね。
 それらを他山の石とすることで、現実味のあるファンタジーが書けると思ったのですが、
 どうでしょうか。


神沢さんからの意見
 はじめまして、神沢と申します。

 魔法がある場合どういった社会が作られるのか? 
 と、いったように考えるのが良いのではないでしょうか。
 ただ魔法があるのではなく、それに伴うメリットやデメリット、
 必要とされるであろう職業、制度、組織なんかについて考えるとよいと思います。
 
 また、実際に存在する組織や職業とリンクさせてみると現実味が増すんじゃないでしょうか

 例えば、魔法を使う犯罪者がいるならば、警察にもそれを専門に取り扱う部署があるでしょう。
 魔法が先天的な才能に左右される力ならば、それを調査する機関が存在しているかもしれません。
 上記の設定を現代日本とリンクさせてみると、
 魔法使いを取り締まる警察は警察庁の管轄、魔法の才能を調査する組織は統計局の一部、
 といった感じで膨らましていくと、リアリティーのある設定になると思います。

 もう一つ加えると、こういった設定を作る場合は、
 モデルとなる社会についての知識があると有利です。

 幸い今はWikipediaなどを使えば簡単に好きな時代・場所の社会や文化、地理などを
 調べることができるので、そういった既存の情報に魔法をミックスしていくと良いと思います。

 最後に、こういった設定を使った話は個人的に大好物なので、是非とも読んでみたいです。
 良い小説になるといいですね。


ケンタッキーさんからの意見
 僕の場合ではこうします。

1.主人公は平凡な人。今日も普通に暮らしている。
2.なにか平凡なものを使ったら異常なことがおきた。
3.主人公は魔法の世界へ連れ去られる。
4.冒険もろもろ。
5.帰ってくる。

 という感じ。
 あれ?ハリーポッターもナルニアもそうじゃん。

 そうです。普通の中の意外を作り出せばいいんです。

 たとえばナルニアでは、
 衣装タンス・・・当時のヨーロッパには当たり前にある普通のもの。
 中にあるナルニア・・・当時の世界には当たり前でない意外なもの。
 このブレンドが読者を引きずりこみます。

 また僕が大好きでもうじきハリウッド映画化されるライトニング・シースという本は、
 「カリフォルニアの下に冥界への入り口がある」「エンパイア・ステートビルの真上にオリンポス山がある」
 などと「現実+空想」テクを使う。ここがまたいいのだろう、大人気になった。

 もしあなたが主人公が生まれつき魔法の国にいて、生まれつきそういう感じなら、これは使えません。
 でもはっきりいうと、逆にそれよりこっちの現実ブレンドの方が売れます。確実に。


オブセディアン・ワーロックさんからの意見
 簡単に言ってしまえば、『バーティミアス』という小説がとても鮮明にこれを映し出す参考になります。

 魔術師たちは政治家、しかしなんの力も本人にはなく、
 妖霊というい世界から来た生物を奴隷として仕事にあたらせることによって力を得ます。
 そしてもし奴隷から解き放たれれば、その魔術師は妖霊の手で残酷な死を遂げる……
 こんなデメリットがあります。

 権力があるがゆえに腐敗し、うぬぼれた魔術師が描かれていてとても面白いです。
 本を勧めることしかできなくてすいません。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|