第4研究室 創作に関するQ&A 198P | トップへ戻る |
EXさんからの質問
 作品が作者の都合でしか動いてない状態とは?
 
 鍛錬投稿室に小説を投稿した者です。
 七国山 昇さんから感想で以下のような指摘をいただきました。

> ストーリーや、設定、キャラのいずれかの魅力で引っ張ってくれるのならば
 評価も違ったものになるのですが、作品内のありとあらゆるものが
 『作者の都合』で動いているように感じられ、感情移入ができませんでした。
> どこが問題だったか、そこをどう直すべきか。一つ一つ指摘していくことはできます。
 ですが、それらはすべて『作者の都合でしか動いていないから』という言葉に集約されると思います。


 作者の都合でしか動いてないとは、どういう事なのでしょうか? 
 そもそも、小説は書き手が生み出す物であって、
 『作者の都合で動く』ということは当然なのではないでしょうか?
 ちょっと、ここが理解出来なかったので、ご教授頂けると幸いです。


● 答え ●

chiiさんの意見
 こんにちは、chiiです。
 EXさまの作品は未読なのですが、
 自分も他の方の批評で『作者の都合』という言葉を使ったことがあります。

 物語を簡単に分解すると、「起」「承」「転」「結」の四つに分かれます。
 作者は、起から結までをつなぐ構想、プロットが頭の中にあることでしょう。

 しかし、数多ある物語の中には、そのつなぎ方が不自然な話が存在します。

 例えば、初めは世界最強の敵だった人が二、三日修行しただけの主人公に負ける、
 四面楚歌の状況で、主人公がいきなり神のごとき才能を開花、撃退する、…など、
 物語の中のエピソードそれぞれが、読んでいて自然な感じがしない。
 つまり、その物語の流れに、読者が納得できないのです。「ありえないよ、この展開」というように。

 このような時、読み手として感じるのが、
 「作者が自分の思い描く結末に持っていくがため、このようなエピソードを入れたのだろう」
 という感想です。それが「作者の都合」の一言で表されているのかと思います。


 小説を書くのは、楽しいですが大変です。
 EXさまもこのレスを読んで、「自分はそんなつもりで書いていない」と思うかもしれません。
 しかし、「作者の都合」と言われたということは、
 読者が作品に入り込むことができず、取り残された気持ちになったということです。
 書き手としても、それって寂しいですよね?
 お互い、頑張って精進していきましょう。


DoZunさんの意見
 EXさんの作品を読んでいないので多少的外れな意見になるかもしれませんが、
 『作者の都合でしか動いていないから』というのは、
 要するにご都合主義でしかない、ということではないでしょうか。

 あるいは、作者の思い描いたストーリーに強引にキャラを当て嵌めてしまい、
 キャラが活きていない、ただの操り人形でしかない。そんな状態を指すのだと思います。

 
 作品に対する七国山 昇さんの感想を考えると(この部分だけ読ませて頂きました)、
 後者のようですね。

> キャラクターに『人間らしさ』が感じられません。偶然や直感に頼った行動が多く、
 台詞もどこか薄っぺらいので、とても『自分の意思』があるように思えません。
> 設定に『説得力』が感じられません。敵の能力も味方の能力も『その場を盛り上げるため』の
 存在価値しか感じられず、社会情勢も『そうなるべくしてなる』理由がわかりません。
 設定を支えるしっかりとしてバックグラウンドの存在がなく、ハリボテのような印象を受けます。

 
 これは七国山 昇さんの感想からの引用ですが、以上の内容が端的に表しています。
 小説というのは、EXさんも仰っているように確かに書き手が生み出すものです。
 
 しかし、小説の中の登場人物達は、一個の人間です。
 我々書き手は彼らの運命を左右することは出来ますが、
 彼らは決して我々の操り人形ではないのです。

 作者が書きたい話を書くために“都合良く創り上げられた設定”、“都合良く行動する登場人物”。
 どちらもEXさんにとって都合がいいように構成されたものになってはいないでしょうか。

 一冊の本の中には一つの世界があり、一人の登場人物には一つの人生がある。
 話を作るための世界、話を作るための登場人物ではなく、
 その世界、その登場人物に相応しい話を作っていけば、
 自ずと『作者の都合でしか動いていないから』ということはなくなると思います。


jogtyさんの意見
 読ませていただきました、一応。ただ第一話までです。誤解しないでください。
 私は元々Web小説が「読みにくい」ため嫌いなだけです。

 chiiさん、読まないでよくそこまで看破できますね……。
 ほとんどchiiさんのおっしゃるとおりです。なのでちょっと違う言い方で。

 私はときおり、小説というのは、川の流れのようなものだと思うのです。
 展開が速いところ、ゆっくりしたところ、幅が広いところ狭いところ、
 伏線と言う名の伏流水になっているところもあるでしょう。
 複数に流れていた流れが一本にまとまるときもあるでしょう。
 濁った色をするところもあれば、綺麗な水のところもあるでしょう。

 なので、私は小説を書くときは、この川のイメージを大事にします。
 小説を書くというより、川を描くに近いのかもしれません。
 思い浮かんだままの川のイメージを描くわけですが、
 EXさんの作品は、ちぐはぐで歪な人工河川のような印象なのです。
 作者と言う名の人の手が入りまくって、もはやあるべきカタチを持っていないように感じました。

 もちろん川のデザインは作者の都合なのです。
 ゆったりとした幅と流れを持った川でもいいでしょう。
 岩だらけで速い流れの川でもいいでしょう。
 滝を入れてみるのも面白いでしょうし、下水道のような人工河川にしてみるのもありです。
 どぶ川を書いていて、このままじゃ色が濃すぎて読者に悪いなと思えば、
 水の色を淡くして、配慮という名の作者の都合を入れるときもあります。

 しかし、EXさんの描く川は、スタート地点もなく突然激流に放り込まれ、
 激流になれる間もなく、滝に落とされ、滝が途中でウォータースライダーに変わり、
 川の流れに戻ったと思ったら、ジャンプ台でぽんぽん川の上を飛ばされているような印象なのです。
 もはや自分でも何をいっているのか分かりませんが、EXさんの小説は、
 川というより「こういうものだと覚悟して乗るアトラクション」になってしまっています。


ぺーさんの意見
 読者が読んでいくとだんだん理解出来てくる……というように書きましょう。
 ゲームでも最初は操作に慣れて貰うために簡単になっていますよね。
 最低限の操作法だけを覚えれるようになっています。
 この作品はのっけから造語だらけで、この世界の初心者である読者への配慮に欠けています。
 初心者が理解できる情報量を大きく超えているかと思います。
 最低限必要なものから、進むとともにだんだんと、というさじ加減が必要です。

 で、本題ですが
 
 「作者の都合で動いている」というのは……簡単に言えば、キャラクターたちが全く悩んでないし、
 驚いてないし、苦労もしていない、ということです。


 あくまで「予定調和」ということですね。
 渡された計画表のとおりに仕事をこなしていってるだけ。
 旅行で言えばガチガチにスケジュールが決まっているツアーという感じでしょうか。

 物語には、努力すべき対象である「困難」が必要です。
 追い込まれることによって、悩み、苦労して、それをバネとし、困難をはじき返すわけです。

 「作者の都合で動く」というのは、あまりに予定調和過ぎて、
 そういったドラマ性が著しく欠けている、ということだと思います。



匿名希望さんの意見
 どうも匿名希望です。
 よく作者の都合でしか動いてないキャラ、という言葉を使うので、やってきました。
 横書きで長い話を読むのが苦手なため、最初の方しか見てないので、
 作品に関して、具体的には言えません。

 ただ、キャラクターが意志を持ってない可能性があるのでは、と言わせてもらいます。

 自分で書いている以上、キャラが意志を持たないのは当然です。
 しかし、作者が考えた性格、設定に基づき、行動させているはず。
 ただ、物語を進めるだけのキャラになってしまったんではないでしょうか。
 物語に流されるだけで、キャラが流れを作っていない、そういう状況だったんじゃないでしょうか。
 こういうシーンを、淡々とキャラが進めていく、みたいな感じでしょうか。

 あるいは、やりたいシーンがあるために、
 キャラの性格上ありえない行動をさせたりしたのではないでしょうか。


 読んでないのでこれ以上は何とも言えませんが、何か参考になるところがあれば幸いです。
 失礼しました。


七国山 昇さんの意見
 ヒントだけでは何なので、答えます。

> 作者の都合でしか動いてないとは、どういう事なのでしょうか? 

 これはあくまで感覚的なことなので、わからない人には説明することが非常に難しいです。
 小説に限らず、何らかの物語を作っているとき、プロットにないタイミングでキャラクターが
 『自ら』アクションを起こしたように思える時があります。
 そればかりかプロットの流れに完全に逆らってキャラクターが行動し、
 結果として結末が変わってしまう場合も、少なくとも自分には経験があります。
 
 こういう事は主役級の『設定が細かく作りこまれている』キャラクターに発生することが多く、
 原因は作者自身がキャラクターに感情移入してしまい、
 キャラクターの立場で物語を『視る』ことがあるからだと思います。


 この書き方に慣れている人だと、キャラクターと舞台となる設定を作っただけで、
 『あとは勝手に』物語が進んで行くそうですが、これは書き方の問題で、
 すべてがすべてそうであるとは限りません。
 事実この書き方だと『キャラクターは立っているが何をしたいのかわからない平凡な話』
 となる可能性があります。物語を最初から最後まで順序良く導くには、やはりプロットは必要です。

 ですが、『作者の都合で しか 動いていない』のはやはり問題なのです。

> そもそも、小説は書き手が生み出す物であって、
 『作者の都合で動く』ということは当然なのではないでしょうか?


 半分は、当たっていると思います。

 けれど作者がすべきは『主人公の目的達成の手助け』ではなく『主人公の運命を描くこと』です。

 キャラクターを作ったのも、その世界を設定したことも、
 プロットを書いたのも『作者の都合』ですが、
 キャラクターはあくまで己の目的のために行動しているはずです。
 必ずしも『作者の都合』で生きているわけではありません。
 
 立てたプロットの通りに動かすだけでなく、キャラクター一人一人が何を思い、
 何に苦しみ、何を決断したのか。
 それらを余すことなく書ききることで『作者の都合』だけでない、
 キャラクターの行動理由をやっと伝えることができるのだと思います。

 表面的に記号を組み合わせただけでは、魅力のある萌えキャラは作れんのです。

 とはいえ教えられるよりも、自分で経験して覚えるべき問題なのかもしれませんが……


jogtyさんの意見
 面白いライトノベルを書きたい!と思うのであれば、作法本を探すのもいいですが、
 ラノベ研で十分に用は果たすと思います。
 大塚英志の「キャラクター小説の作り方」をはじめとして、
 小説の書き方を解説する本はたくさんあるにはあります。

 しかし、面白い小説とは、面白い+αを求められます。
 +αがないと、「どっかで読んだ感じ」とか「なんか物足りない」などと言われてしまいます。
 面白いはずが結局つまらないに変わります。

 作法は作法として大事ですが、それにプラスして自分の武器を見つけ出すことも大事で、
 自分の武器が何かなんてのは、どんな本を読んだって教えてくれません。


 そればかりは書きまくって、自分で見出すか、
 他人に「君はこういうところがいいよね」って教えてもらうしかありません。

 あと本を読み込むのは大事ですが、私はやたらめったら本を読みまくるよりかは、
 自分が気に入った本を徹底的に「解析」することが良いと思います。
 どこがよかったのか、どこが物足りないのか、どういう構成なのか、どういう文体なのか、
 登場人物はどう作りこまれているのか、
 いっそ小説を全文書き写すぐらいの気持ちで解析することです。

 それでは頑張ってください。


与儀信一(Noto)さんの意見
 どうも、アマチュア軽小説家、与儀信一と言います。
 数ヶ月前まで鍛練投稿室で世話になっていたのですが、
 長編の執筆に伴ってしばらく離れていました。
 EX様の作品設定、世界観的なものは大好きですので、及ばずながら力になりたいと思います。

 僕はいまだにキャラが立っていませんし、勝手に動いたりもしないので、
 正直言って自分の都合で動かしてます。
 しかしそれを改善しようとは思いません。
 それは「悪い」ことではないと思っているからです。
 
 読者が作者の都合で物語が動くのがいけないと感じる理由は
 「不自然」さや「ぎこちなさ」があるからで、それをなくせば問題ないのです。
 事実、僕の尊敬する榊先生は以前そう仰っていました。

 
 つまるところ、劇と同じです。
 練習を詰み、卓越した演技で望めば観客は喜びますが、
 小学校の学芸会のように恥ずかしさと棒読みのぎこちない劇では、
 観客は喜びません(親は別ですが)

 改善するか改善しないかはEX様次第です。
 ですが少なくとも、EX様の作品における「世界創造」のファンがここにいるということは事実です。
 これからの作品を期待しつつ、今後も成長を続けていけることを願っています。


虫さんの意見
 問題は、登場人物の行動・意思決定が、十分な説得力を持つかどうかです。

 誰かが何かを決めたり行動するときには理由があります。
 その理由自体がその人の性格や状態を表します。小説の登場人物も同じです。
 この理由が不自然なものなら、作者の都合で無理やり行動させていると思われます。

 あなたの作品では、主人公の行動が特に意味不明です。
 ヒロインを守るために、仕事を捨て仲間を捨て、命を狙われ平然としている。
 ヒロインにそれほどの価値があるのでしょうか。彼の理由はなんでしょうか。
 恋愛感情? 個人的なルール? 過去の贖罪? 作者の都合?


Cさんの意見
 作者の都合で動いてるというのは、
 「なんでキャラがこういう行動を取るのか分からない」ということです。



みみながさんの意見
 「作品内から予想出来る事柄は省いてしまう傾向があるようです」
 鍛錬室の方でEXさんは、こう書かれてましたけれど、これが問題なのではないでしょうか。
 
 作者と読者では、作品内から予想できる事柄は違うってことですね。
 それを頭に置いておかなくてはならないと思います。


 とある作家さんがおっしゃってました。

 「感想や批評をもらったときに、説明や反論をしたくなるかもしれない。
 でも、その時に出た言葉が、本文中に欠けている説明や構成である」


 実際に、EXさんは説明をなさってますよね。批評をもらった後にも、この掲示板でも。
 そこが、説明が足りなかった部分なんですよね。本当ならば作品内で書くべきだったところです。
 説明が足りなさすぎるから、登場人物が突飛な行動を取っているように見えたり、
 ご都合主義に見えたりするのではないでしょうか。

 批評をよく読んで、何が足りなかったのか、
 どんなところを説明すべきだったのか考えてみてください。
 他の作品を参考にするのもいいですが、せっかく批評をもらっているんですし、
 自分の作品をさらに練り直すのも練習になると思いますよ。

 拙い意見ですが、少しでも参考になれば幸いです。


峰しずくさんの意見
 こんにちは。

 主人公AとヒロインBに恋愛させたいと考えます。
 そこで、作者は「AはBに恋をした」と書けば、作者の都合です。

 AがBに恋をする過程とか、ふたりの出会いに無茶な設定がないかどうかとか、
 読者が納得する展開を書き綴る必要があります。

 例えば、ヤクザの親分が、高校の新任教師(先日まで女子大生)と恋愛するとします。
 確かに設定は面白いですが、なんの前段もなく恋愛が始まってしまってはおかしいじゃないですか。

 高校生同士で同じクラスで一目ぼれというのなら、まだわかりますが、
 一目ぼれだって、「告白」とか、相手がどういう人なのか探りを入れてみるとか、
 そういうのがないと、ご都合主義だし、小説としても面白くないです。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|