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「魔法使い」にお願い?
あたし、水元頼子。私立円海学園2年生。 片桐先輩にあこがれて新聞部に入部したあたしは、その取材で、 20年間も封鎖されている学校の資料館に入ったんだけど―。 なんと、そこで、「魔法使い」のタロットカードに宿る大精霊に出会ってしまったの。 どうやら、あたしが「魔法使い」にかけられていた封印を破ってしまったらしいんだけど、 そのおかげで、あたしのまわりに次々ととんでもないことが起こりはじめたんだ。
《運命のタロット》の各カードに封印された精霊とその協力者達。 彼らの繰り広げる《フェーデ》と称される勝負がこの作品の醍醐味です。 はじめはルールが定まった只の推理ゲームのようにも思えますが(勿論ファンタジー要素もあります)、 この作品の面白さはそんなものではありません。 まず一つ目。このシリーズには全編にわたって大掛かりかつ緻密な伏線が施されています。 しかも、それが幾つもあるのですからこれは脱帽するしかありません。 私見ですが、主人公タッグに関わる非常に大きな伏線(というか流れ)がまず2つ、 仲間内で+2つ、敵で+2(3?)、全体の流れとして+2、その他諸々…… と、ざっと挙げただけでこれだけあります。 しかも、それによって煩雑になってしまうのではなく、 全てが見事に絡み合い一つの物語を構成しているのです。10巻以上にとんだ伏線もあります。 時間移動など(制約有り)があるので物語の幅が広がっている、ということも確かにありますが、 それを差し置いても全体的に非常に素晴らしい構成であることは間違い在りません。 二つ目は、物語の孕むテーマです。 最初に述べた《フェーデ》と称される勝負に関わる中で、主人公は様々な経験をします。 しかしこのシリーズ、一つ一つの経験から得られる物の質、重さが半端じゃありません。 これもまた最初は気付かないものなのですが、 話が進む内にどんどん重くなっていく命、そして人(精霊)の思い。 “不条理な”運命を変える。“正しい”歴史を守る。 それぞれの思いを胸に繰り広げられる《フェーデ》は世界に対する問いかけでもあります。 因みに、シリーズが終わるまでにこれほどの変化、成長を遂げる主人公もそういないだろうと思います。 なにしろ、○○に○○……ネタバレは避けたいので何が起こるのかは伏せますが、 すごいことになりますよ(笑)。 最後に、キャラ造り及び世界観、設定の作り込み。 タロットの精霊及び時空移動等の能力、世界観の作り込みは半端ないです。 SF的要素も多分にあります。 説明される辺りはややだらだらしますが、これくらいないと納得できんだろうというレベルなので。 精霊及びその協力者は、よくぞここまで作ったな、という感じです。 軽く30人は越えてますからちょっと類を見ませんね。 キャラが被っていてもちゃんと理由がある辺りには脱帽……。 ダイナミックでスケールが大きいにも関わらず、 エンターテイメントとして世界がきちんと完結している点も素晴らしいと思います。 ![]() 《魔法使い》!! もう主人公とは腐れ縁を通り越した《運命》で繋がっているはず(言葉の綾では無いくらいに)。 あの口調と性格ははまったら抜けられませんね。 適切な表現ではありませんが、男性版ツンデレというのが一番近いかも……いや、どうかな……。 あと《女帝》も、あの凛とした強さが好きです。 ![]() 最初の方。恐ろしく少女小説寄りの一人称なので、読みにくいです。 シリーズ通して読めば本当に面白いだけに、最初がこれだと勿体ない。 巻が進むにつれて、徐々に直ってはきますが。 それと、説明部分がやや長い。 まあ長いシリーズなのでどこかに少々退屈な部分があるのも致し方ない気がします。 腰を据えて一気に読むのがおすすめですね。読んだ後、本当に心に残る物があります。
ファンタジーだと侮っちゃいけません。 とんでもない、これはSFであり(エセ)歴史小説です。 全22巻からなるのですが、その第一部は比較的少女小説です。恋愛模様もあります。 しかし、第二部。恋愛要素は減り、核やらソ連やら、物々しい単語が続出します。 さりげない伏線が山のようにしかれ、それがだんだんとまとめられていくさまは圧巻です。 とんでもないところに仕掛けられた伏線に、2度目に読むときはびっくりします。 なによりも、とにかく濃いキャラたちがいい! とんでもないやつらが、ものすごい能力で暴れまわる、ように、見えます。 ![]() 主人公の水元頼子ことライコ。 自分勝手で頑固で他人のことを考えられない子だけれど、 だんだんと成長していくのは読んでいて楽しいです。 ![]() 前半、ライコが少々うざったく感じられます。 あと少女小説特有の文章が残っていて、慣れていない人は読みづらいかと思われます。
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みんな元気。
夜中に目ざめると、隣の姉が眠りながら浮かんでいた―。 あの日から本当に色んなことが起きた。 竜巻が私たちの町を襲い、妹の朝ちゃんは空飛ぶ一家に連れさられてしまう。 彼らは家族の交換に来たのだった(表題作)。 西暁町で繰り返される山火事と殺人の謎(「矢を止める五羽の梔鳥」)。 単行本『みんな元気。』から3篇をセレクト。
軽妙な一人称という語り口から紡ぎ出されるテーマは一貫して「愛」 一人称の語り口独特のトリックは物語を難解にし、かつ明瞭にする。 わかりやすく言えば、喫茶店で偶然後ろに座った、ちょっとブッ飛んだ女の子が 「わたしさぁ、この前・・・」と話し始めたとでも思ってください。 その子を通してみた、世界、自分を取り巻く物語、家族、恋。 空を飛び暴風雨に巻き込まれるように展開される悪夢を体験できます。
彼女なくしてこの物語は成立しない
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