■質問2013/10
面白さとはなんでしょうか?
下読みの仕事をしている上で特に評価されていると思える要素について話して頂けたらと思います。
ライトノベル、一般それぞれの視点からの回答を希望します。
●ジジさんの回答
作品に「これを見せたい」というテーマがあり、それをクライマックスにきちんと据えて、見せ場が作れているかということになるでしょうか。それが散漫だったりなかったりするものはおもしろくないです。
傾向としては、ラノベならキャラがしっかり立っていて文章や会話からその心情の動きがきちんと見え、達成感に繋がっているかどうか。
一般なら、読者に想像を強いるよりも共感させられるテーマづくりと等身大なキャラ設定ができているかがひとつのポイントになるでしょう。
ラノベは想像しやすいもの、一般は共感しやすいもの、ということです。
■質問2013/10
応募原稿のレイアウトでミスがありました。
ページ番号の位置なのですが、左端なのに、真ん中に打ってしまったのです。これだけでも落とされるでしょうか?
●ジジさんの回答
言い切ってしまいますが、大丈夫です。基本、一次審査は「とりあえずおもしろいものを上げる」ための審査なので、担当してる下読みがよっぽど頭おかしい人じゃない限り、気にも止めない要素ですよ。
■質問2013/10
友達が最終選考で二回落ちました。しかし、編集から声はかかってません。
●ジジさんの回答
一般、ラノベ関わらず、最終で落ちて且つ編集がつかない人というのは基本的に、物語を筋道立てて構成するのはうまいけど、作家としての武器がない(しかも前から進化してない)人と判断されてるものと思われます。
あらすじを作ってみて、自分の作品の武器はこれ(この設定・キャラ・どんでん返しなど)というポイントがあるかどうか確認するといいかと。
おもしろい作品って、あらすじだけでもおもしろいんですよ。
■質問2013/10
一次選考(特に下読みが読む段階)で要求される作品のレベルとは、現実的にはどの程度のものなのでしょうか?
●ジジさんの回答
賞の規模によって変わります。
大きい賞だと、上に上げていい割合(全体の何割を上げるようにという指示があります)が多く設定されるので、評価基準七項目(発想・物語・世界観・キャラクター・構成・文章表現・読後感)に拙い部分があったとしても武器があると感じたものは通します。
小さい賞の場合、それぞれの要素にひとつでも大改造が必要なレベルのものはまず落ちます。
大小問わず言えるのは、ラノベの場合はキャラとネタにオリジナリティがあって押し出せていることが最重要です。
■質問2013/10
選考の各段階で作品に要求される基準は何でしょうか?
●ジジさんの回答
下読みの段階:小説として成り立っているか? 差別化要素はあるか?
編集の段階:商品性はあるか? カテエラに加え、レーベルカラーに合っているかどうか?
ですね。差別化要素がないものは、下読み段階で落ちます。
■質問2013/10
ずばりお聞きしますが、作家としての『武器』とはどのようなものとお考えでしょうか?
●ジジさんの回答
賞に応募する段階では「他人より濃いもの」が作れることです。
ラノベは「想像しやすいもの」、一般は「共感しやすいもの」がおもしろい作品です。これを踏まえた上で、いかに主人公の心情にこだわり、濃厚に描写できるか? いかに緻密に設定を作り込み、且つそれを説明文にせず作品を彩れるか? などがポイントだと思います。
そして、キャラの心情と設定、ふたつの要素で言えば、一般なら前者、ラノベなら後者が評価されやすいです。
■質問2013/07
下読み段階では、文章力、ストーリーや世界観、、キャラクターのどれが一番重要視される? 時期によって採用する要素が変わるのか?
●回答
ラノベは新人賞の段階において文章力はそこまで気にしない。この傾向は昔から殆ど変わらず、今後も変わらない。
必要な文章力の最低ボーダーは高くないと考えて良い。
設定は重視される。設定が面白そうで、「お!」と思うものがある作品は大抵良いところまで行く。
キャラクターも同様、非常に重要。
基本的に面白ければ新人賞をとれる。
ただし今は何が流行り、求められていることは何か、考える必要がある。
■質問2013/07
選考の際、構成(話運び、話の組立)とアイディア(意外性、真新しさ)、どちらを優先させるのか?
●回答
ラノベとの違いは、一般小説はまず文章力に一定のハードルがあり、メインで扱うジャンルが異なる程度。
ミステリーを書かれる方は一般の新人賞もチェックしてみるとデビュー出来る可能性が上がるかも。
■質問2013/07
最も大切にしている判断の基準とは?
●回答
一概には言いにくいが、ストーリー、キャラクター、設定は重点的に見る。
このうちのどれかが飛びぬけて良ければ、それだけで受賞に至るケースもある。
逆にこのうちのどこにも見るところがなければ他がいくら良くても厳しくなるだろう。
■質問2013/07
作品のテーマが明確である方が、選考では通りやすい? いい作品ほど、作家が何が書きたいかわかるのか?
●回答
何を書きたいのか、作者は常に意識しなければならない。
それだけで有利になる訳ではないが、下読みでは、テーマは重視され、これがしっかり描けていると高評価をつける(下読み経験者さんの読み方として)。
■質問2013/07
下読みはどこを赤入れしているのか?
●回答
誤字脱字、語法の誤りなどが主。気になる部分をチェックする際にも使う。
■質問2013/07
「こういう作品は落とす」という明確な基準あるか? 落選作にたいしてなにか苦言は?
●回答
売りがない作品は落とす。
文章が多少おかしくても、設定が面白い、キャラが良いなどの何かしらの売りがあれば通すことがある。
特に設定上に魅力がある作品は強い。
自分の作品はここが売りだと明確に言えるものを書くべき。
■質問2013/07
「面白くて小説になっている」作品が、致命的な欠点(オリジナリティ皆無、模倣作)がある場合以外で、最終選考落ちするケースは?
●回答
最終選考は基本的に相対評価で決まるため、どの作品が落ちるかは難しいところだが、突き抜けたものがない作品は落選しやすい。
最終選考の常連組は大抵ここがない場合が多い。
ここだけは負けない、というものを作るべき。
■質問2013/07
一般のエンタメ小説の新人賞においてマンガ的ラノベ的要素はどのような評価を受ける? マンガ的な作風は今のラノベ新人賞では?
●回答
その新人賞がどのような作品を受け入れるかによるので一概には言えないが、漫画的な作品が受け入れられにくい新人賞が、一般小説の新人賞には数多く存在する。
ラノベは元々漫画的な作風を受け入れているので漫画的で構わない。
一般用の作品→ラノベの新人賞の場合、電撃、スニーカー辺りが狙えそうだが、他は厳しい。
ラノベ用の作品→一般の新人賞の場合、メフィスト賞や『このミステリーがすごい!』大賞は狙えるだろう。
■質問2013/07
短編連作でも受賞は可能か?
●回答
可能。
■質問2013/07
ラノベ執筆に王道(原則)(主人公は中高生、設定を羅列しない、エログロ禁止、萌えを入れる)があるとおもうが、原則に最初のうちは従っておくべき? 売れてる作品を真似ることから始めるべき?
●回答
タイトルが「ラノベ執筆に王道あり!? 」となっているので、まず新人賞に限定した話であることを言及しておく。
作品のレベルは応募者側が思っているほど差はなく、一定の水準に多くの作品が位置します。同じ水準の作品があったとして、萌えがある方とない方、主人公が中高生と大学生、主人公が男と女、どちらを通しますかという事。
新人賞は、あるレーベルで3次、最終まで残った作品が他の賞の1次で落とされる世界で、相対的に判断してどちらかを切るのが当たり前。その中で受賞するには、同じ水準の作品に勝つことが大前提。
よって設定だけで有利になるならば積極的に取り入れることを勧める。
しかし、作品に自信がある方はこのような対策は不要。
■質問2013/07
新たな流行を生み出すために新人賞をやっているとはいうが、実際問題、現在の流行を把握し、作品に反映したほうが受賞の確率は上がるのか?
これまでのラノベになかったものを追求したほうがいいのか?
●回答
求めているものは新しいものだが、そう簡単にはそんな作品は書けないというのが現実問題でしょうし、実際にそのような作品は滅多に送られてきません。
そうなると最終的には新しさ以外の部分で選考することが多くなる。
その時に流行りに乗った作品というのは強い傾向にあるので、受賞確立は上がるといってよい。
■質問2013/07
ラノベの新人賞で、差別化できる部分は?
基礎も出来ていないのに、奇を当てらうような設定等は良くない?
●回答
基本的な文章の書き方、ストーリー展開のさせ方、キャラ作りなどの基本事項を抑えている必要がある。
受賞作品は、良くあるパターンを既存の作品とは少し外したところから展開させていく作品が多くあり、完全なオリジナルではない。主流のパターンに何かしらのオリジナリティを加えた作品も一つの受賞パターン。
■質問2013/07
一次落ちと二次落ちはあまり変わらない? 評価シートで着目すべき点は?
●回答
1次に通るか通らないかでは大きな差がある。
評価シートは自己評価とのズレを分析すると、今後どのように改善していくかの良い材料になる。
■質問2013/07
過去に三次選考まで進んだ作品を編集部の批評に従って改稿した場合、受賞する可能性はあるか? それを他社に送った場合は?
●回答
基本的な文章力などはクリア。
改稿して受賞も十分考えられるが、3次選考などで落ちる作品に共通することは致命的に何かが足りていない場合が多いということ。
出来るだけ多くの批評を貰い改稿していくのが望ましいが、難しい場合には自力で考える必要があり、その際に編集部の批評を考慮するのが良い。
設定、キャラクター、ストーリーそれぞれの部分において何処が悪いのか自分で書き出るのも有効な手段。
■質問2013/07
厳しい選考を勝ち抜いたはずの受賞作が、いざ出版されてみると評価がいまいちなも少なくないが、これは人の評価なんて絶対じゃないということでいいのか?
ベストではなくベターで選んでたりもするのだろうか?
●回答2013/07
評価が絶対じゃないというのは当然あるが、見ている点が違うというのもある。
面白さだけではなく総合評価が高いものが受賞する。
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