第4研究室 創作に関するQ&A 99P | トップへ戻る |
咬生さんからの質問
 おもしろいライトノベルを描くのに萌えは必要?
 
 こんばんわ、このサイトには毎日お世話になっており楽しみながら見ている咬生と申します。
 以後よろしくです。

 さて早速質問のほうなのですが……自分はどうもライトノベルは肌に合わないと思っていました。
 なんというか全体的な雰囲気がどうも馴染めなくて……
 「面白そうだな」と思う作品があっても、
 どうも萌え萌えな雰囲気が醸し出ていて買いづらかったり……
 そして自分今「しにがみのバラッド。」というラノベを読んでいるて、
 あまり「萌え萌え」という感じがせず気軽に読んでたのですが、
 これなんか7巻から妙に露出度が上がってきたり、
 話も男性向けにむかってってなんかすげー違和感を感じました。
 なんでそのままでも面白いのにあえてそっち系に持っていかなけりゃならんのかなー……と。

 自分はどちらかというと恋愛より友情や家族愛を優先する方で、
 (だからかドラゴンボールで一番好きなシーンが、セル編の親子かめはめ波と、
 トランクスがやられてベジータがセルに向かってくとこです。関係ないけど)
 好きな漫画も「北斗の拳」、「ジョジョの奇妙な冒険」、「グラップラー刃牙」、
 とかなり萌えと無縁の傾向なのでキャラに萌えなくても十分作品を楽しんでます。

 でもやはり面白いラノベを書くのに萌えは必要なのでしょうか?
 ……というか『萌え』のない作品でも敬遠されたりしないんでしょうか?
 (上記にあげた自分の好きな漫画はどうも女性に敬遠される傾向にあるので……)
 萌えがない作品はそれだけで読者の第一印象が下がってしまうような感覚があるのですが……
 皆さんの考えを聞かせてください。


● 答え ●

クロウさんの意見
 初めまして、クロウと申します。
 「萌え」に関しては、このサイトでかなり活発に議論が交わされている問題のようですね。
 
 私見ですが、「萌え」とは、外面的なもの(見た目に美少女であるという側面)と、
 内面的な(ツンデレと呼ばれているような)ものに大別されるように思います。
 

 また主に、前者が多く語られる「萌え」であるような気がします。
 以下は、これを前提とした話になります。

 まず、多くのライトノベルがそうですが、表紙を美少女で飾られた本を手に取る人は、
 「萌え」を容認している人である可能性が高いでしょう。
 そして、そうした人の中に「萌え」を求める人が相当数含まれている可能性もまた、高いでしょう。
 そうなれば、多くの読者を獲得しようとする画策の一つに、
 「萌え」要素の導入、という選択肢は当然に生じてくることでしょう。
 その結果、巷にあふれるライトノベルの多くに、「萌え」要素が含まれているのは必然ともいえます。
 
 しかし果たして、その本を手に取る人すべてが、
 外面的「萌え」のみならず、内面的「萌え」までもを求めているのでしょうか。それは、否でしょう。
 少しここで話を整理しますと、「萌え」という観点から考えられる読者層は、

  @外面的・内面的な「萌え」を求める
  A外面的な「萌え」のみ求める
  B内面的な「萌え」のみ求める
  C「萌え」に価値を求めない

 以上の4つに分類できると思います。

 話を続けますと、本の購買層としては@とAが多数であると思います。
 しかし逆に、小説の内容面から考えれば、
 AとCにおいては必ずしも「萌え」を必要としてはいません。
 従って、何を書いても自由である、という結論に至ります。

 話はまた逸れますが、そもそも万人受けするものなど存在しないに等しいです。
 
 極端な話、絶世の美男美女だけに人気が集中してしまったら、人類は滅亡してしまいます。
 同じように、「萌え」があればいい、というものでもないと思います。
 人の嗜好は多種多様ですから、
 自分が面白いと感じる話を追求していけばいいのではないでしょうか。
 本当に面白い話なら「萌え」の有無に関係なく、
 また文章の巧拙にさえこだわることなく、読むはずです。
 あくまで憶測ですが、咬生さんが面白いと感じたことに、誰も共感してくれなかった、
 という経験はおそらく無いのではないでしょうか。
 自分と同じ嗜好をもった人は、きっといると思います。

 ですから、自身が「萌え」に興味を抱かないのであれば、無理に取り入れることはないと思います。

 長々と失礼致しました。それでは。


蒼い人さんの意見
 もはや「萌え」の概念はマーケティングで重要な要素となっているでしょう。
 それに流されるか、抗うか……蒼い人は考えたりします。

 そもそも、「萌え」のルーツは「イデオン」のモエラだったり「恐竜惑星」のモエだとか諸説あります。
 しかしやはり、基本は「良くできたキャラクターを肯定する感情」になるでしょう。
 そこからの発展として形成されたのが「萌え属性」であり、
 その細分化、パターン化によるキャラクターの構造的把握です。

 確かに、最近は「萌え」をあからさまに意識して、
 それに見合った設定・状況をクリエイターは創出します。
 しかし、ただ表に出すだけでは能が無いと私は考えています。
 そもそもの発祥を見れば、記号論的にキャラクターを眺める風潮など無かったはずなのです。
 ただ魅力あるキャラクターに憧憬を抱いたりする。それが始まりです。
 単なる要素集合が自分の好みに適合して「萌え〜」という声を上げるのは、
 はっきり言って下品と申しましょうか、
 それは企業・製作者側の販売戦術にコロコロと騙されて、追従している程度のものです。

 なので、私の一つの指標といたしましては、
 「萌えるキャラ」ではなく「萌えられるキャラ」を創ることにあります。


 最初から属性を全開させるのは避けて、とにかく物語にマッチするように、「人間」として書く。
 記号集合の「人形」ではなく、生き生きとした、多面性を持つ「人間」を描写する。
 最初から意図するのではなく、「萌える」ということを隠しつつ、やがて明らかにするよう行動させる。
 この「隠しつつ曝け出す」というのは技巧的にも高いものが必要かもしれません。
 しかし、それだけに気付いた時の印象付けは大きい筈です。
 それが、そのキャラクターが愛されるキッカケの一つになる。

 ただ、「萌え」なんて概念は、所詮はキャラクターへの評価でしかありません。
 評価を気にするがあまり、自分の実力を出せない……ということもあるでしょう。
 既に萌えに染まっていたとしても、
 ただひたすら真摯に物語を作り上げる姿勢は忘れないようにしたいです。
 評価は二の次、まずは自分の物語に魂を注入することから始めましょう。


サラさんの意見
 こんにちは。
 自分も萌えは嫌いですよ。狙いすぎてますね。でも、狙うんほどだから売れるんですけどね。
 人それぞれだからなぁ、こればっかりは。
 咬生さんは僕と同じ嗜好ですよwなるべく萌えじゃないやつをとりますからねw

 それで、いざ書くと萌えは必要なのかということですが。別に必要ないと思いますよ。
 それ相応の世界観がありますから、ムリに入れれば逆にぶち壊しになることもあります。

 
 ただし、電撃はあくまで萌え重視かもしれませんね^^;


美紗さんの意見
 こんにちは、美紗です♪

 まず最初に、私は女ですが、ドラゴンボールは好きですよv
 ちゃんと全部見たことはないですが、再放送を何度か見れました。
 「ぱんちゃん萌え〜」とか思った私はちょっとあれなかんじです……。
 ゲフン、ゲフン。さて!(笑)

 「迷ったら基本にかえれ」が信条の私です。

 じゃあ、萌えの基本とは何か。思うに萌えって「かわいい」とか
 「好き」とか「っく〜たまらんっ!」とかの最上級というイメージがあるので、
 そこに帰って考えてみるのも良いんじゃないでしょうか?

 「萌え」もひとつの道だから、極めなければ完成しないと思うんですよね。
 こだわりがなければ、それはただの「萌え」という記号の集合体でしかないと思います。
 やっぱりどこかでボロがでるでしょうし、読者は敏感にそれを感じ取ると思います。
 「このキャラ、リアリティも無いし、勢いもないし、萌えを狙ってるのは分かるけどすべってるし」
 とか言われたら最悪です!!

 「作者が楽しめないものを誰が楽しめるというのか」
 という基本に当てはまると思います。


 けれども、萌えが流行しているということもやはり見逃せない事実ですから、
 利用した方が得かな、とは思います。
 でも、「萌え」という言葉に踊らされちゃあダメだと思います。
 かわいいヒロインの研究のために、
 ちょっくら萌えの要素を取り入れてみるか、くらいのつもりでとか。
 「萌え」ってある種の完成形でもあると思うので、
 ヒロインのキャラを極める教材としてはわかりやすいと思いますし。
 それに、もしヒロインなしの話を書きたいならそれはそれで、
 その道を極めなければ面白い話にならないですしね。

 だから、萌えも要素のひとつにすぎない! 大事なのは要素を極めること!
 というのが私の意見です☆



優奈さんの意見
 初めまして。

 私は、べつに無理に萌えを入れる必要はないと思います。
 そもそも、「ライトノベル=萌え雰囲気」という解釈自体が間違っていると思います。


 ライトノベルでも、萌え雰囲気ゼロで、なんか人がいっぱい死んじゃって、
 うがーって小説も中にはありますし、可愛い女の子系の萌えとは無関係な、
 男同士の同性愛をメインとしたライトノベルもあります。
 たぶん、咬生さまの言っている萌えは可愛い女の子のことを指していると思うので。

 それに、ただ普通の女の子を書いただけなのに、何故か萌えられてしまったということもあります。
 つまり、人によって萌えのあり方は違うのではないでしょうか。
 活発な女の子に萌える人もいれば、か弱い女性に萌える人もいますし、
 中には可愛い男の子に萌える方もいるでしょう。

 今は読者受けなど考えずに自由に書くことをお薦めします。

 合わないジャンル(本題である萌え要素をふんだんに詰めた作品)を無理に書けば、
 キャラクターがぶれ、結果的に良作はできないでしょう。

 それでは。長々と失礼しました。お役に立てれば幸いです。


彼方はるかさんの意見
 こんにちは、彼方はるかです。
 只今考査期間まっただなかです。今日もテスト明日もテストです。
 なので現実からちょっぴり逃げてきました。かくまってください(笑)
 ではでは本題へ。

 「萌え萌え」

 うーむ……ほんと最近多いですよね。
 サラさんのおっしゃるように電撃なんかは表紙のイラストから萌えオーラが……
 私は萌えは好きですが、狙いすぎてるのはきらいです。
 結論、私は萌えがなくても全然OKだと思います。

 どちらかというと恋愛より友情や家族愛を優先という咬生さんのような方もたくさんいますし、
 萌えがなくても大人気な漫画や小説はあります。

 要するに、何を一番伝えたいか、どんな人に伝えたいか、が大切だと思います。

 無理やり萌えをいれて作品が台無しになるのはもったいないですし、
 萌えの嫌いな人からみたら読むことさえも苦痛に……
 やっぱり自分の伝えたいことを書いたほうがいいと思います。
 萌えに勝る大切なことがきちんとあると思うから。
 
 ではでは乱文失礼しました。


ウメコさんの意見
 お初にお目にかかります。ウメコと申します。
 萌えが苦手ならば萌えを意識する必要はないと思います。
 萌え抜きでも面白い作品はいくらでもありますし、
 萌えどころを心得ないまま萌えを狙っても失敗してしまうでしょうし。
 
 ちなみに、萌えについての好みは千差万別です。
 
 萌えに関係ないと挙げてらっしゃるジョジョですが、これに萌える女性は実際に存在します。
 萌える奴なんていないだろう……と思っていても、不思議と萌える人はいるんですよね。
 おもしろいストーリーや魅力的なキャラクターを書けるのなら、
 敢えて萌えを狙う必要はないと思うのです。萌える人は作者の意図を超えて勝手に萌えます。
 それに、あからさまな萌え狙いがかえって鼻につくということもありますから。


三毛招きさんの意見
> なんでそのままでも面白いのにあえてそっち系に持っていかなけりゃならんのかなー……と。

 判ります……すっごい良く判ります。
 でもそんなことはしょっちゅうなのでもぉ、あきらめました。
 今ではそれなりに「萌え」というものを楽しませてもらっています。

 さて質問の回答ですが、無理やり入れる必要はないでしょう。
 実際、ライトノベルだからといって「萌え」が必ずしも入っているわけではありません。


 例えば……「銀河英雄伝説」で燃える人はいても萌える人はいないだろうし、
 いたとしてもかなりの少数派でしょう。
 そもそも、容姿すら書いておらず、「イラスト」のみでの「萌え」というのも多数です。

 ただし……「萌え」があった方が多数の読者をひきつけるというのは確かです。

 読んでないですが「しにがみのバラッド。」に「萌え」要素が入ってきたのもそういった事情でしょう。
 「萌え」はある程度意識したほうが良いかもしれません。


青猫さんの意見
 私は正直、文章さえよければ萌えは必要ないと思いますね。
 萌えの傾向は人それぞれですし、入れなければ!
 と意識していれるものではないと私的には思っています。

 私なんて人を殺して逃げ回るというサスペンス物を電撃に投稿しようとしています。
 私の中では萌え0だと思っています。
 しかし、他人に見せたら「この女刑事が良いね」とか意外な言われます。

 意識して書くのではなく、書いたものが偶然人の好みにあてはまるものが萌えだと思っています。

 だから萌えを意識して入れる必要はないと思いますよ。
 創作、頑張って下さいね。


ランタンさんの意見
 こんばんは。
 「萌え」に関しては私も苦手です……^^;

 確かに、「萌え」という要素を入れると喜ぶ読者はいます。
 しかし、私のようにこの要素が好きでない読者もいるんですね(大方女性が)。

 「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」はとても有名な作品です。
 が、これには「萌え」要素など一切含まれて降りません。
 ではどうしてこの小説は人気なの? と言えば、
 ストーリーが面白くて、キャラクターが魅力的だからですね。

 作品そのものが面白ければ、無理して「萌え」を入れなくてもいいと私は思いますよ。
 無理して苦手なものを書くと、かえって下手になったり、自分自身楽しく作品が作れなくなります。


 「萌え」の要素がないラノベで有名な作品はいっぱいあります。
 ラノベに「萌え」要素は必須、てことは無いと思います。


鈴忌さんの意見
 こんばんわ、鈴忌です。
 大体皆さんが一般的な答えを出されているので、
 ちょっと穿った意見でも出してみようかと思います。

 小説に限らないのですが、映画やドラマやゲームなど創作系は、
 大体において「スポンサー」というのがいます。
 小説の場合は出版社がそれに当たると思って頂ければ大体あってます。

 で、商品として世に出すためには、この「スポンサー」に「売れる」と思わせる必要があるんですね。

 自費出版とかなら別ですが、
 誰かがお金を出す以上相手が「売れる」と思わないとお金は出てこないからです。

 まぁ、小説の世界は割とマシなのですが、この「スポンサー」というのが結構くせ者でして……
 なんというか、自分が出資をしようと思っている世界のことを、
 「ほとんど知らない」場合が多々あるんですよ。
 要するに、アニメを一度も見たことがない壮年〜老年の人が、
 アニメのスポンサー企業の決済権限を握っていたりということですね。
 なので、企画として持って行くときは「その世界を全く知らない人」に、
 いかに「売れる作品であるか」をアピールしないとダメなわけです。
 相手も勉強してくれれば良いのですが、そこは専門が違うわけであまり期待できません。
 なので、普通に物語が云々、構成が云々、というのは相手としてもよく分からないわけです。

 そんな時に役に立つのが「分かりやすい要素」です。

 例えば、ほとんど名義貸しレベルであっても「某有名作家が監修に入ってます」
 とか言うと出資の集まりやすさは段違いです。
 あと、最近の流行が「ホラー」だから「ホラー映画を出しましょう」というのと、
 「このホラー映画は筋が良いので売れます」というのでは、
 前者の方がスポンサーが納得しやすいです。
 納得しやすい理由がある方が、失敗したときに担当者の責任にならずにすむ、
 という理由もありますが、今回の趣旨とずれるのでその辺は省きます。

 ちょっと、話を元に戻しましょう。

 上で、小説の世界は割とマシと書いたのは、
 このスポンサーがきちんと勉強をしている点で「マシ」なんですね。
 なので、映画やゲームの世界ほど「無茶なこじつけ」で説得する必要はないのですが、
 やはり「分かりやすい要素」が有るのと無いのでは、説得力が相当違います。
 新人賞というのは一種のコンペであって、いかに自分の作品を売り込むかが勝負です。
 その際、文章力や表現力、内容の尖り等も重要なのですが……
 もう一つ「説得力」というのも大事だろうと鈴忌は思ってます。
 要するに「この作品は売れやすいですよ!」というアピールですね。

 出版社も商売ですから「売れそうにないが凄い作品」と、
 「凄くはないが売れそうな作品」なら後者を選ぶでしょう。


 つまり、ようやく「萌え」に辿り着きますが、現状に置いて
 「萌え」と言われる作品群が売れている以上、
 「萌え」は強いアピール力を持っていると言えるわけです。
 そのアピール力は読者というより、出版社向けのものです。
 もちろん、それが全てではないので「萌え」が必須というわけではないのですが、
 「売れる作品という説得力向上」のためには、あった方が有利なものだろうとは思ってます。

 なので、咬生さんの質問に関しては、読者向けという観点ではなく、
 出版社向け(新人賞向け)には「あった方が好ましい」となると思います。


 読者向けについては、色々な好みがありますし、
 何が売れるかはやってみないと分からない面もあるのでなんとも言い難いんですけどね(苦笑)。
 ちなみに、樋口さんが仰っているように「作者が意図してない」場合でも、
 読者から見ると「萌え」が入っている場合もあるので、
 まぁ、そんなに意識しなくても良いのではないかと思います。
 「萌え」はあくまでアピール力を持った一要素に過ぎないので、
 
 それを入れることで自分が持つ別のアピール力(オリジナリティとか構成力とか)が、
 低下するなら入れるべきじゃないでしょう。


 自分が本来持つアピール力を後押しする、もしくは邪魔しない、
 場合においては入れておいた方が足しになりそうです(笑)。
 実際、いわゆる「萌え」が入っていないように見えるラノベが
 新人賞を通過することはいくらでもあるので、
 アピールの一要素ぐらいに捉えておいたらよいかと思いますよ。

 とまぁ、穿った視点での意見ですが何かの役に立てば幸いです。


 余談ですが、鈴忌は「萌え」は一種の経済用語だと思ってます。
 
 というのも、上で言ったとおり「売れ筋を第三者(いわゆる漫画、
 アニメ、ラノベを知らない世代)に分かりやすく説明する用語」
 だと思っているからです。
 また、「萌え」という言葉を定義することでターゲット層に対しても明確な軸ができるので、
 訴求力が上がるわけですね。一種のトレンドでしょうか。
 だから「萌えの正体」についての議論は大体において紛糾するのだと思います。
 だって、最初から正体など無いわけですから。
 (正直言って、オバケの正体を議論しているようなものです)
 分かりやすそうな事例を出すと……

 「この作品は12人の女の子が出てきて、それが全部妹で〜」

 というより、

 「この作品は妹萌えを究極まで推し進めました」

 という方が第一に説明が早いですよね? さらに「萌え」という言葉を定義し、
 本来あやふやな「美少女系作品の売れ筋イメージ」
 を記号化してやることで「分かったような気にさせる」効果があるわけです。
 抽象概念の一部分を具象化して楔を打ったようなものでしょうかね。
 既に「萌え」という言葉は新聞にも載ったことがあるぐらいで、
 アニメ・ゲーム・ラノベ・漫画を知らない世代でも聞いたことがある言葉です。
 大体において、あまり歓迎される概念ではないのでしょうが、
 「萌え=一定の購買層は見込める」という図式は大体浸透しきっていると言っていいでしょう。
 
 だからこそ「萌え」が意味を持ち、「萌え」がアピール力を持つわけです。
 
 また、曖昧な言葉だからこそ作者の工夫次第では
 一見「萌え」とは無関係そうな作品でも「○○萌えだから」と、
 比較的簡単に自作品のアピールができるわけです。
 ハリーポッターにしても映画版は「ショタ萌え」という評価も出てますしね(苦笑)。
 嫌ってしまうのは簡単ですが、「萌え」という言葉がいかに有用かを考えて、
 自作品の周辺演出(作品自体ではなくアピール法やその他色々)に生かすのも、
 一つの手だと思いますよ。
 まぁ、本来的に周辺演出は作家の仕事じゃないわけですけどね(苦笑)。

 ということで、久々にえらい長文で済みませんでした。
 では、そろそろ失礼いたします。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの妄想を残します。プロ作家デビューした後の編集者とのやり取りです。

猫「と、こんな感じのプロットで、今回は陸海空、そして宇宙とダイナミックに活劇をします」
編「……登場人物。オヤジばっかりですね」
猫「あい。だって、プロ対プロの知恵比べですよ! 相手は予算と人員青天井。
  主人公側は腕とハッタリのみで抜きつ抜かれつ、騙し合うのがこのお話のキモですから。
  お子さまの出番はありませんよ」
編「いえ、ハヤカワさんとかならそう言うのも良いのですが、今時、ソノラマさんだって、
  それだけの話しなんか、出しゃしませんよ」
猫「え〜〜〜! い、いったい何が足りないと……」
編「萌え、です」
猫「へ? ですから、この渋い展開に燃える物が……」
編「いつまでも1980年代してるんじゃない!」
猫「うわ?!」
編「じゃあ、主人公側に女の子いれましょう。十代ね。上限17まで」
猫「ええ!! そりゃ、無理っすよ! 高校生じゃないですか! 
  恒星系警察を凌駕する規模のマフィアを相手に張り合うんすよ! 
  プロット読んでくれたんですか?」
編「読みましたよ。でも、これじゃダメです。読むのは学生さんが大半なんです。
  読者の視点に近くて、かわいくて、ちゃんとツボを抑えてないと、
  アンケートめろめろになりますよ。売れない話はだせません」
猫「うう、そんにゃ〜」
編「泣いてもダメです。できるでしょ? プロットはすぐに書き直してください」
猫「うう……海賊上がりで、一度死んだ事になってる、どうみても堅気じゃないオヤジと女子高生は、
  どうすれば知り合いになって、一緒に活劇するんでしょうか?」
編「それを考えるのが、作家です。守る物がある方がお話しも盛りがあるし、
  素人が相手なら説明台詞も自然になるでしょ。
  さあ、がんばって! あと2時間でプロットは上げ直してください」
猫「ぐすん」

 きっと、マニアなオイラがデビューすると、いつもこんな展開なんだろうなぁ……。ぐすん。
 ではでは。


ジダマさんの意見
 こんにちは、ジダマです。
 僕もライトノベルのイラスト等のエロ化に「なんだかな〜」と疑問を抱いていました。

 「しにがみのバラッド。」のイラストも電撃のホームページに行って見てきました。
 ノースリーブになったのは五巻からですね。
 まああれは季節の移り変わりのせいかもしれませんが。
 それでも「萌え」を狙っていると思って間違いないでしょう。
(どうでもいいことですけど、僕は「萌え」という単語が苦手です。タイプしてて鳥肌が立ちます)

 話がそれたので戻します。

 「萌え」はライトノベルにはなくてもいいのではないか、というのが僕の意見です。
 あってもいいけど、別になくたっていいのです。


 鈴忌さんが業界のことを詳しく述べられていますが、まさにそのとおりだと思います。
 売れるからそういった男ウケするようなエロい絵をつけるんだと、僕は思います。
 「ライトノベルは小説だから文章で勝負しろ!」と叫びたいです(駄文書きのくせに)。

 「萌え」なしのライトノベルもいいのではないでしょうか?
 実際ぼくは「萌え」なしの時代劇的なライトノベルを計画しています。

 なんだか僕が感じている憤りを述べただけのような書き込みとなってしまいましたね。スイマセン。
 では失礼します。


虎助さんの意見
 まず結論から言いますと、おもしろいライトノベルを描くのに萌えは必要かどうかですが……。
 
 必要ならば萌え要素を加え、不必要ならば加える必要はない。
 よって、おもしろいライトノベルを描くのに萌えは必要な場合もあれば、必要ない場合もある!! 

 
 と言う、あんまり質問の答えになっていない回答が、僕なりの意見です。
 なぜならば、おもしろいライトノベル=萌え要素があるのではなくて、
 萌え要素がある=おもしろいライトノベルになる傾向があるだけだからです。
 つまり、必ずしも萌え要素があれば面白くなるわけでも、
 萌え要素がなければ面白くなくなるわけでもないのです。
 今現在(2006年)、商業化されているプロのライトノベル作品にやたらと萌えを意識した、
 登場人物・ストーリー展開・イラストが多いのは……。
 単に萌えが今ブームで、そういう要素を取り入れると割と簡単に、
 それでいて大きな利益が生まれる傾向がライトノベル業界にあるからだと思います。

 日本人って何だかんだ言って、流行物とかに弱い人種ですから、
 世間的に萌えやオタクと言った単語が認知され始めて事で、
 それに便乗して何でもかんでも萌え要素を重視した商業作品が大量に生産されただけなんです。

 しかし、今現在。あるいはこれからは、
 無意味に萌え要素の多い作品がありふれている分、
 真に萌える作品しか生き残れないと思います。


 今はまだブームの名残がありますが、
 ブームが完全に冷め切ってしまった後では、萌えに頼らない、
 本当の意味でライトノベルとして面白い作品と、真に萌えという物を理解し、
 それを作風に取り込んだ作品のみが生き残ると思います。
 ですから、咬生さんがあんまり萌え要素を好まないのであれば、
 無理して萌え要素を取り入れる必要はないと思います。
 はっきり言って、萌えにに対して深い思い入れも、知識もない人間が安易に萌えを意識すると、
 萌えを好まない読者からも、萌えを好む読者からも嫌われてしまいますので。


松本美衣さんの意見
 私は、「萌えを嫌っているのに、無理して萌えを入れる必要はない」と思います。

 私も、「萌えて萌えて!」の萌え狙いのものは、あんまり好きじゃありません。
 やっぱり、あの雰囲気がすごく苦手で。
 電撃文庫なんか、イラストからして「萌えて! 萌えて!」みたいなのが、 
 ずんずん漂ってくるようで特に苦手です。
 (あっ、別に電撃文庫を否定しているわけではありませんよ)

 さてあなたは、萌えが嫌いな人間が、
 無理をして萌えを狙ってみても、いい作品になると思うでしょうか?
 萌え大好き読者さんたちに、「萌え〜」と叫んでもらえると思えるでしょうか?
 答えは「NO」です。

 恋愛・友情などを重視したいのであれば、そちらの方を書いていけばいいと思います。

 別に萌えが無くても、良い作品はできますよ。
 作者が別に萌えを意識したわけでもないのに、読者は萌えてくれる場合もあります。


 「萌えは狙うんものじゃない。個人の好みに任せるものだ」
 と、私は思っています。


澪音さんの意見
 こんにちは、澪音と申します。

 えっと、これは私個人の意見ですが、
 作者さん自信が無理やり「萌え」を意識して作ったキャラやシチュエーションはどうがんばっても魅力的になりえないと思います。
 
 どこが魅力か分からないものを魅力的に書くことが、どうしてできるでしょうか。

 澪音は女性でBLを好む、いわゆる腐女子といわれる人間です。
 しかし、作品内にいかにもな感じで腐受けを意識した描写をされると、たちどころにその作品を読む気が失せます。
 あ、その作品がもろBLなら全然構わないんですよ?
 そうではなくて、普通の人向けと言っておきながら「これをやれば売れるかも」とばかりにうっすーいBL描写をされるのが大嫌いなのです。
 そういう作品を書かれると、「おまえらこういうのがあれば喜ぶんだろ?」と言われているようで腹が立ちます。

 萌えはこちらが勝手に抱く感情です。
 作者の意図で無理やりねじ込まれた押し付けがましい「萌え」は、本当にその萌えジャンルが好きな人たちに対する侮辱です。


 話に全く関係なく、不自然に盛り込まれたあざとく浅い「萌え」は作品を殺します。
 咬生さんが書いていて魅力的に思わないなら、そのキャラやシチュエーションは無理に出さなくてもいいのではないでしょうか。

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