ライトノベル作法研究所
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  4. 電子書籍出版をする公開日:2013/10/23

電子書籍出版をする

 2012年10月25日にAmazonが販売する電子ブックリーダー、Kindleで出版できる、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)日本版がスタートしました。出版コストは0円。KDPに登録すれば、なんと無料で電子書籍が作れます。
 Kindleで出版した場合のロイヤルティーは35%。条件次第では70%と、日本の出版社が作家に支払う印税とは比べものにならないほど高いです。紙媒体の印税は6~10%程度が相場です。
 作った電子書籍は、Amazonの販売経路を通じて、世界中の読者に提供できます。

Kindle Direct Publishingのウェブサイト
 ここから、Amazonで電子書籍を出すための登録、設定ができます。
 登録は非常に簡単な手続きで可能です。

 これによって誰でも本を商業出版できる、その気になれば今日からプロ作家になることが可能になりました。
 文書作成ソフトWordのファイルを、KDPのサイトにアップロードすれば、OKです。

 当サイトでは2013年2月にKindleでライトノベルを電子書籍出版をされた三田 竜獅さんの体験談を掲載しています。三田さんは、元々、オンライン小説を書いていたアマチュアでしたが、Kindleから作家デビューしました。
 電子書籍が浸透するにつれて、彼のように既存の出版社を通さず、個人で電子書籍を制作、販売する例は増えていくでしょう。

 ただ、三田さんの話では、読者からの反応は芳しくなく、売り上げは厳しいそうです。
 無料で読めるオンライン小説が、Web上に何十万とアップされている現状、無名のアマチュアの作品をわざわざお金を出して買う人は、残念ながら少ないと言えるでしょう。
 ネット上にはニコニコ動画、YouTubeなどでプロが作った動画や音楽を無料で視聴できてしまうような環境が整っており、「電子データ=無料」というのが常識となっています。
 紙媒体の本と比べて、販売するのが大変困難なのです。

 しかし、何が売れるのかわからないのが市場というものです。
 紙媒体の自費出版でも、文芸社から累計100万部以上のヒット作『リアル鬼ごっこ』の山田悠介、シリーズ累計350万部のヒット作『心霊探偵八雲』の神永学、といった成功者が輩出されています。
 これと同じように電子書籍でも、そのうち何十万部も売り上げを記録するような無名の著者が出てくることは十分に予想されます。

 実際にプロの編集者も、何が売れるのか予想できないものです。
 『まことに残念ですが…―不朽の名作への「不採用通知」160選』(1994年5月刊行) という本によると、SFの歴史的名作とされるH.G.ウェルズの『タイムマシン』(1895年刊行)が、「この作品は一般読者には面白くなく、 科学的知識のある者には物足りない」と編集者に言われて、突き返されていたそうです。
 後世で「SFの父」 と謳われたH.G.ウェルズは、この際、「たいして将来性のない、マイナーな作家だ」とまで言われています。
 もし新人賞で落選してしまい、納得がいかない場合などは、Kindleは無料で出版が可能なので、どんどん商品化に挑戦して、自分の可能性に賭けてみるのも良いでしょう。

 Kindleによる電子書籍出版最大の魅力は、小説を商品化してアップしておけば、後はほったらかしでOKということです。管理コストもリスクもありません。

 紙媒体の自費出版の場合は、制作費、管理コストなどが重くのしかかります。
 制作費は数十万円、さらに本の在庫を管理するための倉庫代が年間、万単位でかかることがあります。
 しかし、電子データの場合は、制作費は無料、リアルの空間を占有することがないので管理費もかからず、出版社側の都合で絶版になることもありません。

 実は、エンターテイメントコンテンツというのは、市場に出してすぐに評価されないケースもあります。
 社会現象ともなった大ヒットアニメ、富野由悠季監督による『機動戦士ガンダム』(1979年放送)は、初回放送時、視聴率が低迷し、関連商品も売れず、全52話の予定が全43話に短縮されて打ち切りになりました。当時、斬新だったロボット同士の戦争、戦いを拒否する主人公、ニュータイプという概念などは、すぐには人々に評価されなかったのです。

 このため、例え、出足が悪くても、コンテンツを市場に出し続けておくことは重要だと言えます。
 電子書籍でしたら、著者に金銭的負担がかからないので、いくらでもトライ&エラーができ、いつまでも市場に置いておくことができます。

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