第4研究室 創作に関するQ&A 63P | トップへ戻る |
猫の盛りさんのコラム 2007年
 銃に関する知識 
   
 通りすがりの野良猫です。
 このコラムは、銃という小道具を小説で使う上で、
 知っておいてもたいして役に立たないかも知れない無駄知識です。
 それでも、何かの偶然で活かしてもらえるかも知れないと信じ、
 猫の額の奥のしわの少ない脳みそから出しておきます。

 なお、オイラ同様にB級以下のハリウッドアクションをこよなく愛しておいでの方は、
 「そう言う事は知っていても言わないのがマナーだぞ!」
 とお叱りにならないようお願い申し上げます。


■その1:サイレンサーを付けて撃つと本当に「プシュ」って言うの?
 サイレンサーとは、漢字で書くと消音装置の事で、銃口の先端に付ける筒のようなオプションです。
 内部は銃口と同口径の穴が通っており、スポンジが周囲に張り巡らせてあります。
 このスポンジもただのスポンジではなく、
 空気を効率よく内部に逃がし拡散する効果を高める工夫がしてあります。
 サイレンサー自体は内部を何かが高速で過ぎると「プシュ」っと言います。
 (エアガンで試しました。オイラはカッコイイ!と浸たりました……)

 が、実際にサイレンサーを銃に付けて発砲するとデッケー発砲音が轟いて、
 全然消音しないことを体感するでしょう。
 バイクにも排気ガスを出す部分に太い筒がついてますよね。
 アレはマフラーと言いますが、アレも消音効果の目的で太くなってるのです。

 でも、うるさいですよね?

 マフラーをはずすと普段のエンジン音の倍以上のデッケー音がするのです。
 銃身自体より2周りは太いサイレンサー付けてるのにバンバンでかい音がする。
 当然、サイレンサー付きの銃を撃っても馬鹿でかい音がしますが、
 それでは説得力の欠片もないので、映画では「プシュ」と言う音に差し替えているのです。

 じゃあ、何のための装置なのかというと、無論、音とを抑える効果を期待して付けてます。
 だからといってご近所に配慮した装備ではありません。

 サイレンサーの実効果は30%程の発砲音の軽減と言われています。

 標準的な拳銃弾である9ミリパラベラム弾で100dbという音量だそうです。
 これは通過する電車の音をガード下で聞いた時の音量と同じです。
 30%減で70dbに落ちますので、
 スクランブル交差点の真ん中で行き交うクルマの音を聞く程度になります。ああ、うるさいっすねぇ。
 
 でも、特殊部隊等が屋内に襲撃した際には有効な装備らしく、
 屋内という環境でこの発砲音の差を聴くと、意外に遠くで撃ち合いしているように聞こえるそうです。
 味方が直ぐ近くで発砲し、敵が遠くから撃ち返す音がするので、
 「敵はどこだ!」と廊下に飛び出したりすると、実はその廊下で撃ち合いしていて、
 特殊部隊に狙い撃ちされたりする訳なのです。


【蛇足】:じゃあ、音のでない銃はないの?
 実在するようです。単射専用らしいですが。

 銃弾発射時の音は3種類存在します。まずは、発砲音。
 これは火薬が一気に燃焼する際に生じる破裂音で、
 これを吸収軽減するのがサイレンサーの役目です。

 次に銃弾の風切り音。銃弾によっては初速で音速より速い物もあり、
 この場合は衝撃波音も加わります。
 音とは空気の波です。水面の波紋と同じように均一広がります。
 ただし、球状に立体的に伝播します。
 物体が音速に近づくとは、空気の球状の波紋の広がる速度に近づく事であり、
 進行方向に音の球状波紋が重なるようになってきます。
 この重なりが"音速の壁"と言われる高密度の空気の層です。
 これを突破する際に強力な破裂音が生じ、以後、
 音速を突破し続ける物体の先端からコーン状に高密度の音である空気の層が展開します。
 これが衝撃波です。マトリックスという映画で銃弾の周囲に巻いてる渦みたいな奴です。
 実物は渦巻いてはいませんがw。

 最後は銃自体の動作音です。
 引き金を絞る音、撃鉄が落ちる音、銃弾を再装填する音等々がします。
 つまり、銃自体の可動部分を減らし、構造自体を消音構造にし、音速を超えず、
 ガス量の少ない火薬で発砲すれば「プシュ」と言う銃になるはずなのです。


■その2:銃で撃たれると人間は吹っ飛ぶの?
 撃たれて、銃弾が着弾した人間は吹っ飛ぶのかと言う事ですが、吹っ飛びません!w

 これも、映画的な嘘です。

 冷静に考えてみてください。初歩的物理ですが、必ず作用点には同じ力で反作用が生じます。
 もっと簡単に言えば、70Kgの人間を1メートル吹っ飛ばす銃弾があったとします。
 それを銃や弾丸等々含めてジャスト70Kgの人間が発射すると、
 その人物は後ろへ1メートル押し出されることになるのですw
 地面に向けて撃てば空が飛べます。
 体重の軽い人間で、マシンガンで打ち出せば、優雅な空の旅を満喫できる事でしょう!
 うるさいけれど。

 実際に銃について紹介するビデオでは、
 拳銃弾では比較にならない軍用のアサルトライフルでのゼロ距離射撃を、
 ボディアーマー(防弾用の装甲服です)を着て片足立ちで受けるというのがありました。
 でも、小柄な撃たれる側の人物はビクともしませんでした。

【蛇足】:じゃあ、まったく吹っ飛ばないの?
 銃弾自体を受けても、赤ん坊すら転がりませんが、吹っ飛ぶように見える瞬間はあります。
 1つは、発砲音に驚いて飛び上がるという奴です。当たっても当たらなくても飛びます。
 もう1つは、撃たれた混乱で、着弾してから回避しようと飛び上がって倒れると言う奴です。


■その3:弾がぎっしり詰まったマシンガンのマガジン(弾倉)を撃つと爆発する?
 しませんw

 映画や小説でおなじみの簡易爆弾として、
 投げた弾の詰まった予備弾倉を打ち抜くというのがありますが、暴発はほとんどしません。
 しても1発分のみです。

 銃弾はカートリッジという真鍮性の頑丈なケースに火薬を詰め、
 それに点火させる事で弾頭の銃弾を発射します。
 カートリッジ(薬莢)は銃弾を音速近く、
 或いは音速を超えて打ち出す程の爆発に耐えるように作られた、円筒状の構造です。
 この中心を弾丸が直撃すれば、その衝撃で暴発はしますが、
 周囲も頑丈なカートリッジが詰まってるので、暴発は1発のみになってしまいます。

 むしろ、そう言う状況は少なく、単にマガジン(弾倉)が割れて、カートリッジが散らばります。

 マガジンは、最低限の強度しかない薄い金属で出来るだけ軽量に作られています。
 理由は、中に重たいカートリッジを詰め込まなければならないからです。
 最近の銃では、プラスティック製のマガジンまであります。

 爆弾として使うには最低限度、爆発の内圧が高まるまでは強度を保ってないとなりませんが、
 銃のマガジンにそんな根性はありません。銃弾なんか受けたらあっさり割れます。


■その4:拳銃を押しつけて撃つとどうなるの?
 オートマティックという銃の上部がスライドして、
 発砲済み薬莢を排出するタイプの銃の場合、ほぼ撃てません。

 エアガンとか持ってる人は判ると思いますが、
 スライド中に撃鉄が落ちないように引き金との接続が外れるのです。
 ほんの数ミリ程度さがれば、撃てなくなります。

【蛇足】;じゃあ、オートの拳銃なら押しつけられても安心?
 至近戦闘用に銃をカスタマイズしてあるもの(ストライクカスタム)とかは撃てます。
 これは銃の下部、フレーム部分のスライドレールを延長して、
 銃口の前にカバーを付けたものです。
 他にもオートの銃では折れやすい細い撃鉄を折れにくい物に交換してたりします。
 銃口の前にカバーがあるためスライドが押し戻されず、ゼロ距離で押しつけて発砲できます
 シカゴの賞金稼ぎか殺し屋さんしかやらんような、カスタマイズだなぁ。


■むすび
 これらの知識は、我々が目にする多くの作品で暗黙の嘘として用いられています。
 正直に言えば、知らなくて良い事で、コアな映画ファンが、
 ひっそり映画を見ながらほくそ笑む程度のお話です
 他にも重機関銃は連射してはいけないとか、最新防弾ガラス事情とか、
 狙撃はどれくらい遠くまで狙えるのかとか、とか、とか……

 小説は基本的にフィクションで、
 つまらないリアリティよりも上手な嘘の方が面白い事は間違えありません。
 映画しか知らない主人公が現実の銃撃やらに巻き込まれる話なら、
 こういうのも生かせるかも知れませんが……
 「じゃあ、このコラムは猫の自己満足か!」とかお怒りの声が聞こえてきそうですが、
 
 嘘を知っていて、嘘を描くのと、嘘と知らずに嘘にしてしまうのは、
 どっちが良いのかとオイラは思うのです。


 無論、嘘は嘘なので、結果は同じなんではありますが……。
 む、こんな駄文に原稿用紙十枚越えるほど、文字を入れてしまった!
 この辺で失礼いたします。
 ではでは。


海原さんの意見 2013/03/09
>標準的な拳銃弾である9ミリパラベラム弾で100dbという音量だそうです。
>これは通過する電車の音をガード下で聞いた時の音量と同じです。
>30%減で70dbに落ちますので、


 この部分の記述です。音量が30%減少すると100dB⇒70dBに下がる、という理解は誤まっています。まずdBの意味を確認したほうがよいでしょう。
 音であれば、20dB増加、減少であれば10倍、1/10倍の意味です。
 またサイレンサー使用で30%減少という記述もその意味では非常に少ない変化量となってきますので、何が30%減少するのか再確認したほうがよろしいでしょう。

thao-kazさんの意見 2013/05/27
 たまたま、見つけて拝見してまして、一応、小説には、関係ないですが、合氣道の創設者の植芝盛平は、ちゃんとした立会で、弾丸をかわせたそうです。
 氣と意識の関係で、打とうとする意識が、みえれば、武道の達人レベルなら、実際、かわせる人はいます。
 あとは、F1レーサー並みの動体視力が、あれば、見えるとは、思います
 前頭葉を経由しない意識は、0.001より、早いです。
 専門的には、身体意識とリバースといいますが…
 すみません、通りすがりのつぶやきです^^;

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