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のどかな日曜日の朝。父は幼い息子に話しかけた。
「母さんから聞いたぞ。魚を食べなかったんだって?」 「魚、きらいだもん」 「でも、魚みたいに泳げるようになりたいだろう?」 「……うん」 「それなら魚を食べなきゃ」 「えー! うそだあ。魚を食べたからって、魚みたいにはならないよ」 「はは、そう思うかい? 父さんはね、小さい頃、鳥肉が大嫌いだったんだ。でも父さん、鳥みたいになって大空を飛びたいって思ってた」 「……それで?」 「好き嫌いを言わずに、鳥肉を食べるようにしたさ」 「でも、お父さんは鳥みたいじゃないよ?」 「その代わり、父さんはパイロットになった」父は息子の肩に手を置き、空を見上げてにやりと笑った。「そして、鳥みたいに世界中の空を飛んでいるだろう?」 息子は瞳をきらきらと輝かせて父を見上げた。 「うん、分かったよ、父さん! ぼく、父さんみたいになりたい! がぶっ!」 父の悲鳴が町内に響き渡った。 |
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●感想
松本さんの意見 1ページ? と思って読んでみました。 ブラックです! 読み終わって、オチを理解して驚きました。 面白かった、というより驚きました。 こんなオチもあるんですね。 1ページで、しっかりオチもあるというのは凄いと思います。 短いですが、それでは。 プアーデントさんの意見 初めまして、プアーデントです。 1pものは苦手ですが、高得点ということで拝読させてもらいますね。 短いのでいきなり指摘から入ります―――― まずオチが不自然ですね。 お父さんが「魚を食べれば泳げるようになれる」と言っていて、息子も泳ぎたいとうなずいています。 これにより『息子は泳ぎたい』という印象を読者に与えています。空を飛びたい訳ではないのです。 なのにオチでは『空を飛べる父のようになりたい』と父に噛みついています。 泳ぎたい、から空を飛ぶあるいは父になりたい、への心境変化がないのです。 だから最後のオチがスムーズでなく、若干の説得力に欠けるんですね。 最初から空を飛びたいと息子に言わせたり、あるいは父親が大好きで憧れているだとかを匂わせれば、今のままでも自然なオチになるのですが。 これを解決する一番簡単な方法は、父を漁師に設定することですね。 そうすると父の説得を聞いた息子が「分かった! ぼく、オサカナ食べてくる! じゃぽーん!」と意気揚々と東京湾へダイブする展開になって、自然だしその方が面白いかなぁと。 そしてどざえもんになるオチで。 最後の一行はそのままでもいいかも知れませんね、悲鳴の意味が大分かわりますがブラックユーモアという奴です。 あるいは「強くなれよ、息子」と父がつぶやいて涙をこぼして、屈強な漁師として成長する息子を誇らしく思ったりとか、 その隣で「あの子は泳げないって言ったじゃない! なに感動してんのよ馬鹿!」と母親が父を蹴り飛ばして海へ落としたり、まぁ色々と想像は膨らみますね。 色々と指摘しましたが、起承転結の流れは分かりやすかったです。 息子と父の仲睦まじい人物性も、短いながらやんわりと伝わってきました。 擬音を口頭で発生させるのはかなりいい味を出しています、想像すれば笑えますね、可愛いです。 しかし前述したように言動の不自然さ、オチの唐突さが気になったので、この点数でご容赦ください。 短くて流れもしっかりしているだけに、余計にアラが目立つのは掌編の宿命ですね。 欲を言えば、コミカルなオチで行くのならば、もっともっと台詞でおかしさを表現できるかと思います。 たとえば「僕、マイキー」に出てくるキャラみたいな、ああいう雰囲気はショートショートでも使えるかと。 以上です。 拙い意見ですが、少しでも参考になれば幸甚の至りであります。 プアーデントでした。 サテライトさんの意見 読ませていただきました、サテライトです。 ほのぼのしてるな〜いい親子だったな〜 みたいな読後感になると思っていましたら、もろに吹きましたw こ、これが衝撃的なオチってやつか!? よし、見習おう。 ……あ、でもこれタイトルが惨劇となってるからブラックなのかな? なんにせよ、一枚小説でここまで笑ったのは初めてです。 楽しい作品をありがとうございました。 巧鎖さんの意見 内容は、ちょっと良い話だなぁと思ってた所にそう来るとは、面白いですね! パンチの効いた良いコメディだと思います。 麗らかな日曜のほのぼのストーリー、漫画であったなら、 ちょっとした日常を四コマで綴り続けて進んでいくタイプのお話な雰囲気が漂ってました。 モンデンキントさんの意見 はじめまして、モンデンキントと申します。 さっそく感想を。 気持ちよく笑わせていただきました。 素晴らしいユーモアのセンスをお持ちでらっしゃいますね。 見習いたい限りです。 短い時間でしたが、存分に楽しませていただきました。 ありがとうございます。 次回作も期待してます。 外道さんの意見 文句なしに面白いです。 ショートショートの本に載せていいレベルだと思います。 このオチを考え付いたこと自体が驚異的でしょう。 イボヂーさんの意見 非常に完成された作品だと思いました。ホームビデオ的な温かさと可笑しさがあったと思います。オチもしっかり効いていて、付け入る隙がありませんね。一頁モノとして、ひとつの完成系だったと思います。勉強させて頂きました。 個人的に気になることがあるとすれば、お父さんがいったい何の鳥肉を食べていたのかということですね。大空を飛んでいた鳥肉だから、鶏肉ではないはず。ちょっとしたミステリーというか、突っ込みどころといいますか、小憎らしい演出でした。 ちなみに私は鶏肉ばかり食べていたせいか、すっかりチキン野郎になっております。 燕小太郎さんの意見 オチで吹き出しました。いやー、こういうネタは大好きですね。 原稿用紙一枚分でこのレベル、感服します。 批評とかできないですけど、とにかく笑いました。最高です。 あかん子さんの意見 こんばんは。 お久しぶりです、あかん子です。 リーロンさんの新作という事で早速読ませて頂きました。 ショートショートの完成形ともいえる作品ですね。 1ページでよくぞここまでまとまって、かつ落ちのある話を書けるものだと感心します。 唯一気になった点を挙げるとすれば、最後の「がぶっ」がカッコ内にあったのに若干の違和感を覚えました。 地の文の方がいいと思うのは私だけでしょうか…す、すいませんorz 白河みゅうさんの意見 くすりとはしました。 点数評価に戸惑いましたが、私は私を信じますご容赦下さい。 例えば、二次創作では鍵括弧の台詞の前に名前が書いてあり、俗に台本形式と呼ばれるSSでも、面白い物はあるんですよね。 それらは地の文や描写と言ったモノが排除されてる場合があり、もっと言ってしまえば台詞だけのものもあります。 でも、そういう作品でも面白い作品はありますし、小説じゃないAAで描かれた物語でも、読み物として面白い作品をいくつか見たことがあります。 それで本題。 この作品では殆ど描写はありません。 地の文もありません、辛うじて台詞から二人の関係性と背景を想像出来るに過ぎません。 そういったモノを小説と呼ぶのに戸惑う部分はあります、が、こういった作品が無い事もないのも事実です。 しかしここで問題。 私はそういう作品がどのように評価されているのかが分からないのでした! 。。。 。。 。 というお話だったのさ。 前置き終了。 作品を読ませて頂きました。 そしてくすりとはしました。 これをオチといって良いのかは判断に迷うところですが、物語の最後に登場する以上オチなんでしょう、たぶん。 プアーデント様も指摘をされてますが、嫌いな食べ物に関する描写というのは、確かにオチとはなんの関わりもありません。 ただ、個人的にオチは嫌いな食べ物を無理に食べさせようとする父親への当て付けにも感じましたので、もっと一般的に子どもが嫌うような、食材の具体名を出してもよかったかな、と思います。ピーマンとか。 でも、そうすると魚みたいに泳ぎたいだろうというのがあまりに唐突なんですよね……個人的な意見としては、 「でも、魚みたいに泳げるようになりたいだろう?」 「……うん」 「それなら魚を食べなきゃ」 「えー! うそだあ。魚を食べたからって、魚みたいにはならないよ」 この四行の流れが非常に不自然です。 魚みたいに泳げるようになりたいだろうと父親が意見をいうまでの経緯が無いので。 なので、何とかして嫌いなものを食べさせたい父親の態度と、嫌いな食べ物を食べさせようとする父親に対して腹が立ってる(……ようにはあんまり見えないけども)子どもの対比何かも書いても良かったかもしれません。 文章・描写の面でマイナス10。 結局面白かったので+10。 合計0点です。 手放しでは褒められませんが、個人的にお気に入りで面白かったので次回作に期待いたします。 |
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