第4研究室 創作に関するQ&A 234P | トップへ戻る |
魏延さんからの質問
 「世界観へのツッコミ無用」 を許せるか?
 
 久しぶりの質問をします。魏延です。

 例えば、世界がなぞの生命体に襲われているとします。
 そこから 「その生命体はどこから発生したの?」 という疑問が生まれます。

 その疑問が、本編とあまり関係のない場合、語りか描写かキャラに、
 「どうして発生したのかは誰にもわからないが、とにかく襲われている」 等の、
 つまり 「ここはあまり重要じゃないからツッコむな」 「追求するな」 と言わせていいのでしょうか?
 少なくとも、皆さんはそういう表現を許せるでしょうか?

 個人的に、最近はやたらとリアリティが重視されてる風潮を感じます。
 本筋と大して関与しないからと言って、こういうことをしては悪印象を持たれますか?
 「手抜きしてるな」 と思われてしまいますか?

 「最終兵器彼女」 などでは、この方法を大々的に取り入れて成功しているらしいのですが……。


● 答え ●

南志紀さんからの意見
 はじめまして、南です。

 ボクはいいと思いますヨ。
 例えの最終兵器彼女の場合。
 あくまでメインは恋愛であって戦争を前面に出さないことによって、
 戦争と言う特異性を消しているのです。

 要は、その謎の生命体が本編に重要度がない場合は理由なんかいいんです。

 逆に言えばその謎の生命体を本編に取り入れにくいと言う諸刃の刃でもあります。


嶋さんからの意見
 本編に関係がなければ別に大丈夫だと思います。

 他に成功例としては、映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターが挙げられます。

 今のところ、「羊たちの沈黙」「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」の全3部作ありますが、
 いずれにおいてもハンニバル・レクターの過去は語られてはいません。

 これによって、ハンニバル・レクターというキャラの神秘性をより魅せることができています。
 明らかにしないことで逆に魅力的になる、というケースもあります。


追伸
 ハンニバル・レクターの過去を書いた小説
 「ハンニバル・ライジング」が去年の12月に出版されました。


青々さんからの意見
 こんばんは。たまに書き込む青々です。
 あくまで個人的な意見ですが、

 お話が短ければ短いほど、主題と関係なければないほど、ツッコムなと言わせてもよさげです。
 長編の場合は上手に提示してあげた方が読み手はすっきりするかなと。

 また、提示の仕方を工夫することでも、読み手のストレスを避けられそう。

 主人公「なんでこんな生命体がいるんだっ?」
 サブキャラ「どうして発生したのかは誰にもわからないが、とにかく襲われているの!」

 では突き放した感じになるので、

主人公「なんでこんな生命体がいるんだっ?」
サブキャラ「この時空とは五百テラ時間より断絶していたα空間平面に澱んでいた複数の宇宙意志が――って説明をお偉いさんから長々とされた記憶はあるが、おまえも訊きたいか?」
主人公「既に意味わからんからやめとくっ。問題は今、この状況をどうするかだっ」

 というように、主人公が自ら生命体の発生原因を知ることを放棄し、
 状況打開に意識を向けるようにすると、
 感情移入している読み手も自然とそうなってくれそうな気がします。

 構成などにもよると思いますが、ひと工夫はできるかなと。


C.T.さんからの意見
 出現頻度の少ないC.T.です。私見ですが返答を。

 その世界が異世界ならアリ、現実世界ならば説明が必要だと思います。

 異世界ならばそもそもそういった謎の生命体がいるという設定にすればよいかと。
 ただし、ある日突然現れたならそれなりの理由がいりますが。

 現実世界では説明がいるでしょう。
「現実世界と異世界を隔てる境界に亀裂が生じ、
 そこから異世界に住む謎の生命体がやってきて……」
 みた いな。ありきたりな例ですみません。


追伸
 私の場合、こういった理由は必ず決めます。少なくとも自分が納得するまでは。
 駄文失礼しました。


高坂さんからの意見
 こんばんは。高坂と申します。携帯からのため、短いですが一言。

 「大きなウソを補完するため、細部にリアリティをもたせる」

 これはラノベに限らず、創作の鉄則です。
 物語の前提(異空間召喚など)に関しては、基本読者は流します。
 そうしないと物語進みませんし。
 ただし細部でその世界観にリアリティを持たさせねばなりません。

 それさえきちんとできていれば、読者は突っ込みませんよ。
 突っ込まれるのは世界観をリアルに表現できていないためだと思われますし、
 高坂もそこに主眼を置いて批評します。
 ただ長編の場合は、世界観を壊さない程度に説明があったほうが、カタルシスは大きいでしょうね。
 以上、参考になれば。


結城 ゆうきさんからの意見
 こんにちは、結城 ゆうきです。

 マクガフィンという、どこぞの監督に提案された手法があります。
 これは「特に説明はないけど、とても重要な存在」を指したりします。
 
 「疑問」を覆い隠す強烈な魅力さえあれば、問題なく物語を作ることができます。

例えば
「その生命体はどこから発生したの?」
「分からない。しかし、放っとけば大変なことになる」
 『いくらなんでも、ぼかしすぎ』というくらいぼかしてますね。
 そして物語が進むにつれ
「このままでは、世界が滅ぶかもしれない」と言ったり
「あれは神の化身だ。この世界を創り変えるのだ」のように言わせると
 『正体はともかく、なんだか恐ろしい存在』になったりします。


火眼黒駿猊さんからの意見
 火眼黒駿猊と申します。
 先に回答してくれた方々の意見も踏まえて私の意見を述べさせて頂くと、

 謎の生命体に関する話は、どれだけ本編に関わってくるかによって決めればいいと思います。
 
 例えば有名どころの『イリヤの空、UFOの夏』では、エイリアンに関する説明はほとんどありません。
 ブラックマンタに関する説明もほとんどありません。
 それらはただの舞台背景であり、作者が書きたかったのはあくまで
 主人公・浅羽とヒロイン・伊里野の交流だからです。
 
 また、青々さんが書かれている通り、あえて説明しない事で、
 「どうして」などという質問を考えている余裕はないほど緊迫している、
 という事を表現できるかもしれません。

 ただし、作者である魏延さんは、その辺の設定はしっかり考えておくべきだと思います。

 高坂さんが述べている通り、細部にリアリティを持たせるためには、
 世界全体に対する設定をしっかり練りこんでおく必要があります。
 でないと、恐らく細部で矛盾が生じ、リアリティのない作品となってしまうでしょう。
 作中に設定が出てこないのと、作者が設定を作っていないのでは、全く意味が違うと思います。
 
 そして、そもそも特に理由がない限り、理由は作中で説明した方がいいと思います。
 もちろん、長ったらしく説明してもつまらないので、複数の人間に少しずつ語らせ、
 読者が色々と予想できるようにするといった手法をとると面白いかと思います。


mayaさんからの意見
 こんにちは、はぐれメタルまやと言います。
 もう、魏延さんも納得され、いい具合に落ち着いたところにレスをするのもどうかと思ったのですが、
 最近、わたしもリアリティと演出の間で揺れていたので、コメントというかエールを送ります。

 ジョナサン・キャロルという作家のコメントをそのまま引用しますね
 (『空に浮かぶ子供』あとがきより)――



 しばしば、ぼくの本を読んだ人たちがこんなことを言ってくる。
「前半はとてもよかった。じつに素晴らしい。ロマンスの部分などは見事としか言いようがないのに、
 それから気違いじみた物語がはじまってしまう。がっかりしますね」
 ロマンス小説や普通小説を期待していたのに、
 そこへ喋る犬が登場してくると、こういうことになるんだ。
 連中がどう考えてたかは予想がつく。
「いやだなあ。まじめな小説には喋る犬なんか出てこないぞ。
 こいつはファンタジー小説にちがいない。ファンタジー小説は好きじゃないから、読むのをやめよう」
 読書というものは、基本的には自分自身の世界観を捨てて、
 本に描かれている世界を受け入れることだと思う。
 本の世界を支配している法則を現実に当てはめることはできない。
 なぜなら、本というものは独自の現実を創り出しているからだ。
 それがたとえトールキンのホビットであれ、トルストイのアンナ・カレーニナであれ。
 ぼくの小説のどれかを読んで、たとえば子供が窓から飛び出して空を翔ぶ場面について、
 「でも、子供は窓から飛び出して空を翔んだりしないぞ」と言おうものなら、こう言い返すだろう。
「ちょっと待った。あなたの世界についてぼくは語っているわけじゃないんだ。
 この小説の世界について話をしているんだ、それが重要な点なんだ」とね。


魏延さんからの返信(質問者)
 返信が遅れてすみませんでした。

・出す、出さないと作る、作ってないのとは別。
・ファンタジーはOK、現代モノではほとんどタブー。
・長編なら世界観を支えられる程度には必要。


 ということですね。
 貴重な意見をありがとうございましたm(_ _)m

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