高得点作品掲載所     とさとさん 著作  | トップへ戻る | 


罪に罰

 公園に生首がありました。
 二十代前半の男性のものでしょうか。なかなか顔立ちの整った、でもなんだか軽薄そうな感じが漂っている生首です。高校から家に帰る途中、砂場とブランコしかないごく小さな公園を突っ切るのですが、そこの砂場に打ち首獄門の如く、ひとつぽつねんと佇んでいたのです。
  私は顔を引きつらせて立ち止まってしまいました。ただ生首が公園の砂場にあるというだけでも十二分に驚きですが、それでも昨今物騒な事件を耳にする世の中 ですからぎりぎり納得できないこともありません。その場合はすぐさま警察に連絡をしたでしょう。しかしその生首、大変不可思議な現象を起こしてくれていま した。
 私と、ばっちり目を合わせていたのです。
 試しに自分の顔をちょっと横に動かしてみました。生首の眼球がそれに合わせて、つつと動きました。日はとっくに沈み、周りでは蝉がみんみん鳴いています。夏の夜、といえば怪談です。
 見なかったことにしました。
  なぜなら現実に起こりえない現象は現実であるはずがなく、つまり現在直面している現象は私の見間違えもしくは幻覚、そんなものを相手にするのは時間の無駄 だと判断したからです。別に私が遊園地に行っても決してお化け屋敷に入らない人間であるとか、友達の怪談程度で真っ青になって耳を塞いでしまうとか、そう いう事は、一切関係ありません。
 ともかく、私は生首から逃れるために早足で公園を抜けようとしました。所詮たかが首だけです。物理的に考えれば 動けるはずもありません。むしろそう祈ります。超常現象に物理的法則を当てはめるのはおかしいなどという意見は聞きたくはありません。万が一にも首だけふ わふわ浮かんで追いかけてきたら、正気を保てる自信があまりないです。
「ねえ、そこの君」
 生首が喋りました。いえ、もちろん生首が喋るはずがないのですが、とりあえず後ろから声が聞こえました。きっと通行人か、何らかの客引きが話し掛けてきたのでしょう。そんなのに取り合う必要はありません。
「あれ、無視? いや、ちょっと待って。冗談じゃなく助けて」
 後ろからさっきより切迫した声が届いてきました。
 聞こえなかった事にしました。
  昔から霊の言葉には耳を貸すなと言うではないですか。先人の警句は重んじるべきです。というか、あれはやはり幽霊か何かなのでしょうか。その昔に打ち首に された罪人が化けてでたのでしょうか。恐ろしい事です。早く成仏して下さい。きっとこの生首も、黄泉の道の同行人を求めているのでしょう。いえ、自分で動 けない生首は、運び役を探しているのかもしれません。ですがどっちにしろ御免被ります。私は平和な日常に生きるのです。
「うわっ、お願いだから……って。あれ、黒……?」
 平和な日常まであと一歩、という所。その寸前に生首が放った一言で私は恐怖感や諸々の感情が吹き飛びぴたりと足を止めました。
 何が黒なのか。
 生首の視点の位置と性別、そして私が今朝選んだ下着を鑑みればおのずと判断がつきます。
「あっ、やっと止まってくれ……ひい!」
 殊更ゆっくり生首の方を振り返った私がどんな表情をしていたのか、鏡で見たわけではないので良く分かりません。ただ目の合った生首が、夜道でばったり悪鬼羅刹と遭遇、というような表情になったのだけは見ていました。



 砂場に首塚を立てて差し上げようとしたのですが、生首さんは「俺はまだ生きている!」と供養を拒んできました。
「なにを馬鹿なことを。存在が奇怪なら言動も奇怪な方ですね。人間、首だけで生きてゆけるはずがないではありませんか。さっさと埋まって成仏してください」
「だから俺はまだ生きてる! 体を縛られた上に寝袋に詰められて頭だけ出した状態で埋められているけど、生きてるんだよ!」
 訴える生首さんに、私は手を止めました。仔細に確かめてみると、確かに幽霊というにはふさわしい様子ではありませんでした。霊にあるべき涼やかさとか希薄さというべきものがまるで感じられないのです。顔面は汗まみれで、非常に見苦しい感じです。
「ふむ、本当に生きているのですか。じゃあ、訂正します」
「おお、やっとわかってくれたか」
「さっさと埋まって死んでください」
「悪化してる!?」
 生首さんには構わず笑顔で首塚作成を決行しようとしたのですが、首だけの割にはなかなかに強固な抵抗を示されました。残念ながら諦めざるを得ません。
  私が手を止めると、顔面砂だらけになった生首さんが「助けてくれないか」と頼んできました。どうやら砂場に埋められてこんな有様になったようですが、しか しこの人、首の角度から察するにほぼ垂直に埋められています。これでは埋める方も大変だったでしょう。その労力を思うと、これを埋めた方には同情の念が浮 かばざるを得ません。
「なあ、早いとこ助けてくれないか」
「何故ですか?」
 生首さんの催促に私は首を傾げました。生首さんの表情が愕然としたものになりましたが、それはおかしなことです。私としては、生首さんがなぜそんなことを理解できないのかが理解できません。
「もう一度問いますよ。なぜ、私が、生首さんを、助けなければ、ならないのですか?」
「え、なぜって……っていうか、生首さん? 俺のこと?」
「だって、ですよ。通りかかった乙女のスカートの中を覗き見て、あまつさえ、今日び小学生でも恥ずかしがるような破廉恥な言葉を公共の公園で叫ぶような変態さんを、何故助けねばならないのでしょうか」
「いや……その、人助けと思って……」
 とたん、しどろもどろになった生首に、ふんっ、と鼻を鳴らしてやります。
「人助け。なにをちゃんちゃらおかしなことを。痴漢は人間じゃありません。欲に飢えて良識をわすれた野獣野郎には裁判を受ける権利もないのです」
「あるよ! 痴漢にも裁判を受ける権利ぐらいあるよ!」
「お や、生首さんは憲法法律にお詳しいようで。日本は基本的人権の尊重を認めていますからね。ところで知っていますか。近年、国民投票を経て憲法が改定される 運びになりましたね。その改訂の主だったものは平和憲法の九条ですが、何もそれだけではないのです。国会は憲法九条を変更する際に、それと一緒に幾つかの 条文に改変を加えています。環境権の問題なんかがいい例ですね。そして、基本的人権についても一文足されました。曰く『痴漢の人権は認めない』」
「うそだ!」
 残念ながら、もちろん嘘ですが。
 そもそも憲法はいまだ改訂されていませんし。
「下着をのぞいたことは謝る、ごめん。でも、なんとか立ち止まってもらおうと必死だったんだよ。それに男だったら誰だって……うぼっ」
 下手な言い訳を始めようとしたので、砂をかけてやりました。むしろそのまま埋めようとしたのですが、向こうも必死です。
「うわっ、待て待て。別に掘り返してくれとか言ってるんじゃないんだ。ただ俺の代わりにちょっと電話をかけてくれればいい」
 涙の説得です。この涙の主な原因は砂が目に入ったためと推測されるので、心が動かされる事はありません。
 しかし良いことを思いつきました。私はポケットから携帯を取りだしました。
「そうそう……って、ねえ、何をやってんだ?」
 生首さんは携帯をカメラモードにして構えた私を見て言いました。顔がちょっと引きつってます。
「何って、世にも奇妙な生首写真を撮ろうとしているだけですが」
 私の言葉に、生首さんの顔から血の気が失せました。ますます本物の生首そっくりです。
 しかし嬉々としてその姿をカメラに収めようとすると、必死の面持ちでぶんぶん首を振り始めました。む、これでは写真がぶれてしまいます。
 私は潔く写真を撮るのは諦めました。ただ携帯を構えたまま、カメラモードから動画へ。



 世にも奇妙な生首動画を撮らしていただいたお礼に、生首さんを助けてあげることにしました。
「とりあえず、警察にかければ良いですか?」
「ちょっと待て。なぜ警察にかける」
 生首さんの制止に、私は眉の片方だけを持ち上げて応じます。
「知らないのですか? 善良なる一般市民には、通報義務というものがあるのです。夜な夜な公園の砂場に埋まって、罪もないかよわき女性の下着をのぞきみて悦に入っている変態を発見したら、110のボタンをプッシュせねばならないのです」
「それはその通りだが、その変態は俺じゃない! 俺は埋められた被害者だぞ。誇張のしすぎだ!」
「はあ、いまだ己の罪を認めよとしませんか。生首さん、あんまり生意気言っていますと、罰として先ほど撮った動画をニコ動にアップしますよ?」
「それはマジでやめてください!」
「ユーチューブのほうがよかったですか?」
「お前みたいのがいるからネットいじめがなくならないんだよ!」
 必死な生首さん。半ば泣いている様は、見ていてなかなか愉快です。
「くそうっ。お前、友達少ないだろう」
 半泣きの生首さんが反撃を仕掛けてきました。こじ付けとも言えるような、ささいでみみっちい言いがかりに私は憤然とします。
「馬鹿なことを。なにを根拠にいうのです。私の周りは友達だらけですよ」
「ほう、何人ぐらいいる」
「友 達百人といって過言でないです。いえ、百人などにはとどまりません。低俗な欲望に支配されている生首さんと違って、私の人徳の及ぶ範囲は並ではないので す。私の交際範囲は男女の、そして先輩後輩同輩事務員教師校長の垣根すらこえています。学校の全てを網羅しているのです」
「それは素直に凄いな」
 感心する生首さんに、当然、と頷きます。
「もちろんです。繰り返しますが生首さんとは違うのです。そして、彼ら彼女らはみな口をそろえて私との仲をこういいます」
「おお、どんな友情の形だ!」
「『お前だけは敵に回したくない』と」
「女帝!? お前は学校の支配者なのか!?」
 恐れおののく生首さん。
 そんな生首さんに、私は教え諭すように語りかけました。
「そもそも生首さん。あなたは人にものを頼む態度がなっていません。そんなのでは、きける頼みも引き受けようとは思いませんよ。学校の頂点に上り詰めたものとして、生首さんを指南してあげましょう」
「くっ……! 微妙に反論できねぇ。じゃ、じゃあ、その頼み方とやらを伝授してもらおうじゃないか!」
「まず、相手の弱みを握ります」
「頼みの体裁を保った脅迫じゃねぇか! だからお前は女帝になったんだよ!」
 失礼な。
 温厚な私もいささかむっとします。
「ふんっ。ヒエラルキーの底辺を這いずり回っている生首さんと、その頂点にいる私とでは立場が違いましたね。根本的な格の差というのを失念していました。人間がミミズに礼儀作法を教えることができるなんて考えていた私が愚かでした」
「ついに俺は哺乳類ですらなくなったか」
「生首さんに一辺倒の礼儀作法がしつけてあるなんて夢想もよいところでした。いくら性本能に支配されている理性を忘れた愚かな野獣とはいえ、せいぜいワンコぐらいの知能はあると思っていましたが、あまりにお犬さんに失礼な考えでした」
「俺は最初から人間としてみられていなかったのか」
「しかしミミズだっておけらだってアメンボだって生きているのです。みんなみんな友達なんです。私も度量の広いところをみせて生首さんと接してあげようではないですか。
 おや、生首さん? 頭が高いですよ? ミミズさんに謝ってください」
「ついにミミズ以下になった!? というか俺の頭はいま誰よりも低い位置にあるぞ。これ以上どうやって下げろっつうんだ!」
「だからさっさと埋まって死んでくださいと言っているじゃないですか」
「最初に戻った!?」
 ひとしきりからかって満足しました。今度こそ本当に生首さんを助けて上げることにします。
 不貞腐れた様子の生首さんは、鬱々とした口調である電話番号を口にしました。ふんふん頷きながら番号を押していた私ですが、いざかける段になって少し怖気づきました。これ、どこにかかるのでしょう。生首さんに聞いてみると「俺の彼女のとこだよ」とのお答え。
「女性に掘り返させるのは、少々酷なのでは?」
 私が訊ねると、生首さんは思い切り顔をしかめました。
「ていうかな、俺を埋めたのはあいつなんだよ。俺のダチの奴等を丸め込んで」
「デンジャラスな彼女をお持ちですね。気が合いそうです」
「ほんとだよ」
「ふむ、そもそも何故に埋められたのですか」
  聞くと、やましいことがあるのか生首さんはふっと視線をそらしました。それを見て、ああ、原因はこちらにあるんだな、と合点がいきます。男が女に対して怒 りを買う理由など大して数があるものではありません。さて何だろう、と考えてみて、とりあえず最初に思いついたのを遠まわしに聞いてみることにしました。
「生首さん、私は男女の交際についてひとつ意見を持っているので聞いてもらえますか?」
 唐突な話の切りかえに、生首さんは怪訝そうな顔を致しましたが私は構わずに話を続けます。
「知っ ていますか? 日本国民というのは、十五歳から六十五歳までの男女比が大体四対六になっているのです。これはつまり、この年齢幅の男女全員が付き合う、も しくは結婚したとしても、どうしたところで全体の二割、人数にすれば何万人か、クリスマスとかバレンタインの時期に可哀想な思いをする男性が生まれてしま うことになります。これはどうしたってしょうがないことで、悲しいことに解決のしようがありません」
「それ、微妙に恋愛の話になってないような気がするんだけど」
 とつとつと語りますが、察しが悪いのか生首さんは私の言わんとする意図を掴みかねているようで首を傾げています。
「まあ、とりあえず聞いてください。生首さんは、運の良いことに彼女さんがいらっしゃるようですね。これから先に訪れる各行事、色々ありますね。それはそれは楽しみになさっているのかもしれません。
  しかし、男女交際とは基本男対女の一対一で行なうものです。これが一対一対一になったりしてはいけません。仮にこれが男対女対男の関係だったらまだ良いで しょう。だって男は余っていますから。こうすると、悲しい男がひとり減ることになるのですから、ある意味人助けと捉えることもできなくはないです。ばれな きゃ構いません。それに男というものは諦めが良いのが美徳のひとつと思っている節があるので、ばれたとしてもそう騒ぎにはなりません。大概、真ん中にいる 女が上手く事態を収めます。割と平和に収まることが多いのです。まあ、双方後味の悪さはありますけれどもね。
 しかし、これが女対男対女になった らどうでしょう。これはいけません。この関係が周囲にばれたとします。両側にいる女達はいきりたって男を責め、そして男を挟んだままにらみ合います。まず 諦めたりはしません。真ん中にいる男に事をまとめる甲斐性があるならまだ良いのでしょうけれど、残念なことにそういう例はあまりありません。大概、そうと うな修羅場になりますし、ひと段落したとしても女というものは根に持ちます。
 また、男の周囲にいる友人達も腹を立てるでしょう。男の友人には、 必ずひとりやふたりやさんにんやもっと、彼女がいない人間がいます。その人たちが、二股をしている人間を見たらどう思うでしょうか。『この野郎、ただでさ え男が余るのに、二股とかしやがって! 女を減らして俺たちみたいな男をさらに増やすつもりか? 何様のつもりだ! 片方よこせ! それができなきゃ死 ね!』などと男に怒りをぶつけるかもしれません。そして男の彼女さんと友人達が怒り狂い結託して、なんだかよく分からない生首が出来てしまったのかもしれ ませんが、生首さん、どう思いますか?」
 長台詞を言い終え生首さんに問いますが、生首さんはだらだらと変な汗を流すばっかりで私の質問に答えてくれようとしません。私は、ふう、とため息を吐いて
「要するに、浮気をする男は死ねばいいのにというお話です。まあ現実に人の気は移ろうものです。心変わりとか気の迷いなんて止められるものではないですから、私に直接関係なければ何を言おうとも思いませんけれどね。さて。じゃあ電話をしますよ」
「……よろしくお願いします」



 生首さんから聞いた番号の電話に出た女性は、声や口調から感じの良さそうな人だと推測できて、もう全ての非は生首さんにあるのだなというのがありありと分かりました。
  とりあえず女性と生首さんと話し合うということになりました。その話し合いで生首さんの進退を決めるそうです。掘り返すようなことになった時のため、女性 が男手を連れてくるという風に話は落ち着きました。私は生首さんにその旨を伝えて、もう何の義理もないのでさっさと帰りました。その後生首さんとその彼女 がどうなったかは知りません。翌日その公園を通ったときには生首さんの姿はありませんでしたから、おそらくは無事掘り出されたのでしょう。
 もしくは、頭も残さず埋められたのでしょう。



 私はとあるレストランで、現在交際中の男性と食事をしながらそのことを思い出していました。
 あんなおかしな出来事に遭遇したのも、もう随分昔のことです。生首さんのことなど、当時ですらあまり興味がありませんでしたし、今では調べる術もありません。印象深い事件ではありましたが、折々で冗談話として披露する他、実はそんなに思い返すこともありませんでした。
 その思い出をいま一から十まで回想したのは、向かい側で一緒に食事をとっている彼が「もし俺が浮気とかしたらどうする?」と冗談っぽく聞いてきたからです。
「そうですね――」
 私は頭に蘇った思い出を胸に、満面の笑顔で迷いなくいいました。


「とりあえず、埋めます」


この作品が気に入っていただけましたら『高得点作品掲載所・人気投票』にて、投票と一言感想をお願いします。
こちらのメールフォームから、作品の批評も募集しております。

●感想
黒猫さんの意見
 これはなんという怪談!
 いやいやコメディ!
 素直に面白いなあと感心しました。
 この先をもっと読みたくなるような話です。
 最初の設定から飛ばしまくってますよ。いきなり生首とかやられた……
 こういう続きを読みたくなるような作品ってやっぱりいいなあと思います。
 こう言っては何ですけど、やっぱりこれって物語の一部分なんですよね。
 どうして彼女と喧嘩したのか(まあ、浮気でしょうけど)。
 彼女はどんな人なのか、男のあれやこれや色々あると思います。
 ただまあ、それらを語ろうとすると枚数が多くなりますよね。
 そして面倒くさく――ごほんごほん。なんでもないです。
 何はともあれ、個人的にはかなりツボに入った作品なので感想書きました。

 ではまた。


札付の猫さんの意見
 こんばんは。
 早速ですけど感想を……ヤバス(何
 えっと、ホントかなり面白かったです。生首(仮)さんと女帝さん(恐)の会話はテン ポ良くて一々笑わせられる言い回しで、もう少し読みたいなーとか思いつつも読後もスッキリとした後味で。良い腕してますなーとか、お前何様だよと言われて も仕方ないようなことを勝手に思っていました。

 ただ、ちょっと疑問に感じた箇所が二箇所あったんで。自分の捉え方が問題あるのかもしれませんが、とりあえず上げてみます。


> 平和な日常まであと一歩、という所。その寸前に生首が放った一言で私は恐怖感や諸々の感情が吹き飛びぴたりと足を止めました。

 まずここなんですが、この文の前後でちょっと矛盾してるような気が……。
 生首さん、初め本当に首だけで追ってきてるものだと思ってたんですが、読んでいくと砂場に埋められているということで「あれ?」と引っかかりました。

>「あっ、やっと止まってくれ……ひい!」

 このセリフを見ると分かりやすいですね。それと、

> ともかく、私は生首から逃れるために早足で公園を抜けようとしました。
 
 この一文も。
「やっと止まってくれた」ってことは、女帝さん結構な距離を早足で移動しているわけで、その前の会話とかこのやっと止まってくれ……とかは、首だけで追ってきてたりでもしないと声届かないかなー、って思ったり。
 ついでに「……って。あれ、黒……?」という部分も。スカートの中見えるとしたら生首を見つけた辺りだと思うので、どんどん離れていっている段階でこの言葉は違和感が……。


 んでもう一つは個人的に気になったレベルなんですが、

>「だって、ですよ。通りかかった乙女のスカートの中を覗き見て、あまつさえ、今日び小学生でも恥ずかしがるような破廉恥な言葉を公共の公園で叫ぶような変態さんを、何故助けねばならないのでしょうか」

 破廉恥な言葉を叫んだところがよく分からなくてちょっと『?』ってなりました。黒……? って部分でしょうかね。

 と、こんなところですね。
 途中引っかかったりしたら読むペース遅くなったり、その度合いで読む気力なくなったりするんですが、そんなん全く感じさせないくらい話自体は本当に面白くて二重丸って感じでした。

 あ、それと執筆お疲れ様でしたー(。-人-。)


まつげぱちおさんの意見
 こんばんわ。ぱちおです。
 読ませていただきました。

 なんともすばらしい。
 主人公の丁寧な言葉遣いと、内容のギャップがサイコーです。

 オチもかわいいようでダークな感じがいいです。

 だけどなんと言っても、
 この話でもっとも気にいったところは、パンツが黒だったことです!!

 すいません。取り乱しました。

 そういえばなことですが、浮気の話がやはり少し長いような気がしました。
 まぁ、どうしてもと言うことでもありません。

 それでは失礼します。


Ririn★さんの意見
 こんにちは。
 読ませていただきましたので感想を入れさせていただきます。

 お見事な構成、恐れ入りました。
 公園に生首が落ちているというシュールな光景から次第にコミカルな雰囲気になっていき、最後は男女の愛憎に落ち着くという流れはスムーズでいて意外性も兼ね備えたものでうらやましいと思いました。よく考えられた構成なんだと感じました。私も見習いたいです。

 文章も描写も過不足なく出来上がっていて不自然さを感じさせるようなところはなかったと思います。
 そして最後のまとめ方も意味の分からないものではなく、ちゃんとつながって落ちているところが非常に良かったです。

 しかし、本当に埋められている人にであったら、怖いですよね。世の中から浮気がなくなることを祈っております。

 短い感想ではありますが、この辺で。
 次回作も楽しみにお待ちしております。


AQUAさんの意見
 こんばんは。作品拝読しました。
 なんだか最近、好みドストライクのコメディに出会う機会が増えてきたような……。
 はい、大好きな作品です!
 なんという軽快な会話。ボケとツッコミのバランスは、まるでダブルブッキング(お笑い芸人さん)のコントのようです!

 出だしの一行目から引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいました。
 文章的にもお上手ですし、あちこちで笑わせていただきました。
 「黒」の一言も、シンプルで良かったです。
 このお話にリアリティを求めてはいけないとは思うのですが、大の男を土に埋めるとしたら、ちょっと大掛かりな作業になりそうです。
 公園より、もう少し人目につきにくい場所の方が……いや、きっと蛇足ですね。

※余談ですが元お水の知人、本当に首だけ出して山に埋められたことがあります。早朝犬の散歩に来た近隣住民に発掘され、九死に一生……コエー。

 では、簡単ですが失礼いたします。


巧鎖さんの意見
 こんばんは、拝読させていただきました。

 面白かったです!
 うん、面白かったです。

 開始から僅か一行にして物語に引き込まれたのは初めてです。
 凄いですね、まさか生首とは。

 そして途中まではホラーコメディかと思いましたが、別の意味でホラーコメディでしたね。
 まさかあんな話になろうとは思ってもみませんでした。

 違和感も湧くところは無かったですし、総じて満足したので読ませていただいてありがとうございますという気持ちです。


かなひとさんの意見
 こんばんは。
 さて、早速ですが感想いきますっ!

 まず読んでる途中に、そしてやっぱり読んだ後にも思ったのが
 主人公怖っ!!
 なんて恐ろしい娘なんだ!なんて性格が悪いんだっ!!

 ・・・・・・もちろんよい意味で!

 実はホラーはとっても苦手で、一行目を読んですぐ
 「戻る」ボタンを押そうかなぁと思ったのですが、
 いやはや最後まで読んでよかった!
 テンポがよいのですらすらと読めました。
 個人的には動画サイトにUP〜友達百人あたりのくだりがすっごくツボでしたね。

 主人公のお堅い語り口調が最初少し気になったのですが、
 それも含めて作品の「味」ですね。

 あえて不満な点を挙げるなら、冒頭主人公が止まるまでがちょっと長い・・・かな?
 逃げようとしている割には状況よくみてるじゃないかっ!!と。
 「主人公は怖くて逃げようとしている」と読んでいる最中は思っていたのですが、
 でもきっとこの主人公は「怖い」とか
 そんなことはこれっぽっちも思ってなかったんでしょうね。

 それではまとまりない文ですがこの辺で。
 お疲れ様でした!


天野 雀さんの意見
 どうも、天野です。
 読ませていただきました。

 とても面白かったです。
 掛け合いのいくつかには大変笑わせていただきました。
 落とし方も秀逸で、とても綺麗にまとまっています。
 というか、この手の掛け合いコメディはもう少し長い尺でないと成立しないのかと思いこんでいたのですが、いやはや価値観を覆されました。

 視点を持っているのが冴えない主人公や突っ込み役ではなく、ボケそして怖い思考の女の子という点に掛け合いコメディとしてのオリジナリティを感じました。私は見たことがないんですが、そういう作品はあるんですかね? とても新鮮でした。

 特に突っ込むところは思いつきません。
 作者の狙いは的確に表現されているのではないかと思います。
 欲を言えば、これだけ面白い話ならもうちょっと尺のあるストーリーが良かったなぁ、なんて思いました。

 良作をどうもありがとうございました。
 執筆お疲れ様です。


青々さんの意見
 青々と申します。さっそく感想をば。
 一読しての感想は「面白かった」でした。

 主人公と生首の掛け合いと いうシンプルなコメディから、すぱっと気持ちのよいオチに繋がるのは落語のようだなあと思いました。最後にオチた瞬間に、情けない顔をした生首(それまで の掛け合いでそんなイメージを覚えていました)が頭にふっと浮かんだのがすごくよかったです。主人公と生首の掛け合い全体が無駄でなく、ちゃんとオチに対 して活きていたからだと思います。

 個人的にはですが、もう少し掛け合い部分が短いとよかったかもと思いました。18枚という枚数の割には密度が濃く思え、長い感じがしましたので。エピソードをひとつ削ってもよかったかなあと。

 改めてまとめると、「軽く読める話でコメディからオトして、くすりとさせるという内容としてはとてもよかった。素直に面白かった」という感想です。
 「〜としては」と、条件をつけたのは、内容がじっくり吟味されたものではないかなあと感じた部分があったからです。思いついたネタを一気に書き上げたら面白くなったという感じがしました。
 うまく言えないのですが、長編や公募を意識したような作品にある面白さとは違ったかなと思え、自分はそのような面白さの方が好きなので……という感じでしょうか。
 もちろん、「基本的な文章力が安定していて読みやすかったので面白くできた」「ネタとしてこういうネタを思いついて、面白くできる」という部分は作者様の実力の一端が見える部分と感じましたが、「一発ネタの域を超えた感じがしなかった」とも思えたのです。
 例えば「主人公と生首の掛け合い全体が無駄ではなかったが、個別に見ると特に必要性のない掛け合いの連続だった」ように思えたことも原因かもしれません。前述したように、少しだけ長く感じた原因もここにあるかもしれません。

 そんなわけで、レベルが高そうな作者様の長編、または公募を意識したような作品を読んでみたいなと思いました。

 以上、拙い感想で個人的意見も多く含まれておりますので、必要な部分を取捨選択ください。

高得点作品掲載所 作品一覧へ
 戻る       次へ