ライトノベル作法研究所
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  4. ゲームシナリオライターからの転向公開日:2013/10/23

ゲームシナリオライターからの転向

 『ゼロの使い魔』シリーズで有名なライトノベル作家のヤマグチノボルは、元々、ゲームのシナリオライターでした。彼は自身がシナリオを担当した18禁美少女ゲーム『カナリア~この想いを歌に乗せて~』のノベライズで角川スニーカー文庫から、2000年10月にライトノベル作家デビューしました。
 その後、2004年6月に刊行した『ゼロの使い魔』が大ヒットをします。

 同年6月、奈須きのこの同人小説『空の境界』が、講談社ノベルスより刊行され、70万部以上を超えるヒットとなります。
 本作は、もともとは1998年から同人サークルのホームページ上で公開されていたWeb小説でした。その後、同人誌としてコミケで売られて人気となり、講談社の編集者の目に留まって商業出版されました。
 奈須きのこは、2000年にコミケで発表した同人ノベルゲーム『月姫』が大ヒットしたことで、ゲームシナリオライターとして有名となっていました。
 これらのできごとから、美少女ゲーム業界のシナリオライターが即戦力として使えることを、ライトノベル系の出版社は知ることになります。その後、『虚淵玄』『田中ロミオ』といった美少女ゲーム業界の有名シナリオライターがラノベ作家デビューしていく流れができました。

 虚淵玄は角川スニーカー文庫から、自身がシナリオを担当した 18禁美少女ゲーム『鬼哭街』のノベライズで、 2004年12月にデビューします。その後、2009年7月にオリジナル小説『アイゼンフリューゲル』をガガガ文庫から刊行しました。

 田中ロミオは、2007年5月にガガガ文庫の創刊ラインナップの一つ『人類は衰退しました』でデビューし、ガガガ文庫の看板作品となる程の人気を博します。本作は、2012年7月にテレビアニメ化されました。
 田中ロミオは、18禁美少女ゲーム業界出身であることに照れがあったのか、第一巻のあとがきでは、『私は「ウィンドウズ用アプリケーションソフトに使用されるテキストデータの作成」を生業とする者』、と自己紹介しています。

 2012年に編集者に声をかけられて、桜ノ杜ぶんこからデビューした、ゲームシナリオライターのくしまちみなとさんに「新人賞を受賞する以外の方法で作家になった経緯を詳しく教えて下さい」と尋ねたところ、以下のような回答をいただきました。
(こちらに、くしまちみなとさんのより詳しいインタビュー内容を掲載しています)

 桜ノ杜ぶんこですが、フリーランスでゲームのシナリオライター兼プランナーを開始しました所、幸運にも編集部の方にお声をかけていただきましてデビューにつながりました。
 なお、新人賞以外の作家デビューとしては、ある程度の作品実績(同人を除くゲーム、小説含む)のある方による持込か、ある程度の作品実績のある方に対する出版社からのアプローチ(こちらは同人含むゲーム、小説)があると思います。

 ライトノベル新人賞を受賞しなくても、ゲームシナリオライターとして実績を積めば、そこからライトノベル作家に転向できるのです。

 奈須きのこなどは、ライトノベル作家として活躍する一方、ゲームシナリオライターとしての活動も続けており、二足の草鞋を履き続けることも可能です。くしまちみなとさんも両方の仕事を請け負っています。
 虚淵玄は、ラノベを書くだけでなく、アニメ脚本も手がけるようになり、大ヒットアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本家として有名です。

 ゲーム業界もシナリオライターとして、ライトノベル作家にアプローチしたいと考えており、実際に私は、ゲーム開発者から「ライトノベル作家さんを紹介していただけませんか?」といった依頼をもらったことがあります。
 ゲームシナリオライターとライトノベル作家は、同じオタクコンテンツを嗜好する人向けのコンテンツを作っているため、非常に近しい位置におり、どちらがでデビューして実績を積めば、もう片方の仕事をすることも可能になるのです。
(ただし、ライトノベル作家がゲームのシナリオライターになる場合は、お抱え元のレーベルの許可が必要となるようです)

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