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マインターZさんのコラム
 新人賞の知識、傾向と対策
 
 どうも、初めまして。
 まず、新人賞に投稿する際の最も重要な注意事項があるとするならば。

 最初の投稿は、一次選考も通過しないのは当たり前である、という事です。

 つまり、一次で落ちたところで、どうとも思わない事が重要です(ショックを受けるなんて論外)。
 というより、ある程度、投稿に慣れるまでは、
 結果などチェックする必要すらないという事でしょうかね?

 文章というものは、何年も書いて、色々な人から批評を受けてうまくなっていくのが当たり前です。

 1・一次選考で9割が落ちる
 2・大賞は一作だけである
 3・佳作も含めても普通せいぜい三作程度(例外もある)

 という事実を、新人賞に送る方は良く考えて欲しいと思う。
 普通、日常の試験でこういう事はないし、あったとしたら逆にシステムそのものが見直されるだろう。
(どんなに倍率が高くても、三つの席に数百、あるいは、数千の人間が群がるという事は、
 定期的に開催される試験にはあり得ない)。

 つまり、文学賞の一次選考には落ちて当たり前、選ばれた方が異常という事です。
 九割が落ちるのですから、落ちる方が普通です。
 いってみれば、テストで90点以下のモノは皆落第という、
 残酷で、どうしょうもないレースが文学賞の懸賞という事です。

 だから、一次で落ちても、落ち込まないで、幾らでも挑戦した方が良いと思います。
(私は初めて書いた小説で大賞を取ったという人の云う事を全く信用しません。
 モーツァルトだって、最初に書いた曲で世界に認められた訳でもなんでもなく、
 認められるまでには、沢山の曲を書きました)。

 ある複数のプロが書いたハウツー本でも、こう書かれています。
 
「文章教室に通わないで、あるいは、特別な訓練一つ受けないで、
 プロの作家になれる等という事はあり得ない。
 作家の皆さんはもっとホントの事を言って欲しい」

 と。
 ライバル潰しが目的なのか知りませんが、作家にはかっこをつけて、
 「最初に書いた小説で受賞した」とか、
 「小説は書いていたが、一番最初に送った懸賞で入選した」とか、
 神経を疑うような嘘をつく人が多いです。
 
 だが、そんな事、どんな大天才だってあり得ません。
 そんな嘘に騙されないで、文章修練に励んだ方が良いと思います(笑


 最初に書いて投稿した小説ならば、一次選考も通らなくて当たり前です。
(一次で9割が落とされるのですから、落とされる方が、普通なんです)。

 あなたの小説が、明らかに異常なレベルに達した時に初めて、
 入選出来るのだという事を覚えておいて下さい。
 それさえ頭に入れておけば、投稿を恐れる必要はなにもないです。


●新人賞の傾向と対策
 私は、今まで、スニーカー大賞、ファンタジア長編小説大賞、MFJ等に応募しています。
 経験と言っても、負けの経験ですが。
 まあ、このサイトにも書いてあると思いますが。基本的事柄などを。

1・誤字脱字はよほど酷くない限り余り気にされない。
2・それぞれの大賞ごとに一応の傾向はある。
  凄い面白い作品なら問題ないが、我々凡人は傾向と対策を立てなければ入選出来ない。
3・一流の作品ですら、場合によっては、最終選考で落とされる事がある。


 例えば、ブギーポップは、ファンタジア長編大賞で最終選考で落とされています。
 それを電撃に送ったら大賞を得られたそうです。
 そういう話は、二、三あるので、送る賞を間違えないようにしましょう。
 傑作であっても、傾向を間違えれば、落とされます。
 電撃は、比較的型にとらわれず、面白ければ取るようです。
 「キノの旅」なんて、普通は落とされます。
(まあ、「キノの旅」は確か最終選考で落とされたけど、拾い上げられた口だと思います)。
 電撃は、MFJみたいに、最終選考落選組みからもデビューさせてくれる事があります。

 既に書いていますが、ある懸賞で最終選考まで残ったのが、
 別の懸賞では一次も通らないという事が最近ワリとあります。
 だから、より、「賞の傾向を見極める」事が重要になってきていると云えるでしょう。


 明日本屋に行って、最近の電撃文庫の大賞作を買ってくるつもりです(お留守バンシーとか)。

 また、絶対に避けた方が良いネタがあります。

1・宗教ネタ(釈迦とかキリストとかは出さないようにしましょう)。
2・政治ネタ(フェミニズムとか左翼とか、右翼とかやめましょう)。
3・実際の戦争ネタ(中世古代なら問題ありませんが、
 第二次世界大戦の日本を主人公にするのはやめましょう)。
4・SF! (SFっぽいのはいいです)、SFは、大学の高等数学が問題なくできるくらいでないと、
 設定を作る事が出来ない上に、今はSFは流行りません。

 要するに、人々の神経を逆なでするような恐れのあるネタは、
 ラノベではやめておいた方が無難です。

 
 古代エジプトの話とかは、日本人は誰も思想的に気にしないので問題ないと思いますし。
 ヒンズー教の神が暴れまくったところで誰も気にしないので問題ないです。
 ヒトラーが敵なら政治ネタを使っても誰も気にしません。
 
 わざわざ地雷を踏むのはやめましょう。
 なるべく、どんな考えや思想を持つ人でも抵抗感なく面白く読める内容が理想です。


 ただ、電撃はワリと、そういうダークな部分を認める傾向があります。
 キノの旅などは、もろに思想的で、二人の国などは、完璧にフェミニズムです。
(だから右っぽい人はムカっとくるでしょう)
 ブギーポップも結局、根本的に宗教っぽいディープなネタを扱っています。

 もう、終わってしまった作家ですけど、オーキ伝なんかは、
 純粋なエンターティメントだったと思います(記憶の彼方ですが)。
 要するに、何が正しいとか、正しくないとかいう事を物語の中で決めない事、
 それをテーマにしない事が無難だと思います。

 ラノベはエンタティメントであって作者の主張を世に訴えるプロパガンダ文章ではありません。

 これは、飽くまで、私の個人的な考えで、無論、絶対のものなどではないのですが。
 ラノベには、テーマも思想も不要だと私は思っています。
 云ってみれば、ラノベはサイダーです。ちょろっと飲んでいい気分になって、
 気分が晴れて、非日常を体験出来て、それで終わりでいいんです。
 
 無論、「オレが人生を教えてやるぜ」、というタイプの考えも否定しません。
 だけど、ラノベで何がしたいのか。それをよく考えて下さい。

 プロになって小説を書いていきたい。

 それが、最大のテーマであるならば、小説のテーマは二の次でよいでしょう。
(正直、キノの旅は凄く読みにくいです。レビュー見てると私だけの感想ではないらしい)

 ただ、余りにもお気楽な内容だと、薄っぺらなのですぐ飽きられます。だから、
 「一見テーマがありそうに見せて、ある種の重みを作品に与える」事は絶対に必要です。
(例:エヴァンゲリオン。実はあれはテーマなんて別に何も無いです)

 無論、よく言われるように、エンターティメントは、面白ければ良いんです。
(人間的にはこの考えどうかと思うが。売れればそれが本当に良い小説なのか?)

 ただ、売れセンの作家がテーマを書くと失速するという事実もある訳で、
(例 神坂一 スレイヤーズは流行ったが、闇の定めを背負うものは失速しまくり)
 プロになって売れる作品を書くのが命題なのか、
 それとも自分の主張を世に訴えるのが命題なのか、
 何の為に小説を書くのか自分でよく考えるとよいでしょう(因みに私は前者です)。

 飽くまで私の場合ですが、10年掛けて、心に残る名作を書き上げてデビューするよりも。
 今年、気楽な物語を書いて、デビューする方を選びます。

 小説が好きだからこそ、とっととプロになって金を稼いで、
 それをシゴトとして生きたいです(まあ、人それぞれですが)。
 

●MFJの評価シート
 MFJは前回から評価シートを新しい、より詳しい形式に変えました。
 それなので、現在の形式の評価シートを紹介します(2007年2月現在)
 MFJとは、メディアファクトリーのMF文庫Jの事です。
 ゼロの使い魔などが有名です。


 段階はA−Eまでです。
 云うまでも無く、Aが最高で、Eが最低です。

 まず、総評があります。
 この総評は、一般的な論評ですね。
 話の内容がどうした、文章がどうだ、キャラがどうだ。
 例えば、釈迦を題材にした小説を書いたとします。
 そうすると。

 世界宗教の教祖を軽々しく出すな、というような論評がつきます。
(編集者によって違うかも知れないが、宗教ネタにはMFJは凄く敏感なので、
 やめた方が良いでしょう)

 評価の項目は五項目あります。

 「物語設定」 「キャラクター」 「ストーリー」 「構成」 「表現技術」
 更に、それぞれの項目には大体、七項目くらいのより下の項目があります。

 物語設定なら、発想が斬新か、しっかりとした世界設定がなされているか、
 設定に整合性があるか、設定が良く考えられて、物語の中で活かされているか。
 
 物語の本質部分以外(つまり、フィクションそのもの)では、
 事実と虚実がきちんとマッチしているのか、
 一般に知られていない知識をきちんと使って面白くしているか、
 設定や小道具のアイディアが斬新か。
 
 というような項目があります。
 他の項目も七項目ほどに分かれていますが、全て書くと煩雑になるので、主なものだけを書くと。

 キャラクターの魅力 キャラクターの数
 読者の興味をそそる内容か、きちんと物語を盛り上げようとしているか
 エピソードの長さが適切か、時系列にそって無理なくならんでいるか
 誤字脱字がないか、推敲がされているか

 などです。
 基本的に、今の時代はモエが重視されます。
 綺麗な娘が出てきて、主人公に対して恋愛感情を持つというのはデフォルトで、
 その数が多ければ多いほどよいでしょう。


●新人賞に挑戦する人の心理
 これは、誰でも判っている事ですが(実行出来ないだけで)、
 賞を取るための秘訣を書くとすると(本当に誰でも判っていると思うけど)。

1・きちんと資料を調べる事。必要とあらば、何百冊でも本を読む事。
2・送ろうとしているレーベルが出している文芸誌を最低でも過去二年分くらいはきちんと精読し、
 傾向を完全に掴んでいる事。(電撃だったら、電撃HPとか、富士見だったらドラゴンマガジン)
3・無論、ここ数年間のその賞の大賞と佳作を取った小説は全て入手し、精読し、
 きちんと「何故、選ばれたのか」を分析し、理解する事。
4・綿密なプロットを作る事。
5・少なくても、締め切り一ヶ月前には原稿を書き上げ、何度も推敲し、
 更に、半月前には印刷し、印刷したものを何度も読み返して推敲する事。
6・推敲と推敲の間には、冷却期間を数日おき、
 全く他人の小説と思えるくらい覚めた目で読み返す事。


 これだけの事を完璧にこなせば、恐らく、絶対に大賞を取れるでしょうね。
 誰もやらないけどね(大笑)。


 元々、小説を書く人間は、何かから逃げている、逃避しているタイプの人間が多い。
 (空想好きなんだから当たり前だけど)
 ある意味、サラリーマンの如き、あるいは、受験生の如き努力とか、分析とかが、
 もっとも向いていないタイプの人間なのかも知れない(自嘲^^

 私は、そんな事をやるくらいだったら、
 もっと安定した収入が得られる、別の職業を目指します(大笑)

 つまり、誰だってそうだろうけど、作家になる為に払える努力には限度があるという事です。
 無論、作家以外の職業だってそうですけど。

 好きな事っていうのは、結局、それ程、苦痛ではないから。
 ある程度、それが苦痛だと感じても、楽しみに転化出来るから好きでいられる訳で。

 学校で勉強したり、会社に就職して働いたりするのと同程度の努力を
 もし新人賞が要求するとするのならば、挫折するしかない。
 何故なら、それは、「苦痛」でしかないからです。

 無論、そうじゃない人もいるだろうけど、一般的に言って。
 ある意味、好きな事とは、他の事に比べて、逃避的な面があるから好きになれるんですね。
 もし、学校の勉強や、普通の仕事の方が苦痛でなく、楽しかったのなら、
 そもそもライトノベル作家など目指す訳もないから。

 無論、どんな努力をも惜しまないで、ライトノベル作家を目指す人はいるでしょう。
 だけど、普通はそうじゃないと思います。
 
 大抵の人間がライトノベル作家を目指すのは、
 ある程度、勉強や仕事からの逃避という面があるのではないか? と私は思っています。
 私自身もそうです。学校の勉強からの逃避という意味で空想を広げ小説を書いています。

 
何かに積極的に立ち向かう力というのは、
 むしろ、リアルな普通の勉学や職業に向いているのであって。
 元来、小説を書くという作業は、内向きで後ろ向きな作業、
 いわば、砂上の楼閣なんじゃないかと私は思っています。
 
 だからこそ魅力があるんです。
 
 それが、一切の逃避的意味を持たない作業だとするのなら、
 私は、小説を書くという作業を放棄するでしょう。
 本来、空想の翼を広げるという事は、そういうところに素晴らしさがあるのですから。
 でなければ、現実を見ればよいだけの事であり、現実に立ち向かえばよいだけの話です。

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