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たつみさんからの質問 (2007年)
 スペースオペラはなぜ廃れた? 
 
  こんにちは。ちょくちょく質問させていただいてます。たつみです。 
  今回はスペースオペラというジャンルについての質問になります。 
 
  今日のライトノベル界でも、ほとんど見なくなったスペースオペラなんですが、
  このジャンルが抱える弱点について教えていただきたいのです。 
 
 ・先人たちにより、ほとんどのネタが使用済みになっている。 
 ・世界観を創るのが難しい。 
 
  などなどあると思うのですが、どうもボクは釈然としません。 
  そんなことを言ってしまえば、結局どのジャンルにも当てはまるんじゃないかと思うからです。 
  なぜスペースオペラというジャンルはこんなにもライトノベル界で、
  肩身が狭くなってしまったのでしょうか? 
 
  また、そういった立場の中でどうすればウケるスペースオペラを創作できるのでしょうか? 
  ちなみにボクは、スペースオペラもので、ジャンル不問の某新人賞に応募するつもりでいます。
  これって無謀ですかね? 
 
 
  長文失礼いたしました。たいへん抽象的で、難しい質問だというのは重々承知しております。 
  よければみなさんの意見を伺えないでしょう? よろしくお願いします。


●答え●

 スペースオペラの衰退の理由の一つとして、時代背景に原因があると思います。

 SF全盛期だった昭和の時代は、
 テレビ、洗濯機、自動車などの文明の利器が家庭に浸透し、どんどん生活が豊かに、便利になり、
 科学技術の進歩が人々に幸せをもたらしてくれると信じられていました。
 このため、輝かしい未来の世界を舞台にしたSFが人気となったのだと思います。
 
 20世紀の人々は、科学が進んだ未来の世界の生活に胸をときめかしたのです。
 
 しかし、21世紀になり、昔では夢物語であった携帯電話などの個人端末、
 インターネットによる情報化社会が到来しても、決して人々は幸せにはなりませんでした。
 科学がいくら進んだところで、物質的豊かさを極めたところで、
 それは個人の幸せには直結しないのだということに、人々は気づいてしまったのです。
 さらにSF世界の技術に現実の技術が近づいてしまったのも大きな原因です。
 
 超科学という幻想に誰も魅力を感じなくなってしまったのです。


 これが、スペースオペラ、ひいてはSFの衰退の原因だと思います。


まーさんからの意見
 別に肩身が狭いとは思わないが、

 世の中には「流行り」と「廃り」があって、その時代時代で好まれる傾向というものはある。

 人間は安心を求めるもので、例えば「ハリーポッター」というファンタジーを面白いと思った人間は、
 他に面白いものを探す場合は同じファンタジーの作品を求める傾向にある。
 ハリーポッターを知ったことで、ファンタジーの面白さは理解した。
 そこから面白いかどうかわからないSFとか伝奇とかにはいきなり移ったりはしない。
 新しいジャンルに挑むというのは、不安だからだ。

 先達が様々な作品を世に送り出し、それは「市場」という競争を経て、「現在の流行り」というものがある。
 もちろんこれは、恒久的なものではありえない。
 同じファンタジーの作品でも、その内容には流行りというものが反映されるし、
 スペオペが次の流行りにならないなどと誰にも言えない。

 過去の名作は今読んでも面白い。
 「流行り」と「廃り」は「個々の作品の面白さ」に直接の関係はない。
 それを手に取る人間の側が、流行に左右されているだけ。


>今日のライトノベル界でも、ほとんど見なくなったスペースオペラなんですが、
 このジャンルが抱える弱点について教えていただきたいのです。

 強いて言えば、周囲に高い評価を受けている作品が目立たないために、誰もそれを求めない。
 ゆえに作者も書こうとしない。なので余計に高い評価を受ける作品が現れない。という悪循環。

 つまり「廃り」の状況にあるということ。
 
 間違ってはならないのは、
 スペオペを書いた結果として面白くないものが出来上がるというのでは決してないということ。
 
 その面白さをアピールする機会に恵まれないだけ。


>また、そういった立場の中でどうすればウケるスペースオペラを創作できるのでしょうか

 「スペオペ」というジャンルの大きな枠で考えるのではなく、
 一つ一つの作品として、今何が「ウケ」ているか研究すべき。


 俗っぽく言えば、ジャンルがスペオペだろうがファンタジーだろうがSFだろうが、
 今の市場で「萌え」がないのは苦戦するとかそういうこと(2007年現在)。
 もちろん、これだけが要素ではないのだが。


隼鷹さんからの意見
 どうも、隼鷹です。よろしくお願いします。

 スペースオペラと聞いて、日本人ならば「銀河英雄伝説」、「ダーティペア」を思い浮かべます。
(海外作品ならもっと多い)
 これらに共通する事は、未来の宇宙世界です。
 未来の宇宙世界は無限の可能性がありますので何を出してもOKです。

 しかし、人によって許容できる世界、許容できない世界があります。
 例えば、「宇宙世紀」と聞いたら他の方々は何を想像しますか?
 「ガンダム」のオニール型コロニーがある世界でしょうか?
 それとも火星など太陽系の惑星がテレフォーミングされて、外惑星に人が住む世界ですか?
 人類以外の宇宙人がいるのかもしれません。
 それでは、その宇宙人ってどんな人たち?
 と言われて想像できるでしょうか?
 今の人たちは、ほぼグレイ(有名な人型宇宙人)でしょう。

 しかし、スペースオペラの人気が高かった世代では、
 グレイ以外にも何種類ものUFO、宇宙人が図鑑やら雑誌で出ていました。
(金星人や水星人、土星人もいました)
 
 つまり、今と当時の読者の環境が違うから見向きされていないと言う事が、
 現在のスペースオペラの弱点だと思います。


 先程あげた、「銀河英雄伝説」や「ダーティペア」は、
 人類以外の宇宙人がいないので現代の人たちでも受け入れられていますが、
 もしタコ型宇宙人やビッグフット型宇宙人が出ていたら果たして?

 あくまでもこれは、宇宙人が居た場合での例です。
 他にも問題はあります。
 しかし、どれもこれも読者に許容できるか否かが問題の根本などで、
 これと織り成すのが重要だと思います。

> ちなみにボクは、スペースオペラもので、ジャンル不問の某新人賞に応募するつもりでいます。
 これって無謀ですかね? 

 私の場合、応募で無謀ならば、小説を書くこと事態が無謀と言われました。
 無謀などやってみない事には解りませんので、がんばって下さい。



黒尻尾の駄猫さんからの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 SFはね、なんか不人気なんすわぁ……;;

 スペオペ。ホースオペラとか言うと西部劇でしたっけ?
 まあ、結構お茶の間ジャンルだったんすよ。
(海外じゃ、スタートレックだの猿の惑星だのTVシリーズ有りましたし、
 日本でも昔は似たような物もあったんすが、より子供向けになって、
 でも、SFな怪奇を描くという妙な方向にスライドしてウルトラシリーズとかになったりもしましたなぁ)
 さて、

> ・先人たちにより、ほとんどのネタが使用済みになっている。

 そうでもないんですが、まあ、宇宙活劇となると先人の造ってくれた用語を使う方が楽ですよね。
 ワープとか、ブラスターだとかね。
 でも、そんな事言ったらファンタジーなんかもっと厳しいですよ。
 エルフだのドワーフだのと、名前だけ借りただけで実際の民話とか無視した
 トルーキンファンタジーの亜種ばっかと言われかねませんからね。

> ・世界観を創るのが難しい。

 ファンタジーでもハイファンタジー及ばれる物は同様の、いえ、それ以上の苦労がありますね。
 ちゅーか、伝奇だろうが、なんだろうが異種族間交流物なら、何やったって大変であります。
 故にオイラの結論も

> そんなことを言ってしまえば、結局どのジャンルにも当てはまるんじゃないかと思うからです。

 ですよ。

> ちなみにボクは、スペースオペラもので、ジャンル不問の某新人賞に応募するつもりでいます。
 これって無謀ですかね?

 御自分の得意なもの、描きたい物、楽しく心躍るような物語なら、ジャンルなんざぁ関係ないですよ。
 実力次第の厳しい世界っすからね。
 多数派は多数派の苦労があり、少数派は少数派の悩みがある。そんなもん、何やったって同じ。

 どうか、ご自身の納得出来る作品で、応募してください。

                           ではでは


みつきさんからの意見
 たつみ様、はじめまして。

 スペースオペラというジャンルの弱点は、面白いスペースオペラを書く作家がいないことです。

 ライトノベル界で肩身が狭くなった、ということの理由も、その一点に尽きます。
 スペースオペラといったら何? と訊ねて、
 十年以上も前に最終刊が出た『銀河英雄伝説』を上げる人ばかりなのを見ても、
 たくさんの人が読んで面白いと感じたスペオペは、日本ではただそれ一本だけ、ということです。
 良い書き手がいないとういうのは、明白なる事実ですよね。

 というわけで。

>ちなみにボクは、スペースオペラもので、ジャンル不問の某新人賞に応募するつもりでいます。
 これって無謀ですかね?

 
 無謀というか、気にすることのない、普通のことだと思います。
 送った原稿が確かに面白いものであるなら、「久々に、スペオペの名作が生まれるかもしれない!」と、
 期待してくれる編集さんもいるかもしれませんよ。

 それではこれにて、失礼させていただきますね。


ガルバさんからの意見
 たつみさん、初めまして。ガルバという者です。

 スペースオペラがライトノベル界で肩身が狭くなった理由。
 僕が考える限りでは「面白いor面白そうな作品がたくさんない」からしか考え付きませんでした。
 探せばライトノベルでも面白いものはあると思います。
 ただ、その面白い本の数が他のジャンルに比べて少ないから肩身が狭くなったのではないでしょうか。
 実際僕はあまり聞いていません。
 その理由が一番ではないでしょうか。

 そんな立場でウケるスペースオペラを創作するのはなかなかキツイものがあると思います。で
 すが、あなたの腕次第ではウケる可能性があります。
 基本的なことですが、スペースオペラ系の作品を何度も何度も書いて、腕を上げる、
 あるいは他の既存の作品とは全く違う観点から物語を作るなどが良いと思います。

 なんていうか、ステレオタイプの答えになってしまいましたね(汗

 最後に。ジャンル不問の新人賞に応募する予定とのことですが、無謀なんていうことはありません。
 入賞できなかったら何か罰でもあるんですか?
 応募した後は緊張すると思いますが、無謀だなんて考えないでもっと気楽にやった方がいいのでは?
 あまり考えすぎないで頑張ってください。

 では。


朧紅疾風さんからの意見
 これは、スペースオペラというより、
 SFという大きなジャンルそのものの衰退も関係しているのではないかと思います。

 
 スペースオペラだけに限っていうと、かの有名な「スターウォーズ」、
 また「スターシップ・トゥルーパーズ」(原作・宇宙の戦士はガンダムのモデルになった)等、
 著名な海外映画作品の存在感があまりにも大きく、
 完成された作品であるためどうしてもネタの重複を避けられないというのがあります。
(小説にも、過去にヒットしたものが多々あります)。

 既存作品とネタが被ってしまうというのは、意図の有無に関わらず新人賞では致命的といいますから。
 
 更に、ネタの被りやすい要因として、
 舞台が宇宙という一つの特殊空間に限定されていることが挙げられます。
 空気が無く、無重力の極めて広大な空間というだけで、
 まず何の技術もない原始人が出て行くには無理があるのは明白。
 科学技術の発達している人類、又は未知の異星人なんかはもうおなじみで、
 進んだ科学技術による戦闘劇とか飽きるほど見てる、というような印象があります。

 ファンタジーの分野だと、ヨーロッパ周辺のものは使い古された感がありますが、
 世界各地にモデルにできるような物は大量にあります。
 中東をモデルにした小説が(海外では)つい最近増えてきたこともありますし、
 事実公に発掘されていないネタがかなり多いです。

 まあ私もスペース・オペラに詳しいといえるわけではないので厚かましいやもしれませんが、
 なるべく既存の作品とネタの被らないよう創意工夫する事をお勧めします。

 では失礼いたします。


mayaさんからの意見
 はじめまして、はぐれすぎたメタルまやと申します。

1)「なぜスペースオペラというジャンルはこんなにもライトノベル界で、
 肩身が狭くなってしまったのでしょうか?」


 端的にお答えしますと、スペースオペラがライトノベルにおいて主流だった時期は一切ありません。

 ですから、「肩身が狭くなってしまった」というよりは、
 もともとそうだったのだから仕方ない、と言えるわけです。

 おそらく勘違いの元は、《銀河英雄伝説》シリーズ、《星界》シリーズがあまりに売れたからだと思います。
 ついでに言えば、スペオペは世界的なSFの流れの中で、すでに40年代にその役割を終えており、
 70年代以降はミリタリSFと共に語られる状況になっています。
 
 日本では翻訳輸入が遅れたため、スペオペの全盛期が70〜80年代のように見られがちですが、
 それでも日本SFにおいてもスペオペは傍流のサブジャンルだと指摘できます。
(だからこそ、ジュブナイルというマイナーなジャンルでいくつかの有名作品が発表されたわけです)

 日本では、ガンダムなどのアニメの影響があまりに強く、
 スペオペ的世界観がSFの主流のように捉えられがちですが、
 小説・ライトノベルにおいては、残念ながらメジャーなジャンルではないのが現状です。


2)スペースオペラの弱点

 ジャンルの弱点を考えるというのは、面白いアイデアだと思います。
 わたしが考える限り、スペオペの弱点は以下にあると考えます。

ドラマが典型的に過ぎる
 もともとスペースオペラは、ソープオペラ(昼ドラ)、
 ホースオペラ(西部劇)から語源が来ている通り、その特徴は典型的なドラマにあります。
 つまり、舞台が宇宙になっただけのお約束満載のドラマこそ、スペオペだというわけです。
 物語が溢れている現在、この点は大きな弱点だと言えるでしょう。

日本では戦争が遠すぎる
 40年代に役割を終えたスペオペが、なぜ70〜80年代に復活したのか。
 それは端的に言えば、ミリタリSFとの相性が良かったからです。
 では、ミリタリSFはなぜ生まれたのでしょうか――それはベトナム戦争があったからです。
 
 逆に言えば、スペオペはいつも戦争と共にその歴史を歩んできたと言えます。
 これは日本のジュブナイルやライトノベルでしかSFを知らない人には、
 まったく理解できない側面だと思います。
 つまり、スペオペはその時々の戦争や紛争と深く関わっていたわけです。


3)ウケるスペースオペラを創作
 まずはヴァーナー・ヴィンジの『遠き神々の炎』(創元SF文庫)をお読みください。
 最新の時空論でホットトピックとなっている「特異点」を用いて、
 アイデアを見事に反転させたスペースオペラです。
 やや難しいかもしれませんが、ヒントはそういった作品の中にたくさんあると思います。


 なお、あまりに勘違いしている人が多くて、ちょっと困るのですが、
 スペースオペラは廃れたわけでも、書き手が少ないわけでもありません。
 わたしはただ、その役割を一時的に終えているだけだと考えております。
 ミリタリSFと共に復活した80年代と同様に、
 またしばらくしたら、ひょっこり顔を出すような気がしてならないのです。
 
 だから、たつみさんはスペオペはもうダメだとは考えず、良作を創作してください。
 ラ研にはレンズマン好きもいますし、わたしのように若い頃にミリタリSFから
 スペオペに入った変わり者もいます。
 決して終わったサブジャンルではありません。頑張ってください♪


―――――

追記

 SFが廃れた、といった言説をラ研ではよく見かけます。
 正直なところ、SF好きとしては困惑しています。
 議論をするつもりはありませんが、根拠のない言説、もしくは前時代的な言説です。

 なるほど、90年代においては日本ではSF冬の時代でした。
 この時期に、こういう発言が出たのなら、わたしも納得したでしょう。
 
 しかし、21世紀に入ってからは、ミステリの売り上げが落ち始め、
 逆にSFの売り上げが回復しつつあります(出版不況ですから、それでもやや戻っているに過ぎませんが)。 「未来人、宇宙人、超能力者」が出てくる作品や、「時を翔る」作品や、
 「四つのロボットが戦争を沈める」という作品や、
 「使徒や天使の狭間で『世界の中心でアイを叫ぶ』少年が出てくる」作品がマーケットを賑わす中で、
 なぜSFが廃れたと言えるのか、わたしには理解できません。

 つまり、とても厳しい言い方になってしまい申し訳ないのですが、SFが廃れたわけでは決してありません。  SFを読んでもいないのに、SFが廃れたと堂々と言う人が増えただけに過ぎないのではないでしょうか?

 本年度は日本でワールドコン2007が開催されます。
 そのことの意義をもう一度、噛みしめてもいいように思います。

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