ライトノベル作法研究所
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一歩離れて常識を批判的に見る

リサさんの投稿

 はじめましてリサと申します。
 これからお世話になると思うのでよろしくお願いします。

 川原泉という方の作品なのです。ライトノベルではなく少女漫画、しかも結構古い作品なので知らない方が多いとは思いますが、笑えるしかもセンスを感じさせるセリフ回しが多いので。

 例えば、「笑う大天使」という作品

・キリスト教系お嬢様学校に通う主人公三人組が源氏物語のレポートを書かされるシーン

主A「う~がるるるる読めば読むほどイラつくな光源氏って男はっ」
主B「女癖は悪いしくっだらねえ事で悩むし泣くし」
主C「マザコンでロリコンで不倫大好きの変態だよなこいつ」

・授業でモーセの十戒を習った後

主C「あ~他人のものをムサボルナ~」
主A「つまりだなヒトんちの奥さんや牛やロバなどすべて他人のものを欲しがってはいけない……と書いてある」
主B「う~む他人のものは何でも上等そーに見えるからな~……しかし人妻と家畜を同列化している点がスゴイ」
<中略>
主A「まだまだあるぞぉ~獣と寝た人は必ず殺さなければならないその獣もまた同罪」
主B「……獣と? 犬や牛馬を相手にいくら何でも……なにがウレシクてそーゆー事を?」
主C「まるっきし変態じぇねーか。相手の動物もいいメイワクだよな」

 また別の作品でも
・野球部の顧問になれと言われた主人公が巨人の星を思い浮かべ

「常軌を逸したあの興奮状態は交感神経の異常だなきっと……病院に行った方がいいぞ星君」

(甲子園の空に笑え)

「そんなにあわてんでも飛行機は逃げんよ」
「遅れたら確実に逃げます」

(ミソ・スープは哲学する)

 などなど
 まとめると「それを言ったら身も蓋もないだろ」ってことを直球で言ってるのが、笑いに繋がってるんじゃないかと思います。

 往年の名作や世間の常識、一般的に価値があるとされているものなどを、一歩離れた場所から批判的に見る醒めた視線を持つことからユーモアって生まれてくるんじゃないでしょうか。

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単語を切り離し別の意味にする

ジュラルミンさんの投稿

 初めまして、ジュラルミンと申します。

 以前ここの鍛錬投稿室に掲載されていた作品の中に、突出した笑いのセンスを感じた作品がありました。
 既に削除されてしまいましたが、主にクールな主人公が弄られ役の少年をからかうといったやり取りが続くのです。

 しかし、散見するネタとは少し違い、より練りこまれたネタだった気がして、いくつか書き取って置いたのですが、紹介します。 

例をあげると、まず弄られ役の少年が街の有力者が学校を訪問するというニュースにはしゃぎだします。

「やべぇ! 俺ヘッドハンティングされたらどうしよう!」
「可能性はあるな、頭を銃で撃ち抜かれる可能性が」
「そういうヘッドハンティングじゃねぇよ!」

 間となる地の文を挟まず間髪いれずにボケと突っ込みをほぼ同時にこなしている点、これはテンポが良いため多用されがちですが、

 この作品の凄い所は、単語を分解し別の意味にしている点です。

 ヘッドハンティング → スカウトと同義

 ですが、ヘッドとハンティングに分解すると、

 ヘッド → 頭
 ハンティング → 狩猟 → 撃ち抜く

 となり、大幅に意味が変わってしまうのです。

 言葉や単語を切り離し、別の意味を見つけ出すという手法もあるのだな、と痛感した一文でした。

 他にも、主人公の嫌味に対して、少年が必死に言い返すのですが、この点も他と違い、言い返した所で終わるのではなく、更に主人公がもう一度嫌味を浴びせて会話が終わるのです。

「お前さっきから俺を殺すことばかり考えてるだろ」
「平和のためだ」
「何が平和だ!命を犠牲にしてまで得るもんじゃないだろ!」

 もっともな一言だと思います。
 私だったらここで終えてしまうのですが、この後更に、

「貴様の命一つで平和が買えるなら安いものだ」

 と主人公が冷たく突き放します。
 これで少年は言い返せなくなってしまい、ボケに突っ込んで終わる。という基本的な型から、

 突っ込みに対して突っ込んで終わるという非常に高度なやり取りになっています。

 平和と命の価値。という極めて正当な少年の突っ込みに、まさかの突っ込みどころがある。
 という、簡単には真似できそうにない台詞回しで、とても驚きました。
 しかもどちらの言葉にも正当性があるという完成度。

 この作品内で見受けられたギャグは、やはり台詞を細かく分解し、独自の意味を見つけ出している所。
 そして、ありきたりにも見えるやり取りの中に、付け入る隙を見つけ出すという斬新さがありました。

 台詞や単語を分解してみる、という手法は、マンネリにも見えるやり取りに思わぬ笑いの種を生むのかもしれないと考えて投稿させていただきました、長文すみません。

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世界観と絡めたギャグ

みなとさんの投稿

 じぶんも一つ面白いと思ったギャグ……というより切り返しのようなものを見つけました。

 さんだーぼると、というサークルが出している「ラスト・ピュリファイ」の一説です。
 世界の大半が滅び、東京だけが抗戦しているといった状況で、兵士の女の子とその親友の女の子の会話です。

「よし、これで直ったよ」
「わ、すごいっ!結婚して!」
「やめてくれ、オランダはもうないんだ」

 同性愛→オランダ オランダは世界が滅んでいるのでない……

 世界観と絡めたギャグは秀逸だと思います^^

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