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妖怪寺縁起
秩父市街地のはずれにある小さな山寺。人はそこを「妖怪寺」と呼ぶ…。 「まったく、いくら妖怪寺だからってあんまりじゃねぇか?」 妖怪寺の住職の孫、望月蔵人は突然、寺の御本尊に襲いかかられた。 その目は赤く燃え、敵意や憎悪が見てとれた。 しかし、蔵人には憎まれる覚えがまったくなかったのだ。 御本尊はただの仏像とは思えぬ俊敏な動きを見せ蔵人に迫る。 そして、中から〈鬼〉のミイラが現われた―。 なぜ御本尊の中に〈鬼〉のミイラが。〈鬼〉の正体とはいったい…。 かくして、蔵人と〈鬼〉との壮絶な闘いが幕を開けた。 月刊ドラゴンマガジン誌上で大好評を得たファンタスティック伝奇アクション、遂に文庫で登場。
この作品は冴木先生が現代モノに初挑戦した作品です。 秩父の山間にある、通称『妖怪寺』の次期住職である主人公の望月蔵人(もちづきくらんど)が、 本尊の中から現れた<鬼>と戦うシーンからいきなり始まります。 テンポが割りと速く、さくさくと読めます。 それぞれの個性が強くたっているキャラたちが魅力的ですが、 それ以上に話が進むにつれて明かされる物語の全貌のメッセージがすごいです。 ネタバレになるのですが、しょっぱなから蔵人に敵意むき出しで襲い掛かってきたり、 ヒロインの多輝の兄を乗っ取ってしまったりする敵役の鬼が、実は歴史の流れの中で虐げられ、 悪者にされた、かつて<神>とも呼ばれた人間を深く愛していた者でした。、 鬼は人間の醜い面に触れた時に愛の深さゆえに憎しみが募り、 長い年月を経るにつれてその憎悪だけの存在になった、というのが真実でした。 終盤からラストまでの部分では考えさせられることが多々ありました。 当初は単純な悪だった鬼が実は哀れな存在であり、 彼を生み出したのが自分たち人間であるということを主人公が知り、その上でどうするのか。 ぜひ読んでみてください。
とにかく十九歳とは思えないほどに懐が深く、出逢う人々の心を解きほぐしてくれる熱血漢です。 特殊な力は無いのですが、大きな可能性を秘めた不思議な青年として描かれています。
突拍子もないような点があるのが気にかかりました。
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夢をかなえるゾウ
「成功法則書を読んでも人が成功しないのはなぜか?」 世の中にはこんなに多くの成功法則書、ビジネス書があふれているのに、 成功者が増えたという話は聞いたことがありません。 なぜだろう? ずっと感じていた疑問でした。 そしてこの疑問に対する1つの解答を用意したのが本書です。 主人公は「人生を変えよう」として何かを始めるけど全部三日坊主に終わってしまうサラリーマン。 しかし、ある日突然、彼の目の前にゾウの姿をした奇妙な生き物が現れます。 「ガネーシャ」という名を持つ、インドからやってきたこの神様は、 主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけ。 たぶん、史上最悪のメンター(師匠)でしょう。 しかし、ガネーシャはこう言います。 今から自分が出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する――。 成功を願う普通のサラリーマンとぐうたら神様ガネーシャ。 この二人が「成功するためにはどうしたらいいか?」「そもそも成功とは?」自己啓発書のメインテーマを、 従来とは少し違った形(具体的に言うと、慢才です)で深めていきます。 拙著『ウケる技術』や企画・脚本を担当したDVD『温厚な上司の怒らせ方』でも意識した 「笑えてタメになる」という形式をさらに深めた本に仕上がったと思います。ぜひ読んでみてください。
正直なところ、これをライトノベルと定義してこのコーナーに載せるべきかどうか悩みましたが、 あえて推薦します。 平凡な会社員である主人公【僕】が、怪しげな関西弁を操る神【ガネーシャ】と出会い、 ガネーシャが出す数々の課題をこなしていきながら成長していく物語…… と、聞こえはいいのですが、この小説はコメディとしても楽しめるんです。 何より、作者の念入りな取材(?)によって、 数多くの偉人に関する習慣が、ガネーシャの課題として出ているのです。 少なくとも呼んでみる価値はある、と言い切れることはできます。
他人のカネを勝手に使うってのは正直イヤですけど、どこか憎めません。
本作の文中によると、主人公の年収は「他人よりは多い方」らしいんです。 ……それでなんで有名人の豪華さに憧れてんねん! もう一つ、ちょっとネタバレなんですけど、 文中でお酒(缶ビール?)を買って飲むシーンがあるんですけど、 ……お前そこ路上じゃねえのか? でね、もう一番腹が立つのがね、実は主人公ってノートパソコンを持ってるんですよ。 ……お前ガネーシャに出会う前まで作家になろうとか、そういう発想なかったんかい! とまあ、見れば見るほど主人公って結構恵まれてる点が多いんですよ。 てか、貧乏って訳じゃないんだ。なんでやねん。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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