第4研究室 創作に関するQ&A 36P | トップへ戻る |
虎助さんからの質問  
 序盤は設定を詰め込むべきか、否か?

 どうも、いつも聞いてばっかりの虎助です。
 今回も質問があって、書き込みをさせて頂いてるのですが……。
 ま〜質問の内容というのはタイトル通り、
 小説の設定 (登場人物の生い立ち、世界観、専門用語の解説etc) は、
 小説の序盤の方に詰め込んでおくべきか、そうはしないべきかを聞きたいのです。

 僕自身、小説を読んでいて、いきなり大量の情報 (上で上げたような物)を
 読まされる事になると、つまらないと思ってしまいます。
 しかし、よくよく考えてみると……
 作者の頭の中にある世界観などは、当然のごとく文章にしなければ読者には
 伝わらないのですから、ほとんどそういった説明なしに話が進んでいくと、
 読んでいる方は、混乱するばかりです。
 つまり、やたらと説明等を序盤に詰め込むと、初めから読む気になれないし、
 初めに何の説明もなしに、話が進んで行くと、読者は混乱してしまいます。
 この場合、どうすればいいのでしょうか? 教えてください。
 (質問の意図が上手く伝わっていれば光栄です)


●答え●
 
 おっしゃる通り冒頭で読む気がしなくなる小説は、
 たいがい冒頭に設定を詰め込んでいる小説です。


 小説の批評を依頼されて、こういった作品にぶつかるとかなりつらいです(汗)。
 その世界の地理とか歴史とか、人種とか魔法の理論とか説明されても、
 それがよほど上手い文章で書かれていない限り、ちっともおもしろいとは感じないんですね。

 この世界は太古の昔、なんたら神によって創造され……
 英雄なんたらが魔王を倒して、なんたら王国を建国し……
 豊富な鉱山資源によって、なんたら王国は経済的発展を遂げ……

 こういった文章は、はあ〜、そうですか……という感じで、読み飛ばしたくなります。
 なぜ、こういった文章がつまらないかというと、
 教科書や公文書と同じ、一方的な説明だからです。

 歴史の教科書で、「1939年9月1日、ドイツのポーランド侵攻により第二次世界大戦が勃発」
 とか書かれていても、ちっともおもしろいとは感じませんよね?
 むしろこれを覚えろとか言われたら、苦痛に感じませんか?
 これと同じで説明というのは基本的に味気なく、おもしろ味に欠けるものなのです。

 作者の心理として、まず予備知識としての設定の解説を入れてから、
 ストーリーを始めた方が読者は内容を理解しやすいだろう、
 と考えてしまいがちですが、これは大きな落とし穴です。

 
 冒頭に説明がズラズラ並んでいると、読者は設定を理解するのに疲れてしまって、
 序盤で読むのをやめてしまう可能性が高いです。
 人間の脳は、一度に大量のことを覚えられるようにできていませんし、
 そもそも教書を読みたいと思って、小説を開いたんじゃありませんから(汗)。
 
 では、どうすれば良いかというと、ストーリーの進行と同時に、
 世界観がわかるようにしていけば良いのです。
 必要に迫られた時だけ、必要な分量の設定を開示するという形が最良ですね。

 
 例えば、戦闘シーンに入って、魔法の解説をする必要に迫られたら魔法の解説をする。
 大きな都市にやってきたので、都市の外観やにぎわいを描写し、歴史に少し触れる。
 そんな形で十分です。
 その時でも、説明は基本的につまらないということを念頭に置いて、
 なるべくわかりやすく、ダラダラと不必要なことまで説明しないようにすることが大切です。 
 設定の説明をするというのは、作者にとっては結構楽しい作業なので、
 ついついやりすぎて私も失敗した経験がありますので、ご注意を(汗)。


佐藤拓真さんからの意見
 こんにちは、はじめまして。新参者兼出っ張り気味の佐藤です。
 通りすがりeさんのように、うまい通り名が浮かびません(涙)

 早速本題です。

>小説の設定 (登場人物の生い立ち、世界観、専門用語の解説etc) は
>小説の序盤の方に詰め込んでおくべきか
>そうはしないべきか

 
 うう、俺も迷います。
 書きはじめたばかりのヒヨッコですが、一意見としてお目に留めておいて下さい(汗)

 まず登場人物の生い立ちですが、俺は小出しにしています(笑)
 謎を匂わせた方が、読者にも興味が湧きますし。
 ただ、やりすぎると訳が分からなくなりますが(笑)

 世界観は、ある程度は冒頭もしくは始めの辺りに入れています(数行〜数十行)。
 読者も、多少の説明でしたら読んでくださると思います。

 最後に、専門用語ですが、出てきたときでいいと思います。
 会話中、戦闘中はさすがにまずいですが、隙を見つけてぶち込む、
 と、口先だけでは何とでも言える小説道。俺も溺死寸前です(笑)
 参考にならないかもしれませんが、少しでもお役に立てる事が出来たら幸いです。
 執筆がんばって下さい。それでは。


観柳千磨さんからの意見
 はじめまして。観柳千磨という者です。以後お見知りおきを。
 安いファンヒーターのせいで足の指を低音火傷?してしまい、かゆくてしょうがない今この頃です。
 では本題に。

 重要なのは、順序とバランスです。

 実は世界観というものは非常に大事な点であり、決して軽視することはできません。
 ですので、今言ったことの意味を述べて行きたいと思います。

 まずもって何も説明しないのは読者が置いていかれるだけで論外である。
 しかし、詰め込みすぎればそれはただの「説明」になってしまい、これまた論外である。


 従ってここでまず順序が求められるわけです。
 読者に読ませる、というのは、
 観衆の目の前で飽きられないようにマジックをしていくのと同じ感覚です。
 その場面場面で必要最低限の世界観をうまく「描写」していきながら、世界に引き込む。
 それから、おいおい場面場面でさりげなく順序良く世界観を織り交ぜていかなければなりません。
 少し具体的な例を挙げてみます。

 戦闘シーンからはじめれば、敵の姿からファンタジーかSFかといった点が。
 主人公の描写は、戦闘中で彼が常に動きながらの状態における描写になるので、
 説明っぽくなりません。
 武器などから時代の程度も表現できるかもしれません。
 世界観について表現せねばならないことが他には多々あっても、
 この時点ではこれで十分なんです。バランスとはそういう意味なんですね。
 それで、場面を写して町中にすればもっと世界の文明レベルとかが描写できます。
 そういう風にして、物語の展開にあわせ、順序正しくやっていけば、
 かなり自然にすることができます。

 まぁ、言うのとやるのとは大違いで、僕もこれが現時点で完璧というわけではないんですがね。

 軽くアドバイスすればこんなところでしょうか。それでは、機会があればまた会いましょう。


通りすがりeさんからの意見
 設定を書くのは気分次第。なぜここで入れるのかが自分でもわからなってしまうこともしばしば。
 でも、物語としては崩れていない。
 設定をしっかり考えていると、
 いつ如何なるときに入れても問題なく進められることに気がついた通りすがりです。

 ……あ、上に要約してしまいました。序盤から設定を詰め込んでいても、
 それに必要性と読者をひきつける魅力の両方が存在しているのなら、
 問題無いのではないでしょうか。
 魅力に欠ける設定なら、後に入れれば良いのです。

 そうは言っても、必要性があり読者をひきつけられる設定というのは少ないでしょう。
 でも、全くないというわけではありませんよね。
 ないとしたら、魅力の全く無い作品の出来上がりです。
 そんな作品、読もうと思う人はいません。書こうと思う人もおそらくいないでしょう。
 実験的な作品で無い限り。
 まあ、異世界か現代か過去か、くらいはないと困りますけれどね。
 ひきつけるひきつけない以前に。

 
垂れ坊さんからの意見
 こちらも質問ばかりの垂れ坊です。わーい仲間〜(喜んで良いのか?)

 世界観などはどう説明するか……。僕は以下の制約でやっています。

 世界観は直接は説明しない! というよりできる限りはしない!
 序盤は必要最低限の説明、描写意外は勢いで引っ張る! 
 そして頃合を見てチョコチョコと小出ししていく!


 ……これだけです。
 何の参考にもならない意見ですが、
 脳内の隅っこかそこらに記憶していただければ幸いです。では!


ヒゲ戦士さんからの意見
>小説の設定 (登場人物の生い立ち、世界観、専門用語の解説etc) は
>小説の序盤の方に詰め込んでおくべきか
>そうはしないべきか

 物事には何でもメリットデメリットがあって、
 それぞれ補いあって全体を構築していくものです。

 設定を序盤に詰め込むことのデメリットは

 何度も言われるように「退屈」につきます。
 で、それが物語として致命的なので忌避されるわけです。


 設定を踏まえなければ作品全体がはじまらないのであれば
(そもそもそこに構成ミスがあるとも言えますが)
 作者がすべきは、いかに「退屈」でない設定記述にするかでしょう。
 結論を言えば、

 「読者に設定を理解させるための話」を一本書いて、
 それが全体のプロローグになるべきです。


 よく、最初に戦闘を、とか死体を、とか言われますが、
 本当に無関係なバトルや殺しを出しても、逆の意味でマンネリです。

(無謀だとは思いますが)
 10個くらい国があって100人くらい人物がでてきて、
 それを頭に入れないと物語が進まないなら、
 頭に入れるためのストーリーを書かないとダメです。
 ただ最初にリストにして出されても、無駄です。
(むしろ下手に文にするより本当に年表とか人物関係図とかのほうがマシかも)

 とはいえ、大量のアイテム・キャラクターを一斉に出しても
 本文中で一度に活躍できるのはせいぜい二、三ずつが限度です。
 いつまでたっても本当に書きたい場面までたどりつけない危険も出ますし、
 必要な情報は必要になった段階で描写するのが現実的でしょう。

 どうしても本文中に上手く入れられない情報があるとしたら、
 そんな物語の足を引っ張るような余計な設定はなくしたほうがマシです。いらない。
 それでもって、意外と無くても話は通じます。
 変にアクションがどうのと考えずとも、
 作者が冒頭だと思っている部分を単純に削除するだけで結構やっていけます。

 ちゃんと作品中に生きている設定なら、自然と読んでいるうちにわかってくるので。

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