ライトノベル作法研究所
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  4. 現役下読みによるラノベ新人賞Q&A公開日:2013/10/20

現役下読みによるラノベ新人賞Q&Aその4

京也さんの質問2013/10/14

 質問させてください。
 それこそ今、長編の間に載せているのですがテーマが「児童虐待」というくそ重たいものなのです。
 主人公は悩み、最後は理解者のおかげで前進していくのですが、テーマが重いだけでやはり「ラノベレーベルには向かない」と思われるものでしょうか。

ジジさんの回答2013/10/14

 質問返しになりますが、ラノベ読者が「児童虐待テーマ」を好むでしょうか?
 普通に考えれば「否」です。これは一般向けレーベルでも同じ。読者が楽しめないものはエンタテイメントではありません。

 虐待というテーマは非常にデリケートです。なぜならこの日本で虐待を受けている人が多数いらっしゃるからです。
 京也さんが虐待についてどれほどの理解と知識をお持ちなのか、ということではなく、誰かを確実に刺激するのがわかっている題材は、それだけ扱いが難しいということです。

 あと、その物語を賞に応募し、私が最初にあらすじを読んだとしてまず確実に思うであろう点は「そんな簡単に立ち直れるか?」です。これは私の知る数十の例では、全員がもれなくなにかしらの深いトラウマを引きずったまま生きているからです。

 しかし。上記の私の言いがかりを払いのけられる、エンタテイメントとしての完成度があるなら、アリだと思います。
 テーマに誰も書かないものを選ぶことは正解だからです。
 以上、不明点等あれば、重ねてご質問ください。

京也さんの質問2013/10/14

 早速のご回答ありがとうございます。
 確かに好まないと思います。
 ただ、「誰も書けないテーマ」を考えた時に、主人公が児童虐待を受けて育った経緯や、考え方は体験した自分にしか書けない、と思った次第です。
(中身的には近未来異能力アクションといったところでしょうか)
 この場合、(完成度があった場合)公募に出すなら電撃かスニーカー、ガガガ文庫あたりが受け皿として下読みしてくれるかもしれないと思っているのですがいかがでしょうか。

ジジさんの回答2013/10/14

 動機については了解しました。扱おうとしているテーマが難しいものであることを書く方が理解しているならば、題材としてアリだと思います。

 そして余計なお世話とは思いますが、経験者が自分の経験を元に物語を興す場合、なによりも「客観視」が重要です。
 嫌悪感を抱くであろう読者にエンタテイメントとしてテーマを楽しんでもらえるか……加えて、近未来異能アクションという、テーマとしては非常にありふれた物をどのような角度から描いて他作品との差別化をはかれるかを合わせて考える必要があることは、もう一度確認していただければと。

> この場合、(完成度があった場合)公募に出すなら電撃かスニーカー、ガガガ文庫あたりが受け皿として下読みしてくれるかもしれないと思っているのですがいかがでしょうか。

 どの賞に送ってももちろん審査は公正に行われるはずですが、受賞作の傾向を見て判断されるのがよいかと(どこに送るべき、などということは私の立場から語ることができないことですので)。
 ただし、どこに送るにせよ、虐待がメインテーマにくるとすればそれが審査結果に反映されるであろうことは念頭に置いておいてください。

文長さんの質問2013/10/14

 キュアベリーさんへのご返信の中で少し疑問が湧いたので質問させてください。

 ネット用語の多用乱用は勘弁してくれ、とありましたが、昨今のラノベには2chのスレタイそのもののようなタイトルも数多く見られます。
 中高生含め多くのネット人口が目を通しているであろう2chのスレや、まとめサイトのノリやスラングが傾向的に定着している、あるいは編集側にも割と好意的に受け止められているのかなと漠然と感じていたのですが、下読みさんの立場からするとその時々の流行ネタやスラングをふんだんに盛り込むのは、「万人に伝わりづらいからマイナス」「流行語なんてすぐ死語になるからリスキー」「ヲタ臭いなぁ、普通に書け」といった印象になるのでしょうか。

 万人に、といっても日頃からラノベを読んでいる人の多くは、ネットスラングやまとめサイト等にも親しんでいそうな印象があって、(個人的に使うかどうかはさておき)どこまでネット用語の使用が許されるのかわかりにくいと感じています。
 もし単に文章の読みやすさという意味で乱用はやめてくれ、というだけの意味でしたらすみません。

ジジさんの回答2013/10/14

 まさに第一には読みにくいからです。これはネット用語が半角英字やAAという、「横書き」を前提にしたものだからです。
 そして「ふんだんに使う」というのは、それだけディープな知識を必要としますよね。それだけの知識を前提に読むことを強要するのが、果たして読者に親切かどうかということです。さらに言えば、応募者が読者層を「ネット用語を知っていること前提」とするのが果たしてプラスかマイナスかということです。
 ですので、絶対必要でないなら、スパイス程度に留めておくのがエンタテイナーの親切というものかと思います。

バカモンさんの質問2013/10/14

 どうやら今日で締め切りの様で、せっかくなので僕も質問させて頂きます。
 【暗黒ライトノベル】【憧憬型主人公】の要素を含んだ作品は厳しいでしょうか?

ジジさんの回答2013/10/14

 暗黒ラノベに関しては、「そのテーマがきちんと読者の心を動かすだけの動機・構成・読後感をもっているか?」がクリアできていれば問題ないのではないかと。
 そのようなカラーの作品が受賞作品にないレーベルだと厳しいかとは思いますが。

 憧憬型主人公については、相棒ポジションに普通の人を置くべきでしょう。主人公に思い入れさせるのではなく、普通の人である横の人に共感してもらい、主人公を見上げるスタイルにするような。
 シャーロック・ホームズにおけるワトソン君が例としてわかりやすいでしょうか。

田中さんの質問2013/10/14

 こんにちは、前にも質問をした田中です。
 せっかくの機会ですので、二度目の質問を行います。

 平坦な物語についてお聞きしたいです。
 この前新人賞に送った作品で、「物語に起伏がなかった」という評価をいただきました。
 この、「起伏がない」という意味の詳細を教えていただけないでしょうか。
 私が読んできたラノベの中には、あまり物語が動かないと感じた作品も多々あります。
 例をあげるなら、「生徒会の一存」「人類は衰退しました」「這いよれニャル子さん」「キノの旅」などなど。
 面白い作品とは思いますが、こういった物語に起伏はあるのでしょうか。
 そもそも、物語の起伏とは一体なにを指すのでしょうか。
 SFやファンタジーなど、いわゆる『戦う』ラノベに起伏があるのは理解できます。なら、青春もののラノベに起伏はあるといえるのですか? 中には挫折もなく、葛藤もない作品もあるような気がしますが。

 前置きが長くなりました。質問をまとめます。

 物語の起伏とは、具体的に説明すると何を指すのか。
 青春ものの作品において、物語の起伏はあるのか。

 よろしくお願いします。

ジジさんの回答2013/10/14

 基本的にはテーマ問わず、事件がきちんと起きて、キャラのアクション・リアクションで進行し、なんらかの決着がついていることになります。

 私の経験から言って起伏がないと判断される応募作は、日常の普通の生活が延々と続き、これからもこうして続いていくのだ! で終わるものがひとつ。
 もうひとつが、主人公が特に困ることもなく起こった事件を解決し、こんな事件に満ちた生活がこれからも続いていくのだ! で終わるもの。

 主人公が起こった事件の中でどうあがき、どうもがくか……どう困り果て、それをどんながんばりでクリアするかが描かれていない物語はつまらないものだと判断されます。

 するする解決してしまう引っかかりもとっかかりもない話、友だちから聞く話だとしてもつまらなくありませんか?

>  青春ものの作品において、物語の起伏はあるのか。

 青春ものにはかならず主人公の青春を脅かす事件(恋愛や失恋、人間関係の危機等)が起こります。
 それを悩み悶え、上記のようなあがきやらもがきやらでなんとか這い出す様子こそが起伏になるわけです。

 疑問等ありましたら重ねてご質問ください。

田中さんの質問2013/10/14

 ご回答ありがとうございます。
 申し訳ありません、もう一つ質問をよろしいでしょうか。

 私は評価シートに「起伏がなく、物語が平坦である」とだけ書かれました。
 その他には具体的なコメントなどなく、私は「これだけ?」と思ってしまいました。
 確かに私の作品は一次落ちだったので、面白くなかったことは分かります。
 ですが、いくら一次落ちでももう少しためになるコメントがほしかったのです。

 そこで質問です。
 下読みの段階でもコメントシートを書かないといけない場合、下読みではどんなことを書いているのでしょうか。
 単に一次落ちでつまらないから、適当に書いているのでしょうか?

 正直、「起伏がなく物語が平坦である」という評価は、どの作品に書いても当たり障りのない内容です。固有名詞が一つも出ないコメントに、私は首を傾げてしまいました。申し訳ないのですが、本当に読んでいるのか疑ってしまったのです。
 愚痴みたいな質問で申し訳ありません。
 ですが、せっかくの機会なので聞かせていただけないでしょうか。

ジジさんの回答2013/10/14

 下読みが読んでいる段階において、その手のシートは基本的に下読みが書いているはずです。
 ただし、書いたものは編集者に渡しますので、なんらかの修正が加えられている可能性はありますが。

 ご提示いただいた事例について、考えられる原因は、
 ひとつめは「一次落ちの評価はひと言コメントで」と指示されている。
 ふたつめは「一次落ちの評価コメントは自由裁量」。

 ちなみに私がシートを書くとき、応募作の問題点を挙げてそれに対する処方箋(こういう展開・ネタ・キャラならこうしてみるのもいいかと思います的な提案)を渡すことを重視します。
 理由は、なにがダメなのかという点がわかることが応募者の糧になるだろうと思い込んでいるので。

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