第4研究室 創作に関するQ&A 33P | トップへ戻る |
にら藤真さんからの質問  
 小説世界のリアリティとは?

 お久しぶりです、にら藤真です。時間無いので早速本題に。
 リアリティに気を遣う作品を書こうとする場合、
 ちょっと前まで自分は「現実を出来るだけそのままで描写する」ようにしていました。
 でも、何かの書評か解説(多分、文庫版の『OUT』の解説だったと思うのですが)で、
 「小説世界のリアリティ」といったような言葉が出てきて考えさせられました。

 例えば現実の会話では、微妙な言い直しや咳き込み・どもりなどの突っかかりなども起きますよね。
 また、言葉の伸び具合など細かいところが文章での会話とは違います。
 えーっと他に上手い例が思いつきませんが(すみません)、
 どうもプロ作家の方々にとっては小説世界のリアリティとは小説だけで通用するものだ、
 という認識が成り立っているように思われます。
 絵でも、リアルに見せるためには強調する部分と目立たなくさせる部分を分けて、
 実際その部分には有り得ないような色を使ったりもしますし。
 漠然とした問いで申し訳ありませんが、何かご意見くだされば幸いです。


●答え●
 
 小説、特にライトノベルの世界とは、あんなこといいなぁ、できたらいいなぁ〜。
 が基本になっていると思います。
 現実には有り得ない夢のような世界を体験できるからこそ、
 ファンタジーやSF小説というのは人気があるのです。

 ここで求められるリアリティとは、幻想の世界を幻想だと思わせない説得力です。

 なにか現実にはありえない現象が起きるのであれば、
 なぜ、それが起きるのか理由付けが必要になります。
 なにも理由がないのに、ある日、目覚めたら高校生だった主人公が小学生まで若返っていた、
 なんてことは、ありえませんよね。
 でも、なにか未知の薬を飲まされたからだ、という理由付けがあれば筋が通ります。
 ちなみにこれは、漫画「名探偵コナン」の設定です(笑)。
 
 また、小説の世界は、わかりやすいように、おもしろいように脚色された世界です。

>例えば現実の会話では、微妙な言い直しや咳き込み・どもりなどの突っかかりなども
 起きますよね。
>また、言葉の伸び具合など細かいところが文章での会話とは違います。
 

 そう、まさにその通り!
 ストーリー展開をスムーズに行うために、極力、無駄を省く必要があります。
 人間ですから、しゃべっている途中に、クシャミをしたり、咳をしたり、
 しゃっくりを上げたりすることもあるでしょう。
 でも、リアリティを出すために、意味もなくクシャミをさせてみようなどと考えるのは、
 大きな間違いです。
 
 クシャミをするのであれば、風邪をひいているとか、
 花粉症であるなどの理由付けが必要になります。
 そして、その体調不良はストーリーに関係してくるものにしなければなりません。
 ストーリーに関係ない情報を盛り込んでしまうと、
 混乱の元になりますし、物語のテンポも悪くなります。
 プロのミステリー小説を読んでみると良くわかるのですが、
 一見意味がないように感じられた些細なことが、トリックになっていたり、伏線になっていたりします。
 あのときのアレは、実はこのトリックに繋がっていたのか! ということが、その後にわかると、
 すごい! おもしろい! と感銘を受けるわけです。
 
 小説世界のリアリティとは、リアルの世界を再現することでありません。
 おもしろいと感じてもらえるように計算されたリアルっぽさが、
 小説世界に求められるリアリティです。 



おがーさんからの意見
>「小説世界のリアリティ」といったような言葉が出てきて考えさせられました。

 事実とリアリティは別物です。
 事実は純然たる事象であり、リアリティは人の感情です。


 何を見て笑い、何を見て泣くかは人それぞれ違うように、
 何にリアリティを感じるかも人それぞれ違います。
 リアリティを演出する1つのヒントは、
 誰もがわずかに感じるであろうことを、少し大げさに表現する、という方法です。
 


eggさんからの意見
 こんばんは、eggと申す卵です。
 早速本題ですが、例えば、魔法モノの小説について考えてみます。
 もちろん、現実世界に魔法があるというのは、
 現代の常識からはブッ飛んでいますので、現実世界におけるリアリティはありません。
 で、例えば、その魔法を習得するためにはかなり修行を積まねばならないとします。
 それ故、魔法使い達は人々から尊敬され、また頼りにされている、と。
 そして、主人公は必死に魔法使いを目指して、苦しい修行に耐えます。
 そこで、魔法と同等の力を持つ道具(拳銃みたいな)が登場したら、どうでしょうか?
 主人公が魔法使いを目指すことに、リアリティや説得力がなくなりませんか?
 私は、それが「小説世界のリアリティ」だと思っています。

 つまり、小説の世界は、たくさんの「設定」によって構築されます。
 その「設定」は、現実世界と一致していてもいいし、一致していなくても構いません。
 (ラノベでは、一致していない設定を少なくとも一つは取り入れることが多いでしょうけれど)
 「現実世界のリアリティ」とは「設定」が全て現実と一致していること、
 「小説世界のリアリティ」とは「設定」同士が矛盾や不調和を生み出さないこと……
 そのような違いがあるのではないかと、卵は思います。

 分かりにくい意見になってしまったかも知れません(汗)少しでもお役に立ちましたなら幸いです。
 それでは、執筆頑張って下さいね!


峰しずくさんからの意見
 こんにちは。
 なんか、ご質問されている時点で、もう全て理解されているようにもお見受けしますが。

 それはともかく、小説世界のリアリティとは、現実世界とは全く関係ありません。
 その小説を読んでいて、「そんなバカな。ありえない」
 と思われるような書き方はイカン、ということです。


 例えば、様々な魔法を習得した長老がいたとします。
 老人、というだけならその村にたくさんいますが、その人が長老として君臨するのは、
 これまでに様々な修行をして、様々な魔法を身に付け、みなの尊敬を集めているからです。
 ここに、何の修行もしていない若僧がいて、この長老と魔法対決をして勝ったとしたら、
 これはリアリティのないお話です。
 しかし、この若僧が、何か特別な血を引くものであり、魔法は色々使えるけれど、
 修行不足のため、そのパワーのコントロールが出来ない(暴走してしまう)となれば、
 これまたリアリティが生まれます。

 現実社会を舞台にして、時速600キロで走る地上鉄道(リニアではない)が登場したら、
 リアリティがありません。
 しかし、架空世界を舞台にして、お膳立てをきちんとしてやれば、
 時速600キロの地上鉄道もおかしくありません。

 つまり小説世界のリアリティとは、舞台のお膳立てがきちんと出来ているかどうか、ということです。


Matizさんからの意見
 「リアリティ」という言い方をするので
 リアル=「現実」を踏まえなければ、という風についつい思われがちですが
 そうではなくて、大事なのは「説得力」であり「もっともらしさ」です。

 現実そのままかどうか、というのは問題ではなく
 いかにもそれらしく「思える」事が大事なのですよ。
 結局はフィクション、絵空事なのですから
 リアル=本物の現実で無いのは当たり前ですからね。


DoZunんからの意見
 こんにちは。
 早速本題に入りましょう。

 リアリティ=現実と捉えると、そもそもフィクションである小説においては破綻してしまいます。

 では、「小説世界のリアリティ」とは何なのか。
 その答えは、“小説世界”という単語その物が象徴しているのではないでしょうか。
 例えば、今我々が生きているこの世界には、様々な法則や原理があります。
 科学で解明出来ないことであっても、その根底には何らかの法則などが働いているはずです。
 人間が何か行動を起こそうとする時にも、何かしらの理由があるはずです。
 小説もまた、その小説自体が一つの世界を構築しています。

 ならば、“小説世界”という世界にも様々な法則があり、
 そこに生きる人々の行動にも様々な理由があるのではないでしょうか。


 たとえば魔法という力があったとして、どうしてそういった力を使えるのか、
 そういった力によってどのように技術は進歩したのか、
 またそういった力を使えない人々はどのように進歩せざるを得なかったのか。
 小説世界を構築する設定には、
 それらをその世界で通用させるための説得力がなくてはなりません。
 また、主人公が何かしら我々にとっては突拍子のない行動をとることもあります。
 その突拍子もない行動の理由も説明出来れば、読者は共感してくれるでしょう。

 突き詰めてしまえば小説は絵空事、その絵空事を読者にどのように納得させられるか。
 読者を納得させるその説得力こそが「小説世界のリアリティ」だと思います。

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