第4研究室 創作に関するQ&A 275P | トップへ戻る |
ハヤさんからの質問
 舞台設定と言葉遣い
 
 こんにちは。訳あって創作から離れていたのですが、舞い戻ってきました。
 さっそくですが、本題に入ります。

 現在、「刀と霊力の和風異世界ファンタジー」の設定を考えています。
 その世界の文化的な背景は江戸時代の中期をベースにしていろいろといじっていきたいと思っています。
 
 そんな中で登場人物が現代の若者のような言葉をつかうのは違和感を与えてしまうものなのでしょうか?
 ここでいう現代の若者のような言葉とは「キモい」とか「ウザい」といったものや、
 会話文中で「冗談」を「ジョーダン」と表記することをさします。
 意見を聞かせてください。お願いします。


●答え●
 
みつきさんからの意見
 ハヤさま、こんにちは。

 ハヤさんの書きたいようにすればいいんじゃないかな、と思いますよ。

 伝奇だとか、ちょっとした歴史小説風だとかな手触りの小説にしたい、
 と思うのなら、らしさを出すために、現代の言葉はあまり使わないほうがいいでしょうね。


 時代劇とか落語とか旅回り一座の舞台だとかを見つつ、
 その頃「らしい」言葉遣いを勉強して、セリフを書くのがいいと思いますよ。

 そうでなく、現代と近い感覚の思いっきり『作り物』な小説にするというのなら、
 今の若者言葉を使っても問題ないのでは。
 アニメの『サムライチャンプルー』のような感じですね。 

 どんな雰囲気の作品にするのかを、まず考えてみたらいかがでしょうか?

 それではこれにて。 


オレンジさんからの意見
 こんにちわ。同じく和風異世界ファンタジーを執筆中のオレンジです。

 率直に答えますと、「かなりの違和感を与える」と思います。

 私の場合ですが、現代の若者言葉はまったく使用していません。
 時代小説、歴史小説、時代劇、大河ドラマ、あるいは言語史の本などを研究して書いています。

 私がそうしようと思ったのには理由があります。
 2006年の正月に放送された滝沢秀明氏主演の「里見八犬伝」です。
 作中では現代の「しゃべり言葉」に近い台詞が多々、聞かれました。
 それがものすごく耳障りだったのです。

 その時に「映像のフォローがあってもこれだけ違和感があるのだから、
 文章だけで表現しなければならない小説で同じことをやったら、もっと違和感があるだろうな・・・・・・」
 と、思ったのが、作中から現代っぽい言葉を排除したきっかけです。

 とは、いいつつも、まったく使ってはいけないとは私も思っていません。
 例えば、キャラクターの内一人に現代的なしゃべり方をさせて、
 それでもって個性付けするとか、コミカルな場面で現代的な言い回しをさせてみるとか・・・・・・
 演出としてうまく使うなら問題ないと思います。

 あるいは、みつきさんのおっしゃっている「サムライチャンプルー」や
 ゲームの「戦国BASARA」のように強烈な世界観を打ち立てて、
 「これはこういうもの」と読者に納得させてしまえばいいかと。

 つまり、中途半端なのが一番嫌われるということです。
 やるのならとことんやったほうがいいと思います。


 では、このあたりで。少しでも参考にならば幸いです。


但馬晴さんからの意見
 ジャンプ連載の漫画「サムライうさぎ」は、
 江戸時代を舞台としながら現代の若者言葉が使用されていますね。

 それを許容するかどうかは読み手次第なのですが‥‥
 鎖国せずに諸外国との交流が頻繁に行われたためにヘンな言葉が生まれたとか、
 そういう設定があってもいいかもしれません。


ハヤさんからの返信(質問者)
 控えたほうがよいが、やるなら徹底的な世界観をということで理解させていただきます。
 レスありがとうございました。

 ところで、オレンジさんのレスに出ていた「戦国BASARA」という作品についてなのですが……
 確かに強烈ですね。
 半ばロボット化した本多忠勝やルー大柴口調の伊達政宗が戦国の世を駆け巡るわけですか。
 僕はこういうの大好きです。

 しかし時代考証や史実を考えるとちょっと、というところでもあると思います。
 僕が考えているのはあくまで異世界の話ですが、
 上のような一般的な和風のイメージから逸脱した設定というものには、
 それなりの背景を細かく示さなければならないのか、
 それともある程度はパワーで押してしまってかまわないのか、疑問です。
 皆さんはどう考えているのでしょうか。

 よろしくお願いします。


麻妃さんからの意見
 初めまして、ハヤさん。麻と申します。

 悩みすぎではないかなーと思うのですが、気持ちは分かります^^
 小説では知らないのですが、漫画でならいくつかそういう例を知ってますよ。
 『SAMURAI DEEPER KYO』という漫画をご存じでしょうか。
 週刊少年マガジンで連載していました。

 江戸時代初めが舞台の漫画ですが、侍がちょんまげじゃなかったり染めていたりシャギーだったり、
 横文字も普通に出てきます。

 すごいなぁと思ったのは、飯盛旅籠と書いて「ソ−プランド」と読ませ、
 出てくるお姉さんは膝上の短い着物にガングロ、ツインテール、パーマと、
 今時のコギャル(死語?)のような人物。
 更には建物にはネオンでピカピカしたいかがわしい看板も掛かっておりました。

 ここまで現代アレンジされたものが商業科され結構売れているのですから、
 あまり気にしなくてもいいかと(笑
 パワーで押してる後者のタイプですね。

 もっと大ヒットした漫画で、日本が舞台ではありませんが少年ジャンプの『封神演義』があります。
 古代中国、殷王朝から周にかけてが舞台ですが、
 記憶が正しければ「セコイ」「ケチ」など結構頻繁に使われていました。
 それから、ビニール袋や「ゴッキーホイホイ」も登場したかと。これも後者のパワータイプですかね。

 最後に、前者のそれなりの背景が決まっている作品。
 これまた漫画ですが、少年ジャンプの『銀魂』がそうかと。
 これは江戸末期が舞台ですが、黒船来航を宇宙人の襲来に置き換えています。
 当然アメリカよりも宇宙人の方が技術は上ですから、
 江戸時代の古い文化と現代を超えるハイテクノロジーが入り交じっています。
 コンビニや電車もある江戸なので、
 キャラが横文字や今時の若者のような言葉を使っても違和感はありません。

 こんなんでどうでしょうか。少なくとも私はバックグラウンドがあろうとなかろうと面白いので大好きです。
 結局はそこに行き着いてしまうわけですが。
 ただ、この3つの作品に共通して言えることは「ギャグ色が強い」ということです。
 シリアスな作品を書きたいのであれば、銀魂のような背景をしっかり考えないと当然使えませんね。

 お役に立てたならば光栄です。創作頑張って下さい^^


オレンジさんからの意見
 再びオレンジです。

 私も基本は力押しでかまわないと思います。
 あまり細々と説明されると、作者の言い訳を読んでいるような気分になりますし。

 ただ、自分で例に出しておいてなんですが、
 ゲームや漫画の力押しのメソッドをそのまま小説でやるのは危険なのでやめたほうがいいと思います。


 麻妃さんが「SAMURAI DEEPER KYO」や「封神演義」を例にあげてらっしゃいますが、
 ああいう、「現代のものを過去の時代を舞台にした作品世界に持ち込んで笑いをとる」
 という手法をはじめに行ったのは誰を隠そう、かの漫画の神様、手塚治虫先生であり、
 漫画の手法として半ば伝統化しています。
 そして漫画だから、あるいは映像のフォローがあるからこその手法であるといえます。

 小説でこのような手法があまり発達しなかったのは、
 映像のフォローがない小説で同じことをやると、ものすごく陳腐になる場合がほとんどだからです。
 アメフトのボールでサッカーをやっているようなものですからね。


 小説には小説なりの力押しの仕方があるので、それを研究してみてください。

 また、背景を細かく示すのもうまくやれば問題ないと思います。
 つらつらと物語内の事実を並べ立てるのは説明ですが、
 それに対して、登場人物がどう思っているか、または、
 それによって登場人物がどういう生き方を強いられているかを書けば描写です。
 世界設定は登場人物の行動、思考にうまくリンクさせて提示すればよいと思います。

 後は、和風ファンタジーや、あるいは仮想戦記などを読んで、
 設定の提示の仕方を研究するとよいと思います。
 和風ファンタジーやアジアンファンタジーは日本や中国を下敷きに、
 アジア各国の風土を混ぜ込んである作品が多いので。
 上橋菜穂子先生の「守り人シリーズ」や「狐笛のかなた」、
 高野和先生の「七姫物語」などが参考になると思います。

 こんなところで・・・・・・ ちなみに、戦国ゲーマーの中には、
 「戦国無双は好きだけど、戦国BASARAは史実を無視しているから嫌い」という方が結構います。
 私は両方とも好きですけどね。


但馬晴ジさんからの意見
 オレンジさんのおっしゃるとおり、
 アニメや漫画、ゲームなどでは時代ものに現代的な要素を取り込んだ作品は多々ありますが、
 小説では町田康氏の『パンク侍、斬られて候』くらいしか思い出せませんでした。
 (「戦国BASARA」は小説も出ていますが)

 そういうものが不向きなジャンルなのかもしれません。

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