第4研究室 創作に関するQ&A 38P | トップへ戻る |
藍風鈴さんからの質問  2007年
 自分自身を主人公にするのはありですか?

 どうもこんにちは。始めまして。
 私は藍風鈴(あおふうりん)という者で、
 ここに投稿するのは皆さんに聞きたい事があったからなんです。
 小説を書き始めて、まだ二ヶ月近くの素人の質問にお時間を取らせてすいませんが、
 お答え頂ければ幸いです。
 質問は題名の通りなんですが、小説の主人公に自分自身を持ってくるのはいいのでしょうか?

 無論、性格や自分が今まで体験した人生の約半分を使うわけですから、
 まさに自分そのものなんです。
 ちなみに私が書こうとしてるのは、中学1年から大学生になるまでの6年近くを書いた
 いわゆる学園物で、65%程は自分で考えたストーリーですが、
 後の35%くらいは自分の体験談等が入っています。
 しかも、その体験談のほとんどが昼ドラのようになってます。
 
 少し自分の人生を話しますと、中1の時に父方の叔父が交通事故を起こして逮捕され、
 それが原因で約3ヶ月後に母が家を出ていき、また叔父の件はニュースでも報道されたため、
 学校中がその事を知り、ほとんどの人が自分を避けいじめを加えるようになりました。
 まぁ、こういったように自分の中学時代は決していい思い出とは言えませんが、
 それでも乗り越えてきました。
 話は戻りますが、小説に自分の人生や自分をモチーフ&自分そのものを
 主役にするのはありなのでしょうか?
 お時間に余裕があれば、どうか未熟者の自分に意見をお聞かせ頂けると嬉しいです。


●答え●

 辛い体験を創作に昇華しようというポジティブな姿勢は、すばらしいですね。
 自分を主人公のモチーフにしたり、体験をストーリーにするのも一つの有効な方法だと思います。
 
 自分の体験を物語をおもしろくするための要素として扱うことができれば、
 おもしろい作品が作れるでしょう。


 創作をする場合、そのキャラクターになりきって描くというのが、結構難しいことでして、
 このキャラはこの場合、どういうセリフを言うだろう?
 どういった行動を取るだろう? ということで悩むことが多々あります。
 特に、相手が異性だったりすると、リアリティのある人間として描かれているか、
 不安な面がありますね(汗)。
 自分の体験を元にして語るのであれば、一から架空の人物を作るより、
 リアリティのある人物が創造できます。

 ただ、この場合、主人公を自分と重ね合わせてしまうあまり、
 主人公を客観的に見られなくなりやすいというデメリットがあります。

 
 下手をすると、自己憐憫的な文章を綴った日記や、
 愚痴のような作品になってしまう可能性が高いのです。
 他人の愚痴というのは、読んでいておもしろいものではありません(汗)。
 愚痴は、自分の心情を吐露して、自分が楽になることだけを目的にしたものであり、
 他人を楽しませようという姿勢が無いからです。

 創作で重要なのは、いかに読者を楽しませるか? という視点です。
 小説の価値は、どれだけ多くの人に快感・おもしろさを提供できたかで決まります。

>いわゆる学園物で、65%程は自分で考えたストーリーですが、
>後の35%くらいは自分の体験談等が入っています。

 
 この点を、すでに十分ご理解されているようですね。
 ノンフィクション小説の場合でも、100%事実に基づいて描かれるということはなく、
 多かれ少なかれ事実に脚色を加え、おもしろくなるように編纂されます。

 一歩引いて主人公を見る視点を持ち、
 ご自分の体験を物語をおもしろくするための要素として扱うことができれば、成功できると思います。

 どうか、がんばってくださいませ。


Matizさんからの意見
 作者自身が主人公というのは、一般的に「自伝小説」と呼ばれるものではないでしょうか。
 はっきり自伝小説と名乗らないものでも
 作者自身や実際の出来事をモデルにした、自伝的要素を含んだ作品というのは
 小説や映画などに、ごく一般的に多数存在していように思います。
 なので、ご自身の体験に基づく小説を書くこと自体には、問題はないと思います。

 ただ、実際65%は創作という事なら、ノンフィクションではありませんよね。
 そもそも、読者がどこまで事実通りかをいちいち確認する事も無いと思いますので
 素知らぬ顔で、表向きは100%フィクションということでいいんじゃないでしょうか。
 なかなか大変な体験を重ねていらっしゃるようですが
 読者はいちいち作者に同情してくれるほど親切ではありませんしね。
 (むしろ、面白くない小説には作者の気持ちも考えないで
 平気で罵声を浴びせる、とてもヒドイ人たちだと思ってください(爆))
 
 大切なのは藍風鈴さんがいかに苦労してきたかではなく
 その苦労が、いかに素晴らしい作品として実を結ぶのか、という事だと思います。


 内容が実体験であるかどうか、という事よりも小説として面白くなるのかどうか、
 読み応えのあるものになるかどうか、という所を是非とも重視して欲しいな、と思います。


通りすがりeさんからの意見
 うずうず。そろそろ言いたくなってきた。結構間違える人が多いから、そろそろ言いたくなってきた。
 はじめましての変換は、「初めまして」です。お気をつけください。

 さて、本題です。
 自分自身そのものを主人公というのなら、外国では自伝小説、
 日本でなら純文学に相当するものだと、どこかで聞いたことがあります。
 そのくらいの比率なら問題ないと思いますが、100%に近づくにつれ純文学っぽくなっていきます。

 ここで、とあるプロの方がインタビューで言っていたことを引用します。
 「半分の月がのぼる空」作者橋本紡さんの、電撃hpでのインタビューより。

 橋本:祐一が体験していることの多くは、ぼく自身も体験していることなんですよ。
 (中略)
 ただ、ひとつだけ勘違いしてほしくないのが、
 そういうぼくの経験は確かに物語の中に組み込まれていますけど、
 祐一という人間と、ぼくという人間は相当違う。

 体験自体は同じでも、体験する主人公は作者とは違うのだそうです。
 参考にしてはいかがでしょうか。

 さて、ほとんど私見を述べてはいませんので、一応少しだけ。
 自分の性格をそのまま作中に使うと、純文学になりかねません。
 三分の一も入っているのなら、その可能性は決して低くはないでしょう。
 純文学としては弱いでしょうから、ライトノベルよりになるでしょうが……
 中途半端な作品になる可能性もあります。
 やっても問題ありませんが、そのあたりには気を付けて下さい。


Matizさんからの意見
 一応補足しときますが「自伝小説」と「私小説」は別ですよ。
 自伝小説というのは作者自身が体験した事実を参考にしたフィクションで
 別に外国文学に限らず、日本の作品にも多く見られます。
 一方、純文学に昔からある「私小説」というのは、
 さも作者自らの体験や告白であるように装った小説のことで
 必ずしも事実に基づいているわけではありませんので、念のため。

 ……まぁこれも付け焼き刃の知識なんで
 間違っている場合はどなたか容赦なくツッコんで下さい(笑)


蒼い人さんからの意見
 同じような人がネットの海にはいるものだぁ、そう思う蒼い人です。
 私も同じような手法でやってますし、自伝にならないよう配慮もしてます。
 形式やテーマなど、「創作」という点で必要な事を忘れなければ、十分世間にも通用するでしょう。
 但し、そっくりそのまま持ってくるのはやはりお勧め出来ません。手を加えないと。

 先例であるように、例えば主人公は自分と同一にしない。
 自分の良い所だけ抽出するなど、作者自身を素材として扱うようにするべきでしょう。

 同じく、出来事も脚色・抽象化・結末を変えるなどなどの改変を済ませた上で使用可能になる。

 要は、個人のドキュメントは読者の要望に応えられないとアウトになる、という事です。
 作家の大塚英志さんは「他人の話は面白い」と仰っていましたが、それも需要あっての話ですよ。
 創作物の為の素材、として認識するのが肝要です。では。


五木元太郎さんからの意見
 自分の体験を小説にする時、肝心なのは他人にとって面白いかどうかですよね。
 文章にする時肝に銘じておかなければいけないのは、
 日記を書くのか、他人に見てもらう文章を書くのかという事です。

 日記ならマスターベーションと同じで、自分さえよければ何を書いても、それでいい。
 しかし、他人に見せる文章なら、他人が分かるように書くこと。
 それから、他人の関心を引く事が出来るかどうかという努力も大切ですね。


 自分を主人公にすると、独りよがりになりやすい点に注意。
 そして自分を主観的に見るばかりではなく(あるいは自己正当化するだけではなく)、
 公正中立で客観的な目で自分を見ること、
 また自分を批判する人たちの言い分も書けなければ駄目ですよ。
 参考になればいいですけど……。


ひろっさんさんからの意見 2012/12/27
 普通に自分の体験談をネタにするのはよくあることですが。

 この場合は人生を変える事件として成立してしまってますよね。
 なので、一度自分視点の小説を書いてしまうことをお勧めします。
 65%ではなく、100%のノンフィクションを書くのです。

 私もいじめに近いものに遭っていました。
 あのときなんで自殺しなかったんだろうか、と考えることもあります。
 そういうのがあると、書いてる途中で記憶が邪魔しに来るんですよ。
 ですから、それを一度書き出して、自分なりの禊を行ってください。
 そうやって迷いを断ち切れば、自分なりの物語というものの書き方が見えてくるのではないでしょうか。

 差し出がましいことを書いて申し訳ありません。
 なにかの参考になれば幸いです。

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