第4研究室 創作に関するQ&A 50P | トップへ戻る |
まりかさんからの質問  
 男性が見ても違和感のない男性キャラクターとは?
 
 はじめまして、小説を書き始めて間もない初心者ですが、疑問に思ったので投稿します。
 以前の投稿であった、「女性受けするラノベの書き方」を読んでいて、
 逆に「男性が見ても違和感のない男性キャラクター」って、
 具体的に言えばどういうことなんだろうと思いました。
 確かに少女漫画の男性キャラは端的に言えば性欲を見せない、
 女性受けする余裕のあるキャラたちです。

 それは女性がそういった男性像を求めているからなのでしょうが、
 そのまま女性作者の想像した男性像を書いてしまったのでは、
 リアルな描写はできないと思うのです。
 私が書いたり思いついたりするのも、やはり男性のがさつな部分を表に出さないキャラなのです。
 女性の書き手さんからは、ぜひ何に気をつけて書いているのか教えていただきたいです……
 また男性からみて女性の書いた男性キャラに対して、
 これは不自然だ、などとと思ったことがあればぜひ参考にさせてください。


●答え●

 キャラクターは必ずしもリアルである必要はありません。
 むしろ、現実には有り得ない、ぶっ飛んだ個性を持ったキャラの方が、
 おもしろく深く印象に残りやすいです。


 まりかさんは、男性読者の目を気になさっているようですが、
 女性の理想を抽出した男性キャラは女性読者に好まれやすいという点を見逃してはいけません。
 ふつうの男性というのは、まあ、実際には性欲の塊です。
 心の中じゃ、「彼女欲しい! 彼女欲しい!」とモーレツな叫びを上げています(笑)。
 でも、女性はそんなガツガツした男性って、嫌うのですよね。
 生々しい性欲を見せない、クリーンで余裕のあるキャラ。
 それでいて、大事な場面では女性をしっかりとフォローしてくるキャラが好まれるようです。

 こういった男性は、まず現実には存在しません。が、だからこそ希少価値が高く、
 非日常の世界である小説の世界に理想の男性を求める女性読者が多いのです。

 そういった読者の夢を叶えるのも、小説書きの大きな役割でしょう。
 
 そして、ここが重要なのですが、
 女性受けする男性キャラは必ずしも男性に嫌われるわけじゃないのです。
 私の好きなライトノベルに「トリニティ・ブラッド」という作品があります。
 これに出てくる男性キャラは主要メンバーの90%以上が美形、
 しかも、その多くが気品漂う知性的なジェントルマンというあり得なさです。
 そのためか、女性たちから絶大な人気が出て、漫画化、アニメ化までされました。
 じゃあ、男性からは人気が無いかというと、そんなことはありません。
 敵や味方に出てくるあり得ない美形キャラなども、おもしろなぁ〜と、素直に楽しめます。

 また、冴えない男の元に数人の美少女がやってきて、毎日がハーレムでうはうはだぁ〜、
 という男の夢を叶えてくれる小説があるのですが、
 これは必ずしも女性読者に嫌われているわけじゃありません。
 当サイトの一押しラノベコーナーでは、「まぶらほ」という、典型的なハーレム系小説を、
 15歳の女の子がオススメしてくださっています。確認したい方はこちら。
 最初に、彼女から投稿が送られてきた時は、
 それまでの価値観がひっくり返されて驚いたモノです。
 あっ、美少女モテモテ系の小説というのは、
 必ずしも女性読者に嫌われるわけじゃないんだと気づきました。

 なので、無理にリアリティを出そうとはせず、自分の好きな男性キャラを創造した方が、
 結果として多くの読者を魅了できるのではと思います。



みつきさんの意見
 まりかさま、はじめまして。

 リアル、リアル……リアルって一体なんだろう。
 時々、誰しもがこの「リアル病」に罹ってしまっているように感じてしまうのは、
 なんでなのかなあ。私の気のせいでしょうか。

>女性の書き手さんからは、ぜひ何に気をつけて書いているのか教えていただきたいです……。

 というわけで、女性の書き手の意見を書いてみようかなと。

 まず手始めに、よくわかんない「リアル」を、
 「実在感」という言葉に置き換えてもよろしいでしょうか?
 「実在感」と言うのは「その場に確かに存在するという感覚」のことです。

 キャラクターならば、そのキャラが一人の人間として
 確かに存在すると感じられるように描ける、ということが大事なのだと思います。


 で、そのために必要なのが、「想像力」ではなく、
 常日頃からの「観察力」とそれに対する「洞察力」なんですね。
 どういう立場の人が日頃どういうものの考え方をし、
 どういった行動を取るのか。その理由はなんなのか。

 普段からちゃんと見て、感じて、考えて、分析することが大切です。

 たとえば、「彼女を作って楽しい大学生ライフを満喫したい」と、
 常日頃そればかりで頭がいっぱいの男の子と、
「大学、大学院と進んで、文化人類学の研究を極めたい。
 今はチベットの僧院に滞在して研究するための資金を作りたい」
 とかいうことばっかり考えている男の子では、
 社会や大学、勉強というものに対しての考え方や、日常生活の様子、
 子供の頃の行動や思考の仕方、家族や他人に対する接し方、
 女性に対する見方、ひいては性欲のあり方まで、すべてが変わってきてしまうものなんですから。

 そもそも、男性ならばみんながみんな、
 年がら年中、いつでもどこでも脈絡なく発情していて、
 若い女なら誰でもよく、オバサンなら人間性関係なく敬遠し、
 下着が人目に届かないとろこに干してあればつい盗んでしまい、
 体が触れ合う満員電車ではつい痴漢行為をしてしまい、
 派手な服装をした女性を見ればついセクハラをしてしまう。
 また、誰しもがガサツで乱暴で衝動性が強く、活動的で攻撃的で大雑把で、
 自転車に乗ればいつも全力疾走、下り坂も曲がり角も猛スピードで飛ばし、
 数学と社会科と化学実験が得意で、体育と給食の時間に命を懸けていて、
 いつでも喧嘩上等、面子や勝利というものに四六時中こだわって生きている。
 そういうのものなのでしょうか?
 上記のような、世間でよく言われ聞かれる
 無責任で迷信的な男性の「リアル」の一端を並べてみても、
 そうである人もいれば、そうでない人もいる、
 そういう部分もあれば、そうでない部分もある、
 また、人によっては「全っ然違うわっ!」というのが実際なのではないでしょうか。

 大事なのは、実態のよく分からない万人に通ずる「リアル」ではなく、
 個人個人が一人に一つずつ必ず持っているはずの「実在感」、個別性なんです。


 それを是非、鋭く観察し深く洞察し、分析して理論付けて考えて、
 その上でキャラというものをがっちり掴んでみてくださいね。

 それから、これもまた大事なことなんですが、
 書き手である自分の、異性を見る目や心に掛かっている
 フィルターの性質というものをよく知ることも必要です。

 心理学では、実際の性別が男性であるか女性であるかに関わらず、
 一個の人間の中には男性性も女性性も、父性も母性も、
 幼児性も老人的思考も、顕在意識と潜在意識との関係のように、
 同調しながら存在している、というふうに考えます。
 そして、人はその「自分自身の中にあるもの」を自分以外の他者に投影することにより、
 相手を好きになったり嫌いになったりしている、というふうに解釈しています。

 つまり、とある男性が女性を好きになる場合、その男性は、自分の中にある女性性の部分を
 強く体現している女性を選んで好きになっている、というわけなんですね。
 同じように、女性が男性を好きになる場合も、
 自分の中にある男性性を強く体現している男性を選ぶ、という事になります。

 そしてその、自分の中にある男性性(女性性)こそが、
 異性を見るときに知らず知らずのうちに掛かってしまうフィルターになるんですね。


 自分の中の男性性(もしくは女性性でも)を知るのはと意外と簡単で、
 たとえば、自分がこれまでに好きになった男性を思い出してみるといいと思います。
 実在の男性でなくてもかまいません。
 映画やドラマや小説、漫画の中に登場した男性たちで全然OKです。
 で、色々思い出してみると、いつもどこか似通ったタイプの男性を
 好ましく思っていた、ということに気付くでしょう。
 そしたら、今度は彼らのどういうところが好きだったのか、
 もっと詳しく考えて、本当に好きな部分を取り出してみて下さい。

 それがあなたの中にある、「男性性」ってヤツでございます。

 この、自分の中にある男性性をはっきりと認識し、
「私というものの中に、こういう完璧な形の男性性が存在しているんだ」、
 言い換えると、
「私の理想とする男性性は、
 つまるところ自分自身なのであり、私の中にしか存在しないものなんだ」
 ということがきちんと理解できるようになると、
 恋愛対象者や自分の書く小説の登場人物たちにむやみやたらと理想像を投影し、
 それによって満足感を得たい、というような欲求が、段々と小さくなっていくんですね。
 それと同時に、異性を冷静に見られるようになっていきますから、
 書けるキャラクターのバリエーションも広がってくる(かも)、というわけです。

 特に小説などを書く場合、
 自分の中にしか存在しない「男性性」というものを
 いつまでもきちんと認識できないでいると、
 それに悪い形で振り回されてしまうことになってしまうんですよね。
 いえ、自分の理想をキャラに投影するのは悪いことではないのですが、
 どうも、そのさじ加減が上手くできないままになってしまうというか。
 小説の中に何人の男性キャラクターを登場させても、
 理想の投影のさせ方がどうにも一律、一定で、
 みんながみんな、どこか似通った性格、似通った存在感の、
 底の浅いキャラクタ―ばかりになってしまったり、見てくれやバックグラウンドをいくら作っても、
 無意識のうちに理想像を追求してしまって、結局は作者に都合のいいタイプや、
 好きなタイプにしかならなかったり。

 登場する男性が一人ならば、理想を全部ぶつけてしまってもいいかもしれませんが、
 出てくるキャラクターの全部が全部、だれもかれもが同じだったりすると、
 読んでくれた人からは、
「こういった男の人たちって、実際いないでしょ」とか、
「結局はみんな○○○っぽいキャラなんだよね」とか、
 うんざりしたふうに言われてしまったりするわけです。
 まあ、ハーレムもの、逆ハーものの小説なら、
 そのほうがいいのかもしれませんけどね(笑)。

 というわけで、自分の中にある「男性性」をちゃんと理解して、
 小説の登場人物に投影するときには
 そのさじ加減を上手い具合に調節できるようになったらいいかも、というお話でした。

 
 長くなりましたがこの辺で。……っていうか、ほんと長すぎ_| ̄|○


御伽話さんの意見
 なんとなく思ったのですが……
 一人のキャラに色々な人間性を出させようとしていませんか?
 いや、結論から言えばそれで良いのですが、
 何も一人のキャラがそれらをすべて持つこともないかと。

 例えば……こんな感じで役割分担を"ハッキリ"とさせれば良いのではないかと。
 キャラA:カッコイイ少女漫画みたいな女性受けする性欲の見えない男。
 キャラB:ガサツでバカでエロい。でも面倒見が良い。

 ……と言った感じで2人を設定し、これらを上手く絡ませれば、
 それぞれの色々な面を見せることが出来るのではないかと。


 この設定に『AとBは仲が良い』と設定を付ければ、性欲の見せないAでもBと絡めることで、
 そのAの設定を揺さ振る(でも設定は崩れない)事が出来てAの意外な一面を見せられるのでは。
 逆にBにAが自分の常識を諭して、BをAのように一時的にさせてみるけど、やっぱり失敗するとか。
 こんな感じで色々とキャラを絡めれば何とかなるのではないかと。
 『かっこ良さ担当』『ガサツさ担当』とか役割を決めたキャラを作成して絡めると良いかと思います。

 どうも見た感じ、『ひとりのキャラに色々な面を持たせてしまおう』としているように見えたので
 こんな提案をしてみましたが、どうでしょうか? 違ってたらスミマセン。


緑葉さんの意見
 おはようございます。そしてはじめまして。緑葉と申します。

>「男性が見ても違和感のない男性キャラクター」って、
 具体的に言えばどういうことなんだろうと思いました。

 
 現実を見て描かれた男性像、といったところでしょうか。
 少女漫画全てがそう、とは言いませんが、少女漫画に限らず、
 人の手が作り出した人の像というものには、
 少なからず書き手の「理想」が織り交ぜられているものです。
 
 しかしその「理想」部分というものは、書き手とは違う感性を持った人、
 つまり読み手から見ると違和感になる場合というのもあるはずです。
 でも、それって解決できない、むしろしてはいけない事だと思うんです。
 現実ばかり見て書いた「物語」とははたして面白いのか、と考えると、どうしても。

 何が言いたいのかというと、まりかさんは「不自然さ」を消そうとしてらっしゃるようですが、
 魅力ある物語とはその不自然さ、ギャップを面白みに変えてこそ出来るのではないでしょうか。


 自然に当たり前に、まるで現実世界で生きている自分のように、
 事が運ぶお話なんて刺激がありません。
 ジャンルや場面によってはそれもありかもしれませんが、
 私はやはり創作とは夢やら理想を語るものだと思うんです。

>少女漫画の男性キャラは端的に言えば性欲を見せない、
 女性受けする余裕のあるキャラたちです。

 
 少女漫画に限っていえば、たしかにこのキャラクター像に魅力があるためではなく、
 共感を受ける読み手が多いために人気が出る、といった傾向もあるとは思います。
 でも、それが全てだとは思えません。
 いいじゃないですか、女性受けするキャラ。
 
 求めよされば与えられんじゃありませんが、
 求められているものを与えて悪いわけは無いと思います。

 
 偏りすぎている、大袈裟すぎている等の不安があるのであれば、
 女性向け以外のものを見て「男性像」とはどんなものかを研究してみると良いと思います。
 要点のみを横着して頭に叩き込むより、自分の目で必要なもの、不必要なもの、
 応用できるものを見極めたほうが、過程は面倒でも結果として得るものは多いです。間違いなく。


次郎さんの意見
 初めまして。
 まだまだ書き手としてはド素人ではありますが、一男性読者として意見をば。

 男性キャラでも女性キャラでも、完璧人間はつまらないです。
 もし完璧じゃなくても、そのキャラの欠点が、
 作中(地の文)で肯定されていたりしたら違和感を覚えますね。
 言い換えれば、キャラの美点は不言実行、これに尽きると思います。

 例えば、「頭が良くて運動神経もバツグン、鼻筋の通った凛々しい顔立ちの美少年──」
 もうこの時点で飛び蹴りをかましたくなりますが、さらに
 「過去に愛する人を宿敵に殺され、復讐を誓っている。
 そのため、時折心の深い闇を覗かせるような無表情を」
 と来たら、もはや「帰れ」という気分になります。
 設定自身は別に問題はありません。

 しかし、この設定を地の文などでそのまま説明したとたん、
 凄まじい腐臭が文面から漂ってくるのです。


 設定はそうでもないのに、表現の露骨さで損しているキャラクターは、
 意外に多いのではないでしょうか。
 特に、「頭がいい」「運動神経がいい」「美少年(美少女)である」など、
 “とりあえず褒めている”としか受け取れない直接的な文は避けるべきだと思います。
 「数学の成績がいい」「サッカーが得意」「顔は割と整っている」といったふうに、
 褒めるのではなく、そのキャラクターの特徴を拾うように表現すれば、大分印象が違うでしょう。

 特に陳腐化する褒め系キーワードは“美少年”“美青年”などでしょうか。
 番外の“美丈夫”(お耽美路線まっしぐら)、
 問題外の「親衛隊がいる」(いつの時代ですか?)などもそうですね。

 キャラクター設定に気を使うのももちろんですが、表現にも注意を払うことも大事だと思いますよ。
 ただし、これはあくまで一読み手の意見ですのであしからず。参考になれば幸いです。


リンクさんの意見
 こんにちは。

 一応僕の意見を述べますと、Sっ気のある男キャラはおそらく男性受けしないでしょう。
 少年マンガやライトノメルでも主人公の男キャラは圧倒的にMっ気が強いような気がしますw 
 まぁそれは少女マンガの主人公にもいえるような気がしますが(苦笑

 えーと、実際ライトノベルのキャラクターですごく感情移入したキャラは、
 「涼宮ハルヒの憂鬱」の主人公のキョンですかね。
 (個人的に、ですが)傍観を決め込んでいたのも共感でしますし、びびるときにはかなりびびってますしw 
 やたら性格が親父くさいとか言われていますが、同世代から見てもそんなもんですよ。
 
 逆に小泉は女性受けするのではないでしょうか?w

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