ライトノベル作法研究所
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  4. キャラクター公開日:2013/08/09

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●キャラクターについて

■質問2015/01/25
 ラノベに主人公以外の魅力的な男性キャラというのは、登場させなくてもよいものなのでしょうか?
 市販のラノベを読んでいると、男性キャラ(主人公の友人など)よりも女性キャラ(メイン・サブヒロイン)の描写に力が入っているように思えてなりません。また、主人公以外のメインキャラが全員女性という作品も珍しくないような気がします。
 こうした状況の中で、ヒロインたちの描写を削って男性キャラを登場させる意義はないのかどうか、気になりました。
 私が執筆中の作品は、主人公とヒロインの友情に重点を置いています。しかし、現在想定している登場人物は、主人公を除いた全員が女性です。
●ジジさんの回答
 主人公以外の魅力的な男性キャラを登場させるかは、物語の必然性もしくはサービスの有り様によって変わりますね。
 このあたりは、応募作においてはほぼ2パターンですね。

1.女子を出すことを優先して、主人公の恋愛以外の言動を受け止め投げ返す同性キャラは出さない(このパターンでうまく仕上がっている作品は、主人公が独りで悶えたり苦しんだりしながら答を探していく展開が多いですね)。

2.女子をたくさん出す関係上、本来同性キャラが担当する役割を恋愛に絡まない(もしくは主人公が攻略対象だと意識しない)女子キャラに割り振っている。

 お書きになっている内容ですと、パターン2に当てはまるでしょうか。
 それならば特に問題はないかと思います。
 ただ、もしメインヒロインに当たるキャラの担当が友情なら、ここは恋愛に差し替えてあげてほしいですね。
 メインヒロインは、読者の視点を預かる主人公にもっとも近い存在す。ここで恋愛(もしくは恋愛的な心情の交流)がないと、読者は裏切られた気持ちになってしまいますので。

■質問2015/01/24
 キャラの性格がストーリーの都合に合わせて、ぶれてしまっている気がするのです。キャラの性格を深めるために必要なこと、日頃気をつけることなどありましたら、アドバイスよろしくお願いします。
●ジジさんの回答
 物語の都合に合わせてしまいがち、ということですが、逆にしてみるというのはひとつの手です。
 つまり、「キャラの都合にストーリーの流れを合わせる」ということですね。
 このキャラはこのシチュエーションならこう行動するだろう。なら、その行動を生かすためにこんなシチュエーションを用意しよう。というふうに考えていくのです。
 先にストーリーがあるからこそ、その都合にキャラを合わせたくなってしまうのが人間です。逆なら、キャラを生かすためにこそストーリーを合わせるようにしていけば、キャラを中心に考えざるをえなくなりますので。

■質問2015/01/23
 ラノベ新人賞に送られてくる(ラブコメ要素が含まれる)作品の、メインヒロインの数は何人くらいが平均的なのでしょうか?
●ジジさんの回答
 今まで気にしたことがなかったのでデータ関連はお話できませんが、複数ヒロイン制は、個人的にはおすすめし難いですね。
 バランスよくふたり以上のヒロインを動かせていた応募作の記憶がありません。どちらかがおざなりになったり、潰し合いになって相死にしてしまったりがほとんどです。

●ジジさんのコラム2015/01/20
 主人公とヒロインは、ぜひとも「読者が好きになれる」ように作ってあげてください。読者が視点を預ける主人公、読者が第一の異性として向き合うヒロイン、このふたりが好きになれないのは、作品としてかなり辛いものになってしまいます。

■質問2015/01/20
 王道、悪く言えばテンプレデザインのヒロインっていますよね。気高い金髪碧眼の女騎士、清楚大和撫子、ツンデレツインテ、ポニテの元気っ子、クールな僕っ子、無感情な眼鏡っ子……などなど。質問の要点を言うと、それらから新鮮なキャラクターを生み出すコツってあるんでしょうか。
●ジジさんの回答
 私個人の成功体験と思しきものから考えるに、基本的には物語と同じく「既存の要素2に対して今までなかった要素1を加える」でしょうか。
 それこそ「ショートカット」・「元気」という既存の要素に「ボク」を加えたボクっ娘はわかりやすい例かと思います。

■質問2015/01/20
 主人公は少女です。しかし、処女じゃありません。家庭の事情で身体を売らざるを得なくなりました。ヒロインはは処女であるべきなのでしょいうか? 私としては、読者に嫌われた方が少女の生き様としては成功なんですが……冒険し過ぎでしょうか?
●ジジさんの回答
 冒険しすぎというか、できれば冒険に出るべきではない部分ですね。
 ライトノベルという中高生男子をメインターゲットにしたメディアにおいて、処女性は実に重要です。そもそも恋愛対象の異性に求める条件は、男女問わず実に酷いものでもあります(婚活話でよくあるアレですね)。ついでに、男の「いい奴」と女の「かわいい子」のあてにならなささも考えていただけるとわかりやすいでしょうか。同性視点からの「魅力」は、異性にとって魅力になりえないことが多いものです。
 また、ヒロインは物語の「異性」を象徴する存在です。よほどの理由がなければ読者が好きになれる人物にするべきですし、嫌わせるのであれば、「誰が見ても嫌わずにいられない大きな理由」を用意するべきかと思います。

■質問2014/10/05
 身体障害者の主人公というのは、ラノベ新人賞では歓迎されないでしょうか?
●ジジさんの回答
 基本的には、よほど物語に必然性があって、読後感がすばらしくよいものでないと辛いですね。障害というものは、読者にとって見るのが辛いものなので、かなりおもしろくても難しい部分が大きいのです。
 下読みはおもしろければとにかく上に上げます。
 しかし、編集部では商業性や商品性を考慮した選考が行われるので、そこに阻まれる可能性は非常に高いです。
 ただ、一般文芸の賞の場合、先に述べた必然性があれば武器になる可能性はありますので、手直ししたうえで一般に送ってみるのも手かと思われます。

●ジジさんのコラム2014/10/05
 ラッキースケベのような要素がラノベで取り上げられるのは、スケベなことが起こっても許されるだけの主人公とヒロインの心情エピソードの積み重ねを必要としないからです。唐突にそれが起こるからこそラッキーなわけです。
 男子はどうしても女子よりも即物的な部分が大きいので、作者側がこのヒロインはそういう需要に「対応」していますよーと示すことで、読者の男子はそのヒロインを比較的簡単に好きになります。
 もちろん、ラッキースケベを起こさず順当な心情エピソードの積み重ねで、ヒロインに主人公を好きになってもらうのが一番だと私は思うので、上記はあくまで参考ということで。

■質問2014/10/03
 わたしはプロットを組んでも書いているうちに違うアイディアが出てきて変更してしまい、全く違う結末になったりします。(キャラが勝手に動くのではないです) 新たな設定や新キャラなどを加えてしまいます。これはあまり良くないのでしょうか?
●ジジさんの回答
 避けるべきですね。
 特にキャラを増やすのはいけません。1作でかならず完結しなければならない応募作において、主要キャラは多くて3人、がんばっても4人が限界と考えてください。それでなくとも、突然颯爽と現われたキャラが話を持って行くのは非常に問題です。
 どうしてもキャラを増やしたりアイデアを盛り込んで話を変更するなら、そこから先のプロットを組みなおすべきです。それでつじつまが合わないなら、その時点で増量はあきらめましょう。

■質問2014/10/03
 今執筆している小説なのですが、登場人物は設定上最低5人必要なのです。応募作には不向きてすよね。ですが、新たに物語を考えるには締切に間に合わないので無謀だとはわかっていますがこのまま書いてみようと思います。なにかコツのようなものはありますか?
●ジジさんの回答
 5人いるとしても、主要キャラはおそらく5人必要ないかと思われます(たいがいは主人公やヒロインをサポートするお助けキャラが加わっているものですので)。
 その主要キャラ以外の2、3人の個人エピソードを掘り下げないこと。
 それらのキャラを描く場合は、できるかぎり主人公やヒロインのエピソードの中で、彼らの関係性というものを通して描くことですね。
 たとえばそのキャラが主人公の兄貴的存在だとすれば、どのような立ち位置から主人公を導くのか(背中で語る、行動で引っぱる等)を描くべき、ということになります。

■質問2014/10/01
 ラノベで大人を書くのは難しい? ラノベを見ていると、意外と主人公サイドの大人が少ないような気がします。特に、助言や背中を押すような主人公を支える側に立つ大人がいませんし、それらは、むしろ、アニキ、アネキと呼ばれるような年上の人が担っています。
●ジジさんの回答
 そのような歳上キャラのもっとも辛いところは、まさに「お父さん・お母さん」になってしまうことです。
 一般の中高生にとって、親という存在がどれほどわずらわしく、フリーダムの簒奪者であるかは、ラノベの主人公たちの多くがひとり暮らしをしていることからも察せられます。
 読者層にとって、「親」はリアルの存在で、厨二ドリームの侵略者です。それを置いておくとしても、性対象になりにくいだけに、扱いが難しいということもありますね。サブカル業界が20年を費やして姉や妹というキャラづけを構築してきたことには、それだけの理由があるということかと思います。

■質問2014/10/02
 私として、お父さん、お母さんほど、べったりしたものというよりは、若者に理解のある少し皺のある紳士、淑女の方は、ラノベの世界にいても、いいのでは? と思いましたが、意外と、その適度な距離感や接し方というのは、書く側としては、難しいのかもしれませんね。
●ジジさんの回答
 私の解釈で述べるなら、やはり読者対象層にとっての導き手というのは、自分より少し歳上……歳上キャラとして想像できる範疇になるかと。
 具体的には前記したとおり、異性なら「庇護してくれながらも性対象にもなりえる存在」ですし、同性なら「先輩という、友達であり導師である存在」になるのではないかなと思っています。
 人が大人像について考えるようになるのは、通常は自分が社会人という大人の枠組に組み込まれてからのことです。
 大人の年齢層は、子供の年齢層が7~18歳程度なのに比べ、非常に幅が広いので、憧れや目標としてかなり高い年代の人も視野に入ってきます。
 そのようなことから、子供年代が対象読者層であるラノベにおいては「かっこいい大人」が成立しづらいものと思われます。
●サイラスさんの意見
 僕の個人的な意見ですが、この手タイプの大人は、文章媒体との相性が良くないように思えます。
 まず、この手のタイプは、エンタメでは意外と見かけますが、彼ら、彼女らが活き活きしているのは、マンガなどの視覚媒体です。
 理由としては、この手のタイプは、行動で存在感や信念を伝える、魅せることが多く、行動を表現するのが苦手なラノベには向かないよう気がします。
 かといって、セリフで魅せようとすると、口数多くなってしまい、これはリアルなダメ大人、ひいては、お父さん、お母さんを連想させる危険性があります。
 そういった意味では、「大人」は、ラノベでは扱いづらいのではないのでしょうか?

■質問2014/10/01
 小説を書いているとキャラが勝手に動くことがあると思うのですが、わたしはあまり経験したことがありません。やはり、世界観やキャラ設定が甘いことが原因でしょうか?
●ジジさんの回答
 特にキャラが勝手に動く必要はないかと思います。
 この現象はようするに、作者がキャラに対してこの子はこういう性格でこんな言動をしてこう動く! という設計(想像/妄想)を立て、それを無意識でシミュレートしている状態だからです。ちなみに、
メリット =自然な人間像が描けること
デメリット=プロットという設計図がキャラのせいで崩れ、物語性を損なうこと
 になるかと思われます。

■質問2014/07/13
 ライトノベルの場合、ヒロインから作っていったほうが理に適っているのでしょうか?わたしはヒロインを作るのが苦手という意識が、昔からありました。過去の作品はどれも男主人公から作られて、その魅力を補佐するのに都合のいい設定をひっさげたヒロインばかりです。
●ジジさんの回答
 ヒロインから先に作る必要はありません。
 物語の軸になる設定、ストーリーラインを作りやすい、またはそれにからめやすい方のキャラをまず作るべきですね。
 ヒロインは、主人公との関係を築くための過程に山と谷を設置し、結ばれるまでの道筋をドラマチックに演出するようにしてみてください。
 「作者にとって都合がよいヒロイン」は読者に見透かされます。
 これを防ぐには、ストーリー的には主人公の足りない部分を補いつつ、恋愛や人間ドラマにからむ部分では作者や物語にとって都合のよろしくない人物設定、作者が「こういうキャラだと困るなー」と思うようなキャラづけ(たとえば恋愛を含むすべての物事を金に換算してしまい、そのせいでシリアスなシーンでも主人公に気持ちや真意が伝わらない等)をしてみると、良いかと思います。

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