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200万字の本を読むことでたった1秒だけ、時を止めることができる一族“時載り”。

時載りリンネ!


ジャンル
現代ファンタジー
著者清野 静
出版社:角川スニーカー文庫
発行年月:2007年08月
本体価格 552円 (税込 580 円)

妃芽さん(女性・19歳) 地底人Tさん一押し!

■ 解説                               

 200万字の本を読むことでたった1秒だけ、時を止めることができる一族“時載り”。
 バベルの塔に住み、本を摂取することで生きている彼らだが、
 わざわざ人間界にやってくる変わり者もいる―
 それが僕の隣の家に住む幼なじみの少女・リンネだ。
 「わくわくするような大冒険がしたいな」というリンネの一言により僕らは、
 時間を自由にまたぎ歴史の中に住む死の集団“時砕き”が所有する、
 “誰にも読めない本”を巡る冒険を始める。


■ 妃芽さんの書評                        

 本を読むことから栄養を得ていて、
 200万字読むごとに1秒間時を止める事ができる「時載り」と呼ばれる種族の女の子・リンネと、
 リンネの隣家に住む幼馴染の男の子・久高の「わくわくするような大冒険」のお話です。

 とにかく、3巻まで読んでみてください。
 今(2009年8月)現在、5巻まで出版されているシリーズ中、傑作は3巻だと思っています。


 1、2巻と違ってバトルシーンは殆ど無く、全体的に児童文学の雰囲気が漂っているのですが、
 これが時載りリンネ!の世界観にすごくぴったりなんです。
 私が児童文学好きというのもあるかもしれませんが……。
 主人公とヒロイン共に小学生、というのもラノベにしては珍しいかな、と思いますので、
 
 児童文学好きな方は、ぜひ。

 正直に言うと、1、2巻はそれほどでも無いのですが、
 3巻以降格段に面白くなっていく作品だと思います。
 長編の5巻も良い雰囲気ですし、短編集の4巻も楽しいです。

 クドイようですが、読み始められた方は、とにかく3巻まで読んでみてください。
 この作品の良さが分かると思いますので。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 ヒロインの、箕作リンネ・メイエルホリドです。
 小学生らしく素直で元気いっぱいで、でもちょっとだけ背伸びしたい年頃で、
 幼馴染の久高と仲良しで……ものすごく可愛いです。
 こんな女の子が妹だったら、きっと仲良くなれそうだなと思ってしまいます。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 1巻の最初のあたりが、ややハルヒシリーズに似ている事でしょうか。

 ハルヒは大好きな作品なので、最初にリンネの1巻を読んだときは何とも微妙な気持ちになりました。
 やっぱり自分が好きな作品と似ている作品というのは……あまり気分の良いものではないんですよね。

 恐らく「楽しいことがしたい」というリンネのキャラクターがハルヒと被って見えてしまう事と、
 主人公の一人称で物語が展開されていく事が、私がそう思ってしまった原因だと思われます。
 ただ読み進めていくとストーリーもキャラクターもハルヒシリーズとは全く違うものですし、
 「リンネとハルヒが似ている」と感じるのも1巻の前半だけですので、あまり問題は無いかと思います。



■ 地底人Tさんの書評                      

 ラノベはあまり読まないんですが、古本屋で第二巻を見かけて読んだのがきっかけでした。
 理由は「文章がしっかりしてそうだった」から。そしたら当たりでした。

 アン・マキャフリーが子供向けに書いたファンタジーとかと似た、
 (『天より授かりしもの』しか読んだことがありませんけど)
 暖かで優しいにおいがします(天日干しフトンや淹れたてココアとクッキーみたいな)。
 
 ほんわかした温かみのある日常描写が極上、優しさに満ちたファンタジーです。

 消費される小説というより、ロングセラーを狙うタイプの作品だと思います。
(あまり古本で出回っていないのは、読者が売りたがらないのも理由の一つなのかもしれません)。

 安易に「萌え」ばかりに走るようなアザトサがなくて、
 純粋にカワイイばかりです(これは作者の性格なのでしょうか)。


 絵柄もしゃれていて、独特の愛らしさがあります(話の内容にとてもあってます)。
 すげー趣味いいなーと感じました。
 まだ二巻と三巻しか読んでいませんが、機会があったら他の巻も読んでみたいです。
(上で妃芽さん推奨の第三巻は、これまた独特の良さが濃厚かと。
 物語が進んでいくにつれ、「時」と「言葉」というテーマがはっきりと表れてきて、
 「時載りってそういう存在だったのか」「なるほど」とうなずかされます)


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 あえて意表を突き、ねはん君(箕作涅槃、リンネの弟)が一押し。
 「ダルタニヤンごっこ」でやられました。
 リンネよりカワイイかも。
 
 それとリンネに忠実な久高にもエールを(将来苦労するかも)。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 部分的にしか読んでいないのでなんともいえませんが、
 リンネが世界で七人しかいない「時砕き」である必然性が薄い気がするあたりです。

(もともと子供の冒険談ですし)
 
 もっと大きな保安組織、時載り警察とかの見習いでも良かったんじゃないかなーと。
 他の時砕きにしても「死の集団」なんて言う割にほんわかしていますし。
(実質的には「強力すぎる大魔法使い」の方が正しい気がします)。
 作者さんは邪気がなさすぎて「争い」を描くに向いていないみたいですし、無理することなかったのにと。

 大人から子供まで楽しめる内容なのに、言葉などがやや難しいことがあるので、
 小さな子供には読みづらいかも。
 もしもうちょっと平易な外国語にでも訳されることがあれば、外国でも広く読まれるかもしれません。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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