第4研究室 創作に関するQ&A 92P | トップへ戻る |
猫の盛りさんからの質問  
 冒頭の書き出しがしっくり来ない

 
 実はいつも、くよくよしている野良猫です。
 狭い猫の額の奥にある、オイラの脳みそはオーバーヒート寸前なので質問いたします。

 オイラは、ハイライト型の創作方法をする猫です。
 このハイライト型というのは、クライマックッシーンやら、セリフやら、妙なギミックやら、
 そうした作品のキモになる部分を最初に思いついて書き出すタイプとご理解ください。

 上記のような発想が先にあるので、必要なキャスティングやら、
 演出、大まかなストーリーライン等々、作品のボディとなる部分は次々出てくるので、
 オイラ的に非常に便利だなぁとか、普段は悦に入っている訳です。
 そのせいでプロットも書かずに書く訳です。
 バッチリ行く時は、全く最初から最後まで、高速に作業が進みます。
 でも、致命的な弱点があるのです(所詮はダメな猫のやる事です)。

 お話しの一番最初。
 書き出しの部分がなかなかしっくり来ないのです。

 オイラの好きな神林長平先生も書き出しが一番難しいと言ってますし、
 火浦功先生だって、書き出していつも悩んでいる様子。
 (彼の場合は、その後も全体が遅いのですが…)。

 プロですら悩む書き出し。物語の冒頭。作品の第一印象を決める重要な部分。
 ここが、どうしても時間がかかり、しっくり来ない。
 オイラは、ここで何度も挫折する事が多く、仮題だけ決めて作った、
 書き出しだけで放置したテキストファイルは数知れず残骸としてHDDに置き去り状態です。
 何十も書き出しを書いて、やっと1つくらい完成するペースなのです。

 オープニングが先に頭の中にある場合や、何かの作品のSSを書く場合、
 誰かに決められた設定で書く場合等は、たいてい問題なく書け、破綻はほぼないのですが、
 そうでないと延々書き出しを書いては、新規ファイルを作り、また書いては別のファイルを作る。
 これが原稿用紙なら、昔のコントの作家みたいなのです。
 まあ、実際に手書きでやってた頃はそんな感じでしたが……

 プロットを作ろうにも普段やってないし、そもそも冒頭がしっくり来ないので、うまくできない。
 ぱっと、思いついた時はプロットを起こすのすら惜しいほど軽快に話が出来てゆくのですが……
 皆さんも書き出しは十分に注力されている事だとは思いますが、 
 巧くお話しの冒頭部分の書き出しを纏めるアイディアはないでしょうか?

 是非ともご助力賜りたく。お願いいたしますです。
 よしなに。ではでは。


● 答え ●

ゆきむしさんの意見
 いつも猫の盛りさんの書き込みにはお世話になっております。
 ゆきむし といいます。
 本題です。 一意見として「私の場合」を書かせていただきますね。

 私は小説を書く際、書き出しにしても、構成にしても、「劇」を意識して書いています。
 
 これは私が「劇」に携わっていたからなのでしょうが、今は私の話は関係ないのでとばします。
 猫の盛りさんは、「劇」若しくは「映画」と置き換えていただいても構いませんが、
 これらを見に行かれるとき、何が「動機」になりますか?
 私の「動機」は大抵の場合、テレビCMの影響を受けて、です。
 映画の場合、小説のように出だしだけを読んで、
 おもしろいかどうか判断するなんて事は出来ませんので、
 惹かれるかどうかを判断するのはCMを見て、ということになります。
 映画を見る際に私の中で「動機」となるCM。
 これを小説の場合に置き換えれば、
 「動機」は序章がおもしろかったから、になると私は思っています。
 
 経験上、どんなに良い「舞台」「映画」であっても、宣伝無しではほとんどお客様が来ません。
 そしてお客様を誘うCM(宣伝)は、より多くの方に「見たい」と思わせるために、
 プロの方が構成しています。
 
 ので、私が小説を書く際にはテレビの「映画のCM」を参考にしています。 

 もちろん、CMなんて尺が短いものなので、
 描き方の参考にはなりませんが、構成の参考にはなります。 
 これで足りなければ、「ダイジェスト版」を見ます。 こちらはより参考になります。

 でも、ダイジェスト版なんかは物語を要約したものだから、あらすじの参考にしかならないんじゃ?

 そういう場合もあります。特に、アクションが売りの舞台や映画のCMは参考になりません。
 なにせ、アクションを売りにしているわけですから、
 CMでもダイジェスト版でも、売りの部分を中心に構成されていますからね。

 しかし、恋愛、ドキュメンタリー、青春もののCMやダイジェスト版は参考になり得ます。
 こちらの売りは純粋に「物語」なわけですから、
 小説と同じく、重要なのは書き出し……序章になります。

 これらの方法は、既存の小説の冒頭を読み漁るのと何ら変わりありませんが、
 映像で見ると、また変わった視点で冒頭が書けるようになりますよ。

 以上、一意見「私の場合」でした。
 がんばってください。 参考になれれば幸いです。
 それでは、ゆきむし でした。


美紗さんの意見
 はじめまして、美紗です。

 いきなり本題ですが、天下のディズニー映画を見たことはありますよね?
 まず音楽か歌。それで物語に引き込まれる。
 ディズニーってそれが上手だなあって感心しちゃいます。

 だけど、OP曲は小説でできないから、その次を見てみると、
 悪役が出てくることが多い気がします。


 主人公が笑いながら歌ったりもあるんだけど……。
 例えば、アラジンなんかだと、夜の砂漠に怪しげなジャファーが登場。そしてオウムと高笑い。
 白雪姫なら、「鏡よ世界で一番美しいのは誰だ?」そして高笑い。だった気がします。
 ディズニーって高笑い好きですよね(笑)
 
 例えば「天空の城ラピュタ」でもやっぱりシータがムスカに捕まってて、
 そこにドーラ一家がやってくるところから始まりますし。
 私の好きな小説で、コバルト文庫の「風の王国」って話は、
 主人公の女の子が唐の皇帝に呼びつけられて、
 蛮族が住むと言われるチベット周辺の国に降嫁しろと命令されるところから始まります。
 あと思いつくので言えば、森薫さんの『エマ』って漫画だと、
 主人公がヒロインに出会うところから始まります。

 私思うんですけど、迷ったら読者になるのが一番の近道かな〜って。

 作者は後の展開知ってるからあ〜だこ〜だ思っちゃうけど、
 結局読者はそんな作者の悩みとか汲んでくれないし。

 ようは、謎とか、敵とか、動き、世界観、あとはその作品の売り、もしくは方向性を
 冒頭に置くのがいいんじゃないかなと。

 (エマは身分違いの恋愛物語だからまず男女が出会わないと始まらないみたいな)
 
 かつ、それで読者に何か感情を持たせるのがいいと思います。
 私は個人的に不安とか、怒りとかを感じた話が好きです。もしくは期待感。
 あとはそれをわかりやすく書く!!(それができたら苦労しないですけど……)

 私が読者として冒頭に欲しいのはそれくらいです。
 それで世界に引き込まれたら最期まで読むけど、引き込まれなかったら即さよならです。
 
 しっくりこないということは、何か足りてないってことじゃないでしょうか?

 え? そんなことは既に分かってる?
 その先の応用が知りたい?
 すみません〜。でもまあ復習だと思って。
 なにぶん基本的に自分に言い聞かせていることでして、
 だけど応用ができないからこんな意見しか言えないわけでして。勘弁してください!!
 え、無理ですか?
 失礼しました〜!!(逃)


アトベさんの意見
 いつもお世話になっておりますので自分からご参考になればと書きます。
 自分の書き方もハイライト型になります。自分の場合は

 ●主人公の設定を考える。(職業)
 
 まず、これを用意します。
 それからその職業がどういうものなのかをメインにシナリオを建てます。
 例えば、主人公が犯罪者の手助けをする運び屋だった場合には、
 荷渡しを終える → 警察がくる → 逃げ切る → 運びを無事完遂する。
 常識で想像できて尚且つインパクトがある出だしですよね。

 一番わかりやすい例であげると
 『R.O.Dの第1巻』(倉田英之著 スーパーダッシュ文庫)があります。
 この話では主人公である読子・リードマンは読書狂で、
 大英図書館のエージェントで『紙使い』という設定です。
 そのため序文はスパイものっぽく大英図書館と悪党の『裏取引』のシーンから入っています。
 裏取引のブツは『本』です。この本の真贋を見分けるのに読子の読書狂の部分を使っています。
 一応、正義の味方なんで取引は不成立となり、『派手なバトル』になります。
 とどめは『紙使いの力』で締めます。

 いかに主人公の職業(裏稼業)をはっきりさせるか。ここが一番大事なところでしょう。
 そして状況は職業にあってなじみがあるものであれば尚よいでしょう。


 そんな意見です。


どてかぼちゃさんの意見
 こんばんわ。どてかぼちゃです。
 わたしも猫の盛りさんの書き込みにはいつもお世話になっていますので、
 無理やり協力させていただきます。
 わたしもプロットはあまり書かないで、
 ハイライトから始めるタイプなので、似ているかも知れませんね。

 わたしは、書き出しを最後にもう一度書き直します。
 
 本編を書きながら、始めの印象と違う話を書いていたりするので、
 最後に物語の集大成としたいからです。
 物語が出来上がっているのですから、作品の第一印象を伝える書き出しは作りやすいと思います。
 「書き出し」という言葉に騙されてはいけません。
 むしろ「読み出し」なのですから。

> オイラは、ここで何度も挫折する事が多く、仮題だけ決めて作った、
 書き出しだけで放置したテキストファイルは数知れず残骸としてHDDに置き去り状態です。


 きっとその課題と書き出しは物語を作るための欠片で、
 それらが集まってひとつの物語が出来上がるのではないでしょうか。
 HDDの中に、掘り出し物はきっとありますよ。
 書いた文章に無駄なんてありませんから。

 あまり役に立てなくて申し訳ありません。
 頑張って下さい。


鈴忌さんの意見
 おはようございます、鈴忌です。
 猫の盛りさんは何となく鈴忌と同業者かなぁ? とか思っているので、
 ちょっぴりそれ前提のお話しを……。

 プログラマーの世界に「プログラム三回説」という言葉があるのはご存じだと思いますが、
 時間があるなら小説についても同じ手法を取ると楽かもしれません。
 まず、最初にザッと書いて全体の構成をチェック。
 次に、捻れなどを修正しながら情報の過不足を修正。
 最後に、小説としての体裁を整えるためにプロローグなどの出だしをキッチリと組み、
 全体の流れを整えるわけです。
 
 つまり、出だしを書くのは3回目の修正の時ということです。

 鈴忌も、修行中ということもあり出だしは相当悩みます。
 しかも、頭から書き始めて順次作るタイプなのでスタートで転ぶと、
 半月ぐらい執筆が止まることはザラです(ダメですねぇ……)。
 なので、短編とかの場合は「良い出だし」とか考えているより、
 とにかく「ダメでも作る」ことを考えてガンガン書いた方が、
 仮に3回書き直しても早く出来上がることもあったりします。
 
 長編の場合は執筆自体に2ヶ月とかかかるので、
 3回も書き直ししていたら半年潰れてしまうのでプロットで補うわけですが、
 短編なら「まず書く」「できたものを見ることで作者的に内容をしっかり把握する」
 「相応しい出だしをつけられる」という感じでトライ&エラーを試せると思うんですよね。

 プロになったら短時間で多くの枚数をこなさないとダメなので、
 いつまでも使える手法じゃないとは思いますが、
 「出だし」を書くための勘所を掴むための修行程度にはなるんじゃないかと思って
 いるのですが……実際のところはどうでしょうかね?

 鈴忌は修行中の身なので、この程度しか分かりませんが、
 もし 何かしらの参考になったら幸いです。では、失礼します。


プログラマだけに通じる追記(苦笑)
 もし、鈴忌の「同業者?」という予想が間違っていたら無視して下さい。

 要するに「出だし」って「アプリの立ち上がり」だと思うわけです。
 なので、色々な「初期化」とか「情報収集」が必要なんですよね。
 でも、やりすぎると「立ち上がりが重いアプリ」になってユーザーに非難されますし、
 かといって必要な都度に「初期化」や「情報収集」をするようにばらけさせると、
 動作の足回りが重くなったり初期化忘れでバグになったりします。
 なので、「立ち上がり」である程度「初期化」や「情報収集」しつつも、
 「プログレスバー」とかでユーザーの目を誤魔化す必要があるわけです。
 基本的に「出だし」の発想ってコレと同じだと思いません?

 アプリ(小説)の動作環境(読者層)を想定して、
 立ち上がり(出だし)で行う初期化処理(冒頭での解説)と、
 実行中に必要になる都度行う初期化処理(作中での説明)のバランスを考え、
 できる限りストレス無く使って(読んで)もらうわけです。

 
 もし、内部で時間が掛かりそうな処理(設定説明)をする気なら、
 プログレスバー(文章演出)などで目先を誤魔化してやる必要があるわけです。
 でも、できれば最初からは待たせずに、
 ユーザー(読者)が動かせる(楽しめる)状態だとベストです。

 結局、小説は「情報」の集合体なのでプログラムと基本は同じです。
 なので従うべきルールは似ているはずなんですよね。
 この発想で言うと、キャラや世界観は「オブジェクト」で、
 登場は「インスタンス化」です。
 なので「コンストラクタ」をどのように設計するかで扱いやすさ(書きやすさ&読みやすさ)、
 は大分変わるはずです。
 さらに、「出だし」は一番多くの情報が初期化される部分なので、
 大量の「インスタンス化」処理が入ります。ここで初期化し忘れが発生すると、後々バグになります。
 短編や掌編のような「小規模アプリ」なら、全ての初期化を最初に詰めてもタカがしれてますが、
 中編から長編みたいな「大規模アプリ」だと全ての初期化を最初に詰めると、
 立ち上がりすらせずにシステムダウンしかねないわけです。

 見る人によっては「電波な怪文章」としか思えない書き込みですが、
 要するに言いたいことは「仕事で培った経験が、小説執筆(冒頭執筆)にも役に立つのでは?」
 ということです。
 何かの役に立てば幸いです。では、失礼します。

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