特効人形ジェニーさん著作
誰しも自分から望んで悪事を行うことはない、とかどこぞの偉い人が言っていたらしい。小学生の頃の先生に教わったことだ。
わたしは最初これの意味がわからなかった。故意でもないのにどうして乱暴や泥棒ができるんですかと質問してみた。先生が答えた内容はこう。『悪いことをしなくちゃいけない人は、悪いことをしなくちゃいけないような状況に追い詰められているのよ。例えば淀川さん、あなたが食べ物がなくて飢えて死にそうになってて、足元に財布が落ちていたらどうする? 取りたくなくてもとっちゃうでしょう?』
わたしはなんとなく納得した。わたしのお父さんは借金に塗れて空き巣に手を出したし、おばあちゃんは向いの家の良く吠える犬が怖くて殺してしまった。そうせざるを得なかったのだ。
『悪いことをするには理由があるのよ。それがどんなに些細なことであれ、何に起伏した物であれ』
難しい言い方だったけど、でも賢いわたしは先生の言ったにゅあんすを掴むことができた。つまりは許してあげてということだろう。わたしの机に落書きした人のことを。別に怒ってはいない。先生の弁に従うなら、彼らが悪戯を起こした原因は、わたしにあることになるのだし。
子供が起こす『悪いこと』の理由は単純で、低俗で、些細なことだ。彼らは大人のように、何かにがんじがらめに追い詰められたりしていないから。だから大人は、ふつうは頭ごなしに悪戯っ子をしかるのだろう。しかしその先生だけはそれをしなかった。
この三月、わたしは既にもう小学校を卒業していた。
部屋で見ていた小学校の卒業アルバムを放り出してゴミ箱に捨てた。それから、ふと気が向いてわたしは散歩にでかけることにした。時間は夜中の一時前。子供は本来寝る時間であるが、夜の散歩は知らない世界を歩いているようで、すっかり癖になってしまっていた。
外に出ると、わたしは夜風に残った冬の残滓に体を振るわせた。いつもいつもうっかりパジャマのままうろうろしてしまうので、明日の朝には風邪を引いてしまうことも多い。
わたしの好きな漫画とかだと、夜に一人で出歩く女の子は、そのまま髭面のおじさんに誘拐されたり、酷い事件の現場を目撃したりする。そんなこと、そうそう起こりはしないと知っているのが残念だけれど。
しかし思う。コナンくんのアニメで起こるような凶悪犯罪は、ニュースで絶対報じられない。世の中には報道規制という言葉がある。わたしが知らないだけで、ドラマチックな殺人事件があちこちで起こっているのだとすれば、ひょっこり出くわしてしまっても、もしかしたらおかしくないんじゃなかろうか。
そんなことを考えて歩いていた矢先のことである。
アスファルトの臭いに混ざって、僅かに血の臭いを感じた。鼻の奥にまでつんと届くような色濃い鉄の香り。たくさんの量のぶらってぃ、つまりはこれは事件の香り。
わくわくとしてわたしは走った。心臓がどくんどくん鳴ってて、冷たい空気で太ももがかゆかった。ばりばりつめを立てながら進んだ。血の匂いに導かれ、わたしは事件へいざなわれていく。
で、それは起こっていた。
まさかと思ったことが起こっていた。
粗末な鋸を携えた男の子が一人、二十歳くらいの男性の足をぐりぐり切り離していた。殺されている方の人はわたしも知っている。体育大学に入学した町の人気者で、マラソンが得意で駅伝にも出ていたお兄さんだ。その引き締まった足には、深々とこぎりの歯が食い込んでいて、とっくに使い物にならなくなっていた。
のこぎりの歯を扱っているのは、お兄さんよりずっと小さな男の子。へっぴりごしで、凶器の扱いもへたくそだった。全身から汗をながしては喉を鳴らし、撫で付けるようにしてのこぎりを前後させていた。もっと全身を使えば良いのにと、わたしは心の中で応援を送る。
がんばれ! 負けるな!
どうしてこんなところで人の足を切り離しているのだろうと、わたしにはそれが疑問だった。ここは人のいない道の物陰だけれど、それでもこんな堂々と人を解体して良い場所ではない。それにどうやってお兄さんをここに呼び出したのかが気になった。
などと疑問をもてあまし、わたしはすっかり探偵の気分になっていた。こういう時のわたしの悪癖。空気とか状況とかそういうものが読めなくて、対応が遅れてしまうのだ。今回もそうだった。
はっとした風に男の子が顔をあげる。あれ、気付かれたかなとわたしが思うとほぼ同時、男の子はのこぎりを捨ててこちらに向かって走りこんだのだ。
どーしよ。
のこぎりが地面に落ちるがらんという音がした。転びそうな足取りで向かってくる男の子の手には、なんだか髭剃りみたいな形状の武器が握られている。漫画で見たことがある、すたんがんとかいう奴だった。
わたしはあたふたとその場を離れようとして、足をほつれさせてずでんとその場にすっころんだ。がつんと頭を地面に打ち付けることで、少年のスタンガンはわたしの頭上を通過した。
寝転んだわたしにスタンガンを打ち当てるには、少年もしゃがまざるを得ない。咄嗟に、わたしは少年の足首をつかんで思いっきり引っ張った。へっぴり腰の少年はその場でバランスを崩して転げそうになる。わたしは少年に組み付くように立ち上がると、その勢いで少年を突き飛ばした。
一目散にわたしは逃げた。
「てめぇ! 待ちやがれ」
やだよ。わたしは思った。殺人鬼の少年は思ってたよりずっととろくさく、助かったという安堵の気持ちと同じくらいに、ちょっとばかり拍子抜けしたみたいな気持ちにもなった。
……あんなよわっちぃ子に、あの体を鍛えたお兄さんが殺されちゃったのか。そう思うとなんだか滑稽だった。
男の子が起こしていたその事件の詳しい概要をわたしが知ったのは、翌日の三月七日のことだった。
その日。昼過ぎに起床したわたしが向かったのは町の図書館だった。昨日の男の子のことが知りたかったのだが、家では新聞を取っていないので、やむを得ずの出張である。
自転車には乗れないのでたかたか歩いて図書館にまでたどり着くと、自動ドアをくぐって暖かい施設内へと繰り出した。柔らかい静けさと紙の匂いが空気に満ちて、わたしは引き締まった気持ちになった。ふふん。探偵気分復活だ。
わたしは今日の分の新聞を読んでいる土くさいおじさんの後ろに立って、首筋を突付いてこう言った。
「あとで代わってね」
おじさんは最初ぎょっとしたような顔をすると、わたしの方を見て柔らかい笑みを浮かべた。
「どうだい。難しい言葉も多いだろう。おじさんが読んであげようじゃないか」
そういうので、わたしは優しいおじさんの言葉に甘えることにした。
「やったぁ! じゃぁ、ここ読んでください」
「良いとも」
わたしが指差したのは、昨日の夜に起きた殺人事件の概要についてだった。記事を読んでいくにつれ、彼の起こした殺人が連続殺人行為であり、わたしが見たのが五人目の被害者であるということが分かった。
……うわっ、連続殺人だって。そんなの本当にあるんだ。わたしは嬉しくなっておじさんに捲し立てる。おじさんはいぶかしみながらもにこにこと微笑んでいた。
「図書館には静かにね」
たしなめられてしまう。わたしは顔を赤くした。
ここ最近でこの町で起きている連続殺人事件。被害者もばらばら、目撃情報もなし。なのにどうして連続殺人ってことが分かるのかというと、被害者の体の一部が持ち去られているという共通点があったからだ。
「ふむふむ。わたしたちの追っている事件はどうやらこれのようだね。ワストン……ワソスンくんだっけ? あれ?」
わたしは有名な台詞を口にしようとして失敗した。おじさんはくすくすと笑う。
「こんな事件に興味があるのかい? 変わった子だね」
わたしは笑顔ではにかんだ。もう良いよというと、おじさんは手を伸ばして新聞紙を棚に戻してこちらに顔を向ける。わたしを膝の上においたままこう口にした。
「ねぇ君。お小遣いあげるから一緒におもしろい遊びをしない?」
「え? 良いの?」
おこづかいをくれるというので、わたしは少し嬉しくなった。わたしを抱え込んだままおじさんが立ち上がるので、そのまま腕にぶら下がって公園まで歩く。
人気のない児童公園の片隅。ダンボールとビニールでできた秘密基地みたいな小さな家の中で、おじさんはわたしに小銭を握らせてから、ズボンを脱いでこう言った。
「良いかい。ちょっとこれをその……触ったりしてくれるだけ良いんだ? できるかな?」
言うので、わたしはおじさんのくさい股座に顔を近付けて、口を大きく開けて舌を突き出した。やさしく迫るわたしにおじさんが目をつむる。わたしはそのままおじさんの睾丸をくわえ込むと、奥歯をあてがって力いっぱい噛み潰した。
公園に絶叫がとどろいた。
すえた匂いのするダンボールハウスから抜け出して、わたしは自販機の前でちまちまヤクルトを飲んでいた。おじさんからもらった百円で買えるのが、これしかなかったからである。
「ちぇっ。遊び相手にはなってくれないんだなぁ」
わたしは残念な気持ちでいた。ひさしぶりに誰かと遊べると思ったのに。
小さな頃からわたしには友達がいなかった。そりゃ、自分が汚くて気持ち悪くてどうしようもないくらい劣悪な人間であることは、わたしが一番分かっているけど。
わたしはこの春から別の地域に転校してしまうことが決まっていた。
転校するのはわたしのクラスで良くない事件が起こったからだ。悪いことをするには理由があるというけれど、わたしがそれを起こしたのは、本当になんとなくだったように思う。
わたしはクラスで孤立していた。ちっちゃな頃からわたしにはそういう傾向があって、いつも大人に心配をかけていた。それでもわたしの所属するクラスではいつも楽しげな喧騒が響き渡って、教室中に笑顔が咲き乱れていた。先生はホームルームでは良く自分のクラスを大好きだと話していたし、他の先生方からの評価も高かったらしい。運動会とかの行事ごとでは、他のどのクラスよりも強い結束力を発揮して、素晴らしい成績を収めてみんな嬉しそうだった。それがムカついた。
クラスのみんなが大好きです。クラスのみんなでがんばりました。そんな言葉を聞くたびに、わたしは自分の中の暗くて湿った何かを覗き込んだような気持ちになった。こんなにもおぞましく、気持ちの悪い存在であるわたしというものを抱えながら、このクラスは誰からも愛されて、みんな幸福で楽しげである。わたしはそこに強い欺瞞を感じていたし、誰もがその欺瞞に気付いていないように振舞っているのが解せなかった。許せなかった。
だからわたしは、クラスメイトの中からサイコロで決めた三人にこんな手紙を送ることにした。
『わたしはあなたのことが嫌いです。
あなたにきがいをくわえるつもりはありません。ただ、あなたのことを心からきらう人があなたのみ近にいることを、あなたに知ってもらいたかったのです。
この手紙を読んで、あなたはとてもいやな気もちになったと思います。それこそがわたしの願いであり、あなたに対するささやかなふくしゅうとさせていただきます。
この手紙のことを相談するなら、お好きにどうぞ。しかし、そのそうだんした人こそが、わたしかもしれませんね』
この手紙をもらった一人は学校に来なくなり、もう一人は不安げに先生にこのことを相談した。すぐさま学級会が開かれたが、犯人は名乗り出なかった。
それから二日後。わたしはこのような手紙をランダムで五人の机に入れた。
『わたしはあなたのことが嫌いです。
この間の学級会でも言われていた手紙とにたないような言葉ですが、あの手紙を見て、どうしても同じことをあなたにゆいたくなったのです』
その手紙のことが知れ渡ると、学級会が行われる前に、クラスでは不幸の手紙まがいのこの手紙が流行し始めた。
休み時間には、皆が寄り添いあってだれそれに出す手紙の内容を検討するようになる。誰もかもが、自らの胸に潜んでいる嫌悪の感情をむき出しにし、正しい対象に吐き出す方法を得たのだ。
これまでは、誰も彼もが自分の不安や悲しみを、いつ爆発してもおかしくない状態で、自分の胸に抱えこんでいたのだろう。わたしはそんな欺瞞に満ちた状態から、彼らを救ってあげられたのだ。開放されたクラスメイトからわたしは毎日殴られ踏まれたが、それでもすごく嬉しかったのだ。
しばらくして、わたしは職員室に呼び出された。
差し出されたのはわたしの連絡帳と、最初に出回った数枚の手紙。当然、同じ筆跡。やっぱり先生は元凶がわたしだと知りながらも、誰にも言わずに黙っていてくれたのだ。
そしてわたしは、涙を流す先生からヒステリックな口調で転校しろと訴えられた。
わたしは来年の春からみんなとは違う中学に通うことになった。もうその頃には、わたしがクラスメイトに階段から突き落とされても、気絶したままロッカーに押し込められても、先生は何も言わなくなっていた。
結局公園で昼寝して夜眠れず、その翌日。四月八日。
しっかりと中身を整理しておいたランドセルを背負い、意気揚々と通学路に飛び出たところでお母さんが走って来た。冷や汗を浮かべながらわたしに学習鞄を持たせ、ランドセルを回収しては家の中へと去っていく。わたしはびっくりするしかなかった。
ありがとうお母さん。
そのままだらだらと学校への道を歩み始めた。本来学区の違うところに通っているためか、やけに距離が長く感じられた。後ろからは、すいすいと同級生らしき一段がどこか得意げに追い抜いていく。
徒歩で来ている人もいたが、その中でもわたしが一番歩みがのろく、背も低かった。ちなみに百三十二センチしかない。カモン性長期。
やっとの思いで教室にたどり着く。淀川の姓を持つわたしの席は窓際後方二番目だ。のそりと腰掛ける。四月八日の窓から見える景色はどんよりとした灰色で、雨の降る直前で時間が停止したように曇っていた。小学生から中学生になったところで何も変わらない。わたしの精神は脆弱で自分勝手な子供そのものだ。
ひんやりと冷たい窓に頬を押し付けて呆然としていると、唐突にわたしに声がかかった。面倒くさい気持ちにあおられながらそちらの方を見ると、めがねをかけた若い男がこちらに向かって声を投げかけていた。
「淀川さん……淀川……ヒズミ? ……歪美さん?」
その人物はわたしの名前に若干首を傾げると、何かを促すように首を動かした。何がなんだか分からないわたしを、背後から指で突付く人影。わたしは驚いて跳ねるようにそちらを向いた。
「……自己紹介。前に出て」
唐突に体に触れられて絶句するわたしに、背後の少女は引きつったような顔で答えた。ついびっくりして大げさな素振りを見せてしまった。
もうそんなに時間がたっていたのか。
わたしはゆっくり前に出て口を開いた。
「淀川歪美です。中学一年生です。女です」
わたしの自己紹介に、クラス中から失笑が漏れた。意味が分からずはてと首を傾げる。それから適当に頭を下げてその場を去った
「もう終わり?」
先生はわたしにそう尋ねた。わたしはうなずく。
それから自分の席に向かっていると、わたしはふと異様な視線に気付いて立ち止まった。その視線の方向に全ての神経を傾けて睨む。視線の主は一瞬だけ萎縮したような素振りを見せると、何食わぬ顔で前を向き直った。
それはこないだの少年だった。
深夜の路地で、鋸をたずさえ、お兄さんの足を太ももから切り落としていた、あの少年である。偶然それを捉えたわたしを殺そうとし、間抜けにも失敗していた殺人犯の男の子。
わたしは一瞬その場で声をかけようとした。すると背後から肩が叩かれて、後ろの席の女の子が苦笑したようにこちらを見ていた。席に戻れというジェスチャー。わたしはなんとなくそのとおりにした。また一つクラスを荒らさずに済んだ。
少年の名前は小野瀬正義といった。
オノセマサヨシとわたしが訪ね返すと、後ろの席の女の子は笑って机に「小野瀬正義」と書いて見せてくれた。セイギ。みょうちきりんなわたしの名前よりずっと良いと、羨ましくなった。
「ちなみにわたしは渡部直子ね。歪美ちゃん。自己紹介聞いていなかったの?」
後ろの席の渡部さんはいぶかしむようにそう尋ねる。すっきりとして綺麗な目鼻立ちに、薄く上品な唇。柔らかい物腰はとうてい同級生とは思えなかった。
「ぼうっとしてて」
「先生の話は聞くものよ? 明日、学校に雑巾と運動靴を持ってくるのを忘れずにね」
「歯磨きセットは?」
「いらないわ。小学生じゃないんだし」
「小学生じゃないの?」
「えぇ。違うわ」
苦笑を浮かべる渡部さんから顔を逸らして、わたしは小野瀬正義の方を仰ぎ見た。少しうつさくなった教室の前方で、どこか萎縮するような態度でハードカバーを手繰っている。その姿は少しばかり鬱積しているようにも見えた。
「……博士の作ったその怪物は強靭で、いかなる兵器も歯が立たなかった。人間への確かな憎悪をもってして暴れまわる怪物に、民は無様に踏み潰され、滑稽なほど哀れな悲鳴をあげてぺしゃんこになる。この後に及んで助かると思って叫ぶとは、なんと傲慢な生き物だろうと、怪物はますます人間のことが嫌いになった」
「……歪美ちゃん?」
渡部さんが驚いたように肩を突付いた。わたしはびくりとして渡部さんの方を見る。
「な、何?」
「ごめんなさい。突然肌に触れられるとあなた、そうなるのね」
渡部さんはしおらしくそう言って、次いでいぶかしむようにたずねた。
「今の何?」
「小野瀬くんが持ってる本」
渡部さんはびっくりしたような顔になった。
「すごいわねあなた。こんなところからあの本の内容を音読して見せたの?」
わたしはその場ですっと立ち上がり、小野瀬正義に向かって歩き始めた。渡部さんが後ろで苦笑する。小野瀬正義はわたしの接近をすばやく察知すると、すえたような瞳でこちらを向いた。
「なんだよ?」
そういった彼の声は、少しばかり虚勢が混じっていたように思う。
年齢にしても幼げな顔立ちは愛らしいばかりではなく、少しばかりひねくれているようにも見えた。歪められた眉には迫力がなく、開きっぱなしの唇はやや酷薄そうでもある。
「わたしと会ったことなぁい?」
たずねると、教室の空気が僅かに固まったように感じられた。小野瀬正義はしまりのない唇をにやりとゆがめ、こう答えた。
「さぁな。よく記憶にないけど、なんとなく見覚えがある気がするよ。そのどんより光った目、いつか思い出しそうだ」
「……?」
一瞬、わたしは首をかしげた。それから彼のいった意味を反芻し
「つまり。覚えていないってこと?」
彼は曖昧に首を縦に振った。教室から失笑が漏れる。
その翌日。六人目の被害者が現れた。そうはいっても、今度はただの犬っころだったらしい。今度は鼻が根本からきり取られて、現場から持ち去られていたということだ。
殺されたわんちゃんの飼い主は、前の座席に座るわたしのクラスメイトだった。御井梢さんというその人物は、泣きはらした目で学校に登校すると、後ろの席のわたしに向かって飼い犬の殺されたことを訴え始めた。しばらく話すとダムの決壊したように大泣きし始めて、それからすがりつくように正しくない日本語を幕したてる。犬との思い出、如何にむごたらしく殺されたかということ、一番強かったのは犯人への憎悪の言葉だった。
「運が悪かったね。でも大丈夫。次からはちゃんと家の中に隠すか、ずっと見張っていたら良いよ」
何とか慰めようと思ってそんなことを口にしたのだが、御井さんは信じられないような顔で呆然とこちらを見るだけだった。渡部さんが後ろからあわてたようにやって来る。
犬の好きな御井さん。みーちゃんは猫なのにわんちゃんが好きなんておもしろい。
慰めようとしたわたしの言葉に反応した御井さんの態度は、まるで人を嫌悪したかのようなものだった。わたしはただ人を慰めようとしただけで人に嫌われ、気持ち悪がられて気がつけば淘汰されている。泣きながらまくしたてる彼女は、いったいわたしに何を求めていたのだろうか。
小野瀬正義が目に眠たげなクマを作って登校した前日は、必ず町で事件が起きていた。
深夜にアトランダムで繰り広げられる犯行を、警察の調査はいまだ捉えられていない。あんなに大変そうにお兄さんの足を切り落としていたのだから、小野瀬の殺人にはきっと何かの目的があるのだろう。それがきちんと報われたら良いなぁと、小野瀬の疲弊しきった顔を思い出してはそう思うのだ。
その日。体育の時間中。わたしはぶかぶかの体操着に着替えていた。
運動場の隅っこを走り回るみんなを、砂の匂いを嗅ぎながらぼけっと眺めていた時だ。背後からは教師らしき女性がわたしをどやすような声が聞こえる。わたしはなんとなく上の空で考え事をしていた。
小野瀬正義は本当にわたしに気付いていないらしい。確かにあの夜はどんより暗かったし、錯乱した彼がわたしの顔を覚えていないとしても不思議ではない。だいたいにおいて彼は目が悪い。最前列で授業を受けている分には良いらしいが、教室でぞんざいに行われた視力検査ではCの判定を受けていた。
小野瀬正義の犯行について調べるたびに、わたしはとても楽しい気持ちでいられた。他の誰もが犯人を知らない不可解な連続殺人事件。愉快だがふつう遠巻きに眺めるしかできないはずの非日常の深遠を、ただ一人わたしだけが知っている。こんなにおもしろいことが他にあるだろうか。
だからわたしは寂しかった。彼がわたしに気付かないことについて。彼の犯行に、彼の楽しい遊びに、わたしが一緒に加われないことが。
「おい。淀川。いい加減にしろ」
背後からわたしの首を掴む者がいた。わたしはびっくりしてその場を退いて、思わずベンチにおいてあった運動部の使うバーベルの重りを投げつけた。
鈍い音がして、先生は血球と一緒に前歯を吐き出した。
校長室に呼び出されてふかふかのソファに腰掛けながら、わたしはとある決意をしていた。
手紙を出そう。
小野瀬に伝えなくてはならない。わたしが彼の犯行を知っている事実を。それも、差出人が淀川歪美であることが、ばれないようなやり方で。
「本当に申し訳ありません」
そう言って頭を下げる女の人がいた。わたしのお母さんだ。
「内の子が先生に怪我をさせてしまって」
そういうと校長先生は渋い顔をした。それからぼけっとソファに腰掛けるわたしに視線を投げかけて、次にお母さんを向いてこう口にする。
「お子さんは……その。少し変わった子でいるようだ」
お母さんは少々萎縮する。校長先生はやんわりとした表情で
「いいえ。もちろんそういう子に深い愛情を持って接するのが、わたし達の仕事です。お子さんの健やかなる成長の為に、わたしたちは協力を惜しみません。ですので、このたびはことを大きくはせず、ただお二人で田尾先生に謝りに言ってくださればそれで……」
「お母さんも謝るの。じゃぁそれ、あなたや担任の先生は来ないの?」
わたしが気になってたずねると、お母さんが眉を顰めてわたしの頭に手をやった。
わたしのお母さんはとても優しい人だ。お父さんがいなくなってからは特に、他の誰よりもわたしのことを考えてちやほやしてくれた。
お母さんのお仕事は毎週の土曜日にどこか遠くのところへ出かけて行われる。朝早くでかけて次の日の昼間まで帰ってこなくて、お母さんはこれが本当に憂鬱らしかった。
水曜日までのお母さんはいつも優しい。でも木曜日あたりからだんだん不機嫌になり始め、金曜日となると些細なことでわたしを怒鳴りつけ、殴り、蹴り、生ゴミをぶつけ、キャベツの千切り機にわたしの手を突っ込んでは、ヒステリックに脅しつけた。そして土曜日になって仕事に出かけ、帰ってくると天使のように優しくなってわたしに接するのであった。
お母さんがどんな仕事をしているのかは良く知らない。だけれど、今日は火曜日だから殴られなくて安心だ。
「ねぇお母さん。ちょっと教室によって良い?」
わたしがけがをさせた体育の田尾先生に謝りにいく途中、わたしはお母さんにそう問いかけた。お母さんはほんの少し考える素振りを見せた後、わたしに向かって優しげに言った。
「良いけど。早く済ませるのよ」
わたしはうなずいて教室に向かった。そして小野瀬正義の机の中に手を突っ込んで、彼の独自の意味不明な図やら表やらの迸るノートを一枚切り裂き、ペンを持った。どうやって筆跡を残さないようにしようかと一瞬考えて、わたしは思いつきで渡部さんからもらった明日必要なもののメモを取り出して構えた。
彼女の筆跡を良く凝視して、わたしはペンを走らせていく。なるだけわたしだと気付かれないよう、最大限に工夫した文章を書いた。
『俺はおまえが最近報道されている連続殺人事件の犯人であることを知っている。何故なら、おまえがあの時であった目撃者が俺だからだ。
俺はおまえのことを警察に話すつもりはない。ただ一つ、俺とゲームをしてもらいたい。期限は一週間、おまえにクラスメイトを三人まで殺す権利を与えよう。
来週の火曜日までに俺を殺せなければ俺の勝ち。おまえのことを警察に話す。おまえが俺のことを殺せばおまえの勝ちだ。今までどおりの殺人を続けたければ、なんとか俺にたどり着いてみろ』
こんな感じで良いのだろうか。わたしは渡部さんのメモと自分の書いた文章を見比べて、その筆跡の合致を確かめる。そしてわくわくとした気持ちになった。
心がなんだかぽかぽかしてきた。小野瀬くんとのゲーム。命を賭けた楽しい勝負だ。これでわたしはようやく、彼と一緒に遊ぶことができる。
退屈な一人遊びじゃない。きちんと遊び相手がいて、お互いが真剣に取り組んでくれる。誰にも秘密の真剣勝負。それが本当に嬉しくて、わたしはえへへと笑みを浮かべた。
翌朝。
運動場で渡部さんがひしゃげていた。
わたしは小さい頃にお兄ちゃんとやった遊びを思い出した。バッタだのトカゲだの子猫だの捕まえて岩で圧縮し、ぺしゃんこにすりつぶす退屈な遊びである。体液を露出させて体をバキバキにする愉悦にお兄ちゃんは手を叩いて喜んでいたけれど、わたしは何がおもしろいのかまったく分からなかった。
渡部さんの体はそれはもう偉いことになっていた。綺麗な髪の毛は真っ赤になってむちゃくちゃだったし、体中の骨があちこち露出して痛々しかった。血液でぐしょぐしょになった運動場の砂が嗅ぐわしい。わたしは空を見上げた。そこには学校の屋上がある。渡部さんはあそこから落ちた……否、落とされたのだ。
わたしは小野瀬正義のフットワークの軽さに感心した。手紙を出したのは昨日なのに、もう既に筆跡の照合まで済ませ、渡部さんを屋上に呼び出し突き落としている。いったいいつの間に確認して、その行為を実行に移したのだろう。
押し競饅頭のように寄り集まる人々の中央で、渡部さんの遺骸は一メートルほどの距離を開けられていた。ふと思いついて、人だかりの外壁を形成する女生徒の背中を軽く押してみると、すぐさまドミノ倒しが起こり中央部の男子が渡部さんの死体にダイブした。絶叫があがる。
狂乱が巻き起こる。固まっていた生徒たちの均整が崩れて、生徒たちは散り散りとなってその場を去った。わたしは広々とした運動場の真ん中を通って校舎へと向かった。
校舎は騒ぎで満ち溢れていて、誰もが廊下の窓に張り付いていた。その背中を一つ一つ目で追いながら教室に行くと、黒板に大きく書かれたその言葉がわたしの目に入った。
『申請。
渡部直子は自殺。よって、カウントに入れないことを許可していただきたい』
一見、それは意味不明な落書きに見えただろう。
だがしかしわたしにはその意味が分かった。なのでほんの一瞬、躊躇しつつも、わたしはそれに答えてあげようとチョークを取った。すると咄嗟に気付いてわたしは後ろを向く。そこにはこんな時でもハードカバーを抱えた小野瀬正義が、ぎらぎらとした目で黒板を睨んでいた。わたしは焦ってチョークを置こうとし、次に誤魔化すようにパンダの絵を描いた。
「何それ?」
顔を青くした御井さんがわたしの絵を見て首をかしげた。ついつい夢中で絵描きに興じていたわたしは、興奮気味に彼女に尋ねた。
「なんに見える?」
御井さんは少し考えて答えた。
「……どぶ川にいるちっちゃいカニ。……ハサミがかたっぽだけでかい奴」
「違う。これパンダ」
「パンダ? パンダなの! でもパンダにはそう何本も足はないよ」
「これは足の指なの」
「指? 体積の半分以上じゃない!」
そういうのでわたしは自分の落書きを見直す。言われてみるとそれは不恰好などぶ川のカニだった。
その日の学校は先生の話でおしまいになった。
わたしは体育館に座り込んで考え事をしていた。渡部さんは本当に自殺だったのだろうか、ということ。こんなタイミングで死ぬなんて、勝負を引き受けた小野瀬正義の仕業のようにしか思えない。
座ったままぼんやりしていると御井さんに声をかけられた。恐る恐るといった感じで、こちらに手を触れることはしてこない。少しだけ悲しくなったわたしだけれど、もう解散の命令が出ていることを知らされて立ち上がった。
鞄を取ると、わたしは学校に備え付けられた公衆電話で渡部さんの家に連絡を入れた。連絡網を見れば番号は分かった。
「……はい渡部です」
憔悴した様子の渡部さんのお母さんの声。わたしはなるだけ厳粛な声を作り、テレビドラマとかで良く見る言い方を真似してこう口にした。
「警察のものです」
すぐに電話が切られた。わたしは眉を顰めてもう一度だけ十円玉を投じた。
「すいません。渡部直子さんのお友達の佐藤です。彼女からはさっちゃんと呼ばれています。直子さんが心配で連絡をさせていただきました」
「……先生からお話はうかがっていないの?」
「はいいません。自殺したなんてお話聞いたこともありません。直子さんは昨日からいらっしゃらないのですか? それとも今朝学校に行ってそのまま飛び降りたんですか?」
沈黙が降りた。受話器の向こうから歯をきしませるような声が聞こえたと思ったら、乱暴な音がして電話が切れた。びっくりしてその場をのけぞる。
わたしはめげずに三枚目の十円玉を投入した。
「すいません。直子さんの担任の先生なんですが……」
「直子は今朝学校に行ってから死んだわ! もう電話かけないでくれる!」
そういって叩きつけるように電話が切られた。案外昨日の夜中にでも校舎に忍び込んで飛び降りたのかと思ったが、どうやらそれもなくなったらしい。わたしは小野瀬のメッセージにどう返事をしたものか思案し始めた。
まず最初、掃除道具入れで時間をつぶした。
すえた匂いのする真っ暗な掃除道具入れで縮こまっていると、気が付けばまぶたが下りて眠ってしまっていた。浴槽一杯のイチゴシェイクと戯れる恍惚の夢を見終わったあと、わたしは寝起き眼をこすりつつ教室に向かった。
校舎は既に閉鎖されている。中に残っているのは隠れていたわたし一人くらいのものだろう。あくびをかましつつ教室の窓を外して中に侵入した。
小野瀬正義のメッセージは既に先生によって抹消されていた。わたしは彼の机からノートを一枚切り離し、今度は御井さんの筆跡を真似して一言『認めない』とだけ記入して机の中に放り込んだ。
渡部さんが本当に自殺だったのか小野瀬正義によって殺されたのか、考えてみたがやっぱりそれは分からない。だけれど実際に死亡した以上、一応カウントに入れておかなければゲームが成り立たなくなる恐れがあった。
廊下を進み、トイレの窓を開けて校舎を脱出した。これで明日には彼にメッセージが伝わるだろう。あくびをしながら校門をくぐり、家に帰ろうと思ったその時。
小野瀬正義の姿を発見した。
わたしはぎょっとした。物陰に潜み、何やらノートらしきものを手にしてこちらを覗くその姿は、目がぎらぎらしておぞましいものにも見えた。彼はわたしの姿を確認すると、腕時計を覗き込んでから何やらノートに記入する。
足取りの止まったわたしをいぶかしげに覗きこむ小野瀬正義。ただしこちらが向こうを見ていることには気付いていないらしかった。こいつはいつもそうだ。いよいよこちらが行動を起こすまで、自分のしていることが誰かに気付かれているなどと考えもしない。
わたしはぞっとしてその場を引き返した。そして再びトイレの窓から校舎に侵入し、教室で小野瀬に当てたメモを回収すると、びりびりに引き裂いて自分の口の中に放り込んだ。塩辛く少し香ばしい。
小野瀬正義の狙いはおそらくこうだ。
自分を脅す手紙の主が自らのクラスメイトだと睨んだ彼は、黒板にメッセージを残すことでこちらの出方を待った。そして手紙の主が何らかのレスポンスを寄越すことに期待し、校門の前で潜んで待機した。
おそらく小野瀬は、ノートに記入して校舎から出てくるクラスメイトの名前をメモしていたのだろう。ことがことだけに、小野瀬のメッセージに返事ができるのは教室から誰もいなくなった時間帯に限られる。誰よりもすばやく校門の前で待機し、出て行ったクラスメイトの名前をメモしていれば、最後に遅れて出てきた人物こそが手紙の差出人ということは明白だ。面倒だが確実な方法だと言える。カーテンの所為で外から教室は覗けないようだったし。
しかし一つだけ疑問点がある。それは、どうして彼が教室内や付近の廊下に潜まなかったのだろうということだ。
少し考えて、わたしはそのたわいない理由に気付いて少し笑った。校舎は放課後すぐに閉鎖される。その前には教師の見回りもあるし、見付かってしまうことを恐れたのだろう。 ためらいもなく人を殺す連続殺人犯であることと、大人におびえる力ない臆病な中学生であることは、彼の中では共存可能なのだったのだ。
夜道で隠れもせずにあんなに堂々と人を解体する小野瀬正義が、見回りの大人など気にするちぐはぐさが、わたしにはなんだかおかしかった。
翌日の朝。今度は町のお医者さんが殺されたことがニュースで報じられた。
体の一部が持ち去られたという内容も報じられていたが、具体的にどこを持ち去ったのかは分からなかった。わたしだったら指先を持っていくかなと曖昧に思う。あの聴診器を操る時の、繊細で理知的な手つきに良く風邪を引くわたしはいつも関心していた。逆に嫌なのは眼球。患者の前で看護士を怒鳴る意地悪な目つきはいやらしく醜悪だ。
ニュースを見終えて学校に行くと、その日の黒板には『応答を求む』と大きく書かれていた。おそらく小野瀬からのメッセージだ。昨日の答えを寄越せといっているのだろう。
すぐに返事をしようと思ったが、どうせどこかで小野瀬正義が監視しているだろうと思ってやめた。
小野瀬正義はわたしのことを見付に来ているらしい。それだけ一生懸命にゲームを受けてくれることに、わたしはなんだかうれしくなった。
後ろの席の渡部さんのいない一日は少しばかり勝手が違った。机で眠りこけていても声をかけられないし、先生に当てられそうになっていても何も言われない。お陰で三度ほど先生を本気で怒らせた。
「……歪美ちゃん。あなた勉強大丈夫?」
前の座席の御井さんにやけに心配されてしまった。
「だいじょーぶ」
「そうは思えないんだけれど……得意科目は?」
「うーんとね。算数」
「…………」
そんなやり取りがあって、御井さんは頭を押さえて軽く笑った。
その日の放課後。わたしは誰よりも先に校舎を後にした。そうはいっても、廊下で派手にずっこけたので、結局は遅れてしまったのだが。
校門付近の物陰では、やはり小野瀬正志がノートを持って構えていた。
「何してるの」
わたしは彼の背後に回り話しかけた。小野瀬はびくりとこちらを振り向いて、恐る恐るといった調子でこう答えた。
「おまえには関係ねぇよ」
「嘘だね」
わたしは胸を張った。小野瀬はびっくりしたような表情を取り、すぐに済ました顔に戻った。全然クールじゃない。これが巷を騒がす殺人犯なのだと知ったら誰もが興ざめだ。
「どうしてそう思う?」
「だってそれ。わたしの名前がかいてあるじゃん」
小野瀬正義はびっくりしてノートをしまいこんだ。そして背後を振り替えり、クラスメイトが何人か固まって出てくるのを目で追いかけると、これ以上記入するのは諦めたようにこちらを向き直る。
「ばれたか」
小野瀬は照れたように微笑んだ。
「何してたの?」
「別に。おれの勝手だろ」
「そうだね。だけど気になるじゃない」
なんていじめるようなことをいってみる。小野瀬正義はあからさまに困ったように顔を赤らめた。なんだか少しかわいい。小野瀬はうつむいたようにノートを隠すと、再びすねたような口調で言った。
「……関係ねぇだろ」
おちょくりがいのありそうな子だ。
「分かった。これ以上聞かないよ」
わたしが答えると、小野瀬はあからさまに安心したような顔をした。
「いつも教室で本読んでるけど。どんなの好きなの?」
「さぁな」
「誰も知る者のいない人ごみを、一人で通り抜けていく時の孤独ほど、つらく寂しいものは存在しない」
わたしが口ずさむと、小野瀬は驚いたようにこちらを覗き込んだ。口数少ない割、表情豊かで愉快な男だった。
「君が読んでいた本の一説」
「……なんで知ってる」
「見えるもん。わたし目が良いし」
「そりゃすごい」
小野瀬はけたけた笑った。
「ねぇ。君はいつも一人で本を読んでいて、寂しくない?」
「寂しいさ。だけどつらくはない。友達いないのは昔からだからな。それに、おれにはおれの楽しみがある」
「楽しみって?」
「だからだ。その……」
小野瀬は一瞬、思案顔でそっぽを向いた。しばし考え込み、それからしまりのないにやにや笑いを伴ってこちらを向いた。
「友達がいないってことはだな、おれのことを好いている奴がいないってことだ。つまり何をしたって愛想つかされる心配はないし、非難される筋合いはないってことになる。だからおれはおれのしたいようにさせてもらってるのさ。窮屈なのはまっぴらだ」
小野瀬の歪んだ唇からは虚勢と傲慢さとがにじんでいて、その言葉には彼の人となりが込められているようだった。
「でも一人でいるのは、つらくない?」
「つらくない。おれはもともとそういう人間だ」
「でも寂しいんでしょう?」
「寂しいさ。でもしょうがないだろ。誰だって多かれ少なかれ、ポケットの中に孤独を隠し持っているものさ。それに怯えてこびへつらって暮らすか、開き直って好き放題やるかっていうだけの違いさ」
「そうかな……。でもわたしは、あなたが開き直れているようには、とうてい思えないんだけれど」
わたしは少しばかり空虚な気持ちで言った。小野瀬はぎょっとしたようにこちらを見る。
「一人で萎縮して、どうにかやり過ごしているように見えるよ? だから嫌いなんだ、自分以外の人間のことが」
わたしがそういうと、小野瀬は乾いた笑いを口から漏らした。
「ぞっとするようなことを言うな。おまえ」
はき捨てるような言い方だった。
「そりゃそうだ。おれだって、おまえのように飄々とはしてられないよ。参考までに訊くが、おまえは他人のことは好きなのか?」
小野瀬が妙ちきりんなことを尋ねるので、わたしは首を傾げてからこう返事をした。
「好きだよ」
「本当か?」
「好きだよ」
「嘘付くなよ」
「嘘なんて付いてないよ。嫌いでも良いけど。ただ別に、どっちでもどうでも良いってだけだよ」
「ほれみたことか」
小野瀬は得意がった様子でそういった。
「おまえは本当にどうでも良いんだろ? 他人がどんな目にあうかとか、他人にどう思われるかとか。きっと人が殺されてるのを見てもなんとも思わないに決まってる。ひょっとして最近起こってる連続殺人の真犯人、おまえだったりするんじゃねぇの?」
指を突きつけ、幼げな顔を目一杯酷薄にゆがめて繰り出されたその質問に、わたしはたわいのない笑みを浮かべるだけだった。
「それだけはないよ。分かってるでしょ?」
わたしが言うと、小野瀬は何がおかしいのかけらけらと愉快そうに笑った。
「すごい事件だよね。わたしそういうの好きなの」
「へぇ……意外だな。おまえがそんなことに興味持つなんて」
「意外はこっちだよ。あなたがわたしのことそんな風に知ってるなんて気付かなかった」
「人は意外と見られてるってことさ。っていうかおまえ、学校じゃ結構有名な変人なんだぜ? 知らない?」
「……実は。ちょっと知ってた。……けど」
「だよな。あれで気付かないでいられたら魔性っつーか。ただの愚か者だ。おまえは愚かとかそういうんじゃないだろ? ただちょっと超越してるっていうか、クラスの連中と同じ次元で生きてないだけだ。ようするに、天然で人と違うんだよ」
わたしは強い胸騒ぎを感じた。そして睨むようにして小野瀬の方を見る。
「そうでもないよ」
わたしは小野瀬を注視しながら言った。
「わたしは結構みんなと同じような考え方してるよ。知ってることでも、酷いこと言われたら悲しい。わたしは自分がすごく気持ち悪い劣悪な人間だって知ってる。だからって、人と違うとか、そんなこと言われたらつらいし、腹が立つよ」
「そうか。そうかもな。けどさ、そう思われてるの分かってて、だけど言われなきゃ言われなきゃで欺瞞を感じるんだろ? ってことはようするにさ。それはおまえの問題なんだよ」
彼の言葉に、わたしは漠然と立ち尽くすだけだ。わたしが完全に閉口したのを見て取ると、小野瀬は心底愉快そうな酷薄な笑みを浮かべる。せせら笑うように鼻を鳴らし、そのまま背中を向けてその場を去った。
「どこ行くの?」
「これから九時まで塾の掛け持ち。週三日」
「……あっそう」
「おまえは塾とか行ってないのか? 部活もしてないようだけど?」
「……行く必要ないもん」
「そうかいそうかい。さすが学年トップは言うことが違うね。じゃぁな」
手をぴらぴらと振りながら、小野瀬正義は勝ち誇ったようにその場を去っていった。からかってやるつもりが、気がつけばすっかり見透かされてしまっていた。わたしは眉を顰め、その場で座り込む。そして髪の毛をかきむしると、人目も憚らず悔しくて泣いた。
その日の夜わたしは強い決意の元に家のベッドを立ち上がった。
まず最初電話機の前に立つと、電話帳を手繰ってこの近所の塾の名前を全て調べた。そして片っ端から電話をかける。
「すいません。わたし小野瀬正義の妹なんですけど、兄は今そちらにおりますでしょうか?」
「はい?」
最初の二件は『小野瀬正義というものはここにはいない』という応答だった。しかし三件目に出た壮年の男の返事は違っていた。
「ああ。正義くんね。ちょっと待ってね、今お兄さん呼んで来るか……」
わたしは受話器を置いて、すぐに出かける準備をし始めた。
小野瀬正義は本当に塾にいるらしい。ということは、九時まで学校に見回りに訪れることはないだろう。
メッセージの返事をするなら今だ。
なんとしてでもゲームで小野瀬正義を屈服させてやる。わたしはほとんど意地になっていた。
夜のニュースではまた一人被害者が出たという報道がなされていた。学校から塾に向かう途中にやったのか。驚くべきは小野瀬のフットワークの軽さ、報道の速報具合だった。それはわたしのクラスメイトの男の子で、体の一部を持ち去る儀式は行われていない。ひょっとしたら、小野瀬とたまたま道が同じだったのを、付けられていると勘違いして殺させたのかもしれない。いずれにせよ、これでチャンスはあと一回きりになった。
学校に着くと、わたしは砂のにおいのする運動場を突っ切って校舎に向かった。運動場は野球部の男子が馴らしておいたようで、足跡一つなく丁寧なものだ。
わたしは空けておいたトイレの窓から、校舎の中へ侵入した。土足のまま校舎内へと侵入する。教室にわたしの足跡がつくことが一瞬、懸念されたが、履いているのは学校指定のスニーカーなので心配もない。運動場の足跡もこれに同じ。
すぐさま教室へと向かい、窓を叩き割って中に侵入する。
御井さんのノートを机の中から引っ張り出して、その筆跡を真似て黒板にメッセージを書き綴った。ただ一言、『認めない』と巨大な文字で。どうせ奴は朝一番に来るだろうから、これで十分伝わるはずだ。
しかし不思議だ。わたしは思った。校門前で張り込みをしてまで、わたしの尻尾を掴もうとした小野瀬正義が。わたしがここに訪れるのを知っていて律儀に塾なんかに通うとは。あいつは殺人者の癖してただの気弱な中学生でもあるから、親の目の手前サボっている訳にはいかないのだろう。その辺のちぐはぐさがなんでかわたしに似ている気がして、気に入らなかった。むちゃくちゃにしてやりたい。
わたしは少し考えて、さらにとびっきり焦らせるような激しい字体で、『あと一人!』と大きく記す。
今現在の彼の焦りようを考えると、せせら笑いたくなって来る。彼が後一人、誤って的外れな奴を殺したら、その時はとびっきり嘲弄的なゲームオーバーの手紙を出してやろう。そしたら彼はどうするだろうか。やけくそになって、狂ったように無差別にクラスメイトを殺すかもしれない。わたしはその様子を想像して、飛び切り愉快な気持ちになった。
それはまったく、あくまでもまるで自分の方が優位な立場にあるという、驕りのような心境に他ならなかったのだけれど。
翌日。遅くに目を覚ましたわたしは、お母さんにたたき出されるようにして家を出た。
黒板のメッセージを見て慌てふためく小野瀬を想像すると、昨日は興奮して眠れなかったのだ。中途半端な彼をせせら笑う。のんびり塾になんかに通うから負けるのだ。自分の殺戮を止められたくないのなら、どうして日常生活の全てを犠牲にして取り組めないのだろう。
そんな風に考えていた矢先だった。
学校に到達し、校門をくぐったわたしは一種異様な光景を見た。それは、踏み荒らされた運動場に散らばる生徒たちの足跡だった。当然そのほとんどが学校指定のスニーカー、皆一様な足跡に見えいて、一つ明確な違いがあった。
それは、足跡の中央付近に記された四桁の番号だった。見覚えがある。これは『2134』こっちは『1108』それが何を示しているのかに気付き、わたしは戦慄してその場にうずくまる。周囲から奇異の目で見られながら自分の足の裏を確認すると、そこにはわたしの学年クラス出席番号を示す四桁番号が記されていた。
咄嗟に、家に戻るかどこかに隠れるかを迷い、運動場に設置されたすぐ傍のトイレの中へ飛び込んだ。
個室に入り、わたしは便器の前で吐き出しそうに喘ぎ、咳き込んだ。脂汗を流して息を整えると、自分の愚作を嘆いて顔を覆った。
いつの間にこんなことを……。
学校中のスニーカーにマーキングをするだなんて。なるほどそれなら塾に行っている間でも、学校に誰が侵入したかが分かるはずだ。他の誰の足跡が付けられるよりも先に、運動場の足跡を確かめに行けば良い。
素晴らしい作戦だ。恐るべき手間と忍耐力があれば、の話であるが。
「くそっ。……くそ、くそっ」
どうして気付かなかったのだ。わたしは自分の不覚を嘆く。そもそもあんなメッセージに殊勝に答えてやろうというのが間違っていた。あんなもの看過して放っておけば良かったじゃないか。そうすれば気付かれずに済んだ。あの気持ちの悪い殺人鬼に、わたしのことを気づかれずにすんだのにっ!
わたしがそう考え、嘆いていると、ふとトイレの扉が開く音が聞こえて来た。咄嗟に体をすくませる。ぺたぺたといった足音が近付くにつれ、わたしは息の詰まるような心境で身構えた。まさか……。
しかし検討は外れ、足音はわたしの個室の前を通り過ぎると、奥の個室に入ると衣擦れの音を響かせ始めた。ふつうの生徒だ。わたしは力が抜けたような気持ちで息を吐き出すと、ふと思いついて個室を離れた。
わたしはトイレの出入り口から手を出して砂を一掴み手に入れると、自分の靴下の中にねじ込む。そして人の入っている奥の個室の前で構えると、ぴしゃぴしゃという音が聞こえ始めると同時に、個室の扉をよじ登って中へ飛び込んだ。
少女は信じられないような顔をしてこちらを見た。咄嗟の状況でまったく動けない女生徒を思い切り殴りつけ、そのまま便器の中に何度も何度も顔を打ち付けて気絶させる。そして倒れた少女のポケットの中をまさぐり携帯電話を取り出すと、すぐさま110を呼び出した。
「もしもし。警察ですが」
「紙斬町動堂中学一年の淀川歪美です。最近起きている連続殺人犯のことでお話があります。っていうか現在進行形で追われています」
なんのことかと面食らう警察官にかまわず、わたしは今の状況を捲し立てた。
「わたしは今学校に備え付けのトイレの中に隠れています。わたしはある時偶然殺人犯……小野瀬正義の殺人現場に遭遇しました。体育大学所属の久能雅治の事件です。あれを見てわたしはある一通の手紙を出しました。わたしのことを見付けて始末してみろと。そして彼は本当にわたしのことを見つけ出し、わたしはこうしてトイレの中で隠れているという次第です。分かったっ?」
わたしがそれに気付いたのはその瞬間だった。
トイレの個室の上から、わたしのことを覗き込む二対のぎょろりとした瞳がある。透明な瞳は中のわたしを正確に捉え、つりあがった唇はあざけるように酷薄だ。
そこにいたのは小野瀬正義。わたしを負かした殺人鬼。
「おい君……君、聞いているのか? 悪戯だったらただじゃすまないぞ。だいたいそんな訳の分からない遊び……おい君っ。どうした? 聞いているのか?」
うるせぇ。わたしは警察機関への望みを捨てて、持っていた携帯電話を小野瀬正義の顔面に向かって投げつけた。ミラクルヒット。顔面を覆って喘ぐ小野瀬に向かって大きく扉を蹴って開けると、わたしは砂を詰めた靴下を小野瀬に向かって振りかぶった。
突如として開かれた扉に体を打ちつけ、肩を殴打された小野瀬正義は、すぐにその場でうずくまる。わたしが止めをさそうと凶器を振りかぶると、思わぬ存在に後ろから羽交い絞めにされた。
「ちょっとっ! 何をしているのっ?」
わたしを受け持っている体育教師の、確か田尾という女だった。おそらく女子トイレに入っていく小野瀬正義を見て、いぶかしいものを感じたのだろう。まったく小野瀬も間抜けな男だ。
小野瀬はその場でにやりと酷薄に笑んだ。終わった。わたしは思う。小野瀬はポケットからぎらりと光るナイフを振りかざし、こちらに向けた。田尾が険しい声を張り上げて小野瀬を制止する。無駄だ。わたしは思った。この男をおまえみたいな奴が止められる訳がない。わたしはこのまま刺されて死ぬ。
「ちくしょうっ! 余計なことをしてぇ、もうっ! バーカバーカっ! アーホっ!」
シリアスな場面に相応しくないほどに、わたしの罵倒は間抜けてしゃれがなかった。小野瀬はそれがツボに入ったように大きく笑う。そしてナイフをきらめかせると、こちらに向かって突進してきた。
田尾が信じられないような目をして小野瀬を睨み、そして出血する胸を抑えてうつぶせに倒れこんだ。
彼女の腕から開放されて、わたしは信じられない面持ちで小野瀬の方を見た。小野瀬はわたしの視線の意図を察して、にやにやとたくらむような目をしてこちらを見詰め返す。
「付いて来い。早くしろ。もうすぐ警察が来るんだろう?」
そう言って促すように背中を見せるので、わたしは何がなんだか分からなくなった。
「ゲームはおれの勝ちだが、しかし今となってはおれはおまえを殺さない。殺す理由がない。変わりに、一つ見せたいものがあるんだ」
わたしは首を傾げつつ、しかし彼についていくことにした。なんとなく、この少年はこんな時に嘘をつかないような気がしたのだ。
「しっかしおまえもちぐはぐだよな」
人気のない田舎道、どぶ川の端を両手を頭の後ろに回して歩きながら、小野瀬は僅かに弾んだ声でそういった。
「自分からあんなゲームを提案しといて、それで殺されそうになると警察に頼ると? まっとうすぎてむしろ意外だよ」
「そりゃ……死ぬのが怖くなきゃ、スリルを求めてあんなゲーム提案しないし……それに…………。……負けると思っていなかった」
「あはははっ。そりゃまぁ確かに、ふつうはそうだな、人間はっ。あはは」
そう言って小野瀬はけらけら笑う。得意げなその様子が目障りで、ムカついた。
「おまえのそういうところが、ふつうの奴には気持ち悪いんだろうな。自分とはまったく違うと軽蔑していた奴ばらが、ともすれば人間の本質を裸にしたような行動も取る。それはもはや、本能的な忌避といって良い」
わたしは頬を膨らませてうつむくしかない。腹の中が煮えくり返るような想いでいて、それでいて復讐するだけの気力も浮かばない。
「そんな風にいじましく黙り込むなよ。それは似合わない。おまえはもっと飄々としていろよ。一度はおまえに負けた人間として恥ずかしいぜ」
「一度は負けた?」
わたしは意味が分からなかった。
「ゲームに勝ったのはあなたでしょう? それが、どうして?」
「ああ。それはだな……」
小野瀬はその場で振り返り答えた。
「おれはその……必要なだけの殺人を誰にも見付からずに成し遂げたかったんだ。それが目標で、一人ぼっちのおれの唯一の矜持だったんだ。それを最初に打ち崩したのが淀川、おまえだ」
そう言って唇をつりあげて、こう続けた。
「だから嬉しかったよ。おまえからゲームに誘われた時は。これでようやく、おまえとの敗北を帳消しにして復讐するチャンスがめぐって来たんだってな。なんとなくおまえがそうなんじゃないかとは、思っていたよ。だけれどゲームに勝つには、もっと論理的におまえであると証明しなくちゃいけなかった。そしておれはそいつを成し遂げた」
得意げに何度も強調する小野瀬に、わたしは歯噛みするより他なかった。睨むようにして彼を見詰めるだけだ。
それからしばらく歩くと、わたしは林のようなところに案内された。光を遮断する木々の内側は薄暗く、葉っぱの匂いは香ばしい。小野瀬は枝木の中から粗末な棺おけ染みた木箱を取り出すと、わたしに向けて開帳して見せた。これを見てくれと得意げに。
現れたのは鼻を突くような異臭だった。箱の蓋を開くと同時に、あふれ出した瘴気が林全体を覆い、禍々しく歪めたようにさえ感じられる。中にあったのはつぎはぎにされた人々の死体だった。犬の鼻、中年の男の頭部、女性のものらしい長い髪の毛、しなやかな長い腕、繊細で細い指先、勇ましく俊敏そうな足……それらが一つの箱にプラモデルのパーツのように並べられている。わたしは思わず中を覗き込んだ。
「フランケンの怪物を作りたかったんだ」
と、小野瀬は言った。
「町中から有用なパーツを集めてね。究極の化け物を作り出そうとした。おもしろい遊びだろう? だけどそれには苦労したさ。おまえはマラソンの選手だから足をくれ、なんてお願いしたところで誰も寄越しちゃくれないからね。必然、殺してから奪い取ることになる。かれこれもう八人と一匹さ」
前に報道された分よりずっと増えている。おそらく警察も気付いていない殺人があったのだろう。
「鼻のパーツは、人間のものよりずっと優れた犬のものを特別に採用した。それくらいのほうが、怪物っぽいちぐはぐさが出ておもしろいと思ったんだ。胴体は臓物が入ってる重要なものだから、健康が一番健康が一番と毎日のように口にしているおれのおじさんのをもらってきた。腕は町を散歩してておっ、と思った綺麗な人のものだし、髪の毛の持ち主は美容院の前で張り込んでようやく選んだ。指先は手芸の名手さ。おれの小学校の頃の先生」
「……ふぅん」
わたしはうつむいて言った。
「だったら。あの時わたしを殺さないといったのは、そういうことだったんだね」
拗ねたように口にするわたしに、小野瀬は意外そうな顔をする。わたしは続けた。
「わたしには取り上げるよな優れたパーツがない。だから殺さないんだ」
そういうと、小野瀬はせせら笑うような声を漏らした。
「いやいや……そんなことはないよ。君は本当に、自分の振る舞いに無頓着で、本当にまるで無敵のように見えるのに、根っこのところじゃ我意が強くて繊細だ。君は本当におもしろいよ」
「ほっといてよ」
わたしはうつむいていった。
「ごめんごめん。誤るよ。それに……別に君のパーツがほしくないって訳じゃないんだ」
彼がそう口にすると、わたしはその場で顔をあげた。
「君の目が欲しい」
小野瀬は陶酔ように言った。
「その真っ黒に輝いた目が欲しい。どんな人間のものを抉り出したところで、それ以上のものはないってくらいの黒真珠だよ。……初めて見た時から、目のパーツはこれって決めていたんだ」
そう言って小野瀬は照れたように笑う。そしてポケットからおずおずナイフを取り出した。
「おれは君に事件の現場を目的された。だから君はおれのことを通報する権利がある。そして、君はおれとのゲームに負けた。だからおれは、自分の遊びを最後までやり遂げる権利がある。君が警察におれのことを通報しちゃった所為で、おれの時間にもう限りがあるんだ。だからせめて、その目玉をおれにおくれよ」
そう言って小野瀬はこちらに近付いてくる。わたしはその場に釘を打たれたように動けなかった。
わたしの目玉を陶酔したような表情で凝視しながら、小野瀬はナイフを振りかざした。わたしにはそれをかわすことができたかもしれないし、岩でも振りかざして相手を迎撃することができたかもしれない。けれどわたしはそれをしなかった。
小野瀬のナイフがわたしの瞳に叩き込まれた。小野瀬は興奮した面持ちでナイフを手繰り、わたしの目玉をえぐり取ろうとする。わたしはその場で絶叫をあげ、力の限り不恰好な抵抗を続けた。だがしかし、そんなものが無意味であることを小野瀬は知っていた。わたしにも分かっていた。
誰しも自分から望んで悪事を行うことはない。誰か偉い人がそういったらしい。
わたしはその意味が分からなかった。どうして故意でもないのに乱暴や略奪を行えるのだろうと。しかしそれについての先生の答えはこう。『悪いことをしなくちゃいけない人は、悪いことをしなくちゃいけないような状況に追い詰められているのよ』
大人の言うことはいい加減だ。小野瀬をあんな強行に駆り立てた理由を、いったい誰に理解できるというのだろうか。
退屈な世界の向こう側が見たかった。両親の庇護の元、何不自由ない孤独に押しつぶされる生活の中で、自分が自分であることを示すモニュメントが欲しかっただなんて。おそらく、彼が他の誰かに理解されることは、これから一生ないように思われた。
目が見えなくなったわたしは、しばしばとある山奥へ出向く。光のない世界だけれど、そこにいたるまでの道のりは完全に記憶している。
そこには棺おけ染みた木箱があって、中には小野瀬が血道注いで作り上げた怪物が眠っていた。
警察が事件の事後処理を始めた時、この奇怪な怪物のことだけは見付けられなかった。小野瀬が隠していた訳ではない。これを山奥に持ち込んだのは他でもないこのわたしだった。
棺おけの中に体を押し込み、わたしは腐臭を発する小野瀬の作品と抱擁を交わす。腐敗しきったどろどろの怪物は、わたしにとってどうしてか温かく、とても安心するものだった。
小野瀬は事件後、これが見付かり世間に公表されることで、世界に自分の存在を知らしめようとしたのだろう。だから、これを隠したことは彼への復讐であり、彼に対する独占欲でもあったかもしれない。彼の作った作品をわたし一人がひとりじめできると思うと、わたしはとても気分が良かった。
彼は十二歳の子供でしかないから、少年法の元すぐに形だけの施設から出てこられるはずだ。こうして木箱の中で眠っていれば、いつか小野瀬が、わたしを探しに来てくれるだろうか。わたしは光のない世界にその日の景色を移しこみながら、腐った腕に抱かれて静かな眠りについた。
わたしが本当の優しさに包まれることができるのは、抉り取られた自分の目玉と一緒に眠る、いまやここだけだ。
最低で愚かな奴を書こうと思いました。
子供というのは創作の世界において、もっとも無敵に近い存在なんじゃないかと思います。
2012年02月06日(月)21時30分 公開
「小説家になろう」に掲載された作品です。
こんにちは。ブルMAXです。
拝読したので感想を。見当違いのことを書いているかも知れませんが、そのときはスルーしてください。素人意見ですので。
自分は一人称というものを書けないので、いろいろと勉強になりました。主人公の内面というか、心の闇というモノが上手く表現できていたと思います。
ストーリーについてですが、最初は読むのが辛くて、読み飛ばしてしまおうかと思いました。ブラックな雰囲気は、どことなく道尾 秀介の『向日葵の咲かない夏』に似ているような気がします。ただ、明らかな違いは主人公の内面を読者に伝えていく課程でしょうか。ネタバレになってしまうかも知れませんが、『向日葵の咲かない夏』の主人公である少年も、心の中に闇を抱えています。ですが、その闇を読者が知るのはかなり後になってからです。
いきなりドカンとやってくるグロイ描写と、主人公の純粋で残酷な内面を見せられて、正直引いてしまいました。短編ですので、それは仕方ないかも知れません。ただ、読み進めていく内に、どっぷり世界観に入り込めました。主人公と小野瀬のゲームは、手に汗握りました。かなり面白かったです!! 私もこんな緊迫した駆け引きを書けたらなー、と思います。
ただ一つ気になったのは、学校中のスニーカーにマーキングするというトリックです。一つ一つ学校中のスニーカーをマーキングしていくという行為には、おそらく途方もない時間と労力が必要でしょう。その日の放課後から、主人公が夜やってくるまでの間にマーキングしておかなければなりませんが、はたしてそんなことが可能なのか。狙いを付けた人物、もしくはクラスの人間だけなら可能だと思います。
>わたしが本当の優しさに包まれることができるのは、抉り取られた自分の目玉と一緒に眠る、いまやここだけだ。
最後の一文は胸に染みました。読んでよかったと、心からそう思えました。最後まで、ブラックな雰囲気を崩さず書けていると思います。そして、ところどころに挟んでくるブラックジョークが好きですw
それでは失礼しました
ブルMAX様。読了ありがとうございます。
>>その日。体育の時間中。わたしはぶかぶかの体操着に着替えていた。
このシーン。着ている服を本当はブルマにしたかったのは内緒。中学一年生のちっちゃい子が砂の匂いのする運動場で着ているものといったらそれ以外ないと、ブルMAX様も当然そう思いますよね? そうですよね? 口にしていないだけでそうなんですよね? もちろん特攻は分かりますよ、このことで非情にがっかりさせてしまったと。本当に申し訳ありません。
さておき感想ありがとうございます。
主人公の心の闇……これについては実はちょっと反省点あるんですよね。
彼女を相当なイカレポンチに描くことは、まぁできたかなと思うのですが、しかしながらそうした心の闇を形成した何がしかについての説明が少々不十分になってしまったかなと。家族構成とかその辺漫然と考えてはいるんですが、どうせだったらもうちょい斬新で具体的なエピソードを突っ込みたかったところです。
最初読むのがつらかった……これは残念です。内容が酷すぎたから、だというのならもちろん覚悟はできていますが、多分それだけじゃないんじゃないかなぁと。マジにエレガントで流暢な文章書ける奴の小説なら、たとえどんな偏った内容でも読むのがつらくなんかなりませんからね。
「向日葵の咲かない夏」でしたら自分も既読です。あの作品の主人公と歪美ちゃんの違いは、自分の中の悪意に対する受け止め方なんじゃないかなと思います。この子は自分の心の闇とは仲良しですが、あの作品の彼にとっての心の闇は、一生涯ともに過ごしていかざるをえない家族のような存在でしたから。この辺で描写のナチュラルさに差が出ているんだと思います。俺の書くのはちょっと安っぽいのかもw
正直引いたかー(嬉しい)。いやまぁ作家というのは一部の例外を除いて露悪趣味の持ち主だと思いますし、自分もそうなのでそう言ってもらえると嬉しいです。普段は羽織っているコートを開き、本当の自分を見せ付けて顔を覆う人々を見て悦に浸る……そこに容赦というものは存在してはなりません。この作品は私の全裸です。だからそのままじっくり僕を見て! もっと!
スニーカーにマーキング……やっぱ違和感あるよなぁ。
一足に10秒かける全校生徒が600人と考えて、最短で仕上げても二時間弱ですか。クラスメイトだけにするというのも考えましたが、「どーせなら派手なのがいーだろ! もっと熱くなれよ!」ということで全校生徒に。実際このトリック、考えれば考えるほど穴があるですよ。この作品であるような効果を実際に発揮するには、あと二つ程大きな偶然を突破しなくちゃいけなかったりw 主人公が翌日まで気付かなかったことを差し引いても。それでもまぁリアリティなんかクソくらえってのが自分なりの流儀ですんで、他の手段は使いませんでした。
最後の一文……これは嬉しいっすねw 正味エピローグ部分は全体から見ても良し悪しかなぁと思っていたので。下手すりゃここだけで全部無駄になりかねないくらいw 安心しました。
感想ありがとうございました。
おはようございます。読ませて頂きました。
あいかわらず技術論では語れない作品を出してきますねw
倫理観がフリーズしたような少女の一人称。一人称であるゆえ、少女の心象風景がそのまま世界観となっています。それが歪んでいるから作品全体が悪夢のような雰囲気に包まれるという作風。
ストーリー。骨格は意外にオーソドックスとも思えます。本作からブラックな装いを取り払ってしまうと、孤独な少女が生まれて始めて共感できる少年と出会う物語が浮び上ります。
ストーリー性は有るには有る。ただやはり、少し脆弱かな。それでいて読んでいてつまらないわけではなく、むしろ面白いんですね。
こういう作品がどうして面白く読めてしまうのか、正直、私にはよく判りません。たぶん文章表現力に独特の豊かさがあるからだろうと思っているのですが。ちょっと、私の枡では量りきれないというところがありますね、特攻さんの作品は。
表現の豊かさと書きましたが、今のところはエキセントリックな内容に頼っている部分もあるように見えます。また、以前の掌編と違い、この長さですとやや冗長さも感じました。
やはり長めの作品となるとディテールの脆弱さが響くところも出てくるし、メリハリのつけ方を工夫する必要もあるのだろうと思います。
こう言うと失礼かもしれませんが、特攻さんが今後どんな作品を書いていかれるのか興味を感じます。短編・長編の世界でもこの作風で押していくのか、それとも何らかの軌道修正を余儀なくされるのか、ということです。
それでは。執筆お疲れ様でした。
あまくさ様。読了ありがとうございます。
ひさしぶりのあまくさ様からのレスで、逆に緊張してしまいましたw 感想もひさしぶりならこちらから何か伝えるのもひさしぶり、そう思うといったい何から言って良いやら分からずアタマの中がこんがらがって結果返信が遅れてしまいました。ごめんなさい。自分、性根がシャイボーイなのです。今も足元が震えています。ついでにちょっとちびってます。さみぃです。
感想とても嬉しかったです。色々参考になりました。
倫理観がフリーズ……自分の意識したことを的確に言い当ててもらえると非情に嬉しいですねw 今回はひさしぶりの投稿ということで、いっちょ気合が入ったのをと思ってアタマの中の灰やら脳汁やら注ぎ込みましたので、そう言っていただけると光栄ですし、何せ安心します。自分はまだブレてないんかなぁと。
ストーリーが脆弱というのは目からウロコです。以前にも指摘されたような気がするのですが、明確に強く苦手意識を持てたのは感想をいただいた瞬間でやっとです。自分がすごいなぁと思うような作品と自分の作品の間にある隔たりをかいま見た気持ちになりました。
ある程度遊んでしまっても支離滅裂にならない無難なストーリーの上で、好き勝手やっていた、というところでしょうか。知らず知らず技術のない自分に甘えた描き方を採用していた気がします。そもそも自分、今までディティールに凝るという考え方を理解したこともなかったんですよね。本当におもしろい作品って「起承転転転結……と見せかけて……まさかのもっかい起に戻るぅっ!」とか平気でやっちゃうでしょ? その癖破綻とか見当たらない。そういうのがプロになる人間の技であり、自分の身に着けなくちゃいけない巧みさなんじゃないかなと痛感いたしました。
課題が見えなくちゃ努力のしようもありませんからねw 創作は一生懸命やるお遊びだと思ってますが、やっぱり上手くはなりたいし、できれば結果も出したいから。やっぱ、このサイトには居付いてしっかり感想もらわなきゃだと思いました。今度は多少ムチャクチャでも話が二転三転読者を振り回すようなのに挑戦したいと思います。
今後の自分の作風……やっぱり初心は忘れないようにと思います。迷いなく楽しんで。しかしながら自分、底抜けに明るかったり、偽善的な程スウィートなのも結構好きなんですよね。色々挑戦したいと思うし、その上で作品に打ち込む時の気持ちは変わらずというのが理想ですね。とりま、二百枚まで書いたのに放り出した長編に早く手を付けるべきかなw 合間にこんなの挟んで文体変わらなきゃ良いのだけれどw
感想ありがとうございました。
りりんです。
この作品を読んで、「バトルロワイヤル」を読んだ時のような衝撃を受けました。
とても嫌悪してしまいたくなるようなグロイ作品ではあるのですが、素晴らしい。
殺人者VS狂人というのが斬新でした。マーキングのアイデアも良かったです。
ただし、このままでは一般に受け入られるとは思えないです。
コアな層にうける小説を目指すならこれでいいのかもしれませんね。
りりん様。読了ありがとうございます。
バトルロワイアル……まさに中学二年生の時読みましたが、「何食わぬ顔でムチャクチャなことをやるカッコ良さ」的なものはあの作品で学びましたねw あの作品のすごいところは、あんなに残酷でめちゃくちゃな内容だけど、登場する四十人の生徒全ての行動や思考をリアルタイムに描写しているところです。モブみたいな殺され方をする生徒がいなくて、きちんとその人物がその人物なりにあがく様子をしっかり描いていて、ゲーム的に人をあっけなく殺してしまう低俗さがぜんぜんないんですよ。そういう点では、むごたらしく残酷な内容でありながら、こういっちゃなんですが非情に人間的なお話だと思うんですよね。
その点。自分の書いたこの話では、メイン二人以外の人間を本当虫けらみたいにいじめていますから、正味嫌悪されても仕方がないかとw 絶対一般に受け入れられないw これが好きな奴ばかりの世の中は正直俺が嫌だw
素晴らしいとまで言ってもらえてとても光栄です。
殺人者VS狂人。自分で書いていてとても楽しかったです。またやってみたいですねw イカれた人物がいくらでも存在できるのが創作の世界の良いところだと思うのです。
感想ありがとうございました。
瀧島と申します。どうも、はじめまして。
独特の雰囲気のある語り手にぐいっと引っ張られるように読みました。魅力的な語り口で、この子は一体どんな奴なんだろうと気になり先を読みました。小学生時代のエピソード、ズキズキしますね。手紙怖い。この子がどんな顔でいたのか分かりかねますが、先生の顔はなんとなくイメージできました。学級崩壊大変だろうな。
小さいこと以外はあまり外見描写もなく、自分を醜いというのは中身だけなのか、それとも容姿全体を指していたのか、どうなんでしょう。歪美ちゃんめっちゃ気になる。
対して男の子。最初はどうやって中学生がこれだけの人をやるんだ? と疑問に思いましたが、特にそこは説明なかったですね。ちょっとこの事件に関してはリアリティがなく、歪美ちゃんをやりそこねるぐらいだから、ここまで警察に捕まることなく犯行を成し遂げるとはちょっと考えられなかったです。
ラストのフランケンとの抱擁。色々と想像を掻き立てる場面です。歪美ちゃんこれからどうなるんだろう。
全体を通して物語にどっぷり浸かりそうな所を、現実味のない設定に少し冷める。こういった山谷を二、三回繰り返し、何とも消化不良のまま終わってしまいました。結構気になる設定はあったのに、そこはあまり取り上げられず。お母さんの二面性とか、歪美ちゃんの家庭環境とか。――あ、タマーキン粉砕はものすごいインパクトがありました。多分作中最高に。おじさんお大事に。
辛口批評の場、ということで図に乗りました。申し訳ありません。
特攻さん。おもしろかったです。短編を読むのはこれが初めてですが、私の記憶に間違いがなければ、きっといくつも特攻さんの掌編を読んだと思います。巨人を愛してらっしゃる。眼球、アリの、できれば穴掘りをもう一度書いて……図に乗りました。
貴方の次回作を、子供のように胸躍らせながら楽しみに待っております。
瀧島様。読了ありがとうございます。
>私の記憶に間違いがなければ、きっといくつも特攻さんの掌編を読んだと思います。
今年一番嬉しかったw まだ覚えてくれてる人がいるだとwww ちょっと泣いてくるw
穴掘りとはw 巨人も眼球も自分で気に入ってるけど、あれが好きな人がいてくれるとはw 真剣に書き直したら長編サイズになりかねないんですよねアレ。だがしかしそう言ってくれたからには、特攻はいくらでもがんばれるよ! また推理小説書くもん!
さておき。感想非情に参考になりました。
歪美ちゃんの容姿についてですが、自分の書いたキャラだから人形のように愛らしい子であって欲しいというのが作者としてはありますねw もうちょっと分かりやすいところに彼女の容姿について滑り込ませておくんだった。この辺一人称の面倒なところです。歪美ちゃんに再開した小野瀬がその黒い目を吸い込まれそうに見詰めるとか。
手紙のアイデアは自分でも気に入っています。子供は不幸の手紙とかそういうの好きですからねぇw その辺の心理を誘導しつつ学級崩壊に導けるだけの人間掌握力があるのに、彼女はどうして孤立しまくってるのか。その辺の歪なメンタリティも作品のリアリティのなさの一つだと思います。まぁ現実にいっこない人物像だからこそ小説で書いてみたくなるんですけどw
小野瀬正義……こいつの人間像も謎だよなw
とろくさくてどっちかってーと臆病な中学生、だけど自分がすることが失敗するとは思っていない意味不明な自信を持ってる。現実にいたらどう考えても一人目で逮捕ですよねw
リアリティのなさは自分の知識量の少なさ、思慮の浅さ、人生経験の少なさの帰属するものだと考えます。書きたいものしか書いていなくて、それを阻害する現実的境地から逃げて逃げてしているんですよね。それがどうしても読者様を冷めさせてしまったり、作品を浅はかなものにしてしまうのは大きな課題だと思います。でもでも面倒なんだなぁ、リアリティってのはw
気になる設定があると言ってくださって天にも登る気分です。色々ぶちまけた方としては、それに興味を持ってくださることは無情の喜びです。しかしながら、せっかくそんな風に思ってくれたのにその内容をきちんと伝え切れなかったというのは本当に悔しい。
歪美ちゃんの家はお兄ちゃんとお父さんお母さんと父方の祖父母という構成で、おじいちゃんは寝たきりで放置でおばあちゃんは変な宗教にはまったイカレポンチで、お父さんはろくでなしだけど子供には好かれててお母さんが実権を握ってて誰も手が付けられなくて、それに唯一対抗できたお兄ちゃんはとうの昔に家出しているというイメージです。ここまで具体的に書いといてあくまでイメージです。こういう背景は漠然と決めておけばそれなりに人物設定に貢献してくれますんで。でもしっかり決めて作中でもっと色々描きたかった。
タマキン粉砕……女の子が襲われた時はこれをすると良いですよw これという女の子になら、噛み砕かれてもかまわないし望むところだというつわものも、もしかしたらいるかもしれませんけどねw
感想ありがとうございました。
特効人形ジェニーさん、こんにちは。読ませて頂きました。
サイコものですね。結構好きです。
しかも、序盤からラストまでテンションをずっと維持されて、次から次へとサイコ要素が出てきたのがすごかったです。かなりこのジャンルの経験をお持ちなのでしょう。すごい体力だと、尊敬いたしました。私なら、途中で投げ出したり、主人公交代とか逃げに走りそうです。
>誰しも自分から望んで悪事を行うことはない
と、ありますが、この作品のキャラは、もうなんだか先天的に道を外れているような感覚がございました。いわゆる、アンタイ・ソーシャル・ディスオーダーですね。先天的に、社会のモラルを理解できないという、あれです。
新聞買う金がないのに、風邪ごときで医者にかかる金があるとか、細かい突っ込みもいろいろ可能ですが、それ以前に主人公は果たして『信用できる語り手なのか?』という不安感が付きまといました。その不安感をあおる辺り、素晴らしい腕前だと感じます。
小野瀬くんは地味ーな印象でした。なにせ主人公が光り輝いていますからね。もしや犯人ではない? 主人公の二重人格犯行? とか予想してみましたが、ラストは結構手堅い終わり方だという感じがいたしました。
一つ気になったのは、主人公の母上のお仕事。終末オンリーで機嫌が悪くなる仕事……? まあ、ろくな仕事ではないのでしょうね。
気の利いたアドバイスなどは浮かんで参りませんが、一般の善き市民の法が、道を踏み外した人間に意味をなさないのと同様、王道を外した小説に、一般的な批評が意味をなすものか……そんなことが気になることもございます。
楽しませて頂きました。
次回作も期待しております。
ツングー正法様。読了ありがとうございます。
イカレポンチはそこにいるだけで価値があると自分は考えます。世の中で一人イカレポンチが登場すれば世の中はそれを持て囃しおもしろがる。かく言う私も中学時代は「サカキバラ」から「モウマツキシキ」まで図書館で調べまくった愚者の一人で、自分にできないことを安々とやってくれる彼らに、一抹の敬意とありったけの軽蔑を向けて過ごしていました。
私の書いた小野瀬くんや歪美ちゃんと彼らの共通したところは、人見知りなかまってちゃんっていう部分です。本人の弁に従うなら「精神は脆弱で自分勝手な子供」というところ。これは高校生になっても自分一人じゃ何もできない私自身にも言えて、ようするに単なる自己投影で、執筆に体力も要らなければ、意識して修行した訳でもないんです。自分は好き勝手にしかやってません。王道ファンタジーとかなら一日書いたら二日休みが欲しいくらいで。
>誰しも自分から望んで悪事を行うことはない
これは結構好きな言葉で、「何事もそいつが悪かったりはしない」というのとあわせて、良く嘯きます。端からモラルに当てはまることを拒否してるみたいな、こうういった格言に当てはまらないイカレポンチを存在させうるのが創作のおもしろいところです。……あんたい・そーしゃる・でぃすおーだー……ぼくにはちょっと難しい言葉ですがw なんか能力名とかに使えそうw
信頼できない語り部……そういう路線もあったかなw 次そういうの書いても良いですかなちょっと興味出てきました。見える世界が人と違う子っていうのは、この主人公と違って少し不憫な感じになりそうですが。
小野瀬くんはやっぱり地味ですね。臆病で殺し以外何もできない奴を書きたかったのですが。それをどうにかしようと、校門前で主人公と(ちょっと中二っぽい)会話のやり取りをさせたり、何度も主人公を負かしてみたりしたんですが、やっぱりもっと具体的に強烈な印象を残すようなシーンを書かなきゃだったかなぁとおもいます。のほほんと人を傷付けるのは主人公の専売特許なので、美人の英語教師に興奮してぬっころしにかかったところを主人公に抑えられて逃亡……なんて感じで行きますか。
突っ込みどころ……うっ、鋭いこの人。
その矛盾は完全に迂闊でしたw 是非ともぼくの検閲さんになってください(おいw)。風邪っぴきの描写については普段は優しいお母さんを連想させるつもりでしたし、新聞を取ってないのは特殊な家庭環境を思わせるものです。一家に新聞や社会情勢に興味ある奴が一人もいないっていう。単純にタマキン粉砕が書きたいが為に理由をつけて図書館に行かせたというのもありますが。とりまどうにかつじつまあわせ考えなくちゃ。
お母様のお仕事……ぼくにもちょっと分かりませんが、偉い稼ぎが良いことを差し引けば、結構まともな仕事なんじゃないかなと。不機嫌になってヒステリーを起こすのは、どっちかってーとお母様の性格によるものだと思うので。年頃の女の子の内在世界、もっとも強烈な存在となるのが母親です。おかん怖い。
王道というのはおもしろいから王道ですので、王道の境地から邪道を分析することに価値はあると思います。そうでなくとも感想非情に参考になりました。
というかぶっちゃけ言ってしまうと、このサイトに投稿された作品の大半が王道をはずした独自の作風だと私は思うのですよw 素人だから皆好き放題やってるっていうw だから感想つけるのめっちゃおもろいw
感想ありがとうございました。
おはようございます。ttです。先日は自分の駄文を読んで頂きありがとうございました。
読ませて頂きました。始めから終わりまでノンストップで読めた作品は久しぶりのような気がします(読書量が多いほうではありませんが)。羨ましい文章力です。
名前とは裏腹に、主人公の女の子の(善悪に関わらず)純粋だからこそのストレートさ、子供って怖いですね。
えっと、なにぶんド素人でして、中身の全くない感想になってしまいましたが、素直に面白かったです。そうです、面白かったんです! それが言いたかったんです!
……すいません。
またほかの作品も読ませて頂きます。
tt様。読了ありがとうございます。
いっぺんに読み切ってしまわれるとは。非常に光栄です。自分は短編以上の作品の場合、読者様が読むのに苦労するんじゃないかということをまず考えてしまうので、そういっていただけるととても安心します。
迷いのない愚か者というのは書いていて非常に清々しいものです。善悪だのモラルだのというのは最大多数の幸福のために必要なものですが、他人に対する感情移入を覚えない身未熟な子供にとって、そんなものは足枷にすらなりませんからね。淘汰されるべきは、人に迷惑をかけることが自分への不利益になることを知らない愚鈍さです。そもそも他人からの恩恵を授かることを知らなければ、他人のことなんて考えてられないでしょうし。精神的に孤立するというのはまごうことなく悪につながります。それはとびっきり純粋でたわいない。
文章をほめてくださってありがとうございます。私はとにかくイメージをたっぷり楽しみながら好きなように書くので、技術はともかく迷いのない文章が書けていたんじゃないかなとうぬぼれています。今回の執筆は特に楽しかったし。技術的に安定した文章基盤もこれからめきめき身に着けていきたらなと思っています。
素直におもしろいといってくださって光栄です。なんだかんだ言っても、一番好きなのが「おもしろい」というものですw まことにありがとうございます。
感想ありがとうございました。
特攻人形ジェニー様、こんばんは。
人物、風景描写やストーリーがしっかりしていて感心しっぱなしでした。
独特の語り口も相まって物語に引きずり込まれました。面白かったです。
色々と参考にしたいです。
これからも、執筆頑張って下さい。
短いですが失礼します。
ラビリンスコーヒー様。読了ありがとうございます。
唐突ですませんが眠いです。いやいくら知り合いだからってせっかくの感想をいただいておいていきなりこんなことぶちかまして良いのかという話ですし非情に失礼なのは重々承知なのですが、正味、眠いです。これはというのもここ最近執筆続きで体に鞭打ちがんばりすぎであり、結果としての最高傑作の創作に勤めているからという訳ではもちろんなく、ヴァンガードのアニメを一晩中一話で見明かしたりデュエマのデッキ構築に一晩丸ごと使ったりブックマークした王国のトップページを何度もリロードして「復活しろ~、復活しろ~」と口元で唱え続けたりしたからなのですが、それはともかく感想いただいてすごく嬉しいです。
ラビリンスコーヒー様の感想は作者が言って欲しいことを端的に伝えてくれるからすごく勇気付けられます。この手の話は読者が付いて来てくれないと尻拭く紙と成り下がるので、物語に引き込まれたと仰ってくださるとものすごく安心します。
語り口は特にどういうものと気を使わずに歪美ちゃんになりきって書きました。執筆の良いところはちっちゃな女の子の視点になりきりじっくり堪能できることですねとか、なんだかロから始まる倒錯者だと誤解されそうですが私は至って正常です。ああ眠い。
感想ありがとうございました。
こんばんは
机とイスといいます。
作品を拝読させて頂きましたので感想を残させてください。
結論からいいますと、面白かったです。
歪美さんの一人称もとても読みやすかったですし、『悪』をテーマにした冒頭は、すごく惹き込まれるものがありました。今後彼女がどうなっていくんだろうという興味が湧きましたし、フランケンの伏線も今後を期待できるもので良かったです。
本作は恐ろしくアンリアルな内容のような気がします。どうやってがごっそり抜けている気がしますし、周りの反応も少しあっさりしいる気もしますし、残酷な描写のわりに痛みが感じられないような気がしましたし、多々出てくる匂いの描写もあまりリアリティが感じられるものではないような気がしましたし……。
ただそれがあまり嫌じゃなかったのは何故だろう? といろいろ愚考してみたんですが、ひょっとすると本作は、おとぎ話に近いのかもしれませんね。物語を楽しむというよりは、起こる出来事を楽しむみたいな。
もちろん、ただ出来事が起これば楽しいというわけではなく、興味を引く内容で、かつ適度な量とタイミングがあってこそ楽しい訳で、本作ではそれが上手く機能していたのではないでしょうか。
本作は、きっちり書けば、話のテンポが崩れ、面白みも減り、ただただ、不快なものになるような気がします。現状のアンリアルな描写だからこそ、興味を持って読めたのかなあと。
ちなみに蛇足かもしれませんが、終わりは何となくすっきりしない感じがしました。
小野瀬くんに対する『悪』のテーマはそれなりに納得出来たのですが、歪美さんに対する『悪』のテーマが曖昧というか、なんとなく残酷な描写で誤魔化されているような印象を受けました。彼女の一人称のわりに思いがあまり伝わってこないと言いますか……。
残酷な描写だけに頼るのではなく、もう少し彼女なりの『悪』に対する思いや行動を取って頂きたかったかなあと個人的には思いました。
内容的に突っ込みたいことは結構あったような気しますが、それは野暮な気がしますし、普通に面白かったしで、正直どうしたものやら……。
というのが総意ということでお願いしますorz。
拙い感想ではありますが、
この辺で失礼させて頂きます。
机とイス様。読了ありがとうございます。
めっちゃ青春の香りのするハンドルネームですね。青春といえば学校といえば机とイス、それも放課後の陽だまりに沈んだふんわりと暖かいアレですよね。自分は一度、好きな女の子の座ったイスに頬をうずめて恍惚を浮かべる学友に遭遇したことがありまして、あの時胸の中に広がっていった「青春だなぁ」という思いは、本当に何事にも変えがたく素晴らしいものでした。その後私は一部始終を携帯電話で撮影し奢らせた昼食の美味いことも良く記憶しています。ちなみに彼とその女の子は現在交際を始めています。
初手無駄話大安定。さておき今作のアンリアルな部分についてですが、これは単純に私の知的水準がきちんとした小説というものを書き上げるのに達していないからなのでしょう。どこまで言っても私の文章というものは小学生とかが折り紙の裏に書く御伽噺の延長であり、でもでもそれを人にせがんで読んでいただく喜びは今でも何も変わることなく、こうも恥ずかしげもなく稚拙な創作を続けさせていただいている次第でございます。はい誤魔化した。
すいません次はまともなの書きます。書き始めた当初は本当「書き続けてさえいれば少しはマシになる」とばかり思っていたのですが精神性も変わらずそんなことが実際にありえるはずもなく、読者様たちの忠告をむげにし続けた結果がこの盛大な荒唐無稽さ加減なのですよ。本当にお恥ずかしいとしか言いようがない。こんなムチャクチャな作品をあろうことかサスペンスのつもりで書いておいて返信で「リアリティなんて糞食らえ」とか失礼きわまることを垂れてている特攻ですが、今後ともちょっとでもまともなものを目指してとりあえず社会勉強からはじめたいと思う次第です。
さておき主人公の「悪」についてですが。こんな風に作品を分析していただき指摘までいただけるというのは、本当にこのテーマで書いて良かったと本当に強く思います。しかし同時に力不足も実感しましたね。
歪美ちゃんと「悪」の話ですが。彼女にとっての「悪」とか「見苦しさ」「稚拙さ」「愚かさ」とかいうのは全て自分自身そのものであり、そういった属性を強く持ち続ける自分自身をどこか他人行儀に眺めながらどろどろした葛藤を胸の奥の方に押し込めて、アタマ空っぽにしてどこか厚顔無恥に振舞っている、みたいなのが歪美ちゃんの正体です。ようするに善悪の区別が禄に付いていない癖、同時に自分は醜い悪人じゃないかという恐怖感も持ってるんですね。その辺がっつり描写しても良かったのですがなにぶん彼女自身が主人公なので、上手く説明する技量がなかったというのが悔やまれます。いやぶっちゃけ一番書きたかったところなんで本当に悔やまれます。色々無茶な描写ばかり暴走させるのが楽しいばかりで、読者を置いてけぼりにすることこの上なかったのでしょう。作り手の満足なんて二の次受け取る側のことを考えられるのが良い作者と伝説のフードファイタージョージはとあるシェフに向かって言いましたが、多分自分の創作スタンスの根本的な欠陥はそういうところにあるんでしょうね。今現在書いているこの返信レスもどっちかってーと自分本位に書いてしまっている気がするとか言ったら厚顔無恥でしょうか? とにかくおもしろいものを書こうと思ったら精神性から改めていかなくちゃいけないなぁと思わされる感想をいただき、非情に色々と参考になりました。
感想ありがとうございました。
はじめまして
物語の良さがよくでてる作品だと思います。
最初に手紙の伏線をはってるところ、次に手紙を利用してるところ。
どちらも上手く利用できてて感心しました。
他に、「気持ち悪い雰囲気も良く出ててますよ!!」
後、靴の裏の出席番号が足跡として残ってたあたりから「どうなるんだ?」とミステリーを感じさせてくれました。
時々共感できない主人公の気持ちがあったのが減点とはいいませんが、
作者の意図しない思想、世界観に進んでしまいました。
レスさせていただきます。
早速ですいませんが、ヴァンガードの『歌姫の饗宴』五箱買いました。SP含めてパシフィカが五枚出るという凄まじい封入率でもてあましてます。せっかくヴァミューダ使うならリヴィエール軸を組みたかったのですが。しばらくはレインディアでリオキャリンをバウンスしながらちまちま戦うとします。それでマジェやジエンドに勝てるかはともかく。
初手無駄話大安定。いや人のやってるカードゲーム事情なんてどうでも良いだろうけど。
こうへい様。読了ありがとうございます。
手紙の伏線ですね。これは学校の授業中に「リスクを犯さず直接手を出さず、どないやったら楽な方法で嫌なクラスメイトらをむちゃくちゃにできるだろう?」とか歪みきったことを考えていて思いついたアイディアです。流石に妄想するだけでこんなこと、実際にできる訳もないしそもそも高校生にもなって通用するはずもないので、小説の中で歪美ちゃんにやってもらいました。創作って楽しい。
気持ち悪いっすかw コンセプト通りといえばそうなんですが、自分が狙ってたのは『キモかわいい』『異常かわいい』とかその辺の萌え要素なので、この辺あと一息だったかもしれません。
主人公に共感できない……これは好みとしか言いようがないと思います。正味こんな風な思考回路の持ち主って、こんな子供に限らず世の中に割といますからねw そういう人達(すいません)にぞくぞくしてもらいたいが為の作品だったのですが、やはりそういわれると残念です。
感想ありがとうございました。
こんにちは、憂人です。
むこうでも拝読いたしましたが、とりあえずこちらに感想を落としていきます。……受験も終わりましたし。
グロテスクな描写や、歪んだ性格の表現はさすがとしか言いようがないです……読んでいてこちらまでぐにゃりと歪んでいきそうな物語。途中の引用ってメアリー=シェリーの「フランケンシュタイン」からとりました? 読んだことがないのでわからないですが、そうだとしたらかなり好みの部類の伏線。
ひとつだけ、子供にしてはあまりにも使う言葉が大人びていることが気になりましたが、ただの原則みたいなものなので言っても仕方がないですし、物語に直接関連はしないので構わないかな、とか思ってます。登場人物の頭がいいこともありますし。
只今ろくな感想を残せずに申し訳ないですが、このへんで失礼します。
これからも頑張ってください!
瀬海 憂人様。読了ありがとうございます。
向こうでも読んでくださってたんですね。ありがとうございます。あのサイトさまももう復活されないのでしょうか。メンバーの内の数人はまだこのように別サイトで見かけることができますが、行方不明も多くいてすごく寂しい気持ちです。本音で言えば企画の賞金が気になっていたりなんてそんなことはぜんぜん一切微塵もまったくありませんよ。
あの本の内容ですが。いやフランケンの怪物の話は自分も概要だけ知ってて未読で、っというか翻訳ものってなんか読めんくて(本人の文章じゃないと思うと)、そんでもまぁ小野瀬正義の犯行の動機を考えるに当たって真っ先にそれが思いついてしまったんでしょうがなく適当に捏造しました。読み返して見て「あれ?」ってなるくらいの味付けはできたかなとうぬぼれます。
グロ表現は……いつかは真剣にマジでえげついのに挑戦したいと思います。たまたま死体のようけ出てくる作品だったのですが、むごい描写って書いてる時は楽しいんだけど後から見てみると自分の想像力不足を嘆くことが多くて。『あかん……こりゃ繊細なグロ描写いうよりただの悪趣味やで……』ってな具合。インパクトより嫌悪感の大きく繰るようなぞくぞくっとしたのをやってみたいです。もっとも自分自身はネットに転がっている恐怖画像ブラクラで泣き出すような根性なしなんで、その手の調べものをするのは骨が折れそうですが。喧嘩は嫌いだね、暴力は大好きだけど……そんな感じで。
キャラの使う単語の難易度ですが。どんなに書いたってただの中一の子供の一人称にするのは難しいと判断し、そこで無理矢理主人公をちょっとはアタマの回るヤツにしたところがあります。子供の一人称って好きなんだけど、その辺ちょっち難しいんですよね。序盤はひらがなで単語を表記したりあからさまにアホなこと言わせたりがんばったけど、途中から作者本人よりも確実にかしこいヤツになってしまって。そんで恥ずかしげもなく『学年一位』なんて中一にしては賢すぎる言い訳にしかならない設定を捻じ込みました。つじつまあわせ万歳。
感想ありがとうございました。
非常に私好みの作品でサイコーでした。
「このクラスはいいクラスだ」とのたまう担任にうんざりしていたのは私も同じなので。主人公の行動は普通に考えるととても異常ですが、ちょっと捻くれた怖い物好きな中高生にとっては非常に共感できるものなのでは。
途中でゲームが始まり、小野瀬が論理的に主人公を特定してくるというパートもとても面白かったです。こういう「なんでもあり」で発想が問われるゲームはワクワクしますね。
ラストの解釈ですが、「目が見えなくなって絶望した主人公は自分を理解してくれる者の下で死にたくなった。でも小野瀬は自分をゲームで負かしたり目玉を抉り取ったりしたので嫌い。だから異常さの塊であり自分に近いフランケンの元で死んだ」というもので合ってますか?
そうだとしてもそうでないとしてもラストはちょっと分かり辛かったので、もう少し説明を増やしても良かったかなぁと思います。解釈のし甲斐がある今の形態でもまぁいいんじゃないかとも思いますが。
強いて欠点を言えば、ラストに強いオチを用意できなかったことですかね。それがあれば本当に完璧だった。ただし今のフランケンの元で死ぬオチも綺麗なんでそれほど悪いというわけではないです。
とにかく人を引きつける魅力に溢れた作品ですね。個人的には本当にクリティカルでした。
※どうでもいいことですが、作者名誤字ってませんか? 念のためカードのほうも見たんですが「特攻」でしたし。わざとでしたらすみません。
ロラン様。読了ありがとうございます。
中学の卒業式のことでした。わたしは当時通っていた中学校を下の下の中の下くらいの成績で学び終え、卒業生として在校生全員と向かいあう形でぼけっと突っ立っていました。だるいだるい気だるい早く帰って戯言シリーズの続き読みたいとか考えていると、普段はだるそうに周囲とぺっちゃくってるはずの在校生共が妙にしおらしいんですよね。なんだなんだと思っていると自分の両脇にいた男子がじくじく涙を流し始めて、自分のことをこっ酷くバカにしてくれた運動部のYなんか越せ魅せよがしに大号泣。在校生達もしんみりした空気でちゅくちゅく泣き始めたんですよ。おいおいマジかよと思ってものすご違和感にさいなまれていると先生の話が始まって、それが妙にあざとい内容で全校生徒が感極まって泣き出してついついおろおろしていると気付いたんです。ああ、こいつらにはこの卒業式を気だるく終えてしまうことができないだけの思い出が、この学校に対してあるんだなと。だからまぁこんな風に精一杯卒業式の場を演出して泣いて良いよって感じの雰囲気出して、目一杯卒業式を楽しんでいるんだなぁとか思って。うわぁなんだろうこれすっげぇ負けた気分だとか三年通して便所で飯を食い続けた自分は思って。それで自分のような置き去りにされた人間のことを一切お構いなしに勝手に泣いてるクラスメイト達がねたましいやらむかつくやらで。普段は人のことを隅に隅においやって好き放題してこんな日になったらここぞとばかりに人をほったらかしに泣き喚くのかよとか思ったら許せなくなって。顔を真っ赤にして諸手をあげて周りの視線をこの身に受けて、卒業式のムードが緩んでいぶかしそうに見る連中にとびきりバカにしたみたいな顔で『トイレ』と大声で叫んでその場を去りました。
トイレに向かう席でこんなことしかできないちっぽけな自分が悔しくて。バットでも拾って乱入して何もかもぶち壊してやろうかと思ったんですがそんなことする勇気もなくて、それで結局式が終わるまで外で時間をつぶして、いただいた卒業証書はぺしゃんこにつぶしてどぶにすてて家に帰れば両親にたっぷり絞られ、ああ自分のような脆弱で卑怯な人間は一生涯、誰にも共感できず誰からも共感されずに踏み潰されて暮らすんだなぁと泣きたくなるような夜を過ごしたのです。
と、いうのはたった今思い付いた作り話です。作成時間七分十六秒。
ラスト……つらかたかなぁ。それはちょっと作り手としては我ながら『無難なところに誤魔化した感』はあったのですよ。というかある程度動かした主人公なので最後の方は勝手に色々動いてくれて、このフランケンこの子なら持ち去って隠して愛でるだろうとかいうところまで思い付いた挙句、実際にそうしているシーンを書いて、そこからどうなるのかは書かなかったんです、お話を終わらせる為に。あのままのたれ死んじゃうっていうのも一つの結末ですが、この主人公、なんだかんだでゴキブリみたいにしぶとく生き残るような気もします。
名前の誤字……指摘してくださってありがとうございます。アドレス変わって修正できないのが残念ですが。というか結構デュエリストってラ研にいるんだと嬉しい気持ちになりました。カードゲーム楽しい。
感想ありがとうございました。
砕けたガラス玉と申します。
拙いですが、感想がえしに参りました。
拝読しますので、リアルタイムに感想を述べていきます。
>誰しも自分から望んで悪事を行うことはない、とかどこぞの偉い人が言っていたらしい。小学生の頃の先生に教わったことだ。
◆パウロさんや親鸞さんがそのようなことをおっしゃっていたような気がします。
> わたしはなんとなく納得した。わたしのお父さんは借金に塗れて空き巣に手を出したし、おばあちゃんは向いの家の良く吠える犬が怖くて殺してしまった。
◆的を射つつずれた子どもの感性を感じます。
>彼らは大人のように、何かにがんじがらめに追い詰められたりしていないから。
◆ませていますね
>子供は本来寝る時間であるが、夜の散歩は知らない世界を歩いているようで、すっかり癖になってしまっていた。
◆幼少のころ、母に連れられて夜道を散歩したのを思い出しました。夜の闇と猫の光る瞳が恐ろしかったのを覚えています。
>その引き締まった足には、深々とこぎりの歯が食い込んでいて、とっくに使い物にならなくなっていた。
◆ちゃ、着眼点が……。
>がんばれ! 負けるな!
◆これはある種の狂気と呼んでもいいですね。
>それにどうやってお兄さんをここに呼び出したのかが気になった。
◆そ、そんな事よりも、まず警察を……。
>どーしよ。
◆逃げて!
>ちょっとばかり拍子抜けしたみたいな気持ちにもなった。
◆肝が据わってますね。
>土くさいおじさん
◆辛辣ですね……。
>「ねぇ君。お小遣いあげるから一緒におもしろい遊びをしない?」
◆嫌な予感しかしません。
>「え? 良いの?」
◆そして付いて行く主人公。
>わたしを抱え込んだままおじさんが立ち上がるので、そのまま腕にぶら下がって公園まで歩く。
◆誰か通報しろよ、と思いました。
>公園に絶叫がとどろいた。
◆>ギャー!
>わたしは自販機の前でちまちまヤクルトを飲んでいた。
◆よくあんなもの噛み潰した後に、ヤクルトなんて飲めるな……。
>おじさんからもらった百円で買えるのが、これしかなかったからである。
◆100円と睾丸一つでこんな思いできるなんて、おじさんやったね!
>それでもわたしの所属するクラスではいつも楽しげな喧騒が響き渡って、教室中に笑顔が咲き乱れていた。
◆と、都市伝説級! です。いや、普通にあるのかな。私は知らないです。
>それがムカついた。
◆ちょっ……。
>それこそがわたしの願いであり、あなたに対するささやかなふくしゅうとさせていただきます。
◆こんなのが朝、机の中に入ってたら、怖くて一日中そわそわします。
>犯人は名乗り出なかった。
◆そりゃ、お前が犯人だからな、と思いました。
>わたしはこのような手紙をランダムで五人の机に入れた。
◆いい迷惑ですね。これは酷い。
>開放されたクラスメイトからわたしは毎日殴られ踏まれたが、それでもすごく嬉しかったのだ。
◆これは……。私から言えることは無いです。
>もうその頃には、わたしがクラスメイトに階段から突き落とされても、気絶したままロッカーに押し込められても、先生は何も言わなくなっていた。
◆何と言う捨て身の救済。アガペーですね。十字架の贖いです。
>わたしの自己紹介に、クラス中から失笑が漏れた。
◆多分、私もそこにいたら失笑していたと思います。
>「小学生じゃないの?」
◆ちょっと主人公が心配になってきました。
> 「わたしと会ったことなぁい?」
◆ほぼ直球ですね。
>彼は曖昧に首を縦に振った。教室から失笑が漏れる。
◆これは主人公、逆にすごいです。
>慰めようとしたわたしの言葉に反応した御井さんの態度は、まるで人を嫌悪したかのようなものだった。
◆主人公はサイコパスでは。
> 小野瀬に伝えなくてはならない。わたしが彼の犯行を知っている事実を。それも、差出人が淀川歪美であることが、ばれないようなやり方で。
◆住んでる世界が違いますね。
>キャベツの千切り機にわたしの手を突っ込んでは、ヒステリックに脅しつけた。
◆これってかなりグロテスクなことになると思うのですが……。
> 彼女の筆跡を良く凝視して、わたしはペンを走らせていく。なるだけわたしだと気付かれないよう、最大限に工夫した文章を書いた。
◆これって渡部さん危ないような……
>ただ一つ、俺とゲームをしてもらいたい。期限は一週間、おまえにクラスメイトを三人まで殺す権利を与えよう。
◆これ、冷静に考えなくても酷いですよ。
>こんな感じで良いのだろうか。わたしは渡部さんのメモと自分の書いた文章を見比べて、その筆跡の合致を確かめる。そしてわくわくとした気持ちになった。
◆渡部さん逃げて、と思いました。
> 「一人で萎縮して、どうにかやり過ごしているように見えるよ? だから嫌いなんだ、自分以外の人間のことが」
◆まともな人に見えます。
> 小野瀬のナイフがわたしの瞳に叩き込まれた。
ぐぇ、と思いました。
<読後>
面白かったです。
台詞回しや独白に良い意味で突っ込みを入れたくなるくらい夢中になりました。
ラストに関しても、あのオチを思いつける人はそう多くないと思うんですよね。
雰囲気をまねただけの、にわかとまでは言わないですけど、そういう人には決して思いつけないオチだったと思います。
ちぐはぐな存在にも、最期、救いがあって良かったです。
このような素晴らしい作品を拝読する機会をくださりありがとうございました。
次回作も応援しております。
テンションのおかしい特攻です。とっくに埋まってた作品にばんばん感想入って舞い上がってるのと眠いのとテスト期間中なのが手伝ってやばいテンションです。さっきからおかしなことしか書いてない気がしますし失態さらしまくってる感じですがこのまませっかくいただいた感想をほったらかしにする訳にもいかんので、っていうか返信するのがおもしろくなってきたので続けたいと思います。
砕けたガラス玉様読了ありがとうございます。
◆パウロさんや親鸞さんがそのようなことをおっしゃっていたような気がします。
有名な言い回しですね。自分に言い訳する時しょっちゅう使います。
◆的を射つつずれた子どもの感性を感じます。
ありがとうございます。まさに自分はそれを狙ったので。子供って大人があえて迂回してるような思想や言葉を直接ぶち割って真相に辿り着くじゃないですか。そんな感じ。
◆ませていますね
ませガキのクソガキです。性質悪いです。
◆幼少のころ、母に連れられて夜道を散歩したのを思い出しました。夜の闇と猫の光る瞳が恐ろしかったのを覚えています。
自分は花火を見に夜の海につれてかれて大泣きしました。暗いとこ怖い。
◆ちゃ、着眼点が……。
これは天然です。よくよく考えればそんな人がのこぎりでぎぃこぎぃこやられてる状況で断面なんか見ませんよね。まぁこの主人公ならそういうほうけた見方もするんじゃないかなとか思ってほうっておいたのですが。
◆これはある種の狂気と呼んでもいいですね。
イカレポンチっす。そこに子供の無邪気さと拙さが加わって宇宙人となります。
◆そ、そんな事よりも、まず警察を……。
まったくそのとおりだと思います。それやっちゃうと話終わりますがw
◆逃げて!
なるほどその手があったか!
◆肝が据わってますね。
単に想像力が不足して現状がいまいち理解できてなかったんです。アホだから。
◆辛辣ですね……。
路上生活者っすから。結構その手の匂いは嫌いじゃないです。
◆嫌な予感しかしません。
紳士と幼女ですから。
◆そして付いて行く主人公。
人を疑うことを知りません。一見裏切られてもどうということもなさそうに見えます。
◆誰か通報しろよ、と思いました。
びっくりするほど正論です。そこは見てみぬ振りというヤツですよ。というかおっさんと幼女が仲良く歩いているだけで犯罪的だという認識が、そもそもどこか歪んでる気がするんですよね自分には。まぁ実際通報がデフォで正解ですが。
◆>ギャー!
んぎゃーっ!
◆よくあんなもの噛み潰した後に、ヤクルトなんて飲めるな……。
ヤクルトおいしいです。あと、歪美はようじよだからヤクルトからそういう連想にイマイチつながりません。なんとなく自分のされそうになってたことが分かる程度です。ホントです。
◆100円と睾丸一つでこんな思いできるなんて、おじさんやったね!
自分も無償で復活する前提ならですが、小さな女の子に噛み潰されてみたくないでもありません。嘘です。だって痛いですもん。いやでもその痛い思いをしてみたいっていう興味本位も……でもでも……きゃーっ。
◆と、都市伝説級! です。いや、普通にあるのかな。私は知らないです。
瞬間最大風速的にありえます。ですが誰かが現状の違和感に気付きそわそわしたものを感じ始め、自分は本当はそういうクラスを望んでいる癖、壊さずには不安でいられない衝動にかられます。人は多少すさんだ場所にいるほうが落ち着くようです。そして楽園はみんなからちょっとずつじわじわ壊されていきます。
◆ちょっ……。
明確に自分の中の悪意を自覚して、それを抑えようって発想がないのがこの子です。些細な違いです。
◆こんなのが朝、机の中に入ってたら、怖くて一日中そわそわします。
ツンデレのラブレターだとおもえばよいのです。『こんなこと書いちゃって……どんな形でもわたしのことを知っていて欲しい、でも名前を名乗るのは恥ずかしいし好きなんて書くのも……きゃーっ』って感じで迷走しまくったのを妄想して楽しみます。
◆そりゃ、お前が犯人だからな、と思いました。
この子は絶対名乗り出なさそうですね。学級会の間中一人でかいけつゾロリ読んでそう。
◆いい迷惑ですね。これは酷い。
大作戦です。
◆これは……。私から言えることは無いです。
子供って結構いじめられるの好きですよ。暴力や略奪、存在自体を否定するような暴言……あたりが絡んで来ない限り、いじめっ子達の輪の中に自分の居場所を見出して安心するものですから。主人公のそれはちょっと極端で、和気藹々としたクラスの不純物としてよりは、そっちの方がしっくり来たんじゃなかですか?
◆何と言う捨て身の救済。アガペーですね。十字架の贖いです。
酷い目にあってる女の子は、結構それまで何してても許される気がしますからね。この子は自分を罰するなんてこと意識的には絶対にしないだろうけど、なんとなく酷い暴力にさらされることで安心してたのかもしれません。
◆多分、私もそこにいたら失笑していたと思います。
自分の中一の頃の自己紹介がこんなんでした。適当に済ませようと思いすぎるとこうなります。
◆ちょっと主人公が心配になってきました。
かわいいとこも……あるんだぜ……。
◆ほぼ直球ですね。
アホの子ですから。
◆これは主人公、逆にすごいです。
アホの子ですから。
◆主人公はサイコパスでは。
まさにそれですね。他人に感情移入とか基本しませんし、子供ですから周囲に対するつつましさとかなくて、周りが理解できなきゃそれで放っておいてしまいます。そういう努力をしません。なんとなく寂しくなるくらいで、あっけらかんとしたもんです。
◆住んでる世界が違いますね。
あながちこんな子っていますよ。ここまで極端じゃなくても、人が思い付いてもすぐに打ち消すようなことを、延々と一人で考え込んでいるヘン子ちゃん。そういう子って話してみると本当おもしろくて、かわいくて、自分は好きです。
◆これってかなりグロテスクなことになると思うのですが……。
幼女の手のジュースだよ!
◆これって渡部さん危ないような……
自分に親切な渡部さんがなんとなくキモかったんでしょ。
◆これ、冷静に考えなくても酷いですよ。
理不尽極まります。鬼です、鬼畜生の悪魔女です。それでいて清純無垢です。何やってもアホだからで済まされます。
◆渡部さん逃げて、と思いました。
ちなみに自分、なんとなく渡部さんはマジで自殺したんじゃなかろうかなとか思わないでもないです。いやどっちでもお話的には問題ないんけど、裏で色々あったりしそうです。小野瀬くんと。
◆まともな人に見えます。
小野瀬くんはどこにでもいるちょっとオツムの足らない臆病な男の子です。それを見抜いて指摘するあたり、主人公もなんだかんだまったく周りに対してアンタッチャブルって訳じゃないんですよね。その辺のちぐはぐさをちょっとずつ自覚させら、戸惑ったり怒ったり泣いたりしてます。
◆ぐぇ、と思いました。
ここ、もうちょい痛々しくかけたんじゃなかろと思ってます。
色んな文章をリアルタイムにおってくれてすげぇおもしろかったです。
自分の作品をより深く理解することにもなった気がします。丁寧にありがとうございます。
ラストは結構良し悪しですね。しかるべきところに落とした気はするんですよ。相当主人公になりきることができた気はしてますから。でもでも死力を失ってからもう一つ、劇的なドラマがあったりしたら、作品はもう一段階転生できたかなとか思ったり。まぁ物語としては、と言う話ですんで、これで今のところは満足してんですけどね。
感想ありがとうございました。
こんちわ、Rainです。高得点だからという事で読ませていただきました。
じゃあ点数低い作品は読まないのかよ、と思うかもしれませんが、これは単に目に付いたからです。点数低くても目に付けば読みますし、高得点でもスルーする日だってあります。そもそもファンタジー以外を読むなんて滅多に無い事ですし。
作品の評価ですが、まずは文体から滲み出る狂気ですね。文章として見る分には問題無いのに、何かすっごく間違ってる感がする。
読んでいて不安になる作品と言うのは素晴らしいです。それだけ読者の心を掴んでいると言う事でしょうから。
キャラも流石と言わざるを得ない。立ち過ぎ。
所々ひらがな、なのに「劣悪」とか「萎縮」とか言っちゃう12歳。何考えてんのかわかんない主人公。噛み潰すし。
(気の所為かも知れないが)地味に中二っぽい言い回しと、若干度胸の足んない所がアンバランスな殺人鬼。仕方ないよね、中一だもん。
何点付ければいいのかなー? なんて思い、迷った末に40点。残りの10点は「後少し何か足りない気がするけど、きっとそこまで行けるはず」という勝手な期待を込めてあります。頑張って下さい。
好みは分かれるでしょうが、良い作品だったと思います。なんだか文章が書きたくなってくるのがその証拠。
短いですが、これで。
Rain様。読了ありがとうございます。
作者レスってこれで良いんでしょうか? せっかくいただいた感想なので、拙いですがレスさせていただきます(みてるかなぁw)。
そうっすねw 小野瀬くんは相当な厨ニ病です。というか世の中で猟奇殺人なんてやらかすのは、本気でアタマのおかしい奴の他には厨ニ病くらいなんじゃないかと思うのです。その両方を併発してる小野瀬くんは当然ぱかぱか人を殺しまくりますし、なかなかにサイコなのでそれでどんどん増長していきます。ですが殺人の喜びに思考が麻痺してるだけなんで、基本的には臆病なんで主人公とか本人が個人的に怖がってる奴を前にしたらボコボコにただやられるだけです。
萎縮……劣悪……まぁおかしいっすよねw なんだこの十二歳。単語のところどころに(最近知った言葉だ)(お兄ちゃんから教わった)とか書くことも考えたんですがね。どうも増長になりゃんして。
残り10点ですね。そうですね、自分で言っちゃなんなんですけど、自分は技術とか文章力とかでは勝負できてないと思うんです。足りなかったというなら、それは致命的なパズルのピースがかけてるんじゃなくて、あくまでも努力で手に入れられるものように感じるんです。多く言われているリアリティ然り、作品としての完成度のようなもの。自分の世界で勝負するのも良いし、やりすぎることはないと思うんですが、まずは基礎を固めるところをやってみて、それでどれくらい評価が伸びるのかなぁって考えていきたいと思います。
感想ありがとうございました。
面白かった。
ここ最近で一番ユーモラスがあった作品だと思う。