第4研究室 創作に関するQ&A 94P | トップへ戻る |
桜雪さんからの質問  
 読者を疲れさせない説明の方法とは?

 
 私は戦物の小説を書いていますが、あまり世界が堅い物にならないよう気を付けています。
 しかし、どうしても必要になってくるのが「説明」です。
 今こういう戦況下にあり、こういう過程で至り、
 様々なダミーが飛んでいる……等々といった説明です。
 しかしこれらは、文中にダァーッと書いてあると、
 間違いなく読者様が読まないorかろうじて読んでも疲れてしまう、という状況になります。

 やはり説明的な物は、描写の中に混ぜたり、
 ある程度砕いて分けて説明していくのがいいのでしょうか?
 ファンタジーなど書いている皆様などは、
 特に自分の世界観の説明と描写に戸惑った事があるのかと思い、教えを乞いたいと思いました。


● 答え ●

峰しずくさんの意見
 こんにちは、峰です。

 僕の作品は世界観の説明とか、多いほうだと思います。
 しかし、事前に設定していたわけではなく、
「おいおい、これは唐突すぎるぞ」とか
「あれえ〜? これ、なんか必然性がないぞ。必然を感じてもらうためにも、なにか設定加えなくちゃ」
 なんて理由によるものがほとんどです。

 あまり決めずに書いているため、自分でも「あれえ?」となることが多く、
 その都度後付設定しているわけですが、これが幸か不幸か、
 読者によると「必要なところに必要な説明がしてある」という結果にもなっているそうです。

 事前にたくさんの設定をすると、どうしてもアレコレ描きたくなってしまいます。
 それによって説明が多くなってしまうと、物語の進行に必要なく、
 また世界観を重厚にする役にもたたず、
 読者がしんどくなってしまうだけということになりかねません。
 
 一方で、僕のようなやり方だと、どこかで矛盾が生じてきたり、
 いきあたりばったりなのが読者にバレてしまって薄い作品になってしまったりと、
 やはり良いことはありません。

 ようはバランス感覚なのだと思います。

 さて、では実際には説明をどう作品中で生かしていくか。
 いくつかのテクニックは身に付けておかれるといいと思います。

 ひとつ。
 説明を、単なる説明にせずに、エピソードを挟んだり、会話をはさんだりする方法があります。


 例えば、ファンタジーで、どうもこれはいくらなんでも庶民のことを考えていない、
 王家の勝手な思い込みによる法律だぞ、なんてのがあったときに、
 その法律がどうしてそうなっているのかを説明するとします。
 このとき、当時の王様と取り巻きの会話なんぞを入れてみる、という手法です。
 生類憐みの令の成立を、当時の関係者の会話をとりまぜながら説明をしていく、
 といえばわかりやすいでしょうか?
 「犬は苦しくても苦しいとは言わない。だから、守ってやらねばならぬ」みたいに。

 ふたつ。
 焦らす、という方法です。


 例えば、武術の必殺技があったとします。
 そして、主人公は絶体絶命の危機に陥ります。
 まさしく、目の前に毒を塗った吹き矢が飛んできて、今まさに眉間につきささろうとしています。

 ここで、百発百中で吹き矢を放つその奥義の説明をします。
 敵役がそういう奥義を身に付けていることを事前に説明する方法もあり、
 その場合は、その技が恐ろしいものであると言うことを読者が既に知っていますので、
 戦いのシーンはより緊迫します。
 吹き矢を敵が放つ状況を作ればそれで負けだ、ということを読者が認識してるわけですから、
 アクションを描くにも、まず主人公は立ち止まってはいけないとか、
 林の中から出てはいけないとか、そういう緊迫感を作ることができるわけですね。

 吹き矢の奥義のことを読者が知らなければ、
 そういったアクションの盛り上がりは確かに欠けるのですが、
 いつ出てくるかわからない吹き矢のために、事前に延々と説明をしておくには、
 やはり書き手の技術が必要です。
 しかし、吹き矢がまさに突き刺さろうとしている瞬間なら、
 その説明を読まされてもさほど苦痛にはならないでしょう。
 しかも、焦らすという効果があります。事前の説明は「毒が塗ってある」程度で十分です。

 しかもこの吹き矢の奥義習得のためのエピソードを説明の中に挟み込み、
 それがいかに過酷な修行だったかを描けば、敵役にもかかわらず、
 いままさに主人公が殺されようとしているにもかかわらず、
 悪役に対しての読者の感情移入を誘うことすらできます。

 ファンタジーで、交易地において、思わぬ人と出会い、
 思わぬ事件(恋愛、戦闘、カケヒキ、その他)のシーンがある場合でも、
 先にその交易地の説明をしておけば、
 読者はその地に主人公が踏み込んだときに何かあるだろうとドキドキワクワクします。
 一方で、交易地の説明が延々と続くとうんざりします。
 だから、交易地は「交易地である」ことだけを説明しておけば、
 字の意味からなんとなく読者は察してくれるであろうということにしておいて、
 実際の説明は、主人公が事件に巻き込まれてから行う、という手法を使うことができます。
 これが、物語をすすめながら説明をしていく、わりかやすく楽な手法なのじゃないかなと思います。


みつきさんの意見
 説明についてですが、これはもう、入れるべきところは絶対に入れたほうがいいですね。
 ですが、桜雪さんのおっしゃるとおり、だらだらと説明だけが続くと絶対に飽きられますし、
 面白くないと感じられてしまいます。

 やはり説明的な物は、描写の中に混ぜたり、ある程度砕いて分けて説明していく、
 という書き方のほうがいいと思いますよ。


 説明や描写のバランスの取り方は、とにかく、
 自分の書いたものを初めて読むような気持ちになって、何度も読み返してみることです。
 そうすると、
 「ここ、回りくどい描写ばっかりで、何が起こってるのか分かりづらい。
 ビシッと一発で分かるような、簡潔な説明文にしてくれないかな」
 と感じたり、逆に、
「ここ、説明文ばっかり続いてぜんぜん楽しくない。
 もっと工夫してくれないと、興味を持って読めないよ」
 とか感じるようになってくると思いますから、そうしたら、
 自分の中にいる“読者な自分”が満足するような文章に、改めて書き直せばOK、だと思います。

 それでは、これにて失礼させていただきます。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。
 お話を理解するために読み手に必要な情報を伝えることは必要です。
 そして、それがストーリーに関わるものであるなら絶対に作中に載せねばなりません。
 問題となるのは、現在お考えの情報のボリュームは、本当に必要なのかと言う点です。

 必要であれば、分散が可能かを検討し、小分けに提示するか、
 台詞や描写等に組み込むんで伝えるのもいいと思います。

 でも、「全部は必要ではないが、あったほうが良い」は再検討したほうがいいと思います。
 何故”あったほうが良い”のかを再度見つめなおし、
 その上で削れる部分を削り、他の情報に組み込めないか考えたほうがいいです。
 作者自身が、長い、読みづらい、等々考える情報なら、
 読み手もそれ以上に感じると考えたほうがいいと思います。

 必要な情報は乗せるべきです。でも、それは最小限であるべきだと猫は思います。
 
 ではでは。


サラさんの意見
 こんにちは。個人的に嫌なパターンの一例として書かせていただきます。

 たしかに説明は分けて書いたほうが飽きません。
 ずらずら書いてあると、ボクだったらすぐ読むのやめます。


 ただ、よくこういうのがあるんですが、
 いきなり冒頭から展開が唐突で、どんどん先に進んでいく。
 世界観の情報を、あやふやに説明、
 または、ひとしきり事が終わった後に説明する作品がありますが、
 あれは読んでてイライラします。

 ロクに説明もない冒頭を、作者だけが緊迫していても、
 こっちはなんの意味もわからないまま読んでるんですから、全くつまらないんです。


 と、こんなのがあります。ですからこの緊迫しているところに、
 見事に上手い説明を入れられたら面白く読めるんじゃないかな〜なんて思ったり。

 一場面の、一意見でした。

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