第4研究室 創作に関するQ&A 82P | トップへ戻る |
カラスさんからの質問  
 テーマとはなんでしょうか?
 
 テーマ、今それに苦しんでいます。

 例えば映画漫画アニメ小説のレビューなどで、
 「この作品のテーマは……」などと紹介されていることがよくあります。
 それでテーマが「愛」とか」友情」など一言で言い表せるものが多いです。

 しかしながら私の今書いているもののテーマは、
 「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」なのです。

 まず「愛」や「友情」など完結した概念でもないですし、疑問系ですし、
 自分自身そのテーマの完璧な答えなど見つけていません。第一研究所の言うように
「主人公の行動そのものが暗黙の中にアピールする。倫理的な意味こそ「テーマ」に他なりません。
 さらに言えば、テーマとは主人公が何のために、誰を愛して戦うのか、その愛の所在を意味します」
 とは相離れたテーマのような気もするのです。

 友人いわく「テーマに悩んだらその物語をなぜ書きたくなったかを思い出せ!」
 とのことですが、それはやっぱり「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」
 と考えたからで…。

 まとめてみればテーマに定義などあるのでしょうか?


● 答え ●
 
あおぎさんの意見
 こんにちは、あおぎと申します。
 私は意識して、どの物語を書く時も共通して入れているテーマと、
 物語ごとに付けるテーマ、二つを織り込んで話を書いています。

 テーマを入れて書いた話と、入れずに書いた話。
 私の場合、テーマを入れていた方が物語りに含みが出て、書いている事が楽しいと感じます。
 逆に入れない場合、薄っぺらいような、面白みに欠けるような……
 自分のテンションが上がらないというか(笑)

 テーマの定義というものは、自分の中で「これだ」という信念みたいなもので、
 千差万別だと思います。
 だからカラスさんの「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」というのは、
 テーマと言っても差し支えないと思います。

 それを伝えたくて、小説にしたくてウズウズされているなら、胸を張ってドーンと書いて下さい。
 テーマの答えも、書き進めていくと見えてくるものですから。

 頑張って下さい。


蒼い人さんの意見
 確かにテーマは、他人の判断からいかようにも曲解されますし、
 作者の想定と食い違うのはあり得る話です。
 しかしその反面、テーマが無ければ面白い小説も書けないかとも思います。

 大学生という身分柄、私はレポートをよく書きます。
 レポートはテーマ設定をしていないと書けないものです。漠然としていても、難しいです。
 今日の講義でもあったのですが、
 例えば「フェミニズムについて」という表題でレポートを書くとします。
 しかし、もっと突っ込んだテーマを定めないと、
 それは作成者の能力次第では感想文にもなってしまいます。
 悪例として挙げられたのは、感情的な「I feel〜」の部分が突出しており、
 意見の領域は少なく、しかもフェミニストへの反感を侮蔑で表現したものでした。
 ただ「テーマ」をデーンと置いただけでは実効性はありません。
 何故? どうして? を突き詰めないと内容は不十分になり、
 そのテーマさえあやふやなものにさえ見えてしまうのです。

 加えて小説はレトリックの世界でありますから、読者に伝わらないという事例があるのは当然です。
 昨今は読者のレベルも低下しているという話もあります。
 理解力が無くて、エンターテイメントの部分で満足して、
 それより奥を考えようとしない……という感じでしょうか。

 すると問題は作者が読者サービスに尽くすかどうかというものにもなってしまいますが、
 これもまた難しい。作家は思想家ではないからです。一応。
 思想を示すなら、それをまとめた論文を発表すれば良いだけのこと。

 作家の場合は、テーマは作品の方向性を定めるスパイスでしかない。私はそう思っています。

 しかし、効かせ過ぎると、読者が難色を示したり、
 凝り過ぎてテーマがわからなくなるということが起きてしまいます。

 では、どうするか。
 一つは、テーマに疑問符を用いないことです。貴方が思うように、
 「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」
 という疑問系は、まだ答えが出ていないのです。
 また、「どうしたら」という部分で答えが無数に想定されます。
 しかし、実際に出される答えは一つが望ましいです。
 「あれも、これも」では、「オイオイ、アンタは一体何が言いたいのさ」と突っ込まれてしまうでしょう。

 なのでこの場合、
 「〜〜すればきっと人類は平和でハッピーに生きられる!」
 とする「命題」を立てるのはどうでしょうか。
 主人公はそれを肯定する立場で動き、敵はそれを否定、
 もしくは妨害する立場で行動させるのです。
 それで、どちらが勝つかは……それは貴方次第です。
 ディベートと同じようなものです。どちらが真かではなく、どちらが説得力があるか、という次元です。
 無論、明るくて良い印象を抱かせたいのであれば、主人公の勝利を描くべきでしょう。
 但し、深みを出すには相手の主張も耳に入れなければなりません。
 戦隊モノのように、ヒーローの主張一辺倒で悪役の論理が負けるようでは、
 思想的、テーマ的に面白くないでしょう。

 テーマを明確に示すには、主人公の行動自体よりは
 信条、モットーと一致させる方が考えやすいと思います。
 「〜〜するべきだ」「〜〜するのが最善だ」という意思ですね。
 これは作中で変更しても良いでしょう。
 ただ、テーマの根幹は固定し、理由付けをはっきりするべきですが。
 貴方の場合なら、人類の平和の為にAではなくBという方法のほうがよりベターなのだ、
 という方向転換になるでしょうか。
 しかし、これではやや直接的になってしまいます。

 暗に、全体として示すには高い技量が必要となるでしょう。
 私も苦心していますが、一番の近道はやはりディベートを模す形ですることでしょうか。

 一つは、登場人物に主張を授けて、彼らを闘わせる方法。

 ややガンダム作品っぽくなるかもしれません。

 もう一つは、主張ではなく「役割」を付けて行動させ、その過程でテーマを語る方法。

 例えば、AさんはBさんと付き合っていました。
 ところが、Bさんは死んでしまいました。
 その後、CさんがAさんを慰めてくれます。どうやら、CさんはAさんに好意を持っているようです。
 しかし、AさんはBさんを忘れることができません。
 どちらを選ぶべきなのか?

 ここでBとCは、Aに対して「かけがえのないもの」として機能させます。
 A自体は読者を反映したものと考えて下さい。
 ここでAがBを選ぶとすれば、「大切なものは絶対に変えられない」
 というテーマが成立するかもしれません。
 仮にCを選ぶなら、「大切なものは一つではない」「それだけで人は生きているのではない」
 というものが出て来るかもしれないのです。
 昔話にも教訓めいたものがありますが、
 それを明かすにしても話の結びに語られるのがせいぜいです。
 作中には決して出ません。

 物語の中のみならず、テーマ・主張の展開としてのキャラクターの役割を考慮すること、
 メタ的な視点で物語を構成する力が、テーマ描写には必要である……
 私はそう考えるのです。


DOさんの意見
 世の中理不尽だなあ、と思う今日この頃。DOです。

 テーマ「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」

 そこでカラス様に問題です。
 テーマを伝えるために物語を書くのか? 
 それとも、テーマが主軸となっている物語を書くのか? 
 あるいは、主人公の行動がテーマそのものなのか?

 答えは「全てが正解であり、同時に不正解でもある」です。
 おっと、矛盾してるなんて思わないでくださいね。
 テーマの定義なんて人それぞれだと思うからです(少なくともDOは)。
 もしかして、物語を書くには具体的なテーマが必要だ、なんて思っていませんか?
 安心してください。それこそカラス様の友人が言ったとおりです。
 
 物語を書きたくなった動機=読者に伝えたい何かがあった=ああ、これがテーマなのか。
 みたいな等式が成り立つ気がしませんか? 


 DOだけかもしれませんが、そこらへんは気にせずに。

 結論。カラス様の言っている「人類はどうしたら憎しみあわずに平和に暮らせるのか?」は、
 立派なテーマです。悩むのもほどほどに、物語を完成させることに苦心しましょう。
 ちなみに。私の作品の統一テーマは「理想と夢と現実」です。
 すんごく抽象的ですが、これもテーマの定義に入るんですよ、きっと(笑)。


Neutronさんの意見
 こんばんは、Neutronです。

 テーマ:創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題(goo辞書より)

 私も、この定義に異論はありませんし、元々このように考えていました。
 この定義で考えると、カラスさんの提示する内容は十二分に「テーマ」だと思いますよ。
 あるテーマを提示し、作中ではそのうち一つの結論を描写する程度、
 というのもよくあるパターンです。

 むしろ、完結した概念など稀か、あるいは存在しないのだと思っています。

 カラスさんは「愛」や「友情」を完結した概念とされていますが、
 果たして完結した概念なのでしょうか?
 愛というものにも、様々な愛があります。それぞれに、愛がもたらされる理由があります。
 そして理由を掘り下げれば、永遠に結論にはたどり着きません。

 それを考えるのもまた「テーマ」です。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 むう。テーマ自体の定義云々と言うより、どう作品で表現すべきかを悩んでおられるような……。
 猫的にそう感じましたので、そのような展開で駄文をつづっていきます。

 まずお聞きしたいのは、論文が書きたい訳じゃないですよね?
 小説という文章エンタで物語としてテーマを描きたいんですよね?
 テーマを主題に文を書くのは小説に限りません。
 ただ、小説という媒体に拘るなら、以下はオイラ的に違う気がするのです。

> 「主人公の行動そのものが暗黙の中にアピールする。
 倫理的な意味こそ「テーマ」に他なりません。
 さらに言えば、テーマとは主人公が何のために、誰を愛して戦うのか、その愛の所在を意味します」


 主人公1人しか登場しない、終始主人公の主観のみなら、上記も言えるでしょうが、
 それなら架空の主人公なぞ創作する必要もなく、論文に仕立てれば良い訳です。

 小説ならストーリーがあります。
 何故そのストーリーを展開を作者が選択したのか、
 その辺から既にテーマ性が展開するとオイラは思います。
 ストーリーを展開する以上、それを進めるための配役が必要で、
 何故にそういうキャスティングなのかもテーマ性に影響します。

 主人公と反する存在が居るなら、その描き方、反する行動の動機、性格等々、
 それらがしっかりしていなければ主人公との比較もままならず、
 テーマ以前にヨレヨレになることもあります。

 無論登場する全てにキャストにそれらは当てはまると思うのです。

 そして作品の地の文。見せるべきを見せ、どのように進め、何を書き足し、何を削るか。
 主人公の行動描写や心理描写だけが地の文の意義ではないです。

 テーマを小説で描くなら、作品全体がテーマを帯びてなければならないと思うのです。

 少なくとも、主人公とはいえ、1キャラクターだけで成り立つとはオイラには思えません。
 特に今回、カラスさんの考えているテーマなら。
 どうでしょうか?
 ではでは。


鈴忌さんの意見
 こんばんわ、鈴忌です。
 「テーマ」ですか……むぅ、難しい話ですよね。
 個人的な、あくまで非常に個人的な意見なのですが、
 
 テーマはおまけ程度にあればよいと思っていたりします。
 もっと言えば、別に無くても構わないのでは……と。


 あと、カラスさんの「人類は〜」は十分に立派なテーマだと思いますよ。
 別に短く言い切れる言葉だけがテーマということではないですからね。


> 例えば映画漫画アニメ小説のレビューなどで、
 「この作品の テーマは……」などと紹介されていることがよくあります。

 その手のコメントは、大体において後付けです(苦笑)。
 同じ作品なのに、時代と共にコメントされる
 「テーマ」に変化がある作品もあったりなかったり……(笑)。


 なお、電撃掌編王では「ときめき」や「再開」とかをお題として「テーマ」と呼んでます。
 これも、鈴忌的には立派なテーマではないかと思います。
 (カラスさんやうっぴーさんの仰るテーマとは少し毛色が違いますが)


> テーマに悩んだらその物語をなぜ書きたくなったかを思い出せ!

 鈴忌の場合は、これ↑だと「オチを投げっぱなすコメディを書きたくなったから」とか
 「日記文学風ホラーを書きたいから」などになりますが、
 個人的にはこれらの「作者の目的」も一応はテーマに分類しちゃって良いかと思ってます。

 要するに「テーマ」とは作品の執筆中に、
 作者の視点が揺らぐのを防ぐ「くさび」みたいなものではないかと……


 できた作品からどのような「テーマ」を感じるかは読者様次第ですし、
 必ずしも作者の意図する「テーマ」を感じ取ってくれるとも限りません。
  また、作者が「テーマ」に固執しすぎると、
 いわゆる説教臭い作品になる危険性があると思われます。
 
 だから、「テーマ」はそんなに気にしなくて良いのではないでしょうか?

 と、少々無責任な意見ですが、鈴忌はそう思います。
 これが、何かの参考になれば幸いです。では、失礼します。


テーマについての質疑応答その2
テーマとは?

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
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プロットについての悩み
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主人公についての悩み
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オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

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