第4研究室 創作に関するQ&A 452P | トップへ戻る |
扇田さんからの質問
 説明くさい文章について
 
 また質問させていただきます。
 添削用の掲示板などで投稿された小説への批評で、「文章が説明くさい」という指摘をよく目にします。
 それが腑に落ちず、Q&Aの「説明文と描写の違い」にて
 投稿されていた方々の意見にも目を通しましたが、
 恥ずかしながら内容を最後までは把握できませんでした。
 質問主さまの書いた文章(失礼なのでここではあげられませんが)も、
 どうして説明くさい印象を受けるんだろうとしか……

 どのような言葉・述語などを使えば説明くさくなるのか、教えてくれるとありがたいです。


●答え●

安部さんからの意見
 描写うんぬんではなく設定が物語中で消化されていない事だと思います。


忍野さんからの意見
 こんばんは。
 添削板ではよそさまの文章に対し、
 しょっちゅう説明くさいだのなんだのと偉そうに文句をつけている忍野です。
 どうもアチラで「説明的」という単語を安易に連発してしまったような気がするので、
 責任を取るべく出頭してきました(笑)

 私の場合は、描写がうまくできていない、文章が分かりにくい、
 文章から得られる情報に過不足がある――というようなときに「説明くさいなあ」と感じます。

 
 では描写の上手さとは何かということになりますが、
 
 個人的には取捨選択と優先順位の問題であると思っています。


 たとえば、赤いバラの花を文章で表すとします。
 ひとくちに「赤いバラ」と言っても、詳しい色(濃い赤、血のような赤、ピンクに近い赤など)や、
 形・大きさ、状態(美しい、枯れかけているなど)等々で、無数のバリエーションがありえます。
 イラストならば、一枚の絵で同時にたくさんの情報を伝えることができますが、
 文章の場合はそうは行きません。

 すると、たくさんの情報の中からどれを選ぶか(取捨選択)と、
 選び出した情報をどの順番で読者に伝えていくか(優先順位)が重要になります。
 これによって、文章の巧拙が決まってきます。


 説明くさいなと思ってしまう文章は、この「重みづけ」がうまくいっていなくて、
 全体的にピントがはっきりしないことが多いですね。
 今このシーンには必要なさそうなことをだらだら書いてしまっていたり、
 逆に読者として先に知りたい情報がなかなか出てこなかったり。
 「今、ここで本当に伝えるべき情報は何か?」を意識して、
 文章を組み立てていくことが大切だと思います。

 参考になれば幸いです。


REDさんからの意見
 わたしがとくに問題ないと思った文章でも、
 他の方が説明的と指摘していることもあるので、個人差も大きいかと思いますが。

 そうですね、わたしの場合は事実を並べる文が続くと説明的と感じます。

 例えば少女の瞳は鮮やかな空色、髪は太陽のような黄金色だった。

 てな文章より、

 少女がくるりと身を翻すと、舞い上がった髪がきらきらと黄金の輝きを放った。
 鮮やかな空色の瞳が楽しげに踊る。


 ってなほうが説明的でない文章かなと。
 まあ全文でこんな書き方はできませんので、適度に織り交ぜるべきと思いますが、
 事実の記述がやたら多いと説明的に過ぎると感じます。わたしは。

 動的な描写がほしいところで、淡々と記述されても、そう感じるかもしれません。


龍架さんからの意見
 ばんわ〜。

 早速質問に答えていきたいと思います。
 ボクはまだ扇田さんの作品を読んではいないのですが、

 おそらく「〜た」や「〜は〜した」、「〜だ」などの連発が原因ではないでしょうか。
 
 たとえば一人称の作品で説明してみましょうか。

【説明っぽい(?)文章】
 俺が駅に走りこんだと同時、電車のドアが音をたてて閉まった。
「うおっ! 俺の電車が! Myトレインがっ!!!」
「勝手にJRを私物化するな、バカ」
 さっきまでは誰もいなかったはずの俺の隣にはA君がいた。
 俺とA君は幼稚園の頃からの親友で、ずっと同じ学校、クラスになり続けている腐れ縁だ。
「A君、タクシー使う?」
「金がない。お前の奢りな」
「なんでだよっ! せめて後で返す、とか言ってくれよ!友達だろっ!?」
 A君に沈黙が訪れた。
「…………なんで俺とお前って友達なんだろうな」
「Aく――――――んっ!!!」
 俺はこいつと絶交することを決めたっ!
「冗談だ。ワリカンな、俺が三分の二」
「なかなおりー」
 これが俺達の日常だ…………って、どこか間違えてないか、俺達の青春。

 どっすか。「〜た」のオンパレードですよね。
 主人公の気持ちとか全くない、一人称の癖に全然主人公の気持ちが入っていないですよね。
 次は、主人公の気持ちをメインに書いてみましょう。



【主人公の気持ち入りVer.】
 全力全快での全力疾走。俺は、俺に出来得る限りの事をした。したはずだった。
 なのに、なのに!
 無慈悲にも、鉄の箱――つまりは電車だ――は動き始めた。
「うおっ! 俺の電車がっ! Myトレインが!!!」
「勝手にJRを私物化するな、バカ」
 うわっ! A君、いつからそこにっ!
「…………なんて事になると思うなよ、バーカ」
「よし、後で便所来い」
 お前、幼稚園の時からずーっと、そのセリフ使ってるよな。アレか? 口癖か? いやだぞ、俺は。幼稚園以来、学校、クラスを共にしてきた腐れ縁の大親友の口癖が「後で便所来い」なんてよ。
「お前、父さんと母さんにどう説明すればいい? 俺、お前の事をうまく紹介する自信がないよ」
「気持ち悪い声を出すな、おい抱きつくなバカ!」
 もぅ。本気にしないでよ…………。
「つーか、電車行っちまったじゃねーか。てめーが寝坊したからだろ、A君」
「すまん。俺が悪かった」
 別に謝ってほしいわけじゃないんだが。
「よし。A君、タクシー使おうぜ。まだ間に合う可能性がある」
「金がない。お前の奢りな」
 なぜだ!?
「いやいやいや、そこは後で返す、とか言ってくれよ! 友達だろ、俺達っ!?」
「……………………」
 怖ーよ。お前のその沈黙が怖ーよ。
「……………………なんで俺達って友達になったんだろうな」
 本気かっ!? てめえ、今のセリフ、本気か!?
「チクショウ、てめーとは絶交だ! もう一生俺に話しかけてくるんじゃねえぞ!」
「あー、どうどう。冗談だ。ワリカンな、俺が三分の二だすから」
「マジで!? なかなおりー」
 これが俺達の日常だ…………って、こんなんでいいのかよ、俺の青春は。

 
 
 どうでしょう。同じ文章でも、主人公の気持ちの伝わり方が違いますよね。
 ボクの文章もまだまだ精錬途中ですが、「説明臭い文章だ」と言われたことがあります。
 説明っぽくなるのは作家の卵がぶつかる壁の一つ。がんばって乗り越えてくださいっ!
 ではでは〜。


マクベスさんからの意見
 色々な要因があるとは思いますが、私は「読者の興味をコントロールできないがゆえ」、
 というのもその一つであると考えます。


 例えば――

 推理小説で死体が転がっているところに出くわすシーンがあるとしましょう。
 そこでの「読者の興味」の矛先は、死体の状況にあるわけです。
 推理のための手がかりとなる、死因やダイイングメッセージの有無などを、読み取ろうと考えている。
 けれどそこで、唐突に、その第一の興味である死体の状況を後回しにして、
 その殺人現場となった館の歴史などを滔々と語られてしまったらどうでしょう?
 
 例えその情報が推理をするために必要不可欠なものであったとしても、
 それを開示するタイミングを失敗して、何の興味も持てない時にそれを語られても、
 他に興味がある読者は「そんなことはどうでもいいんだよ!」と
 (意識するにせよ無意識にせよ)思うことでしょう。


 そういった、「何の興味も持てない状況であるのに、流れを無視して挿入されてくる文章」もまた、
 『説明くさい文章』というレッテルが貼られるものの一つだと考えます。
 それが必要な情報であることは理解できる。
 理解できるけれど、興味のない時に無理やり読まされる。そんな文章です。

 これはその文章単体の問題ではなく、「作品の構成」によって生まれるものです。
 
 語彙を変えたり表現をいじったりするだけでは解決できるものではなく、
 作品全体でのその文章の出しどころを見極めたり、
 読者の興味をコントロールための「流れ」を作る必要のあることです。


飛車丸さんからの意見
> どのような言葉・述語などを使えば説明くさくなるのか、教えてくれるとありがたいです。


 色々な要素がありますが、代表的なものの一つが『状況の変化がない文章』です。
 

 風が吹けば草木がざわめいたり髪がなびいたり目に砂が入ったりするはずなのに、
 ただ「強い風が吹いている」だけでそれによる変化が描かれてない、なんてのがそうですね。
 動かない風景の描写をするにしても、それは登場人物の視点が動いているわけだし、
 その場面に何らかの変化が必ずある。
 それが足りない場合、つまり場面や状況が『動かない』場合に説明的になる。

 何らかの言葉や述語を使うから説明的になるのではなく、矛盾を感じるかも知れませんが、
 変化に対する説明が足りてないから説明的になる、といったところです。

 とはいえ、それが分かっただけではどうにもなりません。

 読書量を増やすことで無意識のうちに理解出来るようになり、感覚的に修正出来るようになるのですが、
 読書量のない状態で知識だけ得たって理解も修正も出来ませんから。
 結局は、分かるようになるまで本を読むのが何より大事、ってことです。


Mr.エイプリルさんからの意見
 説明と描写の違いですか。
 難しいですね。
 実は私も友人等によくそう言われる方なので……。

>どのような言葉・述語などを使えば説明くさくなるのか、教えてくれるとありがたいです。

 そうですね……。
 「これを使えば、説明くささが解消されます」みたいなのがあれば、
 一番いいんですが、残念ながらありません。
 
 なぜなら、言葉は生き物だからです。数学みたいにはっきりとした正解があるわけではありません。
 ですから、こればかりは理屈ではなく、感覚で覚えていかなくてはいけないんでしょうね。
 
 そのためには、毎日欠かさず読書をするとか、
 或いは同じ本を何度も読み返したりといった努力を積み重ねるしかないのでしょう。

 
 抽象的なコメントで申し訳ありません。

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