第4研究室 創作に関するQ&A 300P | トップへ戻る |
蔵神紫苑さんからの質問
 国家間に貧富の差が生まれる理由
 
 どうも、蔵神です。今回は俺らしくない政治関係についての質問です。

 「発展途上国」「先進国」などの単語が存在するように国にも人同様に貧富の差がありますよね?
 そしてそれに影響されて治安・経済なども良好だったり悪かったりとあります。
 ですが俺はなんでそれらに差があるのかがわかりません(というか政治全般苦手なんですが)

 例えばアフリカなんかはもろ発展途上国です。
 道路建設なんかも不十分で、町から町へ自然そのままの整備されていない地面を、
 車が走ることなんか珍しくないです。国民の生活だって楽どころかむしろ苦しい(貧しい)状況です。
 これについては、ガキっぽさ満載の俺なりに知恵を出して打開策を考えてみても
 「国自体が貧しいなら紙幣を大量発行して国民にやりゃいいんじゃね?」
 のようなどうしようもないアホでインフレな答えしか出てきません。
 
 そもそもインフレやデフレだって何が理由で起こるのか?
 日本だって国民一人辺り数百万の借金があるとかどこかで読んだけど、
 その借金自体どこから借りてるのか? 
 世界最大の先進国アメリカはなんで世界最大の先進国になれたのか……etc。
 
 要するに俺は政治に関しての知識が全く無いに等しいわけです。(しっかりしろ19歳大学2年)
 図書館や本屋で政治関係についての本を調べてみても、
 なかなかそんな詳しいことを記した本は見つからずです。
 皆さんご教授お願いします。


●答え●

TSさんからの意見
 それって政治以前の経済問題っすよ。

 世の中、金で回っている以上先立つものがないとだめなわけで、
 発展途上国ってな大概その「先立つもの」がないんすよ。

 資源なり技術なりがあれがそいつを元手に商売を続けられますが、
 何にもなかったら手持ちの材料でやるしかないと。
 産油国や資源大国が資源を武器にできるのは何でよ、ってことで。
 あとは後から商売始めた人間は先に商売始めたやつより不利ってことで。

 国の借金ってのは要は債権のことです。
 債権の利息がいい、ってのは要するに利子が高いということ。
 利子が高いのはリスクが高いからです。
 国債の利子がいいのは、そうしないと誰も債権を引き受けてくれない……
 それだけ信用されていないってことです。

 多少簡潔に表現しすぎましたが、まぁそんなところで。
 間違いの指摘、詳しい資料の提示などお願いします。


みつきさんからの意見
 蔵神紫苑さま、こんにちは。

 貧しい国はまず、産業が発達していない、というのが挙げられますよね。

 一次産業も二次産業も三次産業も観光産業も、そのレベルが低ければ、お金や品物の動きが不活発で、 国内ですら通貨が価値を持ちづらくなりますし、それに伴って人的資源も乏しいことがほとんどです。
 ましてや外国に物を売ったり観光客を誘致してお金を得る、なんてこともなおさらしづらいですよね。

 売る物が何もないのに毎日店を開けている商店みたいなもので、
 そりゃあ経費(国家の運営費)だけは嵩んで、売上(国内消費・外貨獲得)はナシ、なわけですから、
 ちゃんと品物を作って(生産)店に置いて(流通)、
 それを売り買いをして(消費)売上利益を出さないと、いつまで経っても貧しいまま、ですよね。

 それではこれにて。


ふたなりいさんからの意見
 ワールドアトラスでも読め。
 
 一言で言えば、国が金持ちか貧乏かの差を作っているのは「ポテンシャル」って概念だ。
 ポテンシャルの中にはもちろん国の資源もも含まれるけれども、そんなのは一部に過ぎない。


 例えば、ある国には銅資源がこれこれどれくらいあると見積もられている。時価にしてX億ドル分である。
 しかし、それは時価の話であって、その銅鉱にある全ての銅をその価格で売却できるわけではない。
 北京オリンピックが近づけば金属価格は上昇していくし、
 銅に替わる、安くて扱いやすい導電体が現れれば銅そのものが必要とされなくなり、価値は0になる。

 だから、時価X億ドルという資源を保有していても、その価値は絶対的なものではない。
 
 しかし、可能性はたゆたっていたとしても決してランダムというわけではない。
 上述のように、『「北京五輪」の情報を持っているときに高額で銅を裁くことが出来る能力を持つ人がいる』
 ならば、その資源の時価はある位置で安定する。
 逆に、いないのならば資源の物理的価値がどうであろうと、
 ポテンシャルは0と見積もられてもおかしくはない。

 要するに、物ではないのだ。物ではなく人的資源かというと、そうでもない。
 両者が合わさらないと意味が無い。
 もっと正確に言うのならば、「人的資源が物理資源をどれほど操作可能か」であり、
 対応は人1:物Nになる。

 もちろん、国という仕組みからすればこの対応の上位にも構造が存在し、(偉い人)1:人Nにもなる。
 ちなみに、この際の人と人を繋ぐ鎹は「金」である。
 先ほど金の価値などわかんねーとか言っておきながらなんであるが、そういうことである。フクザツだね!

 で、まあ。日本等に当てはめてみると、
 日本人1:中国人5くらい
 になったりするわけだ。

 じゃあ中国人が持ってる財産はみんな日本人のものなのかよ、っていうとそうではない。
 原則、「物の価値は、何かに換価されるまでは0と扱っていい」のだ。
 
 だから、重要なのは「誰が所有しているか」ではなく、「どれだけの価値を生み出すか」なわけだ。
 
 そこで最初に戻る。
 「有用なものに価値をつけるのは、有用な人間である」
 有用かどうかの差を出すのは、教育である。
 賢い人間が多ければ多いほど共同体の持てるポテンシャルは増えてゆく。
 その内、余剰ポテンシャルで共同体は人を増やし、
 その人間に教育を施したりすることでさらにポテンシャルは増えていく。

 これをやっているのがユダヤ人である。彼らには土地も資源もない。
 しかし教育があるので「沢山の人」を動かす立場にいて、結果お金持ちである。


 逆に、教育が行き届いていない国々。
 例えば中国では、人は沢山いて資源があってもまだまだ発展途上国である。
 これは、人:物構造しか持たない労働者階級が極端に多いからでもある。

 要するに、って言うとあれだけど資本主義って一言で現せられるんよ。
 そもそも外交ベースで貧乏か金持ちを語ってれば、そういう答えにしかならない。
 ちなみに、「幸せかそうでないか」には国の資本はそれほど関係ない。
 キューバなんかが良い例だ。”みんな、じぶんのくにはさいこうだとおもっている”らしいぞ、全国民は。
 お金があれば、技術があれば、しあわせがつかめると思ったら大間違いなのかもしれないな。
(という欺瞞)


1029さんからの意見
 戦争はビジネスです。

 これらは簡単に言えば、戦争に勝ったか。もしくは、植民地にされていたかで決定します。
 
 アメリカなんてのは第一次大戦前まではただの国でしたし、当時の日本よりビンボーだったはずです。
 しかし、終わってみれば先進国の仲間入り。
 そして、第二次大戦。
 ここではアメリカは連合国最強となるわけですが、他の国々と違う点があるわけです。

 それは資源。

 メキシコ湾には油田があるし、アパラチア炭田もあります。
 他の欧米列強はそういった資源は植民地から調達していたので、
 アメリカ程の開発力がなかったんですね。
 アメリカはこうして世界最大の経済国家となりました。

 続いて日本。
 第二次大戦敗北から5年、早くも日本は復帰の兆しを見せます。
 朝鮮戦争の勃発。
 実質アメリカ対ソ連の様相をみせるなか、
 アメリカは朝鮮半島にほど近い日本から武器を買いまくったんですね。戦争特需かな?
 これのおかげで高度経済成長時代へと突入するわけです。

 アフリカについては植民地だったので自動的に後進的国家にならざるを得なかったんですね。

 インフレについてはドイツを調べたら良いでしょう。パン一斤が億マルクする時代がありましたから。

 嗚呼、これじゃ駄目なのに。
 これは学校の授業から勝手な解釈をしたものなので、違うかもしれません。
 しかし、経済と戦争が密接に関係しているのは本当です。
 歴史を漁るのが一番の近道だと思いますよ。
 それではノシ


隼鷹さんからの意見
 どうも、隼鷹という者です。
 蔵神さんのおっしゃる、富豊の差や経済に関しましては、諸説があり、
 ”これだけ”で全てが解るというモノはないという事を初めに言っておきます。
 長文かつ、難しい上に誤解として受け取られるかもしれない事を予めご容赦下さい。

 簡潔に述べれば経済は二種類あります。
 ”収奪”による経済と”交換・貯蓄”による経済です。


 まず、現在の地図帳を見れば、先進国と呼ばれる国々の、ほとんどは大国ではありません。
 どこの誰が見ても、大きさから見れば、ヨーロッパは雑魚です。
 しかし、世界有数の大きさを誇るアジア、アフリカ諸国はヨーロッパ諸国に頭をペコペコさせています。
 それはなぜか?

 19世紀または20世紀(戦前)の地図を見れば一目瞭然です。
 日本、タイ、エチオピア以外の国々は、”すべてヨーロッパの領土”なのです。
(もっと正確には、列記の国以外、国はなかった)

 ヨーロッパは、第二次世界大戦まで最低でも百年、巨大な国家群の集まりだったのです。
 その利益は、一番少ないベルギーでさえ、最低でも現在の10倍以上の国家収入だったのです。
(もちろん当時は植民地は正当であるという価値観です)
 一番の領土を誇る、イギリスは言わずもがなです。

 では、ここで原題である、国がそれだけの収入があるのならば、貧富の差が生じるのか?です。
 先程、例に挙げたベルギーの通り国家収入は莫大です。
 しかし、それは本国である”ヨーロッパの領土に換算して”という意味です。
 つまり、ヨーロッパ人にとって植民地は無限に増える貯金箱だと考えていたんです。

 何もしなくてもお金が増える貯金箱に、一々お金を戻そうとするでしょうか? 普通の人ならしません。
 だから、ヨーロッパ諸国は富に富め、先進国となったのです。
 しかし、例外はあります。

 遅れて来た”最後の帝国”、大日本帝国です。
 先程、二種類の経済があると上記しました。
 ”収奪”と”交換・貯蓄”です。
 大日本帝国の経済根源は”交換・貯蓄”で、植民地とした地域は全て日本と関わりのある地域でした。
(様は幼馴染と友人)

 幼馴染や頼れる友人達を騙してお金を儲けようとする考えは、まずありませんでしたし、
 逆にお互いヨーロッパ諸国に困っている仲間でしたので、身銭を切って仲間に勉強をさせて、
 日本は自力による経済発展を旨としての赤字の植民地経営をしました。

 そして、運命の第二次世界大戦が終わり、各国は植民地を手放すことになりました。
 ヨーロッパ諸国の植民地は、各地で独立しましたが、やはりヨーロッパに粗方持ってかれたので、
 インド、シンガポールなどを除いて国を豊にする事はできませんでした。
 
 しかし、大日本帝国の援助を受けていた植民地は違っていました、
 一番援助の恩恵を受けた、韓国、中華民国台湾や、中華人民共和国は、
 ヨーロッパ諸国の植民地であったアジア・アフリカ諸国と違ってインフレや経済が豊です。
(現に、あの毛沢東でさえ、四番目に多くの日本の援助を受けていた満州国を手に入れた時、
 「我等は、例え中国本土(北京より南の地域)を失っても中国東北部(満州)がある、
 限り革命を達成する事ができる。」と豪語しました。
 北朝鮮やその他地域は、ソ連・アメリカの領土になったので日本の影響は無くなった)

 また、植民地から”収奪”していたヨーロッパ諸国は国力が低下しましたが、
 逆に赤字経営であった日本は身軽となって再び先進国の仲間入りを果たしました。
 これでアジア・アフリカ諸国の富裕の差のほとんどが説明できます。
 故に韓国や中華人民共和国の反日云々は疑問符が付きやすいと言われる所以です。
 アメリカに関しましては、別でお願いします。
 それでは失礼します。


夢羅さんからの意見
 まあ貧乏国がそれなりの国になる事の難しさは、朝鮮併合で検索すれば感覚的に理解できると思います。

 ちなみに日本の借金が問題になりにくい理由は、国債の殆どを日本人が買っているからです。
 つまり日本人が日本という国に金を貸しているというのが現状なのです。


ayakaさんからの意見
 こんばんは。
 ほかの方が述べられていることと重複しますが、世界史的な観点から。

1・アフリカの貧困
 アフリカが貧しいのは、奴隷貿易による労働人口の流失と植民地化による搾取に苦しんだからです。
 まずは奴隷貿易。奴隷として最適なのは、元気で力持ちな若い男性です。
 よって、多くの若い男性たちが奴隷としてアメリカなどに連行されました。
 当然、アフリカ本土では主たる働き手である男性が少なくなり、
 働き手がなくなれば経済は停滞してしまいます。
 これが、アフリカが途上国になってしまったまず最初の原因です。
 
 次に植民地での搾取です。
 アフリカには豊富な鉱山資源や地下資源が存在します。
 また、アフリカは広いので市場としてはうってつけです。
 地元民は宗主国(支配している国)に自分たちの仕事(農業や畜産業)を放棄させられ、
 そこで働かされました。

 よって、労働力の搾取がふたたび行われたわけです。
 現代になってアフリカの多くの国が独立しましたが、
 今の国境線はヨーロッパの国々によって設定された、民族分布を全く無視したものであるため、
 各地で紛争が絶えません。
 これも、国の発展を送らせている一因です。


2・アメリカが世界最大の先進国たる理由
 確かにアメリカは19世紀に入るまで、大したことのない国でした。
 しかし、産業革命がすべてを変えました。
 アメリカは産業革命に必要な5つの「M」をすべて満たしていたのです。
 5つのMとは、

@)machine(機械)……英仏から輸入して調達
A)market(市場)……アメリカは広い。
B)man(労働力)……安く働いてくれる移民がいっぱい
C)money(資本)……米英戦争後、経済安定
D)mineral(資源)……資源はたくさん

 この絶対有利な条件が味方して、アメリカは19世紀末に世界のトップの工業国に成長します。
 さらに第一次大戦でノーダメージ、さらにヨーロッパの復興のための輸出増大などでボロもうけです。
 第二次大戦後も同じ感じですね。


3・国債
 正確には「国民が借金」をしているのではなく、「国が国民に借金している」のが正しいです。


4・インフレとデフレ
 インフレが起こる原因は紙幣の乱発(金回りがよすぎる等)や物資の不足です。
 第一次世界大戦後のドイツは、この2つがいっぺんに起きたため天文学的なインフレが起こりました。
(コーヒー一杯にトラック3台分の紙幣が必要とか)
 よって、無計画に紙幣を乱発すると大変なことになってしまいます。
 
 日本のバブルもインフレの一種です。
 世の中に金が溢れすぎて、物価が上昇し続けたようですね。
 デフレはその逆が原因で起こります。
 不景気になれば、消費活動は衰えます。節約節約で、みんなものを買わなくなっちゃうんです。
 世の中に金が回りません。よって、物価は下がります。

 話は変わりますが、紙幣や硬貨の偽造がなぜ重い罪かというと、
 インフレ・デフレを引き起こし、経済混乱を招く恐れがあるからです。

 以上順不同でつらつらと書いてしまいました。
 長文ごめんなさい。
 間違っていたら、訂正お願いします。


風月堂さんからの意見
 なぜ国の貧富に差があるのかという問題は、産業という観点から見れば、
 「産業が無いから」、「金が無いから」ではなく、
 「なぜ産業が発展しないのか、根付かないのか(あるいは、なぜ発生しなかったのか)」、
 「なぜ金を持ってないのか(なぜ投資すべき資本を蓄積できなかったのか)」
 を考える必要があります。


 以下、なぜアフリカに産業が発生しないのか、
 産業化・工業化には何が必要なのか、という観点から考えてみます。

○アフリカの工業化の進まない理由
 一口に植民地といっても、韓国・東南アジアとアフリカ諸国では様相が全く異なります。
 アジア諸国では、国家体制や教育システムがあり、
 さらに日本という巨大な市場が比較的近くにあるため、工業化の余地がありました。
 
 一方アフリカでは、戦後も長く植民地が残ったために現地人には統治のノウハウもなく、
 教育も行き渡っておらず、市場からも遠いため、宗主国としては工場を作るメリットもないため、
 産業・工業化の下地ができませんでした。
 さらに、1960年頃の独立で政情不安になったため、余計に産業への投資がなされないことになります。
 
 また、資源があっても加工産業が無いために安く買いたたかれ、
 さらに外資経営により資本が現地に蓄積されず、
 それ故現地への投資も十分にはなされないことになります。
 これでは現地政府は十分に外貨を持つこともできません。
(それ以前に、政府自身が権力抗争に明け暮れ、
 教育や市場を育てようという意志が感じられないこともしばしばです)。
 以上のことから、アフリカは、現地で産業が根付くには非常に不利なように思われます。


○「植民地を持つ側」と「植民地にされる側」
 そうすると、何が「植民地を持つ側」と「植民地にされる側」を分けたのかの問題が出てきます。
 近代について言えば、英仏が植民地化を進められたのは、
 軍隊や資金などの投入を可能にする集権的な政治体制、汽船・電信と武器といった技術、
 工業製品と原料の貿易という産業構造、といった要因が考えられます。
(スペイン・ポルトガルの凋落は貿易収入を国内産業に投資しなかったためといわれます)

 冗長になるので、それだけの差がついた理由については割愛します。
(ただ、「持つ側」と「される側」で、近世には既に、
 両者で差ができるだけの下地・背景があったことは指摘しておきます)


○19世紀末〜20世紀前半の後進国の産業革命
 産業化といっても、自由主義競争で発展した英仏と、
 後進国として追い上げを図るべく国家主導で経済振興をすすめた日独とでは、様相が異なります。
 とりわけ、なぜ日本が、これほど急激に近代化に成功したのかは、重要な問いです。
 
 その要因は、一つには寺子屋制度による教育の普及などの下地があったことです。
 二つ目には、政治体制の大改革・近代化です。
 産業を支えるには、自立していける需要の存在、ある程度以上に教育された労働者、
 関連産業、政治体制など、幅広い条件が必要になります。
 また、産業化は工場があれば良いというのではありません。

 清国でも洋務運動といって、工場や鉄道の建設などが行われました。
 しかし、清国は単に工場を作れば良いとし、
 立憲制度、教育システムや株式会社などの資本主義体制の整備には手をつけなかったり、
 官業独占であったため、民間企業が育たず、結果として産業化には失敗しました。
 もっとも、日本においても、特に明治時代の産業は繊維などの軽工業が中心でした。


○アメリカ
 南北戦争では、北部の工業化が戦局の行方を決めたことは良く知られています。
 ということは、少なくとも19世紀中ばまでは、工業化には、
 (アメリカ全国土というよりは)北部特有の事情を考慮する必要があるように思います。
 ごく簡単に考えれば、北部が工業化に有利であった理由としては、アパラチア炭鉱などの国内資源、
 規格化による生産効率化、需要と資本を提供する市場の存在、
 工業製品の保護貿易といった要因が考えられます。

 南北戦争後には国内統一の市場ができ、さらに工業化が進み
 (1890年代には工業生産がイギリスを抜き世界1位に)、
 二度の世界戦争では国土が荒廃しなかったことで、圧倒的に優位に立つことになったは周知の通りです。


 短時間でまとめるのは私にはできず、断片的になってしまいました。
 また、ニュージーランドや、オーストラリア、カナダのように工業化が顕著でない国の背景はよく分からず、
 産業=工業としての視点に偏ったものになりました。
 せいぜい、単に工場をつくるだけでは発展しない、ということを示したに過ぎません。
 この問題点については私の力不足が原因です。済みません。
 これはあくまで私見です。誤りがあればご教授願います。

参考文献
『銃・病原菌・鉄(上)(下)』
 ジャレド ダイアモンド著、倉骨彰 訳/草思社

『世界文明における技術の千年史――「生存の技術」との対話に向けて』
 アーノルド パーシー 著、林武・東玲子 訳/新評論社

『日本近代技術の形成――“伝統”と“近代”のダイナミクス』
 中岡哲郎 著/朝日新聞社

『詳説 世界史研究』『詳説 日本史研究』山川出版社

 上記のうち、特に
 『銃・病原菌・鉄』は、お薦めです。
 自然科学者の立場から、農業の発生にさかのぼって、文明発達の要因について考察しています。
 著者のフィールドワーク先で現地ガイドに尋ねられた、
 なぜニューギニアとイギリスはこんなにも持ってる物が違うのか、という問いから出発したものです。
 少々古いですが、大変面白く、お薦めです。


P.S.
 私も経済はよく分からないので、インフレやデフレが何で起こるのか、聞いてみたいものですね。
 特に、なぜ過大な通貨発行をするとインフレになるのかが、いまひとつ分かりません。


黒羽さんからの意見
 最近はROMばっかりでしたが、自分の専門分野なので。
 発展途上国と先進国の違いについては多くの方が書かれているので割愛させていただきます。
 簡単なインフレ・デフレの原因だけを挙げさせていただきます。
 
 これは金本位制を例にすると分かりやすいと思います。
 通貨(お札やコイン)とは「中央銀行に保管されている金と交換できる」
 という意味を政府が持たせて価値を与えています。

 つまり金の量は一定なのに通貨だけが増えればどうなるか分かりますよね?
 1トンの金しかないのに10の通貨を20にすれば、通貨1つあたりの価値は半分になってしまいます。
 現在は管理貨幣制度になっていますが、基本的にはこういった考え方でも大丈夫ではないでしょうか。

 インフレ・デフレ関係は経済学の資料を参考になさった方がよろしいかもしれません。


湊さんからの意見
 上の方々のような知識は持ち合わせていませんが。
 方法論として。

・中学高校の教科書を探し出してみる。(基本的なところが載っています)
・図書館で分かりやすい経済の本を借りてみる。(レファレンスを活用してください)
・一般教養で政治経済を教えている教員(講師・教授・準教授など)を直接訪ねて教えを請うてみる。

(大学の資源は有効活用しましょう。手みやげぐらいは持参で)

 質問されると結構丁寧に教えてくれます。人にもよりますが……。
 近現代史の教科書をさらうだけでもキーワードがいくつも見つかると思います。
 参考までに。


ぬここぬこさんからの意見
 色々と受け売りなので、参考程度に。

 まず、国が豊かかどうかは、ズバリ大きなお金と物資の流れを持っているかによります。

 流れが細ければ、例え金を溜め込んでいても、貧しいです。
(植民地として略取されていれば、健全なお金の流れがないのでやっぱり貧しいです)

 お金が上手く物と交換されて、流れまくっていて、初めて国は豊かになるのです。

 例えば、第一次世界大戦前後、ヨーロッパのブルジョワ達は、
 自分達が溜め込んだお金を放出しようとしなかった。
 ところがアメリカのフォードは、有名なフォーディズムによって、
 労働者達にどんどん賃金を支払いまくった結果、
 アメリカ全体に大きなお金の流れが生まれ、労働者もフォードもアメリカ自体もみんな儲かり
 お金を溜め込んでいたヨーロッパを引き離して、豊かな国になったのでした。

 ではどんな国が、大きなお金の流れを上手く自分の内に取り込めるのか。
 その方法やその為に必要な条件は様々でしょう。

 例えば、ただ単純に地理的にお金の流れの中に国があった場合。
 その国は貿易の中継地点として、栄えることが出来ます。
 昔ならシルクロードの中継点として栄えた、ロウラン。
 今なら、シンガポールあたりがこれに当たります。

 それから、金をいくら貯めた所で豊かにはならない、と先ほど説明しましたが
 大きな流れを作る、突破力を作るのに使えば、溜め込んだお金は有効です。

 多分戦後の日本もそうでしょう。
 本来なら占領下として、アメリカに略取されてもおかしくなかったのですが、
 冷戦勃発で、アジアに資本主義の強力な味方が欲しかったアメリカは日本を豊かに育てるよう、
 むしろ様々な援助を行ってくれました。

 そこへ朝鮮戦争やら湾岸戦争やらが勃発。
 物資がいくらあっても足りない戦争中の国が産み出す大きなお金の流れに、
 日本は上手く巻き込まれ、がっつりお金を溜め込んだ。
 おまけにアメリカに軍隊を取り上げてもらっていたおかげで、軍事費はタダ!
 何かあってもアメリカが守ってくれる、と言うか軍隊取り上げちゃった手前、アメリカが守るしかない。

 日本に社会主義国になられたらアメリカが困るし。で、出費が滅茶苦茶浮いた。
 こうして他人の喧嘩に上手くのっかって、漁夫の利によって金を溜め込む事に成功し、
 さらにアメリカからの教育でがっちり資本主義のやり方を叩き込まれた日本は、
 湾岸戦争が終わっても、ちゃんとやっていけるだけの経済の流れを作ることができました。

 最近だとドバイなんかもそんな感じですね。
 石油資本で貯めたお金を元に、でっかい経済の流れを作る事に成功し
 このままいけば、石油が枯渇しても、十分豊かにやっていけそうです

 この場合、単純にノウハウがあるのも重要です

 日本もそうですが、アメリカやそのルーツであるイギリスの植民地だった国(それこそアメリカ)は、
 わりかし豊かです。

 と言うのも英・米国人、他国に比べて統治が無茶苦茶巧い。
 現地の人達をあまり逆撫でしないやり方を、色々と研究して統治した。
 だからなんだかんだで独立後も、元植民地との交流は続いて、
 現地の人達は、元統治国の人達からノウハウを分けてもらうのにさほど抵抗もなかった国が多い。

 話が色々脱線しましたが、用は【大きなお金の流れ】が健全流れていれば、その国は豊かなわけです。
(なお、お金の流れが不健全な状態を、恐慌と呼ぶわけですが)
 以上、参考程度にですが、こんな感じです。


一風斎(仮さんからの意見
 みなさん、特に蔵神さんはじめまして。
 このサイトに現れるのははじめてになるので、ちゃんとしたあいさつをしたいところなのですが、
 話が長くなりそうなので割愛します。どうかご容赦を。

 さっそく本題に入りますが、私は経済学科に所属しているから、この手の質問には答えられそうなので、
 少しだけ話を聞いてもらえたらうれしく思います。

1)インフレ・デフレ
 はじめに断っておきますが、経済学をやる者が一番困るのがここです。
 でもここを抜けないと他はまったくわかりません。ですからここから勉強してください。
 
 この領域は、その昔ニューディール政策の時代にケインズというもっとも有名な経済学者が、
 きちっとした理論を作りました。
 今の経済学はこれを利用しないと、何も説明できないし、何もわかりません(ケインズをけなすことも)。
 ですからここは踏ん張って読みこなしてください。

 その領域というのは、「マクロ経済学」という名前がついています。
 数式はとばしても大丈夫、と書かれている本をセレクトしてください。
 できれば数式も頭の片隅に入れてあげてほしいですが。
 その後、「ミクロ経済学」も読まれることもお勧めします。
 この二つをとらなければどんな経済学部も卒業できないという代物です。 必修! 必修! 

 これを読めば難しいという『オオカミと香辛料』もまったく困ることなく読めるようになります。
 もちろんテレ東の経済ニュースも。
 本はたくさん出ていますのでちょっと大きな本屋なら選択に困らないはずです。
 就職した後、社員教育に使う企業もあるようなので役に立つかも?
 より知りたいなら「経済政策」というカテゴリーも探してくださいね。


2)後進国(発展途上国)
 発展途上国の中で、なぜ東アジア(日本含む!)や東南アジアは調子がよくて、
 アフリカが立ち遅れているか、それが簡単にわかる本があります。
 ものすごくお勧めです。その本はこれ

アマルティア・セン
『人間の安全保障』集英社新書
『貧困の克服―アジアの経済発展の鍵は何か』集英社新書

 新書ですから安いです。
 それでいてこの方アジアではじめてノーベル経済学賞を取ったというすごい方です。
 より深く知りたいなら「開発経済」というカテゴリーを探してみてください。
 
 その上で言っておきますけど、昔の先進国の人間は馬鹿だったから、
 工業国も農業国もみんな自由経済になれば幸せになれると本気で思っていたんです。
 植民地主義というものもブロック経済とそのずっと前の大航海時代なんかとは趣が大きく違います。
 知りたい方は下で紹介したものをどうぞ。


3)アメリカや西洋
 アメリカや西洋と簡単に書きましたが、イギリスとその他ではまったく違います。
 ちゃんとした知識を知りたいなら「西洋経済史」というカテゴリーをさがして見てください。
 とくに中世の土地制度からはじまっているものがおすすめです。
 ついでに言うとアメリカの工業力は1900年(第一次世界大戦の十年以上前)には、
 世界一になっています。それから一回も抜かされていないはずです。
 そういうこともちゃんとした本を読んでいただければ表やグラフとともに載っています。

最後に
 なんだか社会科学ってわけがわからないし、未来予測では、
 うそばっかり言っているので信用がないせいか、うそがまかり通っているんですよね。
 ちょっと悲しいです。社会科学というのは過去の分析では結構いいこと言っているんですよ。

 あと、経済とか書いてあればなんでもいいなんてことはまったくありません。
 ちゃんとした本をつかまないと、かなり痛いはめにあうので、
 必ず大きな本屋の奥のほうにある専門書を取ってあげてください。
 中には私の大学の教授が書いた本もあるので、教授も喜ぶと思います(教授! 宣伝しておきました!)。
 
 ネット通販ならアマゾンではなくて丸善や八重洲ブックセンターなどのサイトをのぞいて見てください。
 専門書ならそちらのほうが品揃えがいいです。


黒尻尾の堕猫さんからの意見
 通りすがり野良猫です。
 嘘っぱちと不適切な例えを残します。

 では、経済の珍妙さの1つバブルを最初に挙げておきます。

 麻雀でちょっと高めのレート(賭博は違法ですw)で遊んでいる4人が居たとします。
 彼等の間では、勝ち負けが数万、数十万に膨れあがり勝負は益々ヒートアップ。
 盛り上がってきたので勝っている男が皆にお寿司を傲りました。
 特上寿司を4人前。2万近い現金払いの出費ですが勝ち金を回収できれば余裕です。
 更に時間が経ち、他の者もラーメンを4人分。
 モーニングセットを4人分と、徹夜の麻雀により4人の中の経済は大きく動いていきました。
 それぞれの勝ち負けは既に百万単位まで登っており、興奮は最高潮だったのです。

 そして、麻雀を終えて精算時に4人は気が付きます。
 4人の給料全部を合わせても勝ち金は支払えないし、
 無茶すぎる負債を誰かに押しつける訳にも行かないと。
 そして結局、4人は飲食代を割り勘にして勝ち負けの分はチャラにして帰ります。

 これがいわゆるバブルの崩壊です。

 元の資産を越えるような額のお金を掛けてしまい、
 さもそれが実体が有るかのように思い込んで無駄遣いをした挙げ句、いざ支払いの段階で破綻してしまう。
 しかも、これが社会規模で皆で浮かれてしまう現象なのです。

 思いこみは経済の重要な一要素です
 特に株式では風評被害とか根も葉もない情報で大きく価格が乱高下したりもします(バブルの主原因?)。

 さて本題です。

 10人で国を作ったとします。民主制議会政治をしき、
 各人の給料から10%もの税を徴収するものですが、一応国家として認定されました。
 給料は十数万〜三十万と10人でも差は有りましたが、
 平均すると二二万となり、10%が10人分なので、その二二万円が国家予算です。
 そして、当然出来たばかりの超後進国です。
 産業も何もありません。

 国を豊かにしようと10億円札を発行して各人に配ってみました。
 全員の資産は一気に跳ね上がりました。

 でも、そうしたら全員働かなくなりました。
 当然、税収入はありません。

 外国から何かを買おうにも、元のお金は前年度の二二万円分のみが実体があり、
 幾ら額面だけ増やしても国家として保証できる実力はなく、
 今は労働人口が無くなってしまい、国としての内的な収入が無く、むしろマイナスです。

 それによって10億円札は事実上単なる紙切れとなり、むしろ、今までの貨幣も意味を無くしてしまい、
 ジュース1本120億円という訳が分からない額になりました。スーパーインフレ状態です。

 結局国民は働かなくてはならず、国の経済がおかしくなってしまっているので就職は難しく、
 なによりもの凄くキツイ労働で、かつ、超低賃金な状態になりました。

 そんな中でも、元の給料の良かった国民が、画期的な新商品を開発して売り出しました。しかも、安く。
 追いつめられていた経済状態で安く良い品を手に入れられる事は国民の支えとなり、
 内需も拡大していきました。
 が、他の国民も買うだけでは収入が増えないので、
 自分達も何か作ろうと思うのですが、安くないと売れません。

 でも、安くすると赤字になり、売れば売るほど負債が増えてしまいます。
 しかも、海外から品質はそこそこでかなり安い製品も入ってくるようになりました。
 それに対抗するには材料の大量仕入れや様々なコスト削減をする必要がありますが、
 コストを下げるような機材の導入にはコストがかかるのですw
 頑張れば頑張るほど赤字は膨れあがる。デフレ螺旋状態ですw

 上記の例は極端です。経済をちゃんと学ばれた方には突っ込みどころが多くて、
 何から言って良いやら解らないくらいのお話しですが、それは気にしないで下さい。

 じゃあ、何が言いたいのかというと、実体の保証能力もないのに、
 お金だけ増刷しても最初に説明したバブルと同じ事になるだけです。
 もしくはお金の価値が下がる、薄まるのはご想像の通りです。



 結論を言えば、国家の財政とは、結局は国民1人1人の経済状態によって反映されます。
 なにせ税金なのですから、納税者にお金がなければ成り立ちません。

 余所から仕入れず、肉を売るには食肉用の家畜を飼わねばなりません。
 最初は余所から家畜を購入するにしても、
 それ以後は有る程度自家交配して増やせないと利益が出ません。
 
 店舗も直営なら、家畜を絞めて、即卸す(実際には熟成保存とか設備もいる)事も、
 できるかもしれませんが牧場直営の肉屋じゃ利益もそれなりです。
 もっと利益を上げるには販売店舗数を増やさないと行けないですし、
 それには保存と輸送をどうするべきか考え、そして牧場自体の規模を拡張し、
 精肉も効率化する必要が出てきます。

 上記を行うための資産は大変なものであり、それを借り入れるにせよ、
 それなりの信用や実績がないと貸して貰えません。
(ヤポネでは土地を担保がメインですが、外国では家畜や精肉機械とかを担保にしてくれる場合もあり、
 また、商売の評価でも金を貸してくれたりもします)。

 国家も同じです。
 身の丈にあった地道な活動で国民の生活水準=納税額を向上させていかないと発展しません。


 まずは労働できる程度には健全な人がたくさん居て、できるだけ一カ所に集まっている事。
 そして彼等が食べられる程度に仕事がある事。

 人間がたくさん居れば色んな物が必要になります。それは流通が起きる事でもあります。
 そして彼等全員に食べていける程度に仕事が有れば、貧しいなりに流通は経済として発展していき、
 いずれは全体的に豊かになっていきます(まあ、現在の状況だと内需だけでは難しいけどね)。

 人が少ない、あるいは分散しすぎていると労働力としては足りません。
 流通も発展しません。更には健全でない状態では働けませんしね。
 仕事が少ないと、人がたくさん居ても意味がありません。
 このバランスをどうするのかは発展国でも同じですが、
 後進国との違いは発展国には既に有る程度の資産が存在する点ですね。

 メリケンは実際の人種差別問題はともかく、奴隷解放を宣言して、
 万人にチャンスのある自由の国という噂があって、
 色んな国(ヤポネも移民を出している)から人間が集まってきました。
 住む場所と食い物を確保するためにガンガン開拓してガンガン侵略しましたw
 おかげで最初は星条旗の星は10個くらいだったのに今では50も星が付いていますw

 さて、最後にヤポネの借金ですが。
 これは国家としての医療、教育、安全、外交、その他サービスにかけているお金が、
 税金より遙かに高く着いていると言うだけのお話しでありますw
 今現在、ヤポネは国家として運営すればするほど赤字なのですw

 そこで、国債という「いずれ返すからお金かして券(発行時に償還期限と利率が定められている)」
 を発行して国民から税金以外にお金を借りているのですw
 もちろん、返せる見込みはありませんw
 なので、国家運営+国債償還を支払う為の国債を毎年発行し続けている訳ですw


 さて、大分端折ってますし、実はアフリカの話しはしてないですし、
 植民地の構造についての解説もしてませんし、実際には話すべき事は何も語っていない状態ですが、
 難しい事は他の方が解説しているので、これでよしなのです(自己満足)w

 もし、解らない点があったら、他の方に質問してみて下さいw

                          ではでは


シバタさんからの意見
 なかなか重いテーマですね(A^_^;)
 ども、経済学部を卒業したシバタです
 簡単にいうと

1・日本の借金→国民から借りてます(国債)
2・アメリカ→植民地戦争、第一次大戦時に大儲け


 因みに確か、第一次当時の貿易黒字一位アメリカ、二位日本なので、
 この頃から日本の発展の基礎は明治の賢人達によってできていたのですね。


 さてさて、長くなりますが《インフレ》に限って説明します。
 まず経済では物の価値、価値とは何かをしっかり理解しなければなりません。
 よく例にだされるのが水とダイヤです。

 水はご存じのとおり、無くてはならない物です。
 命をつなぐのに水と食べ物は必須です。しかし安い。

 ダイヤは食べれないしその堅さで採掘の道具にはなりますが、
 さして生きる上で水以上の価値はないはずです、しかしダイヤの方が水より高価です。

 何故でしょうか?


 物の価値はその重要性だけじゃなく、
 欲しい人の数(需要)とその物の量(絶対量、稀少性)によるのです。


 ダイヤは一部の人達しか欲しがりませんが天然ダイヤは数がありませんので取りあいになります。
 なので値段は釣り上がります。

 水は全ての人に必要ですがその量は半端なくあり必要経費を差し引いても、
 ある程度で価格は落ち着きます。

 つまり絶対量が少なくなる(または欲しがる人が増える)とその物の価値は上がり、
 増える(または誰もほしがらなくなる)と下がります。
 今年のサンマが大漁で(絶対量が増えたので)安かったのもその為です。
 ダイヤもそこらにある石や貝殻みたく沢山あればあれほどの値段はつかないでしょう


 では! ここで頭を切り替えて通貨(お金)を大量に作ればどうなるでしょう?

 もちろん価値は下がります(お金自体の)


 例えば通貨の量を倍にすればその価値は半分になります!
 すると今迄一個100円でパンを売っていたパン屋さんも、
 「なんだよ100円じゃ価値ねーよ! お金の価値が半分なら明日から200円もらう!」
 ということになり給料(小遣い)も倍、物も倍になっていきます。

 物価上昇、貨幣価値下落

 これがインフレです。


 しかし順調に経済発展している国はゆるやかなインフレが続きます。

 お金儲かる→給料上がる→物価があがる

 という感じで

 問題なのは通貨の大量発行のような原因でおきる《急激な》インフレが一番最悪です

 誰が損をするかというと、まず今迄コツコツとお金(お小遣い)を貯めてきた人がバカをみる。
 貯めてきたお金の価値が半分になるのですから。(通貨を倍にすると)

 そして、そういう通貨管理のできていない国には外国の人もあまり投資しないでしょうし、
 経済も発展しにくい。

 近代経営では数億数兆の金を投資し工場とかをつくり、
 何十年かけて利益をだすような長期的な経営戦略が必要ですが、
 明日はお金の価値が半分、来月は四分の一、その次には二倍とかいうような国では、
 とても長期的視野での近代産業が育ちにくいです。
 逆に裏経済が盛んになり余計経済が停滞します。

 たとえお金を皆に分配してもその弊害は、大きい視野でみると甚大ですしそれは結局自分に返ってくる。
 しかも金をばらまいてもその分、誰かが損をしているはずです。
 さらに何もせずにお金を貰うようなことは、その人の尊厳、向上心、誇りを損います。

 オーストラリアの原住民のアボリジニーなどはなかなか仕事につけない。
 そのかわりに国が少しばかりの援助をしているそうですが、
 何もできず、生きる価値を奪われた彼らには、
 麻薬に走ったり自殺する人の割合がかなり高いと聞いたことがあります。

 経済の基礎知識を知らない指導者のいる国は悲惨でしょうね。

 まぁ、アフリカ諸国は自由経済の名の下、未だ欧米に搾取されていますがそれはまた別の機会に


(´・ω・)うーん、インフレの基本的な説明ですが……長くなりましたし、わかりにくいかもしれません。

 どんなかんじですか?
 読みやすい文になってるでしょうか?

 まだまだインフレのさわりしか書いてませんが、ここらでやめておきますね。
(;・ω・)携帯からやし……


みずさんからの意見
 こんばんわ。みずといいます。
 しばらく見るだけだったのですが、面白そうな話題なので口を挟んでみようかと思います。

 まずインフレについて。
>「国自体が貧しいなら紙幣を大量発行して国民にやりゃいいんじゃね?」

 紙幣が増えても、国民は豊かにはなりません。
 なぜか。
 通貨の量が2倍になったとしても、市場に流通しているモノの量が2倍になるわけじゃないからです。
 「お金が2倍になったー、いっぱいお買い物できるぞー」とは、ならないんです。
 なぜなら、ほかの人もお金が2倍になっているから。
 でもお店にあるものの量は同じ。
 結局モノの取り合いになります。
 取り合いになればモノの値段もあがります。

 それに、モノがあるということは、それを作って売ってお金を得ている人がいるということ。
 ほかの人のお金が2倍になっているのに、モノを作って売っている人の利益は昔のまま、
 というわけにはいきません。生産者は収入を増やすために販売価格を上げます。

 商品を作っている会社なら、社員に2倍のお給料を払うために、収益を上げなければなりません。
 製品の値段を上げることになるでしょう。
 こうやって連鎖的にモノの値段が上がっていきます。
 これがインフレ状態。

 で、ここまではひとつの国の中でのお話。

 紙幣をがんがん刷って通貨の量を2倍にした国と、特になんの変化もない国が交易したとしましょう。

 通貨量を増やしたインフレの国の通貨を仮にギル
 物価が安定して変わらない国の通貨を仮にゴールドとしますと

 インフレが起こる前 商品A=1ギル=1ゴールド
 インフレが起こった後 商品A=2ギル=1ゴールド
 となります。


 つまり、インフレが起こった国とほかの国の通貨の交換比率も変わっているわけです。
 さらに、「ギルの国でもっとインフレが進みそうだ」となった場合、
 ゴールドの国の人はわざわざギルに交換しません。

 ギルの国の人も、自分の国の通貨ギルよりも、安定してモノと交換できるゴールドを持ちたがるでしょう。
 そうすると、ゴールドに対するギルの価値はもっと低くなって、
 1ゴールドが3ギルとか4ギルとかになっていくのです。
 そうすると、商品Aの値段が1ゴールドだったら、そのモノの値段もあがっていきます。
 さらにインフレが進みます。
 自分の国の通貨ギルをいくら刷っても意味がありません。
 これが、いわゆる、インフレ率が高くドルが流通していてその国の通貨が使えない国の現状ですね。


 もうひとつ、裕福な国と、そうでない、貧しい国がなぜあるのかについては、
 自論なので正確性には問題があるのですが。

 ひとつ言えることは、当然植民地として支配した側、された側、という問題があるわけですが、
 それをいうなら米国だって元は植民地なわけで。

 何が違うかといえば、基本的に現在の経済の枠組みを作ったのが、欧州の国々であり、
 しいて言うならば市場主義経済……貨幣経済っていったほうがいいのかな、
 になじんだ歴史の深さの差といえるのではないかと。


 例えば、密林の奥深くで狩猟生活をしている民族がいたとして、
 その人たちが貧しいかどうかというのは、一概には言えないはずなんです。
 森の中で、それなりに充足した生活をしていれば、彼らの主観では豊かであるかもしれません。
 草原を家畜とともに移動していた人々も、それなりに充足していたから、
 その生活を何百年何千年と続けてきたはずです。

 でも、すべてを貨幣価値に置き換える側から見れば、1日に1ドル以下の生活で、
 非常に貧しいと分類されるのかも知れません。


 彼らがそのままの生活をしていれば、何の問題もなかったのでしょうが、残念ながら侵略者が現れ、
 何の予備知識も準備もないまま貨幣経済に組み込まれてしまったわけです。

「なんだかよくわからないけど、お金というのは何とでも交換できるらしい。
 しかも小回りが利いて便利らしい。貯めておくこともできる。
 ヤギみたいに世話をする必要もないし簡単に持ち歩ける」
 ということでお金がほしくなる。

 でも元から現地に住んでいる彼らはお金をもっていない。
 お金を持っているのは侵略者。
 侵略者側と、自分が持っている何かを交換してお金を得ることになります。
 それは家畜だったり、労働力だったり、もしかすると子供だったり。
 そこで問題が発生。

 地元民はお金が欲しいけれど、未知のものだから価値がいまひとつわからない。
 その結果、侵略者側のほぼ言い値になる。つまり、ぼったくり放題。
 ぼったくり値段が標準として刷り込まれてしまうので、
 地元民はいつまでも豊かになれない。貧しくて生活が苦しいから、
 子供に教育を受けさせることもできない。つまり、今日明日の生活しか考えられない生活が続く。

 侵略者側としても、いつまでも甘い汁をすするためには、地元民に余計な知恵を持ってもらっては困る。
 経営のノウハウなんて教えない。
 農園から作物を買い上げた後、どうやったら高く売りさばけるかなんて方法も教えない。

 この経済的優劣の構造を残したまま、政権だけを地元民に返したところで、
 地元民には計画的に事業を進めたり、
 貿易して外貨やほかの国の物を手に入れるための知識も経験も不足している。
 結局、もともとの侵略者たちのパイプを使うしかなく、結果的に経済的支配から逃れられない。
 故にいつまでも豊かになれず……

 ということになるでしょうか。

 米国の場合は、地元民が作った国ではなく、
 侵略者が本国と分離独立して作った国なので、また事情が違うということですね。
 また、アジアの国が比較的立ち直りが早かったのは、
 中国を中心に貨幣経済がなじんでいたからではないかと。

 そもそもなんで欧州の国々は世界各地を侵略して回ったのか、というのは、
 神がかりだったり、ただの探究心だったり、
 欲望の産物だったりするので何が原因とも一概に言えませんが。

 長々と書きましたが、理解というか考え方の一助になれば。
 しかし大学生、もうすぐ選挙権も持つんだからもう少ししっかり……。


名無し@十把ひとからげさんからの意見
 インフレとかデフレに関しては「痛快!経済学」あたりを読むのが一番早い気はします。

 ざーっくりといえば、ある国における各個人の生産性が、国ごとの貧富の差に影響します。
 生産性が低けりゃその国は貧乏です。

具体的に言えば
 ・ノウハウや情報の伝達が楽になる制度の有無(図書館とか駅制とか新聞とかTVラジオネットなど)
 ・基礎教育制度の有無
 ・金属使用の有無
 ・蒸気機関/内燃機関使用の有無
 ・電気使用の有無
 ・交通路整備の有無

 あたりの要素について、導入が早かったか否か――
 正確には、特定の技術や概念を「知っていた」か「知らなかったか」――で、
 先進国か発展途上国かの差が付いています。

 こういうことを聞きたかったのかどうかがちょっとわからないので、
 的外れであれば無視してくださいませ。


 あと、追記で2点ほど言えば。

1. ある国の生産性を知りたければ、「ある国のGDP ÷ その国の人口」で何カ国か計算してみてくだされ。
2. グローバリズムという奴は、各国のGDPを平均化する試みです。

 放っておけば日本人やアメリカ人やヨーロッパ人は貧乏になりますが、
 中国人やアラブ人やインド人やアフリカ人は裕福になるでしょうよ。
 ですので、発展途上国に関してはなんら心配する必要はないと思います。


一風斎(仮さんからの意見
 ところで、インフレとデフレがなんだかわかっているでしょうか?
 インフレは物価が上がっている、デフレは物価が下がっていることです。


 まあ、数ヶ月上がり続けてから二ヶ月以上下がらないとか、
 めんどくさい定義がありますがほっておきましょう。
 インフレはいいことでしょうか、悪いことでしょうか?
 
 そこらへんはシバタさんのおっしゃる通りなので反論もありません。
 逆にデフレがいいのか悪いのかといったことは、つい最近まで必ず悪いと言われてきました。
 だってデフレが起こるときって不景気なときですから。
 でも、そんなことを言うやつは少なくとも日本の経済学者には一人もいなくなりました。
 なぜか? だってデフレ=物価下がってるのに戦後最長の経済成長って言ってるでしょ?
 そういうわけでデフレと経済成長の関係もつい最近言えなくなりました。

 ただ明らかにいいインフレと悪いインフレがあり、ほとんどのデフレは悪いということは言えます。
(だいたいデフレって言ってもバブルの前から比べたらねぇ)

 それで、物価がなんで変動するのかって話ですけど、
 それを体系的に考えて式にまでしてしまった人がケインズっていう偉い人なわけです。
 ケインズについては検索かければでてくるだろうから割愛。
 
 で、物価っていうのは需要と供給でできているわけです。よくいいますね、この二つ。
 需要は欲しいよーという量、供給は売りたいよーという量。
 需要が供給に対して大きいと物価が上がって、小さいと物価が下がります。
 ここからがケインズさんのすごいところなのですが(ここだけでは説明できない)、
 これを決めるのが三つの主体。企業、家庭、政府。
(まあ貿易とかありますけど難しくなるので完全に鎖国しているものと思ってください)

 もし誰も何もしなければ物価と需要量と供給量はどっかに決まります(神の見えざる手ってやつです)。
 この地点がいいか悪いかは誰にもわかりません。なってみなければ。
 そのときの物価を100円、売り買いしている量を100個とすると、
 GDPというやつは100×100で10000円となります。
(GDPはすべての商品とかサービスについて足し合わせることで計算するわけですが、
 この国ではひとつの商品=米しか生産していないとしましょう。複雑にしても同じことしか言えませんから)

 GDPが増えると景気がいい。悪いと景気が悪いといいます。
 景気っていうのはそういうふうに確かめられるものなんです。決して気分の問題ではないのです。
 ここで米の供給量が不作で減ったとしましょう。そうすると値段が上がることはわかりますか?
 豊作で米の供給量が増えたとしましょう。そうすると値段は下がります。
 値段が上がればインフレ、下がればデフレ、それだけのことです。
 もし米の供給量が90になってしまったとき、
 米の値段が100/90より大きくなれば景気(GDP)はよくなり、小さくなれば悪くなります。
 もし米の供給量が110になってしまったとき、
 米の値段が100/110より大きくなれば景気(GDP)はよくなり、小さくなれば悪くなります。

 豊作で白菜をつぶしている映像を見たことありませんか? 
 あれが豊作ビンボーというやつで農家は豊作だからと喜んでいられないわけです。
 需要が変わる場合はご自分で考えてみてください。まったく同じことが言えます。
 ですからインフレだとかデフレだとかと景気は本来何の関係も見いだせないはず、なのです。
 現実に最初に書いた通りでしょ。

 インフレ・デフレというのはこれだけのことで後は何も付け加えることは本来ないんですが、
 お金の価値という話が加わるとややこしくなります。
 
 お金っていいますけど、お金ってなんですか? そんなこと誰にもわかりませんよ。
 お金って信じているやつがお金なんです!
 だって日本でも中世まで布や米が貨幣として使われていたのですから、
 何がお金になるのかなんてわかりませんよ。
 

 うちの大学では経済思想とかいう授業でお金は何かってやるわけですよ。
 つまり専門領域が一個できるぐらいなのでお金って、
 どういうものっていうことはそもそも断言することができません。
 
 でもそう言っていると何もいえないのでひとまず金本位制からかんがえましょうか。
 金本位制というのは銀行に1ドル持っていくと、『必ず』金と交換してくれるということです。
 『必ず』というのは1ドル=金1グラムと決めたら、その通りに『必ず』交換してくれます。
 1ドル=0.5グラムになったりしません。
 しないというからには交換できる量の金がなければ、ドルは刷れません。絶対に。
 交換比率をもし変えたら旧札は新札と交換されるのでなんの問題も起こりません。
 それが金本位制。例外はなし。
 
 その後紆余曲折があって金本位制はやめました。
 じゃあ、ドルを刷り続けられるかというとそんなことはまったくありません。
 一般的に会社は資産以上の負債があることなんてありえません。
 なったらつぶれる可能性大。
 中央銀行(日本なら日銀)のサイトにある財務諸表を見ていただくとわかりますが、
 日銀の負債には発行銀行券というものがあるはずです。

 ですから日銀は資産以上の現金を刷ることはできません。普通なら。
 日銀の資産は金とか外貨とかがあります。
 ですから日銀がもし日本銀行券(現金)やーめた、と言っても物に交換するくらいのことはできます。
 実際は日本銀行に円を持っていっても他のものには代えません、という規定か法律があるはずですが。
 ですから現在でも普通の国は現金刷りたいだけ刷ったりなんて芸当はできません。

 第二次世界大戦前のドイツでお金を刷ったせいで、
 お金の価値が暴落ということを必ず例としてあげる方がおられますが、
 お金の価値が下がる=日銀の負債が圧縮、お金が刷れる!
 ということなのでどちらが先かは卵が先か鶏が先かみたいなもので私がはっきり言うことはできません。
 
 誰かちゃんとどちらが先か時系列を用いて調べていただきたいなぁと思います。
 ものすごく興味がありますね。
(普通の本ではさらっと書いてあったりするけど疑って見るべきだと思いますよ)

 そういうわけでお金を刷ることはそうそうできません。
 途上国だったらやるんじゃない?と思うかもしれませんが、
 途上国のエリートってものすごく優秀なんですよ。
 法律とか制度とか先進国が見習うようなことを平気で作っちゃうんですね。
 ただみんなが実行できないだけなんです。
 だからそう簡単に途上国だからやっちゃうというのは差別でしかありません。

 お金のルールを変えるっていうのはかなりナイーブな問題なのでものすごい勇気がいります。
 ですから歴史の教科書には、銀行券をつくりはじめたとか、金本位制をはじめた、とかやめた、
 とかまたはじめた、とかまたやめたなどと書いてあるし、
 固定相場のときのドルのレートも、変動相場制を取り入れた時も高校の教科書見ればわかります。
 大学の授業を受けてない人は意外と歴史に書かれていることのすごさをわかっていないですよね。
 化学で覚えた化学式とかも生物の発展の歴史や、
 第一次世界大戦時に勝手に日本が使ったドイツの特許とかを見るとこ、
 こんなところにという発見があって面白いですよね。
 でもただ教科書を穴が開くほど見てもわからないというこの不思議さ……。

 で、お金の価値ってどう決まるかっていうと、米とまったく同じ、供給量と需要量のバランスで決まります。

*挿入*
 その国のお金の価値がどのように決まるかはいろいろな市場の動向から複雑な計算がなされます。
 決して物価で決まるわけでも、外国為替市場で決まるわけでもありません。
 なぜそういうことになるかというと、お金は他のものとはちがい、なにとでも交換できる(はず)だからです。
 そもそもすべての商品はお金の単位(日本なら円)で、
 あらわすことが決まっているので1円は1円でしかないのです。
 1メートルって何メートルといわれるのと同じ難しさがあります。

 ですからしょうがなくすべての市場動向から総合的に判断されます。
 そしてその国のお金の強さを表す単位は事実上その国にはありませんから、
 その場合には他の国の通貨との比較で表されます。
 外国為替市場とはまったく違う数値が出てくるので、
 以外に重要なものなのですがあまり知られていません。

 そういうわけで1円の価値よりもその量が問題になるわけです。
 じゃあ現金増やせばお金の量が増えるのかが問題になってくるわけです。

 予断ですが重要なので。
 預金の価値は金利によって決まります。
 年率が100%と200%、どちらが価値が『大きい』でしょうか?
(実際そんな金利はほとんどありませんが計算を楽にするため)

 なんとなく200%の方が高いという声が聞こえてきそうです。しかし実際は100%。
 なぜなら預金の価値といったら、『今の』預金の価値を言います。
 もし将来30000円欲しかったら、いくら貯金すればいいでしょうか?
 100%なら15000円、200%なら10000円。
 『今の』価値が、将来の価値に対して100%なら半分、200%なら三分の一。
 ですから100%の方が価値が『大きい』のです。

 変なこと言うなよとお思いでしょうが、1円は1円という原則を曲げないためには必要な法則なのです。
 ですから国債も金利が上がると『値下がりした』、金利が下がると『値上がりした』と言われます。
 実感からはそうとうはなれていますが。ただ重要な法則です。

*挿入終わり*

 じゃあ中央銀行が余力を用いてお金を刷れば供給量が増えるからお金の価値が下がる
 (=物価が上がるのか)のかというと、そうは問屋が卸さない。
 まずマネー(一般的にお金といっているやつ)というものと現金(札やコイン)は別物だと覚えてください。
 現実に出回っているマネーの量はマネーサプライと言われています。
 この量は日本銀行券(現金)の何倍かあるはずです。
 もし知りたければ日本銀行のサイトに行けば答えが書いてあります。
 簡単に言うと銀行という制度を使ったマジックなわけですが。

*このマネーサプライというのが実際のお金の量です*

 だから銀行という制度がない社会とある社会では経済はぜんぜん違うわけです。
(銀行がなければ現金の量=マネーの量になるので)
 で、もし日銀が現金を増やしたらどうなるか……。
 現金を増やしたらというと歴史的ないい例が見つからないんですが、
 まあ『普通なら』ケインズの魔法の式によると利子率が低下して、投資が増加して、
 GDPが上がるということになります。投資が増加して、と書きました。
 投資というのは他のものに対しては需要になるので、物価の上昇を伴うはず。

 ですが、やっぱり今の日本で有力な反例が出てしまったわけです。
 今回日銀が量的緩和というのをやったの知っていますか? 簡単にいうと資金を流したわけです。
 資金の『量を増やした』から『量的』緩和というわけです。
 日銀の大きな仕事のひとつがマネーサプライの量を調整することなんですが、
 通常の金利を下げるということでは埒があかなかったので量を増やしちまえと考えたわけです。
 でも今もデフレですよね? マネーサプライというか銀行の貸し出しも増えなかったという話ですし。
 完全に失敗?(銀行の貸し出しが増えないと銀行を使ったマジックが使えない)

*マネーサプライの量が増えないということはお金の量が増えないということですから、
 現金の量が、お金の量とは直接関係ないということです*


 資金と現金は違うものですが、どちらも同じことが言えるでしょう。
 ですから本当のこと言うと現金刷ったらインフレというのは、
 『普通なら』という但し書きが必ずいるのです。
 ましてや現金二倍にしたからといって物価が二倍になるなどということは口が裂けても言えません。
 ちゃんとケインズさんの魔法の式にはそのことも書いてあります。

*現在で現金を刷るなんて乱暴なことを行わなくても、
 金利さえ下げればマネーサプライの量を増やせると知られています。
 金利が下がればみんなお金を借りてくれるからです。
 ですから日銀は『先に』金利を下げたわけです。*

 こういうときはケインズさんの魔法の式を見ると、
 政府が支出を増やして税収を下げればいいって教わてくれるわけですが、
 なぜか国債の新規発行額が減ったのに景気が持ち直すというなぞの現象……。
 ただなんだかんだ言って2000年あたりから小泉さんあたりまでの会計制度の改革が、
 企業を本気にさせたっていうのが大きいようですね。
 有名な会社の多くがそのころから改革をはじめていることは、
 株やっている人は気づいているんじゃないでしょうか?

*結局、物価の上下ひとつとっても、こうしたら必ず上がるとはいえません。
 昔のこのときならどうすればよかったかということは簡単にいえます。
 統計がそろっているので、財政と金融のどちらがいいかはっきりしているためです。
 ですが『現在』どうしたらいいかとか『これから五年後』どうしたらいいかといわれると、
 想像の域を出なくなります。ケインズの式を見るとはっきりわからないパラメータが『複数』あるためです。
 ここに入れる数値がわからないので『想像』になってしまいます。
 ですから何度も言うようにあるときには起こることでも、
 あるときには起こらないということは当然なことです*

 そういうわけでなんか一個やったからといって、
 簡単に先進国になれるなんて夢のようなお話は存在しません。


 どこの国も何回か金融危機や経済危機を乗り越えて大きく育っていくわけですから、
 あの国は今は遅れているのとかいうのは十年後の予想にはまったく関係のないものですよ。
 事実インドがこれほど発展するなんて予想できた人はほとんどいないんじゃないですか?
 同時に一個勉強し終わったからと言って社会の動きをすべて説明することはできません。
 経済の話ですら制度とか法律とか政治とからませないとうまく説明できないのです。

 南アフリカの大臣が日本に豊富な一次産品を使った産業を興したいといって、
 投資を呼びかけに来られていましたが、
 ああいううまくいくかどうかわからない細かい努力を積み重ねて、
 やっと社会はよくなるもんなんじゃないでしょうか。

 だいたい人の(特に経済学者の)言うことを完全に聞いてうまくいった国などあるのだろうか? 
 IMFとかも頼りにならないみたいだし。

 まあ、これでもかなり端折った方ですかね。お金の話は難しいですよね。
 ケインズがくれた式がないとほとんど何にもわからないと同然です。
 ですからやっぱり本を……という話に。

 最後に何を言いたかったのかと言いますと、
 こういうことはいくら知らない人どうしで話してみてもちゃんとした結論は出てこないものなんです。
 学者が話し合ったって間違った結論が出てくることなんて社会科学では普通の出来事。

*なぜかは前に説明。
 それに加えると同じ条件は二度と現れない点で非常に天気予報に似ているといえます。
 普通の自然科学では同じ条件を『いつでも整えること』ができて
 『いつでも実験結果が同じようになりたたないと』いけないことになっています。
 ですが社会科学ではたとえばコンドラチェフ循環などは、
 今までに数回しか観測されていなくてもちゃんとした理論として認められています。
 そういう学問上の大きな違いがあることはご理解ください*

 だいたいつい最近、
 『値段を上げたら』
 『売れる量(売り上げではありません、何個売れたかという個数)が増えた』
 という珍妙な現象が起こってしまったばかりなのです(日本)。
 経営学ではかなりのうわさになっているらしいですよ。
 そういうわけで本当のことを知りたかったらちゃんと本を見るしかないし、
 そうでなければもうあきらめるしかありません。

*社会科学であってもケインズの理論のようにちゃんとした時代に耐えうる考えは、
 いろいろな場合に対応できるようになっています。
 逆に一回ものすごい予言をしたからと言って、
 その人が何度も正確に言い当てるということは起こりえないです*


 これはどんな領域でもいっしょ。
 へたの考え休むに似たり、ですからまあ、
 このごろはわかりやすいマクロとミクロの教科書増えましたからねー。
 感覚的につかむだけなら楽な世の中になりました。
 そうして少しずつ考えられるようになっていくしかないんでしょうねぇ。
(昔のボーやだった自分を思い出すなぁ)
 僕もこのごろNewtonとか読み始めましたが小、
 説に活かせるようになるにはいつのことかと嘆息しています。
歴史の勉強だってぜんぜん進まないし(ううっ、やっぱり今もボーやです)。

 そういうわけでご自分で本を探してみてください。
 どういう領域の本を探せばいいのかわからなければ、
(というか経済の棚を見てどういう領域を取ればいいのかわかる人がどれくらいいるのだろうか……。
 僕は未だに書店員を捕まえていますが、何か?)
 wikiで経済学の項目を見ればかなりわかりますね。すごいなwiki!
 歴史学とかも著名な研究者やその著書とか載っているので、
 レポートのときとか大助かりですよ(くれぐれもうつさないように)。

 それでは作品作りに励まないと……(時間が足りない)。
 今度は作品の感想欄でお会いできるといいのですね。
 いつのことになるのかわかったもんじゃないですが。それではまた。

*最後になりましたけど、物価に関係あるものは本当に数多くあるので、
 一概にこれとこれが関係あるとは言えません。
 たとえば自動車を作るためには千や万といった部品がいるはずです。
 そのどれもが世界の中で最先端の技術が使われているわけです。
 そんな現代社会のすべてを使って作られたかのような商品が、
 1グラムあたりでは牛肉なんかよりはるかに安い値段で売られています!
 関係する会社もものすごい数になりますから、
 車の値段を決めてすべての会社や従業員の利益を出さないとなると、
 どれだけのことを考えたらいいか、まったく想像できないことが了解されるのではないでしょうか?
 車はもっとも複雑な商品ですが、他の商品もすべて同じです。
 さらにこれが消費者が買ってくれるかとか他の企業との競争に勝てるかとか、
 いろいろなことが加わってきます。
 
 物価というと国のことと思ってしまいますが、決めているのは一人一人の人間。
 それを忘れると、よくわからない人が言う誰かの陰謀説にはまることになります。


 ですからインフレですら掲示板でやすやすといえることではないのです。
 その中でそんな複雑なことを一番簡単に説明してくれたのがケインズ。
 それですら経済学を学ぶものにとって躓きやすいところだと言って、
 文句言える筋合いは誰にもありません。
 むしろケインズがいてさらに誰かが作ってくださった簡単な教科書が売られていることを
 感謝しなければならないでしょう。
 そしてこれを利用しないで失敗する小説家がどれほど多いことか。
 もうそれくらいならこの領域について書かないでくれよと何度も思います。
 さらに言うと他のこともまったく同じ。
 
 ひとつの国の経済がいくつかのわかりきった因によってなりたっているなど考えてはいけないことです。

 だいたい因はその前の因果の結果になるわけで、
 いったいどこかある時点ですぱっと切って何かでてくるなんてことがあっていいんでしょうか?
 ブッタよ教えてくれ! 
 それでもなおわかろうと思って一日一日資料と向き合い考えを深めてきた経済学者を飛び越して、
 それ以上のものを言えるということは絶対にありません。
 そこは長い時間をかけてひとつの小説を丹精込めてつくる小説家が、
 それを数時間で読んでしまう読者に負けられないのと同じです。
 それがなんで他のことになるところっと忘れてしまうんでしょうかねぇ*

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