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なにもかも不確かな世界の中で、ただ互いの『言葉』だけがリアルだった

リバーズ・エンド

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 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 175
 おもしろいです! 55
 なかなか良いです。 37
 ふつうです。 6
 イマイチです。 10
 おもしろくないです。 4
 買うと損します。 21

ジャンル恋愛・ラブコメ
著者橋本 紡
初版発行 2001年 12月
電撃文庫( メディアワークス)
価格(第1巻)530円 (税込:557円)
吹雪雪崩さん(男性・16歳) 氷魔術師さん(男性・16歳)
上弦の月さん(男性・20歳)さん一押し!


■ 解説                               

 拓己は十四歳の中学生。そんな彼の携帯に突然メールが送られてくる。
 あなたの町に海はありますか――?
 拓己は戸惑うが、やがてメールの送り主である唯という少女と、心を通わすようになる。
 雪の降る夜、息が白くなる朝、騒々しい昼休み、何度も何度もふたりは『言葉』を交わしつづける。
 なにもかも不確かな世界の中で、ただ互いの『言葉』だけがリアルだった。
 ひとときの優しさ、ぬくもり、そして――。
 彼らは気づいていなかった。その時、なにかが始まろうとしていたことに。
 第4回電撃ゲーム小説大賞「金賞」受賞の橋本紡が贈る気鋭の新作ついに登場。



■ 吹雪雪崩さんの書評                      

 すごい……じゃない。完璧な……でもない。
 そんな感想じゃ、なんだかいけない気がする。
 でも、心温まる、良いお話です。

 自分の語彙力のなさゆえかもしれないのですが、上手く形容できません。
 ましては一言では、絶対に無理。
 きれい……淡い……切ない……もどかしい……?
 まだまだ、的確じゃないです。……なんなんだろう。

 初めて読んでから半月ほど、正直自分は結構な放心状態に陥っていました。

 あるいはずっと、何かを考えていました。何を考えていたのかすら、いまいちよく分からないですが。
 自分は一体、何をやっているのだろう……?
 自分自身が、何かとても下らない存在であるような気がしてならなかったです。
 ついつい学校に忘れ物をしてしまったり……怒られた。
 
 買ったのはずいぶんと前のことなのですが、以前から此処に感想を書こうと思えど手が動かず。
 ……自分なんぞが評価して、汚してしまっていいのだろうかと思ってしまったほどです。
 
 やっと投稿……それでも不安なくらいに、『リバーズ・エンド』は良い話だと思います。
 

 中身はもちろんですが、ぱっ、と開いた紙面の見た目もいいです。
 難しい表現が少なく、漢字の濫用が見られないからかもしれません。
 でも、それは逆に難しいことなのだと思います。
 それでもこんな文章が紡げるのだから、さすが橋本紡先生です。
 書店にて本を手に取り、一ページ目を開いた瞬間、……何かを感じた気がします。
 気のせいだと思いますが。
 
 ちょうど、お年玉を持っていてよかった。
 after storyはなかったのですが、それ以外は全額を使って一気に購入。後悔なんてしていません。
 自分がつまらない人間だったから、ということもあるのかもしれませんが……、
 こんなに感動したことなんて、今まであったかなぁ。
 絵も好きです。こういう感じの絵って、もう感性の領域なんでしょうね(素人なのであまりいえませんが)。
 高野音彦先生もすばらしいです。

 一巻以外はあまり……という意見もあるようですが、自分はそうでもないかと思います。
 一巻でまいた種が、二、三、四、五巻を通して、ラストで実を結んでいると思うからです。
 ……毎日手にとっているくらいなので、一巻が特に良過ぎるのは認めますが。
 
 一巻のラストなんて、思わず「うわぁ……」と漏らしていました。
 ……周りに人がいなくてよかったです。何度読み返しても、感嘆しか出来ないでいます。

 
 『半分の月――』よりも、自分はこちらの方が好きです。
 宝物になりそうな予感。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 藤木唯。
 切ない。儚い。純粋。そんな表現がぴったりな女の子です。絵も相応しいと思います。
 でも、芯は強いですね。つらい現実を知っていても、
 それに染まらないで純粋に幸せを噛み締めることの出来る強さを持っています。
 
 そして、瀬川拓己。(ネタバレあるかもしれません、よろしいでしょうか?)
 理不尽で非現実のような、けれどもやはり現実の中で、彼は様々な思いを抱え、悩みます。
 仲間とのふれあいを始めとした様々な体験と、日常だった頃の思い出が重なって生まれる感情。
 それが読者にとってのさらなる切なさを呼んでいるのだと感じました。
 唯がかつての彼女でなくなったと知ってからの迷いの描写も、これがまた上手いのです。
 
 全てが終わった後に、唯からのメールや、成長していた猫たちを見て、
 拓己は記憶を失った唯と生きていこうと決めるのですが……。
 ラストの文章も、読むことをやめられなくなるほど綺麗でした。
 特に、一巻の二人のやり取りは心温まりました。

 あと、七海や直人や茂、弥生に孝弘、遥。
 みんな人間味を感じる、良いキャラクターばかりです。
 さらには、柚木や沢野の心理まで。伊地知はむずかしいですが。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 同じことを繰り返すと、やはりSF要素が弱いことです。
 ただ、それを十二分にカバーするほどの心理描写があるため、そこまで気にはなりませんでした。
 卓越した心理描写を生かすために、ほんの少しならばSFは弱い方がいいのかも、とも思います。
 
 むしろ気になったのは、この物語には消化されていない謎が多いことです。
 
 橋本先生自身も四巻のあとがきで『いくつか謎が残るかも』と記されていましたが、
 それでもやはり、自分は非常に気にしてしまいます。
 いや、完璧を求めるべき作品ではないとも思うのですが……。



■ 氷魔術師さんの書評                      

 小説の紹介を見ての通り、恋愛にするかSFにするかで迷いました。
 ただ重点をどこにおいているか? そう考え、ジャンルを恋愛とさせていただきました。

 描写が非常に丁寧で、現実離れした設定の中で生きるキャラクターたちに、
 とても親近感のようなものを感じます。


 半分の月がのぼる空でも思ったのですが、
 橋本紡さんはこの点において非常に優れていると思います。
 まるで私たちのように悩む姿を見て、私自身とても考えさせられました。

 そして、私はこの作品の一番の長所は"テーマ性"に富んでいる、と言うことだと思います。
 これは、ライトノベルではあまり見られない長所なのではないでしょうか?


 簡単に言うならば、これは登場人物たちの成長物語でしょう。
 著者である橋本紡さんは、ライトノベルという私たちのような若い世代にも
 比較的読みやすい媒体を用いて、「登場人物と同世代」である私たちへ
 メッセージのようなものをこめたのだと思います。

 ここから先はネタバレですが、

 この物語の最後に主人公・拓己が猫たちに向けたメッセージが、
 上で述べた橋本紡さんが伝えたかったメッセージだと思っています。
 唯からのメールを受け、主人公は成長したからこそ猫たちに
 「きっと生きてゆけます」と言えたのでしょう。

 そして主人公は自らの意思で猫たちと別れ、唯とともに再び、
 始めからやりなおす決意を固めたのではないでしょうか?
 私はこれが、この小説につけられたタイトル
 「リバーズ・エンド」の意味するところであると思いました。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 全てのキャラがたっています。
 あえてあげるなら七海かな。精神的に弱い部分もありながら、明るく、ひたむきです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
  SFとして全体を見たときにオチが弱い。



■ 上弦の月さんの書評                      

 河口(リバーズ・エンド)
 そこは、川の終わり。
 そして、海の始まり。
 
 この物語は、僕の14歳の誕生日に始まる。
 そして――。
 この物語は、僕の15歳の誕生日に終わる。
 
 
 この作品は心理描写が大変すばらしいです!!

 表現自体はシンプルなのに、なぜか心のなかに響きます。
 拓己たちの苦悩する姿をみて、自分自身も考えさせられる……

 ここまで、深く感情移入のできる作品はなかなかありません。
 橋本先生の心理描写は本当に素晴らしいです!!


 以下、ネタバレを含みます。
  
 この作品はハッピーエンドでもバットエンドでもありません。
 拓己と唯、二人は伊地知たちの作為によって出会います。
 二人は何度も何度も言葉を交わし絆を深めます。
 やがて、彼らの出会いは悲劇を招きます。
 彼らは悲劇のなかで傷つきながらもなにかを掴みます。
 大切ななにかを掴み取る……そんな作品です。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 みんな大好きです!
 拓己、唯、七海、直人、遙、弥生、茂、考弘
 橋本先生の描くキャラクターはみんな生きています……


■ 一言感想コメント                       

・雰囲気にのまれました。衝撃でした。ファンタジーから現代ものに切り替えたきっかけ。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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おもしろいです!オススメします。
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