ライトノベル作法研究所
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  4. キャラクター公開日:2013/08/09

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●キャラクターについて2

■ジジさんのコラム2014/07/12
 キャラクターに幽霊を使う上での注意点は以下の3つです。
1.安直に生き返らせない。
2.基本的には幽霊のルールを破らせない(幽霊のくせに物に触れたり食事をしたりさせない)。
3.よほどの必然性がなければ主人公と恋愛させない。
 応募作には幽霊をモチーフにした作品が多く見られますが、受賞作含めてこのパターンはめずらしくないものになっています。ですので差別化をはかるならこの3パターンは踏まないほう無難ですね。

■質問2014/07/12
 なぜ主人公と幽霊を恋愛させてはいけないのですか?
●ジジさんの回答
 読者は基本的に主人公とヒロインの恋愛に期待しています。そしてもう一歩踏み込めば、その恋愛の成就をこそ望むものです。
 第一に、人間と幽霊ではそれが成し得ません。
 第二に、人間と幽霊が結ばれるためのパターンは大まかなものが出尽くしています。
 第三に、人間と幽霊が結ばれ得ないパターンもまた、大まかなものは出尽くしています。
 以上の理由から、読者の期待を満たし、且つ超えられるだけのドラマを幽霊もので作るのは非常に困難であるとの見解から、幽霊との恋愛ものはおすすめできないということになります。

■質問2014/07/10
 感情移入を起こすにはどうしたらいいですか?
●ジジさんの回答
 主人公に読者が感情移入するためには、その主人公に共感できることが重要です。
 読者対象層が「自分に近い部分がある」と共感できるよう、主人公の境遇設定や性格設定を作ってあげるのがよいかと思います。

■質問2014/07/04
 会話やスキンシップ、その他実の兄妹を取り扱う上で注意すべき点を教えてください。
●ジジさんの回答
 基本的には「兄妹の一線を越えない(恋人にさせない)」のがモラルということになるかと思います。

■質問2014/07/04
 ヒロインの魅力を表現する際、仕草などはどれぐらい影響力を持ちますか?
●ジジさんの回答
  地の文による容姿やしぐさの描写より、セリフによる個性/性格/感情描写というものが関わる問題かと思います。
 読者の目に映るキャラクターの魅力とは、視点主である主人公以外は行動ないしセリフで表現されるものだからです(三人称の場合はこれに当てはまりませんが、視点は基本として主人公に固定するべきです)。
 特にセリフは、読者にキャラの有り様を強く印象づけられる武器ですので、これが弱いと「キャラがよくわからない」ということになりがちです。
 ですので、まずはセリフによるキャラの魅力表現を心がけてみてください。読者の心に傷痕を残す魅力の牙となってくれるはずです。

●ジジさんのコラム2014/07/04
 個人的には物語の軸と直接関係しないキャラは間引き、最少人数に絞るほうがよいかと思います。
 規定原稿枚数には限りがありますので、必要キャラのメインストーリーとその魅力を見せるためのサブエピソードを詰め込む以上のことをすると、たいがいはなにかが不足してしまうからです。

●ジジさんのコラム2014/07/06
 ラノベの応募規定枚数を考えれば、主人公とヒロインに加えてあと1キャラ程度の主要人数で物語を組み立てるのが無難です。

■質問2014/07/03
 キャラが人間ではない(例えば妖怪とか?)ものを書こうかなー、とぼんやりと思っているのですが、やはり人間でないことに対する必然性はあったほうがよいのでしょうか?
●ジジさんの回答
 キャラが人間でないことに対する必然性は、その世界にとって「人間ではないもの」の存在が普通なのか普通でないのかによって変化します。いずれにしても、「人間ではないもの」が物語世界にとってどのような存在であるかの説明は必須であるかと思われます。
 この場合の説明は、読者を「人間ではないもの」という存在に肩入れさせるための導入になりますので、ぜひドラマチックでキャッチーな説明/導入を描いてください。

●ジジさんのコラム2014/03/31
 個人的には『実は最強な主人公』はおすすめできません。
 がんばってシチュエーションを工夫しても、強敵(もしくは難関)出現→主人公ピンチ→主人公覚醒のワンパターンになってしまい、話をおもしろくしづらいですので。

●ジジさんのコラム2014/03/31
 キャラクターが生きている=作者の設定したキャラの「性格」が、物語の都合でブレずに「魅力的に」描けている。
 テンプレ当てはめ=ツンデレならツンデレという、極々単純な萌えをなんのひねりもなく使っている。

■質問2014/03/31
 ヒロインは処女のほうがいいという話を聞いたことがあるのですが、「処女だけど彼氏がいたことがある」という設定はマイナスでしょうか。
●月冴ゆさんの回答
 MF文庫Jから出ていた「ゼロの使い魔」(2004/6刊行)を読んだことがありますか?
 あの作品に登場するヒロインの一人・アンリエッタ王女には恋人がいましたが、その男性はある事情により殺されてしまいます。処女だけど過去に好きな人がいて、その恋人が亡くなったか、あるいは別れた、という設定なら構わないと思います。
●ジジさんの回答
 月冴ゆさんがすでに答えてくださっていますが、彼氏がいたくらいなら個性の彩りの範疇です。
 ラノベに限らず、処女性というものは意外なほどの重要要素ではありますが、それさえ守れているなら大概は大丈夫です。

■質問2014/03/30
 主人公に暴力を振るう人気ヒロインがいます。そういう自己中心的なヒロインの行動にネット上で批判が集まっていますが、このようなヒロインは良いものなのでしょうか?
●ジジさんの回答
 マイナス方向に振り切れているというのもプラスに作用します。まさに話題にのぼる時点で「人気キャラ」ということです。だとすれば、それはそれで正解ということになるかと思います。
 ただ、賞で評価されるかどうかは、マイナス傾向のヒロインを置いたことをどの部分で挽回できるかによるでしょうね(物語自体のカタルシス、恋愛劇等)。
 あとはレーベルのカラーによる部分もありますので、書かれるならリサーチを。

■質問2014/03/29
 萌えだ、ヒロインだと喚いている方が多いのですが、私からすれば、いつまでも成長しない娘ばかりで、引いてしまいます。しかも、現実世界でも、女子がもてはやされて、いつまでも女性になること、年を取ることを拒んでいる現実女性とダブってしまい、余計嫌な気持ちになります(むろん、そうでないラノベヒロインや現実の女性もいますが)。
●ジジさんの回答
 ラノベは中高生の男子向けなので、ヒロインは彼らが比較的好ましく思える同年代の、しかも彼らの気持ちをがっちり鷲づかむ「理想の女子」でなければなりません。
 それを20年以上も追求してきたのがラノベメディアであり、今現在の最適解が挙げていただいたような女子であるのなら「必然性」があってそうなっていると解釈すればよいのではないでしょうか。と、思っています。

■質問2014/03/29
 ジジさんが考えるよいラノベヒロイン、悪いラノベのヒロインの要素、できれば、下読みした中で、素敵だったヒロインと、引いてしまったヒロインとその特徴をお教えいただけると助かります。
●ジジさんの回答
 作者の都合で動かされているヒロインは悪。
 「かわいい」でも「怖い」でも、人格という魅力を押し出せているヒロインは良。
 これは応募作も既存作も同じです。

■質問2014/03/31
 ストーリーの都合で性格が一転してしまったり、本来の性格設定ではありえない行動を取ったり……そういう「作者の都合」が反映されたヒロインは悪です。このように書かれていますが、そう判断するのは、どのようなところを見て、判断するのですか?
●ジジさんの回答
  応募作品において、登場して最初にセリフ・アクション・思考・嗜好等で説明と描写がされたヒロイン像をまず見ます。
 この段階で「生きている」か「テンプレ当てはめ」かを判断し、次に物語中で作者(物語)の都合でその像がブレていないかを見ていきます。
 たとえば「暴虐で人のことなどまったく興味がない」という人格設定のヒロインがいたとして、なんのきっかけエピソードも心情エピソードの積み重ねもないのに、ストーリーのつじつまを合わせるために突然主人公や他のキャラに協力し、助けたりする。
 応募作においてはこのような例が少なからずあります。当然キャラクターの評価欄にマイナスがつきますから、一次で落ちることになります。

■質問2014/03/28
 キャラクターのセリフ回しは、どうやれば勉強できますか? やはり、読書? 
 ジジさんのオススメする、テンポの良い会話劇のラノベを紹介していただきたいです!
●ジジさんの回答
 もっとも簡単なのは読書ですね。
 言い回しやリズム感などを好きな作品のものから吸収すると同時に、自分が書こうとしているジャンルの(好きとは言えない)既存作を負担にならない程度で読み広げていくとよいかと。
 近年の作ならやはり白鳥士郎氏の「のうりん」(2011年8年12日刊行)や、長谷川也氏の「セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常」 (2013年10月10日刊行)でしょうか。
 古いものですと、竹宮ゆゆこ氏の「とらドラ!」(2006年3月25日刊行)は忘れられない作品です。
 また、セリフひと言のインパクトを学ぶなら映画もいいですね。
 古い映画ですが『ターミネーター』の「I'll Be Back!」には衝撃を受けました。