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随分前から、この女とは潮時だと思っていた。
「ねえ、ごめんなさい。私が悪いところ、なんでも直すから、出て行くなんて言わないで……」 床へ這いつくばり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、俺の脚に擦り付けてくる。 この泣き顔が可愛いと思えた時期もあったのに、今の俺には醜悪な生き物にしか映らなかった。 「だってキヨ君、行くとこなんてないでしょ? お金だって、この間あげたお小遣い、もう無くなっちゃったんでしょ?」 ああその通りだよ。俺には金も無いし、頼れる友達もいない……俺の世界はお前だけだ。 初めて本音を漏らしたマリアを蹴り飛ばすと、俺は部屋を飛び出した。 * * * 人の群れに逆らいながら街をぶらついた俺は、いつしか人気の無い公園にたどり着いていた。小さなブランコの脇に、寝転がれそうな古びたベンチが一つ。今夜はここで頭を冷やそうと決めた。 背を丸めてベンチに座り込んだ俺は、ふと思いついたようにジーパンのポケットをまさぐった。指先に数枚の小銭が触れる。味気ないガムを吐き捨てると、俺はベンチから立ち上がった。 ようやく見つけた自販機は、狭い路地の突き当たりにあった。駆け寄ろうとした俺のスニーカーが、キュッと音を立てて止まった。 自販機の前には、一人の小柄な男が佇んでいた。 後姿だけで『普通じゃない』と分かる、明らかに着膨れした姿。頭には黒いとんがり帽子をかぶっている。後頭部に垂れ下がるその先端には、白いボンボン。顔 は見えないが、帽子の脇からはみ出たあご髭の長さから、それなりの年なのだろうと推測できる。もしかしたらホームレスの類かもしれない。 少し離れて様子をうかがってみたものの、男が立ち去る気配は無い。舌打ちした俺は、仕方なくそのオッサンに歩み寄った。 「おい、退けよオッサ」 「あら、キミは心の奥に黒い夢を持っているようね?」 俺はそいつの姿に目を奪われた。 振り向いたのは、月明かりを受けて淡く光る白い肌と、大きな黒い瞳の……紛れも無い少女だった。 着膨れして見えるほど厚手の服は真っ黒で、上着には白いボタンが五つ並び、襟と袖口には白くモコモコした縁取りがついている。 そこまでは、まだいい。 その顔についている『髭』は、一体なんなんだ! 口の周りを覆いつくす、もじゃもじゃの黒い付け髭。 この姿はまるで――。 「黒髭危機いっぱ」 「サンタクロースよっ!」 そうだ、確かにサンタクロースだ。 いや、まて。 「普通のサンタは、赤と白だろう。そしてオヤジだ。髭も白いはずだ。なにより今は真夏だ!」 「ああ、それは表のサンタのことね。アタシは裏のサンタだから」 「……そうか、良い事を聞いたよ。じゃあな」 立ち去ろうとした俺の腕を、ヘンタイ少女が掴んだ。触れた手の冷たさに驚いて振り返ると、少女は有無を言わせぬ口調で言った。 「ねえ、アタシにコーヒーおごってよ。そしたら、特別にキミの願い事を叶えてあげる」 本当は正式なお手紙もらわなきゃいけないんだけどねーと呟く少女に、俺はコーヒーを買ってやった。 願い事はただ一つ。“もう俺に関わるな”。 そう言って逃げようと思ったのだが……。 「良かったあ。うっかり荷物を忘れてきちゃって、燃料切れするところだったの」 ヘンタイ少女はプルタブを開けると、缶を握った手を高く掲げ、クルッと逆さまにした。 重力に逆らわず、地面へ向かう焦茶色の液体。 そのままアスファルトを濡らすかと思いきや……。 「――ウシィィィ!!」 俺の口から飛び出た絶叫が、静かな住宅街にこだまし……仰け反った俺は、アスファルトに尻を打ちつけた。 痛い。いやそんなはずはない。これは夢なんだから。突然目の前に立派な『黒毛和牛』が現れるなんて、夢に決まってる。 「夢じゃないよー。ちなみにこの子は黒毛和牛じゃなくて、ヌーだから」 ヌーか。確か昔好きだったテレビの『わくわく動物ランド』……いや『野生の王国』で見たような気がする。群れからはぐれたのだろう。可哀想に。すみやかにサバンナへ返してあげなければ。 「違うってば。この子はアタシの相棒よっ」 立派な角を後方へ反らせ、大きな口を開けてコーヒーを飲み干したヌーは、満足気に頭をプルプルと振った。黒光りした胴体には、ネックから肩ロースの方向へと太い皮紐が伸び、外もも肉の先に古びた木製のソリが見える。 「よし、燃料満タン! ありがとねっ!」 立派な付けあご髭をしゃくると、少女は腰を抜かしたままの俺を見下ろして微笑んだ。 髭が無ければ、絶世の美少女に違いない。月明かりを受けてきらめくその瞳に、俺は心ごと吸い込まれそうになった。差し出された冷たい手を取ると、華奢な少 女とは思えない力で引っ張り上げられる。俺は尻をさすりながら、目の前の不思議な少女をまじまじと見つめた。髭はさておき、その瞳を。 「アタシたち裏のサンタは、大人の夢を叶えるの。人には言えない、黒い夢をね……」 細められた少女の瞳が、ずっと隠してきた心の闇を引きずり出すかのように揺らめく。とっさに手を振り解き、少女から目を逸らした。 「別に、俺にはそんなもの……」 「殺したい女がいるんでしょう?」 心臓がドクリと嫌な音を立てた。逃げたいのに、震える足が言うことを聞かない。 「名 前はマリア。キミとは五年の付き合い。元々はキミが学生時代にアルバイトをしていた居酒屋の店長だった。彼女はきつい仕事で体を壊して、勤務時間の短い水 商売に移った。その頃からキミたちの交際がスタートする。キミはミュージシャンを目指して大学を中退。親に勘当されて彼女の部屋へ転がり込んだ。最近じゃ 音楽よりパチンコに夢中ね。彼女は今年三十才になるし、キミと結婚したがってるけど、キミは彼女の存在が重くて逃げたい。でも逃げられない。だからいっ そ」 「――やめろっ!」 叫んだはずの声は掠れ、乾いた喉の奥に詰まった。 咳き込んだ俺の顔を上目遣いに見上げながら、少女は妖艶な笑みを浮かべた。 「キミの黒い夢、アタシが叶えてあげるよ」 「そんなこと……」 「素直になりなよ、ね? キヨハル君」 逆らう事はできなかった。 少女のささやき声に操られるように、俺はゆっくりと頷いていた。 * * * 黒髭のサンタ少女は、上着のポケットから黒い小袋を取り出すと、「良い子のキヨハル君にピッタリのプレゼント、でーてこいっ」と呪文を唱えた。 袋の中からは、三枚の白いカードが現れた。 「方法は三つあるみたい。好きなのを選ばせてあげるね」 俺は、気怠げにタバコの煙を吐き出しながら、少女の手にしたカードをぼんやりと見つめた。これが夢でも現実でも構わない、そんな投げやりな気分になっていた。 そうだ……俺はマリアに感謝している。そして、それ以上に憎んでいる。 『頑張って、いつか成功できるよ、私のことは気にしないで、ずっと応援してる』 そう言いながら一切笑っていないマリアの目が、俺を追い詰めた。ずっと、苦しかった。それでもあの狭い部屋から抜け出せなかったのは、マリアが好きだったから。心の奥で俺を責めながらも、口には出せない奥ゆかしさが愛しかった。 だから、一番楽な方法で殺してやりたい。 「あっ、コレなんか良さそうよっ」 トランプサイズのカードを一枚摘んだ少女が、マジシャン気取りでカードをめくる。 「ジャーン、“通り魔”っ!」 咥えていたタバコが、ぽろりと落ちた。 「派手に騒がれて、皆に同情してもらえるし、悪くないでしょっ?」 「まあ、そうかもな……」 落ちたタバコを踏みしだきながら、俺は生返事をした。もう後戻りはできない、そんな気がした。 「ただし、実行するには条件があるみたい」 「条件?」 「えーと……キミとぶらり途中下車で繁華街デート中に限る、だって」 「どういうことだ?」 「まあ、もしかしたら、キミも巻き添えってパターンも……」 「却下だ!」 やはりコイツは悪魔だ。人間の望みを叶えるのに、交換条件をつけないわけが無い。人一人の命より確実に重いものを持っていかれるんだ。 「あっ、それはちがーう! アタシは単に人間の夢叶えるだけ。叶えた人数が多いほどランクが上がるシステムなの。完全ボランティアよっ。ただちょっと、運命変えると歪みが出るっていうかぁ……」 アハッとごまかすように笑いながら、少女は二枚目のカードをめくった。 「次のオススメは……ジャジャンッ! “交通事故”! 上手くやれば保険金も下りるね。キミはペーパーだけど一応免許あるから」 「ちょっと待て」 「ん?」 「それはまさか、俺が運転するってことか……?」 「もちろん」 確実に死ねる自信があった俺は、その案も却下した。 「ワガママなヤツめっ。コレが最後だよ? えっと……“密室殺人”だって」 「それは、どんなシチュエーションだ?」 「温泉旅館が舞台のようね。キミは第一発見者になる」 リアルに想像した俺は、吐きそうになった。 血まみれで座敷に転がるマリア……さすがに、見たくない。 「大丈夫よっ。絞殺だし、死に顔もキレイよ。しかも、一緒に乗り込んでくれる女将もいるから」 「そこまで決まってるのか?」 「うん。キミはもう、このカードを選んだから……その運命をうつしとった、緻密なシナリオがね」 少女は口の端を吊り上げるように笑った。 髭の隙間からのぞいた唇は、血のように赤かった。 ふらつきながら帰った俺に、目を腫らしたマリアが「戻ってこないと思った」と言った。 「ゴメンな」と呟いた俺の胸に飛び込んでくる、優しいマリア。 『戻ってくるに決まってる。あなたはわたしのもの。絶対逃がさない』 生温い風とともに抱きしめた、マリアの汗ばんでしめった体が、そんなことを語っていた。 * * * 翌週、マリアは店のママにねだって三日だけ休みをもらった。『仲直り旅行』の目的地は、マリアの叔母が経営するという海辺の小さな温泉旅館だ。 「私、釣りってしたこと無いんだ。お魚いっぱい釣れたら、オバサンに料理してもらって食べようね!」 俺の右腕には、釣竿と小道具がぶら下がっている。行きがけにマリアが「確かキヨ君は、子どもの頃釣りが好きだったんだよね?」と強引に買い求めたものだ。 左腕にはこの五年で二倍の太さに膨れたマリアの腕が絡みつき、暑苦しい。そして首には、昨日プレゼントされたばかりの高価なネックレス。ちっとも似合って いないのに、マリアはカッコイイとはしゃいだ。 海に突き出た桟橋は、うだるような暑さだった。観光客も釣り人もほとんど見当たらない。適当に釣糸を垂らしてみたが、魚は釣れなかった。マリアが「喉が渇いた」と言い出したので、俺たちは飲み物を買いに行き……戻ったとき、俺の指紋がべっとり付いた釣竿は消えていた。 マリアは私のせいだと涙ぐんだけれど、俺は「お前のせいじゃないよ」と優しく告げた。 その夜、マリアは死んだ。 俺が露天風呂へ行っている間に、鍵をかけた室内で一人きり。 首には、細い糸が巻きついたような跡があった。 「確かに俺は、マリアと別れたかった。でもあのときは風呂に行ってたし、釣竿も海で盗まれたんだ」 二人の刑事は不審げに眉をひそめながら、顔を見合わせた。 本当に俺は殺してない。サンタに願い事を言っただけなのだから……。 悲痛な表情を作り続けた俺は、日付が変わる前に一旦解放された。明日もう一度刑事と話せばお役御免だ。マリアには疑われない程度の保険金もかけてあるし、しばらくは生活にも困らない。そうだ、恋人が死んだこの悲しみを歌にして葬式で披露してやろう。 俺は笑いを噛み殺しながら、新たにあてがわれた部屋へ戻った。 そう、微かにドアを開いたそのとき……闇に包まれた室内で、何かうごめいた気がした。 もう、何も思い出せないけれど……。 * * * 「はい、お仕事終了。一気に二人分っ!」 黒髭のサンタ少女は、海辺の温泉旅館を見下ろしながら無邪気に笑った。 空っぽのソリを引いたヌーの背にまたがり、夜空を駆けていく。 「湯けむり温泉“連続”殺人事件……一番疑わしい容疑者は、たいてい二人目の被害者になるものよ?」 少女は、何も無いはずの荷台に向かって語りかけた。 彼女だけに見えているのは、二つの黒い影。 寄り添うように並んだ影が、重なり合い一つの塊に変わるのを見届けると、少女は黒いサンタ服のポケットから一通の手紙を取り出した。 『サタン様へ。大好きな彼が、私から離れないようにしてください』 少女がフッと息を吹きかけると、その手紙は闇に溶けて消えた。 |
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●感想
千川 冬馬さんの意見 起承転結が上手く、テンポ良く読めました。オチが個人的にツボでした。 しかし、主人公の描写がちょっと不安定な感じがします。 序盤のツッコミをいれたり、コミカルなシーンが、 後半の彼の外道な部分とちぐはぐになっているような…… どちらかに絞った方がいいと思います。 また、後半もう少しマリアの鬱陶しさ、ダメ女な感じが出せれば、 主人公の黒さを引き立たせられると思います。 悪魔サンタは、妖艶で可愛いかったです。 聖☆おじいさんさんの意見 悪魔と聞いて、ドキッとした聖☆おじいさんです。 拝読しましたので、感想を置いて行きます。 では、早速。 いやはや、面白かったです。 悪魔といっても、こういう使い方もあるのか、と勉強させていただきました。 指摘するような箇所はほとんど見当たらなかったのですが、一箇所だけ。 >重力に逆らわず、地面へ向かう焦茶色の液体 >立派な角を後方へ反らせ、大きな口を開けてコーヒーを飲み干したヌー この二文が、いまいち要領を得ませんでした。 文章を見る限り、コーヒーそのものがヌーになった、と自分は解釈したのですが、 それなのにヌーはコーヒーを飲んでる……? といった具合です。 これくらいでしょうか。次に、私的な疑問点です。お付き合い下さい(汗 マリアが悪魔に願った内容は、「大好きな彼が私から離れないようにする」ことで、マリアの描写から、 恐らくこれは純粋な願い事なのでしょう。悪魔は大人の「黒い」願いを叶えます。 つまり、マリアは心中願望でもあったのでしょうか……? そうでないと、キヨハルが死ぬ理由がつきません。「離れないようにする」にも様々な解釈ができ、 マリアが、離さない=心中、と願わない限り、キヨハルは死なないはずですから。 しかし、この場合のマリアの願い事の意味するところは、妥当に考えて「結婚して死ぬまで一緒」でしょうか。 マリアがキヨハルを殺すなんて思えないので、疑問に思いました。 マリアには違う方法で誘惑したとか、全ては悪魔の嘘だったと言えなくはないのですが、 それだと伏線の意味が無いですし。そこの所、どうなのでしょうか? 長々と偉そうに申し訳ありません。おまえ何様だよ、と言われても言い返す言葉もございません(汗 しかし、自分は小説暦は三ヶ月というアレなのですが、色々と学ぶことの多い作品で、非常に楽しめました。 恋愛、ホラーと来て、次は何だろうと楽しみにしております。 以上、拙い感想ですが、これにて失礼します。 では。 とさとさんの意見 個人的にはダークファンタジーという感じでしょうか。 悪魔に(サンタだけど)願っても、それは必ずしものぞんだ通りに叶うわけではない、というある種王道な展開の話ですね。 よくよく出来ている作品のように思えます。感想を書く際、無理にでもあらを探そうと心がけているのですが(←嫌な心がけ)むう、ほとんど見つからないで す。文章も、過不足なくて読みやすい。キャラも綺麗に動いている。ヌーのところと、マリアがサンタに会っているというのを、少し匂わせるような伏線が欲し かったかも、というのぐらいです。 話そのものに対して、少し。 面白いと思います。意外性もありますし、完成度も高い のではないでしょうか。でも、目新しさ、という点には少し欠けるかな、と。オリジナリティを、なんていう感想は作者様に丸投げもいいところなのですが、そ れでも、その作者様らしさ、という、どこか一つ抜けたところがほしいです。 んでもって。ラスト一文が好きです。手紙の文で終わらせないところに、締め方のセンスが感じられますね。 無責任な感想になりますが、ではでは。 まつげぱちおさんの意見 こんばんわ。ぱちおです。 読ませていただきました。 おもしろかったです。 読んでいて、世にも不思議な物語、ぽいなと思いました。 コメディとホラーというのは相性がいいみたいですね。途中笑えて、最後背筋が寒くなる感じがたまりません。 勉強になります。 あと、なぜ黒髭なのでしょう。そこに個性が生まれるから不思議です。 私ごときでは、何か助言となるものが書けそうもありません。 ここに投稿するようになってから、勉強の連続です。 今回も勉強になりました。 それでは失礼します。 かなひとさんの意見 こんばんは、ブラックコメディと言うか、ブラックファンタジー!?楽しませていただきました。 それでは、感想いきます! 全体としてはとても上手く、綺麗にまとまっているなぁと。 構成も非常に上手いです。 読んでる最中も、そして読み終わった後も一番凄いな・・・と思ったのが > この姿はまるで――。 >「黒髭危機いっぱ」 >「サンタクロースよっ!」 ここのシーン。 このシーンまで、「どうしようもない女とどうしようもない男」の一般文芸によくありそうな話と思っていたのだけど、この三行で物語が持っている空気ががらっと変わる。 やりとり自体もこれ以前の流れと違いポップな雰囲気で読んでて楽しいし、 この後どんなことが起きるの??と読者である僕の期待も高まったと言う・・・。 うーむ。すごいなぁ。 要望というか、もうちょっとこうだったらいいのになと思ったのが、 >そう、微かにドアを開いたそのとき……闇に包まれた室内で、何かうごめいた気がした。 のこのシーン。 もうすこし具体的になにが起きたのか描写があると読み手としては嬉しかった。 その三行後に「一気に二人分!」と書いてあって「え、なんで?」と思ってその後主人公の語りを聞いて初めて「ああ、主人公も死んだんだ」と思ってしまったので。 ってこれは読み手が状況を把握する力を持ってないので思ったのかも(笑) そもそも、一瞬でさっくりと殺っちゃったらそんな丁寧な描写している暇ありませんしね! 作者レスで裏設定についても少しお話されてますが、裏設定は裏設定でとても面白そうですね! 小説というよりは、まさしくゲームのシナリオ向きの話ですねぇ! それでは、お疲れ様でした! ならい風さんの意見 ならい風と申します。 作品を拝読しましたので、感想を書かせて頂きます。 第一印象を申しますと、単純に楽しめる作品でした。私の主観ではありますが、表現が濃すぎもせず薄すぎもせず、この内容にとっての適量であったように感じます。 こういった作品の特徴として、最後に何か捻りがあるんだろうな、と考えてはいたのですが、この形は少し意表を突かれました。それで、余計に面白さが増した気がします。 ただ、冒頭付近に出てきた、 >味気ないガムを吐き捨てると、俺はベンチから立ち上がった。 この表現なのですが、ガムを口に含む表現がなされていなかったので少々混乱してしまいました。 ディンゴさんの意見 こんにちは。ディンゴです。 短いながらも構成もしっかりとしていましたし、存分に楽しませていただきました。 ただオチに関しては、面白かったのですがもう少し捻りが欲しかった気も。実はマリアも……と言う流れはある種定番だと思うので。 また、キヨハルのキャラが固定され切れていない感じを受けました。特に黒いサンタと出会ってからの、彼のツッコミ具合が、それに拍車をかけているような気がします。 ともあれ、全体的な評価としては読後感も良く面白かったです。 ではでは。 竹田 一歩さんの意見 こんばんわ、竹田 一歩です。 全体の感想としては、自然に、怖さとユーモアが同居に成功しているという事に驚かされました。 冒頭は暗い雰囲気がしっかり伝わってき て、中盤はニヤリとさせられるキヨハル君とサンタの掛け合い、そこでお……? これは明るい方向に向かうのかな? と思わせられただけに、終盤には本当 に、恐怖というか、ヒヤリとさせられたというか……! この雰囲気の明暗の使い方には脱帽です! 突っ込む所もほとんどなく、すらすらと読めたのですが、二つだけ気になった事があります。 最後の部分、マリアの願いが成就する箇所が少しわかりづらかったかな、と思いました。僕の読み取る能力の低さのせいかもしれないんですが; そして、最後から二行目の文章が『サタン様』となっていました。これは誤字でなく、『実は悪魔だった』という事でしたら、本当に申し訳ないのですが……; ぜひ見習いたいと思わせられる丁寧な文章でした。次回作に期待しています! では、失礼しました。 巧鎖さんの意見 こんばんは、拝読させていただきました。 なるほど、悪魔(サタン)とサンタをかけて……ってそんな訳ないよねー。とか思いつつ最後から二行目を見て愕然とした記憶がまざまざと残っていますが、そんなことよりまず一言、面白かったです! 黒々しい話は基本好きなので楽しく読ませていただきました。 試みである『限りなく怖くないホラー』のは果たせていたと思います。ただコメディではないような、けれどシュールではあるかもしれないです... あと、とさとさんの仰るように、ダークファンタジーとは少し思いましたね。 さて、感想だけで終りたい所ですが、最近感想だけで終ることがあまりに多くなってきてるので(最近の短編の間って凄いですよねー、という意味で)、なんとか批評してみます。 無理に出した物だから、さほど気にすることはないかもしれないですが、とりあえず気になったような気がしなくもない所を少々。 正直に言えば、批評というより要望なのですが。 全体的にもう少しマリアに対してもう少し何か色々と思って欲しかったなぁ、と思いました。 その感情がより黒い方向へ掘り進まれるのか、それとも良い方向に掘り下げられる(けど黒い)のかは、どっちが良いのかわかりませんが、マリアに対する主人公の感情をも少し深いところまで知りたかったです。 いえ、今の時点でもきちんと一通りの語られてはいるんですけどね。 結論を言ってしまえば多分、少し改造すればもう少しどす黒い心が見れる話にならないかなぁ、と個人的趣向にて思ったので。 まぁ、その改造が果たして改良になるのかどうかはわかりませんが... ではでは、次回も頑張ってください。 フカヒレさんの意見 感想返しに来ましたフカヒレです。 最初から最後まで楽しく読ませていただきました。 局所に入れられたギャグと最後のオチ、どれもAQUAさんが企図なされた『限りなく怖くないホラー』を上手く表現していると思います。 話の流れもすっきりとしていて、完成度が高いという印象を受けました。 ただ、上手に出来すぎているため捻りや意外性というものが足りなかった、マリヤが主人公と永遠に……という部分の心理描写が薄い(もとも、これは自分の好みかもしれませんが……)といった点が気になりました。 色々と偉そうなことを書いてしまいましたが、どうか未熟者の戯言と聞き流していただけると幸いです。 では、次回作楽しみにしています。 ザッキさんの意見 どうも、ザッキです。 拝読しましたので感想などを。 黒夢の「少年」懐かしいですね。あれはいい歌だ。 でも、さすがに歌詞までは覚えていなかったので、ちょろっと調べてみました。 味気ないガム、高価なネックレス、気怠げにタバコの煙を……。 さり気なく使っていて、いい味が出ていると思いました。あ、「キヨハル」君もオマージュか。 さて内容ですが、コメディとホラーの融合、見事に成功されていると思います。 ほのぼのとしているようで、かなりブラックな作品という印象を受けました。面白かったです。 文章的にも文句なしです。 >「黒髭危機いっぱ」 この前後の流れは吹きました。コメディ部分で一番面白かったです。 >黒光りした胴体には、ネックから肩ロースの方向へと太い皮紐が伸び、外もも肉の先に古びた木製のソリが見える。 肩ロース……って食用か! と思わずツッコミました。 >「素直になりなよ、ね? キヨハル君」 色々と見透かされている中でも、急に名前を呼ばれるのが一番怖いですよね。 >そう、微かにドアを開いたそのとき……闇に包まれた室内で、何かうごめいた気がした。 具体的に描写しないことで恐怖を掻き立てる。ホラーの常套手段が良く活かされていると思いました。 オチに対しては「定番」という評も見かけましたが、未熟な私の辞書にはない言葉なので、素直に楽しめました。 以上で。 拙い私の感想が、少しでもAQUA様の参考になることを祈って。 では。 kimuraさんの感想 2012年08月04日 拝読させていただきました。 「俺」がどういう人物であるのか定まっていません。 一人称で「俺」が語っていながら、「俺」ではなく、作者AQUAさん自身の心が透けて見えてくる気がしました。 一つのシーンの中でも「俺」の心は安易に変わっています。 また、全体的な小説としての世界をどういうものにしたいのか統一、確立されてません。 読者は散漫な小説の中で、混乱すると思います。 混乱しながら、おおよその結末がみえてしまう。 それは、そういう結末にする以外になく、自分の個性としての考えがまとまらなかったのではないですか。 まずAQUAさん自身が、小説であれ小説以外であれ、何が好きで何が嫌いか、自分を明確に見つめてみてほしい。 その答えがでれば、問題は解決すると思います。 どういう小説が受け入れられるのか、読者の目を気にしすぎて自分を見失うと、個性のない小説になります。 |
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