第4研究室 創作に関するQ&A 83P | トップへ戻る |
たかみさんからの質問  
 読者の視点で小説を書くには?
 
 知り合いに小説のダメだしを頼んだところ、読者の視点から書いてみろ。と言われました。
 しかし、どのように書いたらいいかよく分かりません。よかったらご教授お願いします。


● 答え ●
 
猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 オイラは、あまりやらんのですが、数日経ってから、ご自身の作品を読み返してみるとよいです。
 書いた時の熱も程良く冷め、少し記憶が曖昧になった頃なると、客観的に読むことができます。

 誤字脱字は無論、説明不足で補完が必要な部位は全面書き直しです。
 何故なら、作者がイチイチ読み手の家を訪ねて解説する訳にはいかないためです。
 上記のような部位が無かったとしても、少しでも読みづらいと感じたり、
 少しでも説明が長いと感じる部分。
 台詞がちょっと単調だったり、繰り返しの言葉が多かったり、
 登場キャラの性格が似ていたり、行が長いと感じたり等々……。

 書いた本人が若干でも違和感を感じる部位は、他人の読み手は10倍も100倍も感じます。

 自分の作品は、自分が一番の批評家であり、
 いっさいの手抜き、妥協はせず、書き尽くしてようやくスタートラインです。
 そういう部分は基本であり、その上にストーリーやテーマ、
 それを表現していくための演出やキャラやイベントの配置を検討し面白く膨らませるべきです。

 と、オイラ自身に言い聞かせつつ(汗)。
 ではでは


むらちゃんさんの意見
 読者の視点っていうのはたぶんそのままだと思います。

 普段小説を読んでいて、この展開はないだろとか思ったことはありませんか?

 小説を読むときに面白くなったものと、つまらなくなったものを比べてみるといいと思います。
 そうすれば効果的なものと、やってはいけないものが見えてくるんじゃないでしょうか。
 参考になれば幸いです。


鈴忌さんの意見
 おはようございます、鈴忌です。
 「読者視点の獲得」これは、鈴忌も勉強中の課題ですね。

 一般的には他の方が仰られているように時間をおくなどで、
 第一研究室にある「推敲」の項目をなぞらえればある程度は大丈夫だと思います。
 ですが、それだけでは「読者視点」としては不十分です。
 以下、目的別に「読者視点」を獲得する鈴忌なりの手法を書いてみたいと思います。
(修行中の身なので参考になるかどうかは不明ですが……)

1,誤字脱字のチェック(難易度:易)
 「読者」は「作者」より誤字脱字に気が付きやすいです。
 これは、先入観がないからですね。
 でも、このチェック用の「読者視点」なら比較的簡単に手に入ります。
 いわゆる「校正者的な読み方」をすればよいのです。

 文章を読むのではなく「文字を拾う」読み方です。

 実際にやってみると分かりますが、
 「文字1つ1つ」を拾ってチェックしながら目を進める読み方をすると、
 「文章内容」は全く頭に入ってこなくなります。
 しかし「文字の間違い」は驚くほど拾い出せます。
 目が疲れますし、画面上だと誤字判断が難しいので、これをするときは必ず印刷します。
(「校正者的な読み方」をマスターすれば、
 「読者視点」以上に誤字脱字を拾い出すことができるようになりますよ)


2,文法文脈のチェック(難易度:普)
 やはり「読者」は「作者」より文章の揺らぎには敏感です。
 「作者」は自分で書いているだけに、どうしても文章を自然に補完してしまうんですね。

 なので、この場合は「音読」します。
 
 特に地の文が変だと、すぐに気が付くはずです。
 リズムが悪かったり、音読しにくかったりしますから。
 また、ワープロとかの「読み上げ機能」を使って「音読」させたものを、
 注意深く聞いているという手もあります。
 むしろ、自分で「音読」するよりも「違和感発見」に集中することができるので、
 発見率は高まるかもしれません。
(ただ、演出でワザと文章を揺らがせる場合もあるのですが
 機械音読だとこの演出が奇妙に聞こえるのでご注意下さい)


3,ストーリーチェック(難易度:難)
 ストーリーの「捻れ」「ご都合主義」なども、
 作者は欲目が入ってしまうので発見しにくくなったりします。
 しかし、読者はこの点非常にシビアにチェックしてきます。
 なので、完璧は無理でも事前にある程度作者側でチェックをしておかないと、
 読者としては読めたものではないというような作品になってしまう危険性が多々あります。
 この場合の「読者視点」を獲得する方法は……

1,時間をおいて見直す
2,市販小説などを数冊読んだ後で見直す
3,嫌いな人が書いた原稿だと思って見直す


 などのように、クールダウンしてからチェックするのが定石ではありますが、
 それでも完璧ではありません。もっとも、完璧などはあり得ないのですが、
 少しでも「読者視点」に近づくためには以下の二つの要素が必要になります。

1,「内なる否定の声に耳を傾ける」こと
2,「より洗練された審美眼」を持つこと


 1は、過去の有名音楽家の言葉です。
 意味は、自己作品だろうがなんだろうが、
 「読めば(音楽なら聞けば)」微妙な違和感を感じることはできるはず、という事です。
 つまり、感じた違和感をしっかりと捕まえれば悪い点を修正できるということですね。
 自己作品でも「違和感」を感じることはあるはずなのに、
 多くの場合で作者は「違和感」から目を(耳を)背けがちです。
 だからこそ、意識して「内なる否定の声」に耳を傾ける必要があるわけです。
 
 つまり、読み直すときはできる限り内省的になるべきということですね。

 「誤字脱字チェック」とは対極にある読み方なので同時にはチェックできないと思います。
 自然と自作品を数回以上読み直すことになるわけです。
 そして、この「内なる否定の声」は全て自己の「審美眼」に沿って出てきます。
 だから、自分の「審美眼」がメチャメチャだったらそもそも無意味です。

 小説において「審美眼」を養う方法は基本的に読書を沢山することなので、
 とにかく多くの本を読みましょう。

 
 できれば「良い」作品だけでなく「悪い」作品も読むべきです。
 また、読む場合は「善し悪し」自体と、
 それが「何故良いか?」「何故悪いか?」を意識しながら読む事をお奨めします。
 良さだけではなく、悪さも知ってこその審美眼ですから。


4,情報量差チェック(難易度:至難)
 作者は基本的に自己作品に関しては「書かれたこと以上の情報」を持っています。
 そのため、うっかりと「説明不足」に陥ることが多く、
 かつ読み直しても違和感に気が付かないことがあります。
 また、専門用語やファンタジー用語などを使っている場合も同様で、
 作者にとっては「普通の言葉」のつもりが読者には「知らない言葉」ということは多々あるわけです。

 この問題については、自分は「知っている」わけですから当然「内なる否定の声」はしませんし、
 学習を進めて知識を増やせば増やすほど発見が困難になるので、
 がむしゃらに読書量を増やしても大した効果は得られません(むしろ逆効果?)。
 理論的には、想定ターゲット層が同じ作品を参考に、
 情報レベルを同定することができればよいのですが、これは結構難しい話です。
 あくまで「さじ加減」であり、「OK」と「NG」の差が明確ではないからですね。
 現在、鈴忌はこの項目について良い方法を模索中です。
 なので、これといった手法のご提案はできません。

 ただ、手っ取り早いのは「第三者に見て貰う」ことです。 
 特に、想定ターゲット層の知り合いがいればその人にチェックして貰うべきです。

 
 例えば「医者の作者」が「医療小説」を書いて、
 第三者にチェックして貰おうと「同僚の医者や看護師」に見せたのでは、
 少なくてもこの項目については全く無意味です。
 「患者」でも微妙です(患者は「病気のプロ」ですから)。
 大体において、友人関係というのは同僚や同好の士が多いので、情報差が少ないんですね。
 なので、ネット交友関係などを広げ、強烈に情報差がある友人を作るべきですね
 (異業種や年代格差、性別の違い、場合によっては人種の違い)。

 この項目については結論が「人に見て貰え」なので、
 読者視点の獲得とは何ら関係ない話になってゴメンなさい。
 鈴忌自身が、まだまだ修行中なのでよく分からない部分なんですね。
 というか、もし良い方法をご存じでしたら知恵をお貸し頂けると嬉しいです。


 という感じで、大きく4つに分けて、それぞれの「読者視点」の獲得方法を説明してみました。
 鈴忌は修行中の身なので間違いなどもあるかと思いますが、多少なりと参考になれば幸いです。

 なお、上記の4つは「作品完成後」を想定して書いてますが、
 「執筆中の見直し」でも基本的には有効です。
 (1の誤字脱字チェックは最後にまとめた方が効率的ですが……)


 それぞれ違うアプローチからのチェックになりますが、
 上手く組み合わせて自分なりの効率の良い「読者視点のチェック」を模索してみて下さい。
 では、そろそろ失礼します。


無用斎さんの意見
 女流作家の中村うさぎさんが、エッセイの中で語っていました。
 「頭の中のツッコミ小人に耳を傾けろ」と。
 ツッコミ小人というのは、日常生活で自分の行動にツッコミを入れる心の中の妖精、らしいです。
 中村うさぎさんの造語ですね。で、これはどういうことかというと、

 小説を書きながら、「それはねえだろ!」「お前、何考えてんだよ!」「ダメじゃねえ、これ?」
 という小さなツッコミが脳内から聞こえたら、その部分を全面的に書き直せ。ということでした。


 このツッコミ小人が、作者の中の他者的一面を全面に押し出した存在というわけですね。
 ただ、プロの作家の中には、この小人が最初から存在しないような文章を書く人が結構います。
 私小説の世界ではこういう人が比較的多く、戦前の作家には特に多い、と書かれていました。
 教科書にも載るような大正時代の文豪の名をあげて、批判もしていました。
 
 ツッコミ小人のいない人の書いた文章は、自分に文章に酔っている可能性がある。
 いわゆる自己満足に陥る可能性が常にある、気をつけろ。


 大体こんなエッセイでした。
 自分の考えを混ぜてまとめてみると、読者視点から文章を書くというのは、
 場の空気を読みながら会話をするのと似ていると思います。
 自分の言いたいことばかりを一方的に言わず、相手が理解しているかを探りながら話す。
 ぼくは、こういうことを意識しながら書いています。妖精の言葉を気にする毎日です(笑)。


みつきさんの意見
 たかみさま、こんにちは。

 読者視点で書くって、とても大事なことですよね。
 要は、自分の作品を、一読者として読む目を養えばいいのだと思いますよ。
 方法は色々あります。時間を置いてから読むのも手ですし、
 ちょっとした気分転換をしてから読むのでも、書き手の自分から離れられ、
 『読者の目』になれるものだと思います。

 私の場合は、『執筆者である自分』と『読者である自分』、
 常にふたつの人格を頭の中に作って、執筆者の自分が書いたものを、
 すぐその場で読者である自分が読んで、ダメかOKかを決める、という方法を取っています。
 誰であっても、小説に対しては『読者』という形から入るもの、ですよね。
 ですから、『読者の自分』の方が『執筆者の自分』よりもキャリアが長いわけで、
 読みやすさや分かりやすさ、面白さというものを十分知っていると思うんです。
 その言葉をいつでもすぐに聞こえるようにしておいて、
 常に耳を傾けていれば良いのではないでしょうか?

 それでは、これにて。


クナ=ルナさんの意見
 どうもこんにちゎwww

 ええと、読者からのあらゆる批判を想定して書いてみてはいかがでしょうか。

 ぼくの場合、第5研究室や鍛錬投稿室に書き込まれた批評などを読みながら、
 「あぁこうするといけないんだ」ということを学び、
 自分で書くときにそうならないように気をつけながら書いています。
 (こんなことを言っておきながらまだ一度も投稿したことがない卑怯者)
 
 そして見直しをする時は、常に批判的な目で。

 作者は自分の作品に誰よりも愛着を持っていますから、ついつい甘やかしてしまうものですが、
 ここは批判的な、冷めた目で見直しをすることをオススメします。
 そして納得がいくまで推敲する。

 ただし、この方法には欠点があります。
 ダメな部分が見えすぎてきてしまって、いくら推敲しても修正できず、
 自信喪失になり、がんじがらめになって、
 しまいには書けなくなってしまう恐れがあります(ダメじゃん)(笑)。
 
 なので、ある程度の妥協点を見つけ出すのがコツです。
 
 読者の批判を想定しつつ、自分の味とこだわりを出す。
 その引っ張り合いが、小説を書くことの醍醐味ではありませんか。
 はい。少し論点がずれたような気もしますが;、少しでもお役に立てれば幸いです。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|