第4研究室 創作に関するQ&A 295P | トップへ戻る |
ギュルギュルテンさんからの質問 2007年
 偽善系キャラクターは嫌われる?
   
 初めまして、ギュルギュルテンという者です。
 
 さて、本題ですが友人が今のジャンプは人を殺さなくなってだめだ、と言っておりました。(2007年)
 どういうことか、と聞くとONE PIECEで敵キャラが生きているのが気に食わなかったようです。
 さらに、るろうに剣心以降、こういう人が殺されない偽善漫画がジャンプに増えて嫌だ、
 漫画の中なんだから北斗の拳みたいに悪党は殺すべきだ、とのことでした。

 僕自身は、誰であっても絶対人を殺さない剣心みたいなキャラクターは、
 偽善者かも知れませんが大好きです。
 それに、斉藤のような信念を貫き通すキャラクターも大好きです。

 さらに、何処かのサイトで見たのですが、剣心の不殺は偽善ではなく、
 機動戦士ガンダムSEEDの主人公の不殺は偽善だ、と仰っている方がいました。

 そこで質問なのですが、作品において偽善者キャラクターは嫌われるのでしょうか?
 そして、僕はガンダムSEEDは見たことがないので分からないのですが、
 両者の不殺に違いがあるのでしょうか?
 後、必死に命乞いをする悪党を殺して、自分から殺せ、と言ったような武人を殺さない行為のように、
 相手を選んで殺すようなキャラクターの方が偽善に感じるのは、僕だけでしょうか?


●答え●

閃叉聖さんからの意見
 そもそも偽善と善意の境界線がよくわからない。

 どうも、閃叉聖です。
 例えば、道端で困っていた人を助けたとして、それは果たして善意なのでしょうか。
 それが助けようという意志で動いたとして、そこに全く下心が無かったとしても、
 それが助けたいという"欲求"である以上、どこまでいってもそれは
 "欲求を溜め込んでストレスを生まないための"偽善行為なんじゃないか、というのが私の考え方です。
 質問への回答ですが、

 嫌われる理由は、えてして書き手による描写不足、だと思ってます。

 どんなキャラでも魅力的にしようと思えば幾らでもできるし、
 逆にどれだけ魅力的な条件が揃ってても、それを出し切れなければ嫌われキャラ一直線です。
 キラと剣心の違いですが、これもやっぱり描写不足です。
 るろうに剣心の方は巴を絡めた
 "苦行と解りながらも修羅を歩いていく"剣心の姿をちゃんと描写してますが、
 SEEDでは主人公のキラが不殺にいたるまでの心境が、イマイチはっきりしません。

 そしてDestnyになってしまうと、視聴者に印象良くするために、
 ちびっ子が憧れるヒーローっぽい行動をするだけのキャラになってしまってます。
 これは口で説明するより見てもらった方が解りやすいかと。

 たぶんですが、その友人とやらは徹底した懲悪勧善が好きなだけに思えます。
 ジャンプは週間少年誌の中でも一回り対象年齢が低いので、それも相まってるのかもしれません。


サイラスさんからの意見
 まず、最初の両者の不殺の違いは、閃叉聖さんの言うような描写不足もありますが、
 主人公を取り巻く状況がそれを許さないという側面もあります。


 るろうにの場合。
 戦うといっても、戦争の中でなく、日常で、しかも大抵タイマン(メインの相手とは……)。
 また時代劇な設定のせいか、剣心の不殺の信念は割と批難されません。
(時代劇のステレオタイプ、悪党を殺す以外にも裁く手段があると言う観点から)

 一方、ガンダムは戦争、誰もが生き延びるために、先に撃たなきゃいけない、
 相手を生かせば後ろから撃たれるという設定上、
 生かすことが、愚考、偽善に思われるのではないのでしょうか?

>必死に命乞いをする悪党を殺して、自分から殺せ、と言ったような武人を殺さない行為のように、
 相手を選んで殺すようなキャラクターの方が偽善に感じるのは、僕だけでしょうか?

 
 それは、その人の感性や経験によって、まちまちでしょう。
 一貫性を好む(相手が、極悪人だろうが武人だろうが、自分は非殺を貫くなら、それを通せ!)人いれば、
 柔軟性を好む人もいます。

 駄文ながら、以上が僕の意見です。


但馬晴さんからの意見
「偽善も善のうちじゃ〜!」 『内閣総理大臣織田信長』より

「目の前の困っている人だけ助け、目の前にいない困っている人は助けないから偽善」
 というような話を『ロードス島戦記』で見た記憶がある但馬晴です。

 閃叉聖さんもおっしゃってますが、剣心の不殺は様々な経験をした上で導き出したものであり、
 それゆえに説得力を持ってます。
 キラの不殺は導き出された経緯がいまいち分かりづらく、
 そのところが反発を買う要素になっていると思います。

 あと、剣心の不殺は生身の戦いで傷つきながら貫かれるものに対して、
 キラの不殺はMSの戦いで貫かれているため、自分は何一つ傷つかないので、
 (精神的にはともかく、肉体的にはストライク大破、フリーダム大破の際に負傷しただけ)
 奇麗事と思えてしまうのかもしれません。


世羅 悠一郎さんからの意見
 はじめまして、世羅 悠一郎と申します。
 
 はて、例に挙げられているキャラクターは偽善かな、違うのではないかなと思います。
 ……SEEDは別にして。

 殺さないにも幾つかあると思います。
 根底に信念があるから殺さない。
 殺さないのではなく、殺せない。
 結果的に殺してない。
 他にも探せば幾らでもあるのではないでしょうか。

 ちなみに、その友人の考えは、個人的なものであり、左右される必要は無いと思います。

 悪事を働いたものは死ぬべきだという考えがあるのかも知れませんし、
 見すぎて食傷気味なのかも知れません。

 かく言う私も、「そろそろ、ツンデレをわざわざピックアップするのはもういいよなぁ」
 とか食傷気味だったりしますし。

 閑話休題。
 偽善者が嫌われるかどうかですが……。
 
 万人に受けるキャラというのは存在しないので、たまたま身近な意見がそうだったのではないかと。

 ただ、私の周りでは、不殺だから好きっていう人はいないですね。
 信念を持っていて、強い感情が根底にあって、だからこそ好きなんだという方ばかりですね。
 別に不殺自体はどうでもいいのです。
 行為の根底にあるものを、皆さん求めているように感じましたよ。

 作品が作品ですから批判覚悟で言いますが……。
 SEEDの不殺は、別に信念も何もありません。
 都合が悪くなればあっさりとやめますから。
 MSなら行動不能にするのに、戦艦だと真っ二つにぶった切って爆発させているとか。
 行動不能にしただけだけど、あの高度から落ちれば普通死ぬよな、間接的に殺してるじゃんとか。
 他にも、作品のその場面での都合でころころ変わるとか。
 ただ、そのキャラの強さの誇示にだけしか使われていないのですね。
 だので、参考にしないほうが吉です。

 例に出ている命乞いをする悪党は殺しても、自分から殺せという武人は殺さないというのでも、
 やはり状況でしょうか。
 行為をするキャラクターの心情次第、でしょうか。
 放って置けばまずいと思えば殺すのかもしれませんし、
 殺したらそれが却って都合を悪くすると思えば殺さないでしょう。

 以上、乱文になっている感が否めませんが、参考になれば幸いです。
 それでは、失礼致します。


MAYOさんからの意見
 不殺キャラよりも全殺キャラの方が好きなマヨです。
 死んで出直してこい。

【偽善】
・本心からではない、うわべだけの善行。


 辞書で偽善を調べると、大抵こんな回答が出てくると思います。
 つまり、イヤイヤながらも善い行いをする人を偽善者というわけですね。

 では剣心やキラは、本当は敵を殺したいんだけど、仕方なく生かしていたのか?
 違いますよね。両者とも(凄惨な過去を経験したが故)人を殺すことを嫌い、
 相手が何であろうと不殺を貫いたわけです。
 まぁキラはラウとデュランダルに対してだけは抹殺覚悟で突撃しましたけどw

>両者の不殺に違いがあるのでしょうか?

 ありません。視聴者の見識の違いがあるだけです。

 しいていえば、不殺と言いつつ実際に殺っちゃった人数くらい?
(アスランは別に不殺派じゃないのでぶっ殺しまくってたけどw)

 あと、殺したことにより、それが善行なのか悪行なのかに寄るところもあります。
 不殺キャラの行為を、それぞれの性格(信念)の人から見てみると……

・人を殺すことはいけないことです ⇒ 善人
・悪人なんだから殺すべきだろ ⇒ 悪人
・戦争とはいえ、相手は同じ人間 ⇒ 善人?
・敵は討つもの。撃たねば撃たれる ⇒ 悪人?(というか甘ちゃん?)

 その友人が言ってる偽善とは、たぶん編集者や製作者側に向けた言葉じゃないかな?
 本当はコテンパンに悪人一掃したいのに、なんか世間体とかを気にして、
 キャラに不殺精神を持たせてる……みたいな? 
 結果的にキャラそのものが偽善っぽく映るわけですけど。

>僕自身は、誰であっても絶対人を殺さない剣心みたいなキャラクターは、
 偽善者かも知れませんが大好きです。それに、斉藤のような信念を貫き通すキャラクターも大好きです。
 

 信念を持ったキャラは自分も大好きですね。
 自作でも「女は絶対に殺さない」というエセ紳士がいます。
 どのくらいエセかというと、死ななきゃOKとばかりに急所外へ攻撃し、
 五体不満足・虫の息にまで追い詰め、それでも殺さず、最終的に舌噛ませて自殺させるような紳士です。  男は秒殺、女は不殺。優しいのは淑女に対してのみだったりw


 以上、マヨの変な意見でした。
 やはり偽善者といえば武装錬金のカズキじゃないかな?


三毛招きさんからの意見
 偽善っぽいのはあんまり嫌いではないですね。とくに意識してやってる場合なんか最高です。
 私が嫌いなのはむしろ独善ですね。

 
 私もSEEDが大嫌いですが、その理由は独善的だからです。


フェアリーさんからの意見
 偽善ねえ。まあ、一口に偽善と言ってもいろいろありますから、例をあげてみましょう。

1:直情に駆られて大局を見失うタイプ
 次の例は英語の教科書に載っていた話です。
 
 観光客が、ガイドの制止を聞かずに生まれたての子亀を鳥から助ける。
 ⇒助けられた亀が信号?を発して仲間に安全だと伝える。
 ⇒信号を受け取った亀が次々出てくる
 ⇒鳥大喜び。

 RPGでは、「世界」も「大切な人」も救いたいとか言うタイプ。

 TOSの主人公は正にそれ。俺の嫌いなタイプです。
 TOD2では最終的にヒロインの命をあきらめたという漢です。


2:自分は苦しみもしないで救った気になっている。
 金だけ寄付した「あとは好きにしろ」って感じの人や、世界の貧困に苦しんでいる国を映した番組で、
 「こうやってみんなが知ることで何かが変わると思います」とか言うやつ。

 「そんなんじゃ救えね〜よ」と、何度突っ込んだことか……


3:。「情けは人のためならず」を極めたやつ。
 「ここで恩を売っておけば後で儲かるぞ」とか考えているやつ。
 「情けは人のためならず」と言うのは「情けは自分のためである」と言い換えることができます。
 善行がそのまま金へつながってるやつですね。
 サンデー(マガジンだっけか?)の
 『ハンマーセッション』の主人公なんかまさにそれですね。

 私は1・2のタイプは嫌いですね、あまちゃんもいい加減にしろって。
 でもそれで悪人の心を救えるから1のタイプの主人公が存在し続けるのですが。
 私としては竹を割ったような性格のダークヒーローが好きですね。ビヨンド・ザ・グレイブとか。
 それでは、乱文失礼しました。


ウブカタさんからの意見
 ガンダムSEEDは,私も見たこと無いですね……。
 ウブカタといいます。はじめまして。るろうに剣心は超好きです。
 斎藤一は一番好きなキャラクターですね。彼は気高いと思います。

 偽善と言うのは,「上辺をいかにも善人らしく見せかけること。また,その行為」
 って事だと辞書に載っていました。緋村剣心の行為はこれに当てはまるのだろうか……。
 違う気がしますが。
 相手を殺さない理由が,ちゃんと示されていると思うし,その理由も己の利害によるものとは思えないし。
 それに,彼は別に善人になりたい訳じゃないですよね。

 先にどなたかがおっしゃってましたが,自分の独りよがりな正義の為に人を殺しまくる人間。
 そして自己満足する。こう言ったキャラは偽善ぽい気がします。


 ……でも,先に挙げた斎藤一はこれに該当するのだろうか。
 でも,彼も別に善人になりたい訳じゃないし,むしろその逆のような気もするし。
 誰かから賞賛されたくてやってる行動じゃないしな……。

 何だか微妙な意見になってスミマセン。携帯から失礼しました。


Sohmaさんからの意見
 殺さない事=偽善というのはちょっと違うと思います。Sohmaです。
 偽善っぽい不殺について本気だして考えてみたら、以外に無くはないんだと気づきました(←パクリ)。

 自分が偽善と感じるのはただ何も考えずに「自分が手を下すのは嫌だ、怖い」と殺さない、
 甘さのある人は偽善者と思います。

 この場合殺したくないと言う事を「不殺」で言い訳しているようなもんです。
 好きな人が何人もいて「どの娘も大切だから一人に絞れないよ」(残りを捨てる≒殺す)
 と言ってる人を考えると偽善っぽさがわかると思います。
 自分がきれいでいるための不殺、ですね。

 逆に偽善を感じない不殺ですが、読者が納得するに足る理由があると偽善には見えません。

 亡き妻との約束、大切な人を殺してしまったから……
 どんなに殺したほうが楽でも殺さない、そんな強さが見えるとそれは偽善でも何でもありません。
 実際、倒すときは殺したほうが楽ですし。ですから、

 キラ・ヤマト(KY)→甘さがある不殺=偽善
 伊東誠(M(ry)→世界と言葉どっちも選べない=偽善
 剣心→理由ある不殺≠偽善

 ワンピースはアーロンのあたりまでしか読んでませんが、あれは不殺の理由が書いてありませんね。
 多分作者の方針だと思います。
 偽善かどうかは作者次第。作者にポリシーがあってあえて不殺ならば偽善ではないでしょう。

 偽善っぽい不殺について本気だして考えてみたら、いつでも同じ所に行き着きます。
 僕は偽善っぽい不殺に対して失礼だったみたいです。
 もう一度丁寧にかんじて、拾って集めてきますね(最後までパクリ)。


Azifさんからの意見
 全ての人から肯定だけを得ることは不可能なのが世界です。
 
 と言う前置きで持論を述べさせて貰います。
 
 さて、「偽善者が何故嫌われるのか」とのことですが、
 自分が思う限り、偽善者であるから嫌われるわけではないと思います。
 よく言われる、「偽善者」と言うものは、作者いわく「善人」なのだということを忘れてはいけません。
 では、何故作者にとっては「善人」として出したキャラクターが読者にとっては
 「偽善者」といして受け取られるのでしょうか?
 
 答えは簡単です。
 そのキャラクターのやることに重みがなく、何もかもが都合が良く回っているからです。

 
 例として述べられたSEEDならば、
 
 敵に対して「ああ、何て可哀想。この人は悪くないのです」といえば、
 敵は「ありがとう。感動したから味方をするよ。何でも言ってくれ」と言い出す。
 実際には此処までベタなものではありませんがこんな有様です。
 しかも、本人が良いと判断して口にしている事も、その場逃れでしかなく、率先して破っていますしね。


ひろっさんさんからの意見 2012/12/28
>そもそも善悪とは、時代あるいは時の権力者が決めることです。
 
 キリスト教は500年ほど前まで、異教徒なら問答無用で殺してきたんですよ。
 イスラム教も、アッラーやムハンマドを侮辱されると、今でも信徒に殺害を命じます。
 中国政府も、チベットの仏教徒を武力で排除しようとしています。
 日本でも警察による冤罪事件が次々と明らかになっていますね。

>何が善で何が悪か、定義を決定するのはいつだって時代か、時の権力者ですよ。

 ディスティニー時代のキラ・ヤマトが方々に嫌われていますが、もしかして主人公であるシンが言った言葉を鵜呑みにしてませんか?
 もう一度SEEDからディスティニーまで、物語の要点を書き出してみてください。
 キラ・ヤマトがPTSD(心的外傷)に罹っていた描写がいくつかあります。
 視聴者と同じ普通の精神状態で考えられてはたまらないと思いますよ?

 いるんですよね。
 そのキャラの行動や関わった出来事を深く考えもせずに、こいつは嫌いだってだけで偽善とか言い出す人が。
 現実だって、いつ善悪の価値観がひっくり返るかわからないのに。

 もっとも、心理描写のない偽善ほど醜く見えるものがないってことには賛成です。
 最近の政治家を見ていると、特にそう思いますよね。


 それではこの辺で。
 何かの参考になれば幸いです。

 
萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|