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巧鎖さん 著作 | トップへ戻る | |
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学校の屋上から、景色を見下ろしていた。校庭とは反対側を向いているから目に見える地上に人は一人も見えない。
放課後になってすぐの時間だから、ここが校庭側だったら多くの生徒から視線を浴びることになったかもしれないが。 時間というのは残酷なもので気付けばもう中学2年だ。実感なんて全然ない、けれど体だけは着実に成長していくものらしい。 俺は後ろのフェンスへ縋るように背中を押しつけた。 ……そう、安全対策で設けられたフェンスの外側に俺はいた。ここから二歩も前へ進めば5階分の高さから自由落下できる。自殺するには持って来いの場所だ。 まだ時間は少し早いみたいだったので、空気を大きく吸い込んで心を落ち着けた。 昨日は俺にとって久しぶりの学校だった。つい最近まで病院にいたから新鮮ではあった。けど、長く病院で入院していた俺は、全てにおいて皆から遅れを取ってしまったらしい。 勉強もそうなら体力もそう。あと、人と話を合わせることすら上手くできない。今日もクラスに馴染めなかった。 確かに、途中で入ってきた人間が一日で馴染むのは難しいのかもしれない。けど、俺への陰口まで聞こえてくるのはさすがに……きつい。 片手に持っている白い封筒へ視線を向けた。 『遺書』と書かれたそれを、静かに折りたたんでポケットの中へ仕舞う。 後ろの方で、重たいドアの開く、軋むような音が聞こえてきた。その音を聞いて、俺は屋上の出入り口へと目を向ける。女子生徒がこの屋上に出てくるところだった。 その女子生徒が俺を見るなり、一気に険しい表情に変わる。 無理もない。小学校に上がる前からずっと友達だった人間が、身投げしそうな雰囲気で立っているのだから。 「詢……あんた、なにしてんの」 「見ればわかると思うけど」 加奈にこの姿がよく見えるよう正面を向いた。 まさかこの状況で自殺以外の解釈をする奴はいないと思う。 「やめよう、いくらなんでも死んじゃだめだって」 加奈は少しずつ近寄りながら、俺を説得しようと試みることにしたみたいだ。 「確かに、親不孝だろうね」 「だったら、こんなことやめよう」 諭すように言ってくる加奈。 必死なのが傍目からでもわかる。いきなりこんな場面を見せられて少なからず困惑しているだろうに、それでも俺を繋ぎとめようとしているみたいだった。 「勉強のこと? それなら今から頑張れば間に合うって、手伝ったりするからさ」 恐々しながらも、加奈が必死に俺へと言葉を向けてくる。 「運動とかだって、気になるなら手伝うし。対人関係とかも……絶対になんとかするから」 確かに勉強のこと、運動のことは努力すればなんとかなるかもしれない。けれど、クラスの皆のことは加奈が頑張ったところでもうどうにもならないと思った。 「きっと、大丈夫だって。なんとかなるよ」 いつしか加奈は、フェンスのすぐ近くまで来ていた。 「あたしも、頑張るからさ」 フェンスのすぐ近くで加奈が止まる。 加奈が口にする言葉には、切実なものを感じることが出来た。本当に俺のことを考えてくれているのだろう。それはなんとなくわかる。 「詢なら……3、4年の空白ぐらいすぐ埋められるって!」 その強い思いの込められた叫びを、加奈は俺に訴えてきた。 それで少しだけ、過去に思いを馳せる。 昔、二人の子供がトラックに轢かれたんだ。 小学4年生が、そんな事故を体験した。 幸いにどちらも死ぬ事はなかったし重傷を負うこともなかった。 そこまでなら奇跡みたいな、幸いな事故になっていたと思う。けど、現実はそれでは終らなかった。 男女の子供のうち男の子だった方は……どうやら、頭を強く道路に打ち付けてしまったらしい。 それからずっと昏睡状態が続いていたそうだ。俺の与り知らないところで勝手に入学していた中学校。その1年の3学期末まで、ずっと。 換算すると3年と7ヶ月。その間ずっと病院のベッドで寝ていたことになる。 最初は手足がまともに動かなかった。使われていなかった体は錆びついていて、リハビリを必要としていた。 それに知っている周りの人間は全て、俺の想像よりずっと大人びていた。止まったままの俺とは大違いだった。 そんな周りを見て、俺はむりやり自分を変えようとする。追いつこうと必死になる。でも、3年と7ヶ月という空白の時間をすぐに埋められるほどのものを、俺は持っていない。 結局は俺だけ、この時間の流れに取り残されてしまっていたんだ。 その思いを心に留めたまま、ゆっくりと口を開いた。 「皆に追いつくためには、きっと長い時間が必要だよ」 本当はこんなことを言いたくはない。けど、嘘を口にするわけにもいかない。 加奈の表情が沈んでいく、それが見て取れた。 体が震え始めて、がしゃり、と片手でフェンスを掴んでくる。 「なんで……やめてよ、それでも自殺なんてだめ」 こんな加奈を見ていると罪悪感が湧いてくる。 俺の知ってる加奈は、もっと明るい奴だったから。 「謝るから、死ぬ気で謝るから、こんなのやめてよっ!」 感情的になりすぎていて、その姿は見ていて痛々しい。 あの事故を軽症だけで済ませた加奈にしてみたら、その片割れがこんなことをしているのを見るのは耐え難いことなのかもしれない。 しかもあのときは、信号無視で駆け出した加奈を庇おうと飛び出し、俺は昏睡状態になったんだ。 当時の加奈は罪の意識からか、しばらくのあいだ塞ぎこんでいたと聞いた。だったら俺の自殺は、加奈の心にも消えない傷を負わすことになるかもしれない。それを考えたら自分の命がいつも以上に重たく感じた。 「俺はあのとき飛び出したこと、今も後悔してないよ」 加奈に笑顔を見せて、なぐさめるように言ってみる。 「こうすれば自殺しようとしてる奴のことわかるかなと思ったけど、全然わからなかったしね」 「え……」 俺の言葉を聞いて加奈が驚きの表情に染まりかけ、途中でくしゃくしゃに歪み始めた。 膝から崩れ落ち、頬には涙が伝い始める。 「なに、それ……たった、たったそれだけのために、こんなことやったの……?」 フェンスを握っている手に力が込められていき、金具が擦れあう音が聞こえる。 「あたしに、ここへ来るようメールで送ってきたのって、やっぱりあたしのこと恨んでるっていうのを見せるため?」 ぽつぽつとコンクリートに雫が落ちていき、少しずつ地面を黒く染めてゆく。 こんな加奈を見ていると、つい目を逸らしそうになる。 「でも……あたしを罵ったりするのはいいからさ、こんなことするのはやめてよっ」 ずっと俺に負い目を感じていたんだろう、あの事故から、今この瞬間でさえも。 俺は顔を伏せて、ポケットに仕舞っていた『遺書』と書かれた白い封筒を取り出した。 息を呑む気配がする。 「なんで、詢がそれ……持ってんの?」 「朝、一緒に学校行くときに、加奈がこれ落してったから」 これを失くしたことには気付いていたのだろう、加奈は朝から何かを探している様子だったから。 俺が『遺書』を拾ったとき、加奈にそれを返すことが出来なかった。 加奈が『遺書』を書いていたなんて、どうしても信じられなくて、悪いと思いつつも中を見てしまった。そしたら、おおよその内容は……俺への謝罪の言葉だ。 引き金はたぶん昨日。俺が居辛そうにしてたのと、一部であった俺への陰口。 ただでさえ俺に対して罪悪感を抱いてたみたいなのに、そんなことがあって、俺以上に加奈は追い詰められていたのだとようやく知った。 「これ、捨てるから」 そう言って白い封筒に『遺書』と書かれたそれを、思いきり破いていく。何度も何度も繰り返し破いていき、最後には細切れになって、紙ふぶきみたいにぱらぱらと風に乗り飛んでいった。 「俺は、加奈に死んでほしくない」 『遺書』を拾ってから、思い続けていたことを俺は言った。 加奈が俺を見上げてきて、弱々しく口を開く。 「けど、全部あたしの所為で……」 「そんなのは、俺が頑張れば大丈夫なことだから」 なんでもないことのような調子で口にする。 「それに、勉強とか手伝ってくれるって言ってたよね、加奈は」 それは始め、俺が自殺をしようとしていると思っていた加奈が言った言葉。 今にも崩れ出しそうな加奈と、俺の視線が交わったから、俺は出来るだけやわらかい笑顔を向けた。 「うん……うんっ! やる、やるっ」 そして加奈は泣きながら、ひとしきり頷き続けた。 ふたり一緒に階段を降りている。 ……さっきのことを思い出すと、いまになって足が震えてきた。 体は正直なもので、表面でどんなに強がっていてもフェンスの向こう側に立つのが怖くないわけがない。いくらあの状況くらいにならなければ、加奈と本音で話し合えなかったとはいえ、もうこんなことをするのはごめんだ。 横に視線を動かして、久しぶりに晴れた表情をしている加奈を見る。まだ完全に吹っ切れてはないだろうけど、でもきっともう大丈夫だと思うことができる横顔だった。 ふと、面白いことを思いつく。 「まぁ安心しなよ。とりあえず期末テストの順位くらいなら、すぐに抜いてあげるから」 屋上での笑顔とは別種のものを顔に貼り付けつつ、眼が赤くなっている加奈に向けて言う。 「そう世の中は甘くないって、あたしはそうそう抜かれやしないよ?」 にやりと、意地の悪い笑みを浮かべながら加奈が返してきた。 あぁ、いつ以来だろう。こんな冗談を交わしながら、お互いに笑顔でいられるのは。たったこれだけのことに、4年近くもかかってしまったのか。 片方は泣きはらした顔で、もう片方は臆病にも体を震わせながら、それでも俺たちは、ようやくまた笑い合うことができたんだ。 |
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●感想
いちふじさんの感想 いちふじです。 作品拝読致しました。 以下、感想等書かせていただきますね。 やられました。全く予測できない展開でした。してやられて、なんか悔しいです。 と同時に、読み終えて、いい話だったな、と思いました。 他の方も仰っていますが、 『俺は後ろにあるフェンスに縋った。 ……そう、安全対策で設けられたフェンスは、俺の後ろにある』 の所だけは「あれ?」といったん考えてしまいました。「俺」「後ろ」を繰り返しているので 『俺は背後のフェンスに縋った。 ……そう、安全対策で設けられているフェンスを乗り越えたのだ』 でもいいかな? と感じました。 あと回想部分が若干読みにくく感じました。表現で重なる部分(「幸いに=幸いな」等々)があるので、たとえば 『昔、男女二人の子供がトラックに轢かれたんだ。当時、小学4年生の。 幸いに、どちらも死ぬ事はなかったし、怪我もほとんどなかった。 そこまでなら奇跡的な出来事、になっていたと思う。けど、現実はそれでは終らなかったんだ。男の子の方は……どうやら、頭を強く道路に打ち付けてしまったらしい』 など、もう少し字数を削れるかな? と思いました。 それ以外は最後まで気をそがれることなく、納得の結末といいましょうか。 良作だと思います。 若輩者の私見ですので、間違っていることもあるかと思います。 もしお気を悪くされていたら申し訳ありません。 それではこの辺で失礼します。 爆弾岩石さんの感想 こんばんは、読ませて頂いたので感想を残していきたいと思います。 ミスリード、ってやつですね(ネタバレ?) くそぅ、上手いなあ。そういうの苦手なので純粋にうらやましいです。 しかし冒頭で少し気になる表現が。 >『……そう、安全対策で設けられたフェンスは、俺の後ろにある。』 この部分なのですが、フェンスの内側にいて、フェンスに背中を向けている状態とも取れるわけです。 そのせいで自分は一瞬「???」となってしまいました。 他に気になる点は無し、楽しく拝読させて頂きました。 それでは、次回作も頑張ってください。 まこきちさんの感想 まこきちと申します。 >校庭とは反対側を向いて<中略>目に見える地上に人は一人も見えない 「地上」がこの文章で適切でないように思います。 ただ、それが主人公の心情であれば別ですね。 つまり、自分が今から天界に行くような。 この場合は、今から死ぬ感じを出したいのですので、 「地上には誰もいない」という部分だけを頭だししておくとかのテクニックが必要かと。 >多くの生徒から視線を浴びることになったかもしれないが。 ものすごく寒気が走りました。 ここで引き込まれました。 >俺は後ろにあるフェンスに縋った 「縋った」という表現が適当ではないように思えます。 まあ状態が状態なので、そうなるかもしれませんが。 例えば、「縋るように背中を押しつけた」 >まだ時間は少し早いみたいだったので この行は、「みたい」で強調している、女子生徒が来る伏線ですが、必要ない気がします。 この後に、深呼吸をしたり、主人公の説明が入りますから、 女性生徒が来るまでの「時間」が自然に発生しますので。 >俺への陰口 「俺の陰口」ですね。 >独特の軋むような音 「独特の」は読み取りがむずかしい表現です。カットしまってもよいかと。 >女子生徒が入ってくるところだった 屋上へ出てくるところですよね。 >小学校に上がる前から<中略>立っているのだ。 >それも無理はない。 上下逆の方が望ましいですね。 (見る時に、改行がはいっちゃってるので。) >まさかこの立ち居地で自殺以外の解釈をする奴はいないと思う 「立ち位置」ですね。 「立ち位置」って表現はむずかしいので、 表現方法を変えた方が良いかも。 >加奈が口にする言葉には、切実なものを感じることが出来た。 文法が違いますので、 「言葉からは」等で。 >それで少しだけ、過去に思いを馳せる。 この後から、一人称、三人称がぶれてきています。 さて、指摘はここまでしかできませんでした。 なぜ出来なかったというと、ストーリーの面白さに引き込まれてしまったからです。 元になったものは読んでませんので、初めて読んだことになります。 とても面白いと思いました。 これを長編にした物語も読んでみたいと思いました。 haruさんの感想 こんばんは、読みました。 面白かったです。主人公が前向きだったので、ストーリーが重くなりすぎて無いので、気持ちよく読めました。 ストーリーが良かった分、気になる点がいくつかありました。 >男女の子供のうち片方、つまり当時の男の子である方は…… ここは【男女の子供のうち男の子の方は……】の方がすっきりしてわかり易かったと思います。 >「俺はあのとき加奈を庇ったこと、今も後悔してないよ」 『庇った』って言うのは相手を責めているような気がしてしまいました。 【俺は事故にあったこと後悔してないよ】などの方が相手を気遣っているような…… >あぁ、いつ以来だろう。こんな冗談を交わしながら、お互いに笑顔でいられるのは。たったこれだけのことに、4年近くもかかってしまったのか。 『4年近くもかかった』はちゃんと意識があって、その事(加奈と笑って話す事)に努めている場合ならわかる んですが、ここは『4年振りだった』とかの方がharuはいいかなぁと。 こういう展開は結構好きです。 また次回作期待しています!! mi-coさんの感想 はじめまして、mi-coといいます。 拝読させていただいたので、感想を残したいと思います。 全く想像できない話の展開で、一気に読んじゃいました。 とても面白かったです。 主人公の男の子が、加奈には死んでほしくない、と思った理由も納得できました。 最後まで読んだ時、私も頑張ろう! とか思っちゃいました。 あと、少しだけ気になった所なんですが、 >『校庭とは反対側を向いているから目に見える地上に人は一人も見えない』 とありましたが、正直どういう景色なのか想像できませんでした。 地上とあるから、田園広がる田舎の学校なのか、 街の中にある学校なら、確かにビルとかマンションとかで、 人の姿は見えないかもしれないのですが、少しピンと来なかったです。 >『後ろの方で、重たいドアの開く、軋むような音が聞こえてきた。その音を聞いて、俺は屋上の出入り口へと目を向ける』 『音が聞こえてきた』とありますので、『その音を聞いて』は省いても大丈夫だと思います。 ただ、あえて若干の時間差を表現してそう書かれたのであれば、 『後ろの方で、重たいドアの開く、軋むような音が聞こえてきた。 ……俺は屋上の出入り口へと目を向ける』 等の表現の仕方もあるんじゃないかなぁ、と思いました。 >『無理もない。小学校に上がる前からずっと友達だった人間が、身投げしそうな雰囲気で立っているのだから』 身投げしそうな雰囲気というのは、立っている場所が場所なので、そうだとは思うのですが、 雰囲気って場の空気みたいな意味だと思うんですよね。 失礼だとは思ったんですが、私なら『死を匂わせる雰囲気』とか、そういう感じで書きます。 これは私の感覚なので、無視して下さって結構です。 また次回作も頑張って下さい。 団子屋さんの感想 愛にはいつも飢えている団子屋です。 結局愛の力なんでしょうかね? 全体的に綺麗にまとまっていて良かったです。ここは変だろ?って思うのは「何で主人公そんなに前向きなんだ?」という事と、「リハビリ三ヶ月でよくそこまで回復したなあ」という事です。それ以外は非常にまとまっていて、描写も問題なく、良質な作品のように思えました。個人的な偉そうなアドバイスを以下させて頂きます。 ミスリードについてはあまり驚きませんでしたね。事前にミスリード作品だと知ってはいたのですが(だから読んだんだけど)、知っていても肝心のミスリードの内容を知らなければ普通に面白く楽しめるはずだ、と思っていたのですが、あまり驚きはしなかったです。前に他の方の作品でミスリードがあると知っておきながらも驚いたのがちゃんとあるので、そこはインパクト薄かったかな。何より「冒頭であんなに悲観的な事を言っておきながら幼馴染の自殺真似をするなよ」と思ってしまった。やっぱ愛ですかね?主人公があれだけしっかりした前向きな人間なのは幼馴染への愛があるからですかね?(作者さんがミスリードを狙っていたのかは分かりませんが、私はミスリードあると思って読んでました。これ変かもしれませんが一応ご了承ください) リハビリ三ヶ月について。確か昏睡状態に陥った人間はその事故に合った時から全く時間が進んでいないのが常で、彼の心は小学四年生のままであったと推測できるはずなのに、三ヶ月で社会復帰出来る。循環器系よりも精神的な部分でもっと教育が必要だと思う。確か現実の例では勝手に学年が上がるような事は起こらないと思います。再び四年生から始まって、学校の配慮があって現実の小学四年生とは席を共にする事はないにしても、学業の面では通信教育などで四年間を補完しなければなりません。多分現実はそこまで大雑把ではありません。 それを考えるとこんなに主人公がしっかりしている=語る言葉がしっかりして、自分の考えを持っているのは不自然に思えて仕方がない。後三ヶ月で本当に現場復帰出来るのかも疑問です。足の骨折とかすると三ヶ月くらいかかる時もあるし、肉体全体を看護の人が衰えないようにマッサージしても色々勘定して六ヶ月は現場に復帰するのは遅れるんじゃないかなと思いました。後勉強もしなければならないからいけませんから、実際には一年ぐらいは掛かりそう。 小中学校と言っても勉強は大変ですからね。現実が四年間も進んでいるという不思議な感覚も中々理解がむずかしそうですし、そこの点は今後考えていかれると良いと思います(周りの皆がいつの間にか四歳年上になっていたというのはタイムトラベラー以上に衝撃だと思う。だって四年取り返さなきゃならないから。そういう意味で色んな精神的苦痛が主人公を襲うと思う。小学四年生並の精神だったらまあいいかで済ませられそうですが、個人差もある事ですし、それを三ヶ月で答えを出せるかどうか怪しいところ)。 以上の点だけが疑問に思ったところです。これらを除けば整合性はしっかりしているし、内容も充実していて、素晴らしい短編だったと思います。欲を言えばオリジナリティが欲しかったかな。主人公も加奈も特に個性を感じられず、完成度の高い作品ではあったけれども、突き抜けた何かは感じられなかった。これを掌編内で作るのは難しそうですけれども、挑戦してくださるともっと成長できるかもしれません。 すみません。偉そうな忠告を言ったりして。 結局リハビリへの疑問が全開に出ただけで終わってしまったな……。 前読んだ短編『壊されるから』よりは圧倒的に良かったです。 描写に10点。内容に10点。合計20点です。 これからも頑張ってください。 一言コメント ・全体的に、良かったと思います。 ・掌編だけど、内容があって良かったでしょー。 |
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