高得点作品掲載所      ギンギツネさん 著作  | トップへ戻る | 


女王様と優しい騎士

 私は女王様だ。
 私の登校はいつも早い。今朝も学校に着くと、私はまず手提げ鞄から上履きを取り出し、上履きといれかわりに履いてきたスニーカーをしまった。
 ちらっと見ると、出席番号に従って私に割り当てられた下駄箱は今朝もパンパンになっている。私の靴の代わりに詰め込まれているのは給食の残飯に、ひねりのない悪口で埋め尽くされた紙。私自身はまったく使っていない下駄箱だが、放っておいては生ごみが腐って困る。学校という場の公共性に配慮し、私はあらかじめ持ってきたビニール袋に迷惑なプレゼントをまとめてかきこんだ。これは教室のゴミ箱に捨てることにする。
 三十個の机が整然と並ぶ教室で、窓際の一番後ろ、私の机だけがいつものように異質だ。下々の者からの前衛的な落書きの贈り物にはもう慣れた。数え上げればきりがないが、いちいち消すのも飽きたので、そのままにしてある。ついでに机の中も確認する。芸が細かいことに、木工用ボンドで張り巡らした蜘蛛の巣に、昨日うっかり持ち帰り忘れた保護者用のプリントが捕まっていた。あとで担任からもう一枚もらってこよう。
 そう、下々の者を無用に刺激しないよう、私は毎日すべての勉強道具を持ち帰っているのだ。おかげで指定鞄は重いし、入りきらないもののために大きな手提げ鞄が毎日欠かせないのだが、まあ、健康にはいいと考えている。
 毎朝の儀式を終え、私はようやく自分の席に落ち着く。もう間もなく下々の者たちも登校してくるだろう。授業が始まるまで、私は読書にはげむことにしている。あっという間に賑やかになる朝の教室で、私は黙々と読書を続ける。
「後藤さん、おはよう」
 読書に没頭する私に無神経にも声をかけてきたのは野原ミオだ。性格良さそうな笑みと、肩口までの三つ編み、完全無欠の学級委員長という外見に騙されてはいけない。ミオこそ、私に楯突く下々の者のリーダーなのだから。親身になるふりをして、実は弱みを探しているのだ。私の強さと気高さに、下々の者もいい加減攻めあぐねているのだろう。
「おはよう」
 まったく、愚かな者の相手は疲れる。私は授業開始が待ち遠しくなった。授業中だけは、ミオたちの相手をしないで済むからだ。
 やれやれ、ようやくチャイムだ。さあ、今日も一日、戦いのはじまりだ。まったく、朝がくるたび戦いを待つ身というものは、これも女王様の務めとはいえ、憂鬱だ。

 いつもは誰よりも早く下校する私だが、今日はプリントを受け取りに行った時、担任に呼び止められたせいで他の生徒たちと下足室で出くわしてしまうことになった。
 いかにも頭の悪そうな隣のクラスの男子に混じって、一人見かけない顔がある。真面目そうなその生徒は小突かれるようにして外へ連れ出されていった。別に無視しても構わなかったのだが、どうせ今日はいつもより帰りが遅れている。この上さらに遅れても困らないと判断した私は、彼らの後を追うことにした。目的地は用具倉庫の裏だった。真面目そうな生徒を壁際に追い込み、口汚い言葉で罵る。その上、笑いながら容赦なく彼を殴る、そして蹴る。校内暴力の現場を目撃しておいて見逃すわけにもいかない。
 ……待て。こんなことが以前にもあったような気がする。確か今年の頭、一年の三学期だったか、自分が女王様であることを自覚するきっかけになったあの時の……いや、今思い出すべきことじゃないな。
 相手は馬鹿とはいえ男が複数。私が一人で出て行っても逆効果だ。というわけで、簡単なハッタリをかますことにしよう。
「先生、こっちです。男子が喧嘩してます!」
 様子をうかがっていた校舎の角から飛び出した私は、わざとらしく後ろを振り返りながらそう言った。視線を戻せば案の定、慌てた馬鹿どもが走って逃げていくのが見えた。
「大丈夫?」
 殴られていた生徒に声をかけてみる。私を見上げるその顔はいかにも気弱そうだった。それにしても、見覚えのない顔だ。
「あ、助けてくれてありがとうございました」
 殴られた頬が少し赤くなっているが、たいした怪我はしていないようだ。
「僕は二年B組の藤間トオルっていいます。良かったらお名前聞いてもいいですか?」
「A組の後藤イズミ。同学年なんだから、敬語はやめてよ」
「ああ、すいません。僕、転校生なもので、まだみんなの顔とか覚えきれてなくて」
「転校生か。抵抗しないからさっきみたいな奴らになめられるんだよ」
 そう、暴力を受けている間、彼は完全にされるがままだったのだ。
「友達は選んだ方がいいよ。じゃ」
「じゃあ、友達になってください」
 ……満面の笑顔とともに差し出された土のついた右手を前に、私は困り果ててしまったのだった。

「イズミちゃんと帰りの方向一緒だなんて、僕ほんとについてるなぁ」
 気温はまだまだ高くても、季節はやはり秋である。かなり傾きかけた夕方の光の中を、私はなりゆきで藤間トオルと歩いていた。
「イズミちゃんはいつもは友達と帰るの?」
「友達なんていないわ」
 女王様が下々の者と友達になるわけがない。それは私にとっては当たり前の事実だったのだが、トオルの受け止め方は違ったようだ。人の良すぎる笑顔をかき消し、彼は小さな声で謝った。
「別に気にしないよ。あんなレベルの低い人たちと友達になる意味なんてないし」
「だけど……一人は寂しくない?」
 たいした不意打ちだ。寂しい、というただそれだけの言葉が、鉄壁だったはずの私の芯に突き立った。落ち着け、私。女王様にそんな低俗な感情はない。
「私は違うから。女王様なの」
 しまった。自分に言い聞かせたはずの言葉をうっかり口に出していたらしい。トオルはきょとんとした顔だ。変な奴だと思われただろうか。まあいい、ここまで来たら話してしまおう。トオルの参考にもなるかもしれない。
「私はクラスの子たちとは違う種類の人間だってこと。だからあいつらになにをされても言われても気にならない。むしろかわいそうに思うわ」
「イズミちゃん、もしかして僕と同じように……?」
 それからしばらく、私たちは黙って歩いた。並んではいるけれど、二人の間の微妙な距離は、互いの間にある見えない壁を象徴しているみたいだ。これじゃ、一人で帰るのとさほど変わらない。学校をでて三つ目の交差点。ここで私は右に曲がって住宅街に入るのだ。
「私、こっちだけど」
 信号が変わったのでさっさと帰ることにする。もうトオルと話すこともないだろう。
「ねぇ、イズミちゃん。僕はどっちの人間かな?」
 まったく、こいつは不意打ちがうまい。私はついつい道路を渡り損ねてしまった。
「いや、あんたは友達になったんじゃなかったっけ?」
「良かった! でも女王様が二人ってのは変だし、僕は男だからね。わかった、僕は女王様を守る騎士ってところかな?」
 守る? さっき守られたのはトオルの方なのに。私はうっかり笑ってしまった。
「イズミちゃん、笑った方がかわいいよ」
 恥ずかしいことをさらっと言って、満足そうなトオルは笑った。
「じゃ、行くね。イズミちゃん、また明日」
「明日?」
「だって、友達だろう? 明日も一緒に帰ろうよ」
 そういうことか。そうだな、トオルの言うとおりだ。
「ああ、そうだね。また明日」
 騎士、か。頼りない騎士だが、その心意気だけは認めてやってもいいかもしれない。不意打ちはうまいし。

 たまには朝も一緒に行こうというトオルの希望に従い、私は早朝登校の習慣を曲げてまで、彼につきあってやることにした。しかし二人で教室へ向かう途中、階段の踊り場にできていた人だかりに道を阻まれてしまう。集まっているのはほとんどトオルと私のクラスの人間だ。踊り場の掲示板を見ながら囁きあっている。掲示板? 近づくと、人だかりの原因であるビラが嫌でも目に入った。私はゆっくりとした足取りで近づき、片手で引きちぎるようにしてそれを剥ぎ取った。
「……誰?」
 一音一音意識して話さないと、ヒステリックに叫んでしまいそうだった。冷静さを取り戻すのよ、私。こんなのいつもの嫌がらせよ、女王様として毅然としていればいいの。
「落ち着きなよ、後藤さん。そんなに怒らないで」
 私の剣幕に怯えたように一歩ひいた人だかりから、歩み出たのはミオだ。それで同情を装っているつもり? 大根役者め。
「それとも、本当のことだから怒ったのかしら?」
 もはや演じるつもりはないらしい。ミオの顔には勝ち誇った笑みが浮かんでいた。そりゃそうだ、あんたは私を怒らせることにようやく成功したんだから。巻き起こる嘲り笑い。醜い、なんて醜い。これが下々の者。いつだって高貴な存在のアラを探し、スキあらば攻撃して高みから引きずりおろそうとする。ミオ。それでも私はあんたにチャンスをあげる。
 だって私は女王様だから。
「今すぐ謝りなさい。そうしたら許してあげるから」
「後藤さん、いい加減に現実に気づきなさいよ。あなた、何様のつもり? ただのいじめられっ子のくせに!」
 いじめられっ子? 私が? 馬鹿なことを、現実に気づいていないのは私じゃない! 
 人だかりの輪が崩れる。笑い声が悲鳴に変わった。力強く私を掴む腕。ああ、トオルだ。嫌だ、私としたことが一瞬とはいえ怒りに身をまかせてしまったらしい。改めて見れば、逃げるように教室へと散っていく者たちに、それから階段下には……階段下?
「ミオ? どうして……私が?」
 踊り場からきっかり八段下、掃除の行き届いていない汚れた床に、ミオが倒れていた。右腕を押さえて痛みに泣き叫んでいる。状況は明らかだった。私が、ミオを……怒りにまかせて突き飛ばしたんだ。私はトオルの腕を振り払った。階段を駆け下り、ぎゃあぎゃあと私の名を呼び咎める声に耳をふさぎ、上履きのままで学校を飛び出した。重い荷物なんてあの踊り場に置いてきてしまったのだ。驚き顔の門衛の老人だって私を止められはしない。
 ごめんね、トオル。もう私は女王様ではいられない。

 家まで帰ってきてしまった。母親は今日も出かけていて、家には誰もいない。玄関で上履きを脱ぎ捨て、自分の部屋に駆け込んだ。しわになるのも気にせず、制服のままベッドに倒れこむ。乾いた音がして、くしゃくしゃになった紙が床に落ちた。
 あのビラだ。改めて見てもひどい内容だ。A4の紙の真ん中に、裸の男女の写真。その顔の部分だけが私とトオルに差し替えられている。つなぎ目もあらわな雑なやり方だった。そして写真のまわりには勝手な妄想が高らかにうたわれている。トオルの父親が会社を倒産させて莫大な借金を負い、自殺したこと。逃げるようにこの町に引っ越してきたトオルは裕福な私の家に目をつけ、金目当てでつきあっていること。そして私は金と引き換えにトオルを奴隷として侍らせていること……馬鹿馬鹿しい。
 終わりのない思考の堂々巡りをどれだけ続けただろう。私はいつしか眠ってしまったらしかった。枕もとの目覚まし時計を見ると、四時をまわっていた。
 呼び鈴が鳴った。
 突然のことに驚いて、私は階段を駆け下り、出窓から玄関を確認した。トオルだ。後頭部と胸を同時に殴られたような衝撃。めまいがした。無視するわけにもいかなくて、私はそっとインターフォンの受話器を取った。
『イズミちゃん? 荷物、届けにきたよ。あのさ、もしよかったからちょっと入れてくれない?』
 どうしよう。私が迷っている間にも、トオルは辛抱強く待っていた。重い荷物を両手にぶらさげたまま。そう、彼はけして私の荷物を地面に置こうとはしなかった。
「……入って」
 門の鍵を解除し、私はトオルを迎えるために玄関に向かった。
「イズミちゃんの家、中も立派だねぇ」
 全然関係のないことを言って笑いながら、トオルは荷物をリビングまで運んでくれた。
「イズミちゃん、今朝はありがとう」
 トオルの得意技の不意打ちだった。お礼を言われるとは思わなかった。
「僕のために怒ってくれたんだろ」
 なんだ、トオルには全部わかってたのか。
「ミオは、野原さんは?」
「大げさに痛がってたけどね、軽い打撲と捻挫だって。大丈夫だよ」
 軽い調子で言う。でも、別に私を安心させるための嘘というわけではなさそうだった。
「僕はほんとに気にしてないよ。僕の父さんが会社に失敗して自殺したっていうのも本当。イズミちゃんと友達になった理由は間違ってたけど、それは僕たちだけがわかってればいいことだし。でも、イズミちゃんが怒ってくれたのは嬉しかったよ……ごめんね、僕が守ってあげられなくて」
 悲しそうに、残念そうに、そしてなにより申し訳なさそうに、トオルは私に頭を下げた。
「いいよ。私は女王様失格なんだ」
 今、話すべきことじゃないかもしれない。でも、私の口は勝手に滑り出していた。
「ミオとはね、一年生の三学期まで友達だったんだ。小学校の時から一番の親友で、女の子同士仲良しグループでいつもつるんでた。最初、理由なんてなかったんだ。退屈してただけだと思う。グループの中で、なんとなくミオを仲間はずれにするようになった。寂しくて泣くミオを見て、みんな面白がってた。私はそれが許せなかった。だからグループなんてやめて、ミオの味方になった。だって、親友だったからね。だけど、そう思ってたのは私だけだった。いつのまにかミオはグループに戻っていて、つまり、誰でも良かったってこと。その時、思ったんだ。みんなと私は違う。正しいのは私だって。だから女王様になれたのに……だけど、今日私はミオを傷つけた。私も、他の女の子たちと同じだって、思い知った」
「イズミちゃんはやっぱり女王様だよ。話してたらわかる。イズミちゃんは正しい。だけど、今回はちょっと間違っちゃったんだ。どんなに偉い人だって間違えることはあるんだよ。女王様だって間違うことがある。間違いはただせばいい」
 トオルの言うことは正しい。だけど正直、ミオたちと顔をあわせるのが怖かった。
 でも、ここで間違いをただせなければ、私は今度こそ女王様でいられなくなってしまう。
「大丈夫、今度こそ僕がイズミちゃんを守るから。一緒に謝ろう」
 たった二人かもしれない。今日のことで私は確実に敵を増やしたし、トオルだってよりまずい立場に追い込まれたはずだ。けれど、たった二人でも私たちは女王様と騎士だ。
「やっと笑ったね。やっぱり、イズミちゃんは笑顔がかわいいよ」
 私、笑ってたんだ。それなら、もうきっと大丈夫。
「もう、帰ってるかな、ミオ」
「保健室行ってから早退したみたいだし。今から行く?」
「うん。つきあってくれるんでしょ?」
 そう、女王様らしく。間違いはただし、そしていつものように毅然として。
「もちろん、女王様。お供します」
 ふざけて返してくる私の騎士。頼りないなんて思ってごめんなさい。あなたの優しさこそが最強だと気づくのにずいぶん時間がかかってしまったわ。
 はじめて二人で帰った時と同じ、夕焼けの町を私たちは二人で歩いていく。明日も、明後日も、ずっとずっと二人で戦っていく。二人なら、勝ち目のない戦いなんてないと思えるようになったから。
 私は今、明日がくるのが待ち遠しい。


この作品が気に入っていただけましたら『高得点作品掲載所・人気投票』にて、投票と一言感想をお願いします。
こちらのメールフォームから、作品の批評も募集しております。

●感想
ぱんどらさんの意見
 はじめまして、ぱんどらと申します。
 『女王様と優しい騎士』を読ませていただきました。あまり役に立ちそうもありませんが、感想を書かせていただきます。

 ちなみに『お父さんは魔法使い』も読ませていただきました。テンポがよくて、後味すっきり。元気がいいキャラクターがほほえましくて、とてもおもしろかったです。キーキャラクターのお隣さんの印象がややぼんやりしていたのが残念でした。

 『女王様〜』はテーマが前面にでた小説だと思います。物語の展開は普通ですが、語り方がそれを独特なものにしていて興味深いです。もっとも、主人公は己の正当性から自分を女王様と呼んでいるのか、あるいはいじめに対する防衛策として屈折したものの見方をしているのか、よくわかりませんでした。……いや、両立するのかもしれないけれど。私は後者の読み方を採用しました。ですから、的外れな意見になるかもしれませんが。

 演出効果の面から。
 このようにいじめられている主人公ですから、口調はですます調が好ましいのではないかと思いました。地の文はあくまでも高貴な女王の立場や視点で、でも態度やせりふは一歩引いたような立場からのものにすると、屈折した少女の雰囲気がより顕著になるかもしれません。逆に、地の文はもっともっと女王目線でもよいと思います。

 ビラの場面ですが。
 ビラを発見して、ミオのせりふにキレて、階段下に落ちたミオに気づき、走り去る。感情が膨れ上がって、爆発して真っ白になり、急激に冷める。この物語でここだけが地の文に変化を求められる部分だと思うのです。もっとこだわっても良いと思います。例えば「怒りに身を任せてしまった」と我に返る前に、主人公が見たり感じたり考えたりしたことがもっとあってもいいのではないでしょうか。……現時点でも十分にありだとは思うんですけれど。
 うまいアドバイスはできませんが、一文を短くしたり、支離滅裂になったり、五感のどこかを強調して書いたり。テクニックを駆使すべき場面だと思います。

 終章についてです。
 ビラの説明といじめの原因の説明が並んでいます。最後に長い説明をされると、なんだかとってつけたように感じます。個人的にはいじめの原因は、この物語に必要ないのではないかとも思いました。齟齬は生まれますが、修正できそうな範囲ではないかと。
 また「女王様失格」とか「優しさこそ最強」とか、タイトルやテーマに関わる部分は直接書くよりも、オブラートに包んだほうが押しつけがましくないと思います。遠まわしになりすぎて、わけわかんなくなっちゃうのも困りますけど。


 私見ですから、あんまり突っ込んでもしょうがないですね。なんか気になるところばっかり書いちゃう癖があるみたいです、私。
 ギンギツネさんの文章は、ありきたりなようでいて独特の癖のようなものが感じられて、読みやすかったです。うまくいえませんが。これは褒め言葉です。
 ……でも三人称は苦手? とか思ったり。これは余計な一言。
 また、別の作品を読ませてください。楽しみにしています。


だいきちさんの意見
 読ませていただきました。感想を書きます。
 いい話です。日常をちょっと掘り返せばこんな素敵なエピソードが隠れている……
 ごたごたとファンタジーやSFの設定をこねくりまわしている自分に、
 ちょっとまわりを見回してごらん、と優しく問いかけられているような気がしました。
 ただ一言言わせていただくと、肝心の女王と騎士という設定が活きていない気がします。
 主人公の誇り高さと少年の優しさの表現が弱いと思うのです。
 それらを強くする意味で、主人公といじめっ子のそこに至るまでの経緯は重要ですし、
 その辺をもっと膨らませてほしかったです。
 また少年の強さについても、少年の身の上の不幸だったり、
 それでありながらの健気さを表現するには、このエピソードだけではもう少し、という気がします。
 色々と勝手なことを申しましたが、こういう人情話は私も好きな分野ですので、
 嫉妬混じりの批評ということで勘弁してやってください。今後も期待します。


穹〜Q〜さんの意見
 こんにちわ、はじめまして穹〜Q〜です。
 とりあえずイズミのキャラがいいですね。
 トオル、ミオといった最低限度必要なキャラのみで話を纏めるのは大変だったと思います。
 ストーリーの展開としてはそれほど突飛なことは……
 あ、う〜ん……イズミがお金持ちっていうのはちょっとひっかかりましたね。
 こう、そういう環境も相まって女王肌になったのか? と思うと私的には厭な感じです。
 むしろベタでも貧乏でよかったんじゃないでしょうか?
 ラストの「優しさが最強」という表現ですが、そこまでの地の文に
 『強さ』をほのめかすような表現がチラホラ見られるともう少し自然になると思います。


阿波座泡介さんの意見
 読ませていただきました。

 イジメってのはイヤな、なんて表現を使いたくないほどにイヤなモノですね。
 でも、最近はイジメって人間の本質の一部じゃないかと思ってしまいます。
 ああ、こんなことを考える自分がイヤだあ〜。

 あいかわらず、読みやすくて上手いですね。

 それに、ギンギツネさんって人間や自分のキャラが大好きなんだなあって思います。
 そのせいか、イジメル側が悪に感じられない点で、
 自己保護に女王様ってペルソナを使う主人公の危機的状況が弱く感じられしまいます。


一言コメント
 ・騎士格好いい
 ・主人公が前向き過ぎない、かといって暗くないところが気に入りました。
 ・あと男女がメインで恋愛要素が薄いろことも個人的にはツボです。
 ・優しいお話ー
 ・心理を描くのがうまい。
  葛藤のような苦しげな話を、ああやって救いのある収束に持っていったのには感心した。
 ・躓いてから立ち直る心理が上手く描かれている。ビラの内容は早くに明かしてほしい。
  どんな内容で怒っているのか分からないから。
高得点作品掲載所 作品一覧へ
戻る      次へ