第4研究室 創作に関するQ&A 57P | トップへ戻る |
三毛招きさんからの質問  
 オリジナルの文体を作るには?
 
 私はあまりにプロを意識しすぎるせいか、文体がプロ作品と似たような文体になってしまいます。
 具体的に言うと、シリアス系だと佐藤大輔氏に、
 ギャグ系だと阿智太郎氏に似たような文体になります。
 どうすれば、オリジナルの文体が出来るでしょうか?


●答え●

 三毛招きさん、こんにちわ。
 デビューしたての漫画家は、たいてい誰でも既存の作家そっくりの絵を描いています。
 これは絵の上達のために、プロの絵を真似る必要があるからです。
 そのためプロ作家になった後もしばらくはその影響から抜け出せず、
 ○○のパクリだ、などと言われることがありますね。
 例えば、『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部の絵は、
 もろに『北斗の拳』の影響を受けていると言われています。
 読み比べてみればわかると思いますが、この2つの絵はまさにそっくりです。

 しかし、連載が長く続いていくと、徐々に独自の作風へと変化していきます。
 いろんな漫画家の作品を読んでみればわかると思いますが、
 一巻と最終巻(あるいは最新巻)の絵は、たいていどれも異なっているハズです。
 経験を重ねることによって、自分らしさが出てくるのです。
 『ジョジョの奇妙な冒険』の第六部の絵には、もはや『北斗の拳』の影響は微塵もありません。
 完全にオリジナルです。
 
 上達するためには、まず模倣する。
 
 これは、どんな分野でも言えることであり、誰でも通過する成長過程です。
 自分勝手にメチャクチャやってうまくなれるようなこと、まずありません。
 なので、佐藤大輔さんや阿智太郎さんの文体に似てしまうことを恥じる必要はまったくありません。

 作家の林望さんは、その著書『「芸術力」の磨き方』において、このように述べています。
 p214「三人の文体アイドル」より引用。

 その後も、私の文章修行というのは、「臨模」が中心でした。
 これは大半の物書きがそうだと思いますが、師匠がいないので、
 誰かの文章を真似ることが必要になるんです。
 私の文体は、森鴎外、伊丹十三、北杜夫の三人がいわば憧れの文体アイドルで、
 彼らの文章をお手本にしてきました。

 
 以上引用終わり。

 「三人の作家を師匠と定めて、彼らの文章を研究する」
 という手法の有効性は、他の作家も述べています。
 
 これは三人から同時に学ぶことによって、それぞれの作家の長所を取り込み、
 自分独自の文体を築く基礎を作ることができるからです。


 そして、漫画家の例もあるように、数をこなしていく過程で、
 徐々に自分らしい味のある文章が書けるようになっていきます。
 
 正しい型を学び、経験をこなして、そこに創意工夫を加えていく。

 これこそ上達の王道です。
 個性というのは元からあるものではなく、努力の上に作るものだと思っています。
 日本に生まれれば日本語を話すようになるし、アメリカに生まれれば英語を話すのが人間です。
 誰でも最初は白紙の状態です。
 最初から自分らしさを求めても、無い物ねだりになってしまいます。


Neutronさんの意見
 はじめまして、Neutronと申します。

 これは個人的な意見なのですが、創作とオリジナリティには3段階あると思っています。

 1.手法が全く身に付いておらず、表現自体ができない
 2.既成の手法を利用することで、いくらかの表現ができる
 3.自分の中にあるものを自由に表現することができる


 つまり2の段階で試行錯誤しながら表現を繰り返すことで、やがて本質を掴み、
 自分というものを自由に表現できるようになるのではないか、と思っています。


みつきさんの意見

 三毛招きさん、こんにちは。

 簡単な方法として、しばらく佐藤大輔さんと阿智太郎さんの本を読むのを完全に止めて、
 他の作家さんの本をたくさん読んでみてはいかがでしょうか。
 今まで読んだことのないジャンルのものとか。
 少しは、似てしまったクセなどが薄くなると思うのですが……。


原中三十四さんの意見
 書き込み失礼します。
 以前、三毛招きさんにお会いした気がしてならないのですが、
 ちがったらごめんなさい(そうだったらお久しぶりです)

 私も、作家の佐藤大輔氏の大ファンでして、15年あまり愛読し続けています。
 当然ですが氏の作風を解体して、いろいろ自分の作風に取り込もうとして頑張ってきました(笑)
 気が付くと「〜であるならば」とか「畜生め」とかの氏がよく使う言い回しが自然に使っていて、
 当たり前のように佐藤氏劣化コピーになってしまいました(滝汗)

 そこで注目したいのは、我々と同じく佐藤大輔信者で知られる
 ライトノベル作家の豪屋大介さんです。
 豪屋氏の『A君(17)の戦争』では最初の第一巻を別にして、
 まさに佐藤大輔式の戦略展開が広がっていきます。
 あえて豪屋氏は同じ手法でやってらっしゃりますよね。
 佐藤大輔氏をほうふつとさせる(それも意図的)ものでありつつ、
 豪屋氏の作品たりえている要素は、佐藤氏が進出していない分野、

@ライトノベルのジャンルである(萌え記号やキャラ立て要素をおさえる)。
Aあえて普段は砕けた文体を使っている。
Bここ一番の大戦略的な(佐藤大輔式が一番映える)シーンでは、躊躇せず作風を模倣している。

 という手法で、豪屋氏個人のだけではなく、
 少なくない若い世相の佐藤ファンを取り込んでいる事は見逃せないと思います。

 好きな作家に作風・文体が似てしまう事は多々あると思いますが、豪屋氏を見るかぎり、
 見方を180度変えて模倣を逆手にとった手法があるのではないかと思いました。

 そのためにオリジナル(この場合は佐藤氏オリジナル)にはない
 自分流のテイストを織り交ぜれば、例え文章が似通ったとしても、
 うまく差別化を図れるのではないかと思います。


(余談ですが、自分は殺陣が好きなので佐藤イズムの中に殺陣アクションをちりばめて、
 なんとか差別化を図ろうとしてます。)

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