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火星の土方歳三
1869年5月11日、土方歳三は箱館郊外で敵弾に倒れ、魂だけの存在となってしまう。 しかし、彼は死してなお戦いを欲し、 戦える場所があれば、躊躇うことなく行ってみたいと願っていた。 そんな土方が夜空を仰ぐと、天空には欧米で戦の星とされている火星があった。 いっそ火星にでも行って、そこで再び戦いたい―― そう火星に両手を差し伸べた土方の魂魄は、 軍神マルスに誘われるがごとく、一瞬にして地球と火星の間の隔たりを跳躍した――!? これぞ土方歳三版『火星シリーズ』。
函館で戦死した土方歳三は、 魂だけとなっても新たな戦いの場を求めて、天に煌めく火星へと飛んだ。 しかもそこは、群雄割拠。 異様なモンスターが戦いを繰り返し、熱い漢達が武勇を誇る冒険の世界だった。 ターザンの原作者、エドガー・ライス・バロウズの代表作 「火星シリーズ」の舞台であるバルスームに土方歳三が乗り込んで大活躍♪ オールドSFファンも思わずにやりとしてしまう、冒険活劇です。 「タイトルで勝とう、と思いました」 というのは作者吉岡氏の弁、 10年間暖めていただけあって、「火星シリーズなんて知りません」という人でも、 しっかりと「ワクワクの冒険」が楽しめるようになっています。 また、原作の「火星のプリンセス」と「火星の女神イシス」との中間、 ジョン・カーター不在の時期を上手く使い、 「なるほど、あの間こんな事があったのか」などと、火星ファンには更に楽しめます。 ほんの少し古臭い、しかし何時まででも楽しめる、そんな冒険の世界。 もう文句無く「とにかくいっぺん読んでみて」とお勧めの一品です。
原作のキャラクターで、 「火星の透明人間」では見事ジョン・カーターの娘ソレスをゲットする若き士官。 生真面目でお人よしな彼が好き♪
まあ、「ご愛嬌」ですむ程度のものです。 それと、「司馬遼太郎」の間違いを踏襲していて、 隊士の一人の「善爺」と呼ばれる人(残念名前を忘れた)を年寄りとしてしまっているところ? 実は彼は、近藤勇より若いのです(笑 )
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神を喰らう狼
神話より出づる少年 選ばれた人と見捨てられた人。二極化された世界に生きるピュアな心が奏でる物語。 あなたには自分の命に代えても守りたい人がいますか? 美しい海に囲まれた島で育ったぼくは、なにも知らず、ただ幸せに暮らしていた。 時折、島を訪れる綺麗な青い瞳と金髪の持ち主であるフェンの訪れを楽しみに。 ぼくの故郷でもあるフェン。ぼくはフェンのために生まれてきた! けれどリトルと出逢い、そしてフェンが事故にあった日から、 あの男と出逢った日から、ぼくのなかでなにかが壊れ始めた――新たなる神話の誕生―――!!
「Dエリア」という「見捨てられた土地」に生きる人もいる。 「神を喰らう狼」の主人公ボーイが住んでいるのは、「シティ」でも「Dエリア」でもなく、 綺麗な海に囲まれた美しい島の邸宅。 ボーイは臓器提供用クローンであり、オリジナルの私有地で「放し飼い」にされているのだ。 管理された市民、見捨てられた土地、臓器提供用クローンと、 SF作品にありがちな素材を使いまくっているが、 その陳腐さをカバーして余りある「美しい表現」が魅力。 ここから先はネタバレですが……。 ほぼ全てがボーイの一人称で語られている、いわば「一人称小説」。 この主人公、物語中で「十歳で生まれて」と描写されているように、 冒頭(13歳)ではひらがなが多いのだが、 知識を得て自我が確立するにつれてどんどん漢字が増えていく。 また、途中でボーイが失明したあとは、風景や色の描写が皆無になるのだが、 迫力が損なわれることはなくむしろリアルにストーリーが展開していく。 大きな転機点は、ボーイが突然「トータル・クローン法」の草案をそらんじ始めるところ。 今まで何の疑いもなく「幸福」だと信じていた主人公(及び読者も?)の概念が揺らぎ始める。
同じ臓器提供用のクローンであり、未来が見えていない二人の会話がとにかく切ない。 ボーイは「自分の身体がオリジナルに移植されるのは、クローンにとっての唯一の幸福」 と信じているのに対し、5歳まで自分がクローンであると知らなかったリトルは、 「オリジナルが発病しなかったら、もしかしたら一生妹として暮らしていけたかもしれない」 と呟いている。己の立場について意見を違える二人だけれど、 共通点は「オリジナルを愛している」こと。 また、悪役の独裁者ユージン及び側近のセシル。シリーズが進むにつれて光っていきます。
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神様のパズル
留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、 不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。 天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。 だが、究極の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、 なんと彼女は、ゼミに現れたのだ。 僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになるのだが……。
『宇宙を作ることはできるのか?』 この作品、一見堅苦しく見えるのだが意外と読みやすかったりする。 ダメ男な『僕』のコミカルな心情や、それに相対するような天才少女沙羅華の心の闇など、 想像以上に深みのある作品であることをここに宣言する。
『なぜ自分が生まれてきたのか』苦悩する姿がどこか共感できてしまった。
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