第4研究室 創作に関するQ&A 212P | トップへ戻る |
卯月餅さんからの質問 2007年
 戦争の原因。人はどういう理由で戦争を起こすのですか?
 
 初めまして、卯月餅と名乗っている者です。

 今プロットを立てている途中なのですが…。
 ファンタジー系のお話の中で、争いの描写を入れたいんです。
 そこで、争う理由を考えなくちゃ争いが起こらないことに気づきました。
 どういう争いにしよう…宗教系にしようかな、でもそれじゃ理由が弱い気がしないでもないし…。
 なんて考えているうちに眠くなってきたので寝たんですが、まだ悩んでおります。

 人はどういう理由が重なって戦争を起こしてしまうんでしょうか?
 一概に言えないことがわかってはいるのですが、
 皆様の意見が聞きたいと思い此処に書き込むことに至りました。
 よろしければご回答よろしくお願いいたします。


● 答え ●

Dr.ウニボンさんの意見
 初めまして。自称・狂科学者のDr.ウニボンと申します。以後お見知りおきを。

 さて、戦争発生の原因、との事ですが……。
 小中学校の社会で習う範囲の理由で十分だと思いますよ。


 私もあんまり詳しくは無いですが、
 「戦争は外交の一手段」という事を踏まえれば良いと思います。
 例えば「石油が欲しいから石油を持っている国から奪う」とか

 「戦争をすると儲かるから」とか「国土を増やしたいから」とか。
 現代戦争なら経済やら他の国の圧力やらで自由に(というのも変ですが)戦争出来ませんが、
 古代から中世くらいなら「偉大なる王○○は天の子であるから、世界を統一出来る器がある」
 なんて理由で他国を制圧、何て事もありますし。

 ようは卯月餅さんが考えていらっしゃる世界観に合っていればどんな理由だろうと良いと思います。

 現実の古代から中世くらいの時代なら「あの国の王が后を寝取ったら戦争で滅ぼす」
 なんて事もあったんですから。


jogtyさんの意見
 「政治的な理由でも、経済的な理由でもなく、心理的な理由とりわけ恐怖である」

 と私の持っている本には書かれています。
 あるいは「軍事力の行使は外交の尻拭い」とも。


黒尻尾の駄猫さんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 まあ、ありがちな話しばかりですが……。

1.資源の独占
 背景としては食糧資源(野生の果実、キノコ、動物、漁業資源)をそれまでは両者共同の――
 つまり、誰の物でもないモノとして採取を行っていたが、
(歴史的には国家とか大がかりな組織が興る前から、周辺部族等で共有していた)
 「本来そこは我々の土地だ!」とか言い始める。
※日本と韓国の竹島云々の事じゃないけど……もう少し何とかして欲しいなぁ。

 また、鉱物(金属、貴金属、宝石等)や燃料(石油、石炭、または燃料になりうる動植物)の
 発見等によっても「そこは本来我々の土地だ」と言い出す。

 既に、他国の領土と誰もが認識していても「そこは本来我々の土地だ」とか言い出す。
 まあ、そんな事言わずにイキナリ宣戦布告する場合もありますが……

2.独立
 本来独立国家だったが吸収された、或いは今の国家体制に強い不満がある場合の闘争。
 イギリスという国では、未だに「ブリテン島には4つの国がある!」と主張している方もいる。
 個々は純粋に祖国を国家として取り戻したいという思いがあるのかも知れないが、
 その行動はシャレにならないテロ活動に発展してしまいました。

3.逆襲
 周囲の圧力に対する反抗。
 かつてのドイッチェは第一次大戦時の戦争賠償に国家は疲弊しまくっており、
 かなり偏ってみれば踏み倒し的な理由(他にもあるけど)で第二次世界大戦を起こす。
 ちなみに日本も、当時アジアへ支配を伸ばそうとしていた欧米諸国による経済封鎖とうで
 国内資源が枯渇し、疲弊しまくって太平洋戦争を仕掛けたりしている。
(でも、「ソレと俺等は関係ないだろう!」と、とばっちりで日本に侵攻を受けたアジア諸国に、
 未だに恨まれている)

4.宗教闘争
 レコンキスタに代表される十字軍の遠征やら、
 宗教が武力を持つとあまり良い事はないと言う感じですね……。
 日本では織田信長が色々やりましたし、
 江戸時代でも島原の乱等、実は日本でも宗教戦争は起きている……。

 冷戦時に旧ソ連に対抗するためにアメリカが中東にさんざん金をまいて、
 戦争を煽りまくって現地は凄惨を極める事態に陥ったが、
 ソ連が撤退したらイキナリ資金を止めて知らんぷりを決め込んだのでもの凄く恨みを買い、
 それがいつの間にか宗教的な東西の線引きと融合しテロだ何だと大騒ぎに……。

5.内乱
 クーデター。国家の体制や活動に大きな不満があり、一部の群衆や軍事組織が武装蜂起する事。
 成功すると革命とか呼ばれる。
 そういう意味じゃ、カダフィ28歳では無血クーデターとか成功させて居る訳ですが……
 その背景は宗教的な闘争とも言えなくもないなぁ。

 アメリカ樹立に繋がる独立戦争、フランス王朝終演に繋がる革命戦争。まあ、色々……。

6.侵略
 とにかく国家を強くしたい。土地が欲しい。アイツが気に食わん。
 あそこは金持ちだ等々の高度な政治的理由により他国に対しての宣戦布告ないし
 その支配組織の解体(主権、王権の放棄要求)を行う事。

 ブリテン島だけじゃ我慢出来なかったイギリスが、その代表者でしょうか?
 その輝かしい歴史と略奪の数々は大英博物館に燦然と輝いています。
 アフリカも中国もアメリカ大陸もみんな欲しかった。

 まあ、アフリカからは撤退し、香港も返還され、アメリカ大陸では独立戦争起こされ、
 結局ブリテン島に居る訳ですが……。

 そしてイギリスから正式に侵略者の後継者の座を勝ち取ったのは独立戦争の覇者のアメリカ。

 悪の限りを尽くしたのですが……そう言えば、クリントンが大統領を退いた直後だかに
 「やあ、当時は無理難題ふっかけて、無理矢理王朝をつぶしてハワイを侵略してごめんね」と、
 ハワイ市民に謝罪していたっけなぁ。

 もし、日本が太平洋戦争開戦を、大東亜共栄圏を打ち出さなければ、
 アジアでの悲惨な戦争はなかったかも知れない。原爆投下も無かったかも知れない。
 でも、その場合、日本はメリケンの51番目の州になっていたのかもしれない。

 むう。

 まあ、オイラが、この猫の額の奥のコンパクトな脳で考える事じゃないか。
 (考えるだけ無駄だし、無理だし;;)。
 ではでは


蒼い人さんの意見
 価値観の違いです。

 相手を敵に、搾取・排斥の対象にすれば、衝突はその内やって来るものです。
 自分だけ得しようとか、相手を手段として使ってしまおうとかすれば、
 それが相手に知られた時点で反発は明らかです。

 逆に相互理解がきちんとできていれば、平和は維持できるものと私は考えます。
 
 まあ、世の中には戦争をただ楽しむが為に戦争を仕掛ける某SS大佐もいたりしますが、
 狂気故に、というのは例外としておきましょう。


マインターZさんの意見
 ファンタジー系であるならば、別にリアルな理由など必要ないでしょう。
 それこそ、魔王がよみがえり、ある国が魔王の味方をしているから、
 正義の側と悪の側が戦う、で良いんじゃないですか?

 わざわざファンタジーを持ち出して、現実世界の戦争をさせる理由もないですし。

 既に、主な理由は他の方が書いておられるのですが。
 もっと詳しく書くと。

 大抵、宗教戦争というのは、宗教自体では起きません。
 というのは、近代に入るまでは、思想とかイデオロギーで戦争が起きた事は実は無いからです。

 中世くらいまでの人類は、生活に余裕がないせいか、もっと実際的で。
 実は、人々が戦争に行きたがった理由は、貧しいかったからです。
 つまり、神の為でも国も為でもなんでもないです。
 一人でも多く敵の大将首を倒して、出世したかったから。
 これだけです。

 当時は封建社会で、文明も今ほど発達していなかったので、「とにかく生活が苦しかった」。
 江戸時代の日本も、度々、飢饉が起きて、多くの人間が飢え死にしていったくらい、
 現代では考えられないくらい貧しかったんです。
 故に、神様だとか、国の為だとかに戦ってる余裕なんて実は微塵もなくて、
(今の宗教テロだって、アラーの為だなんて大嘘。単に生活が苦しいからやっているだけです)。

 経済的理由で(食えないから)、宗教戦争が起こるというのが正解です。
 人間ははっきり云ってそんなに清らかでも高尚でもないので、
 思想的理由から戦争をする人間なんて一握りです。


 無論、上層階級には上層階級の思惑があって。
 例えば、十字軍は、当時、絶大な勢力を誇っていたベネチア商人が、
 もっと交易を行いやすくしようとしたのが原因です。
 ベネチア商人がもっと商路を確保したかったのですが、
 イスラム国が結構ヨーロッパを囲んでいたので、邪魔だったのですよ。
 
 戦争が起こるのは、根本的には二つしか理由がありません。
 「経済的理由」
(小は貧しくて食えないから出世狙い、大は大商人や国家などの利益拡大狙い)
 
 もう一つは「政治的理由」です。


 政治的理由にも、大きく分けて、二つの理由があります。
1・外交カード(相手との外交関係を有利する為のもの)
2・内政の失敗のごまかし。
 つまり、内政問題を引き起こしたか、あるいは解決できないので、
 国民の目を内政問題から引き離し、欺瞞を行うため。
(ブッシュ政権が引き起こしたイラク戦争もこれに当たると考えられる)。
 
 はっきり云うと、表面はどうあれ、この二つ以外で戦争が起きる事はまずありません。
 国民だって自分の命を賭けるのです、そうそう馬鹿な理由では戦争できません。

 別に私は、宗教を擁護している訳ではありません。
 そうではなくて、何時の時代でも、
 神の為に死のうなんて奇特な人は、一握りだと云っているだけです。


 もうちょっと詳しく修飾しておくと。
 例えば、旧約聖書には、「神が異教徒を滅ぼせ」と全滅戦を仕掛ける描写が連続しますが。
 これは現代人の感覚から読むと、全く誤解します。

 多神教、一神教に限らず(特に多神教国家である中国の歴史を見れば良く判るのですが)。
 古代の戦争は、全滅戦がワリと多いです。

 理由は、単純で、これも「貧しかったから」。

 判りやすくいうと、大陸っていうのは、広いから誤解されがちなんですが、
 本来、肥沃で作物を育てるに適した土地や、あるいは水場として
 川や井戸が湧き出る場所というのは、異常に少ないんです。

 つまり、「敵の民族を全滅させない限り、こっちが全滅する」
 という現実が古代の大陸には洒落にならない形で存在した訳です。
 別に、神様が命令した訳でもなんでもなくて、
 「そうしなければ生き延びられなかった必然として」、聖書にはああいう描写があるだけの話。

 逆に古代の方が、戦争というものは切実な理由で起き。
 平和なんてのは、腹を大して減らす事もない、
 満たされた現代人のたわ言と云ってしまって良いでしょうね。

 昔っから云われているたとえですが、例えば人が二人いて、パンが一個しかなくて、
 分け合えば二人とも死ぬ場合どうしますか?
 昔の戦争はそういう切実なものが多かったのです。


 勿論、この世界に価値観の違いによる戦争が全くない訳ではありません。
 ですが、それは、農耕や医療技術が発達した近代に入ってからの事なんです。
 つまり、ある程度腹が満たされるようになってからの事で(これもある意味怪しいものなのだが)。
 具体的に云うと、ソ連の共産主義や、中国の共産主義辺りが、
 人類が始めてイデオロギーで戦争した起源ではないかと思われます。 
 ナチスドイツもそうですね。


三毛招きさんの意見
 近代のことしかいえませんが。

 まず一つ分かってほしいのが軍事とは外交の延長線上にあることです。
 
 軍事が外交から逸脱することはほとんどありません。
 戦争の理由として最も大きいのが防衛戦争でしょうね。
 実際に侵攻はしてこなくても潜在的軍事力の脅威というのはありますし。
 また、戦争が違う戦争への引き金(もしくは元)となることもあります。
 日中戦争が引き金になった太平洋戦争なんかはそうですね。
 
 互いの権益がぶつかり合ったりとかもあります。
 日露戦争、ノモンハン、日中戦争なんかはこれにあたりますね。
 というか防衛戦争でも大雑把に言うと権益を守るためにするんですよ。


風月堂きさんの意見
 本題から少々ずれると思いますが……
 価値観の違い……口実と実態は異なりますね。

 太平洋戦争ではアメリカは「民主主義対ファシズムの闘い」だと宣言しましたが、
 実態は米植民地のフィリピンと、アメリカが得られなかった満州の権益を背景としています。
 日本の「大東亜共栄圏」については言うまでもないでしょう。


 ただ、経済だけが背景なのかはよく分かりません。
 昨今の戦争(コソボやアフガンなど)でも、
 コストに見合うだけの「経済的な」利益が得られるのかよく分かりません。
 イラク戦争の場合、戦費と石油価格の高騰とを考えると、
 それほどまでに政治の力が大きく作用しているのかと、なんだか分からなくなってしまいます。

P.S.
 「戦争は外交の手段」という、
 クラウゼヴィッツの「戦争論」で示された見解は本当に良く聞きますね。
 参考までに↓
 http://clinamen.ff.tku.ac.jp/Clausewitz/Was_ist_der_Krieg.html
【親サイトは「クラウゼヴィッツ研究」
 http://clinamen.ff.tku.ac.jp/Clausewitz/Clausewitz.html


風月堂きさんの意見
 動機(政治)と実現実行(軍事)の区別

 アメリカの態度を示したハル・ノートにより、
 権益放棄か資源輸出ストップかを迫られた日本の場合。

戦略 長期的な見通しは不利と分かっているけど何とかする(追い詰められているので)
戦術 各戦場ごと戦い方の方針を考える(制約多い中でいかに勝つか)

クラウゼヴィッツ風に考えれば、
政治的目的 
 アメリカに日本の権益を認めさせる。
軍事的目的 
 アメリカ軍の戦力破壊による戦意喪失(講和を強要できれば良いので)

 政治的目的(動機・政治的目標)>軍事的目的(手段・物理的な実現化)
 といったところでしょうか。

 旧日本海軍の作戦は漸減作戦といいます
(陸軍の中国向けとは別に、海軍による米国を仮想敵国とした日露戦争後以来の構想)。
 ことごとく迎撃してあらかじめ米国の戦力を削ぎ、その上で艦隊決戦。
 短期決戦で講和に結びつける、というものです。

 兵器生産能力が低く(開戦二年で米国は日本の10倍の艦艇を生産できると試算されていたので、
 山本五十六など海軍上層部には反対する者もいました)、
 利用できる資源の少ない(東南アジアの資源略奪は、
 対米用というより対中国方面のためでしょう)ので、このような構想が検討されてきました。
 まともに戦って勝てる相手ではないことは、はじめから分かっていたということです。
 それでも、結局は開戦してしまいました。

 創作にはどう生かせるか……
 
 開戦の動機は、政治的な野心、メンツ、資源、宗教など様々。

 軍人は、政治により与えられた目標を実現すべく、
 物理的に(攻撃目標の設定など)具体化し、最善の作戦を立て、実行する。
 といったところでしょうか。戦争において最も冷静であるのは、政治家ではなく軍人でしょう。
 その軍人が冷静さを失えば、いずれ自滅するでしょう。
(政府に従わずに独走したり、軍縮条約をこじらせたりするなど)
 もっとも、近代以前はよく分かりませんし、また、これは理念上の話です。


黒尻尾の駄猫さんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラの偏った知識と偏見と嘘で、勝手にQ&A(w

Q.国家の貧困により日本は太平洋戦争を引き起こしたの?
A.YES

 経済封鎖、輸出入の禁止、とどめに「配給とか資源の禁止もしちゃうよ〜ん」と言われて青くなり、
 そうなれば備蓄だけでは数年で干上がってしまうと、
 実際に各種制裁が実施もされてない内に戦争を起こしたです。


Q.アメリカは日本に対して怒ったの? 日本はヤケになって戦争をしたの?
A.NO

 当時の欧米諸国はアジアの住人を「黄色いサル」だと思ってましたし、
 脅せばすぐに弱音を吐くと思って言ってみただけです。
 アメリカの大統領はそこまでしようとは思ってなかったし、
 補佐官が「試しに言ってみたら日本はビビってこっちの言いなりになるかも」
 と吹き込まれて、試してみただけです。

 日本には極東の拠点としての魅力がありましたので、アメリカは欲しかった。

 日本は、戦争をやれば誰がどう贔屓目に見ても負けると解っていたので、
 初撃でメリケンの最大戦力を挫いて、「いや、まて。冷静になれ」と、
 アメリカ側から会話を求めてくる事を期待しただけです。
(もの凄い分の悪い掛けだが、これしか相手側の姿勢を変えさせる外交カードがなかった)。

 が、両者のアテは外れた。
 アメリカは日本が攻撃してくるとは思っていなかったし、
 日本は主力艦隊は真珠湾にいると思っていた。


Q.ヤポネは神風が吹くと思っていたの? それは非合理的な民族だから?
A.NO/YES

 神風が吹くとはコドモ以外は信じてません。
 でも、そうでも言わないと素人でも解る戦力差を承知で戦争を仕掛けている事に、
 格好が付かないためです。

 でも、マスコミが連戦連勝快進撃と毎日のように放送しているのに、
 どんどん徴兵にかりだされ、そのくせ帰ってこず、
 学徒も動員、集団疎開、本土爆撃という状態で、
 勝つ事なんてあり得ないじゃんって思っていたそうですよ。
(そういう意味じゃ突然の終戦には驚いたようです。
 猛烈な旗色の悪さは感じていても正確な戦況の詳細は知りませんでしたから)。

 しかし、自分で神風を吹かせたいとは思っていました。
 (なんか、一気に逆転出来たらいいのになぁ〜って)
 なので終戦間近には神風を冠した有人特攻部隊を編成しています。

 尚、日本は合理的な民族ではありません。
 ちゅーか、オイラの知る限り人口の大半が合理主義だった民族や国家を知りませんし、
 今後も地上には発生しないと思ってます。


Q.自国を神国とうたってたのは日本だけ?
A.NO

 「特別な存在」は独裁の基本セットの1つですよ。みんなやってました。
 神の国とは言ってませんでしたが、ドイッチェは選ばれた民の国でしたし、
 ものすご〜く偉大な指導者によって世界を統一すべき国なんて、当時は世界中にありました。

 ちゅーか、結構近所の国で、今もやってるところがありますよね?

 この手の思想や行動が目立つのは、
 そういう思想や行動をする宣伝要員を映像や記事にして広めているので、
 そういうモノの記録ばかり出てくるせいです。
 大半が信じていたなんて嘘ですよ。
(「欲しがりません勝つまでは」のスローガンを一般公募で取り上げられた人は、
 国を挙げての宣伝活動に利用され、戦後はそのせいでかなり酷い目にあったそうです)。


 それでも、戦争は続いた。なんでか?
 政治的なアクションは、真珠湾攻撃のアテがはずれて取れなくなってしまった。
(その時点で「ごめんなさい」を言うと、攻撃前より酷い事になるし)。

 当時の日本は、軍の最高指揮権は首相が持っていたし、建前上は天皇にある。
 軍人が首相を兼務、あるいは首相が将軍等を兼務していた訳ではない。
 つまり、停戦の命令権自体は軍にはない。
 しかし、政治家は外交が出来ない(もう、打つ手がない)。

 自分からは負けは言い出せない。しかし、このままでは負ける。
 時間無制限の積み将棋で、積んではいるが、 
 負けを言わないと言う戦争がアレだったとオイラは思う。


 もし、「石油を止めちゃうよ〜ん」っていわれたときに、いまの日本の政治屋が居たならば。
 つまり、”うやむやにしつつ、結論を先送りにする!”と言う選択ができる奴が居たならば。

 太平洋戦争は起きなかったかも知れない。


 そういう意味じゃ、今の政治屋さんは有能なのだろうか?
 ではでは


渡り鳥さんの意見
 こんにちわ、渡り鳥と申します。僭越ながら書き込みをさせて頂こうと思います。
 ……と言っても、大概の事は他の皆さんが言ってしまっているのでほとんど書くことはありませんが。
 ただ、まだ出ていないと思われる意見を幾つか挙げてみようと思います。

1)強国が二つ以上あれば争いなんて簡単に起こる。
 これはアメリカとソ連の『冷戦』がいい例ですよね。
 聞きかじりの知識なので間違っていたら申し訳ありませんが、
 あれって極論すれば「どっちが世界の主導権を握るか」っていうボス猿同士の縄張り争いでしょう?
 資本主義だ共産主義だと理由をつけていますが、
 そんな理屈がなかったとしてもあの二つの国はやっぱりいがみ合っていたと思います。
 そんなものです。

2)もともと仲のよくない国同士ならちょっとしたトラブルでも戦争になる。
 これは例として適切か自信がないのですが、『日清戦争』の話です。
 詳しく説明すると長くなるのでざっくり省略しますが、
 あれは一人の日本兵が点呼の時間にトイレに行って遅れたせいで、
 上官が「味方が敵に殺された」と勘違いしてそれがきっかけに始まったんですよね?
(明らかに説明不足なので気になる人は調べてみてください。有名なので簡単にわかると思います)
 ただこの戦争は背景に複雑な事情があるので一概には言えないと思うのですが……、
 『何となく気に食わない』が積み重なって戦争になると言うのはありうる話だと思います。
 そんなものです。

 最後に自分の意見を。
 戦争の中には理由なんて見当たらないものもたくさんあります。
 とりあえず戦争を起こして、指導者なり支配階級なりがそれらしい理由を後付する、
 と言うのもひとつの手段だと思います。

 それでは失礼します。


根っこさんの意見
 とりあえず、多少かぶっている内容もありますが、参考までに。

 ぶっちゃけ国内の経済状況、すなわち豊作か不作かで、戦争が起こるという説があるようです。
 http://www.nagaitosiya.com/a/war.html
 http://www.nagaitosiya.com/a/gold_standard.html

 昔は不作で戦争が起きやすくなり、資本主義採用以降は物を作りすぎた時、
 戦争が起こりやすくなる、という説です。


 実際問題、中国の三国志などの戦乱の時代、日本の戦国時代、
 いずれも不作による、飢饉が流行していた時代でした。
 ただの政治的なミスで戦国時代に突入してしまうことは、普通はありません。

 不作による飢饉。
  ↓
 民衆の治安崩壊。 
  ↓
 政府が不安定になる。
  ↓
 些細な政治ミスなどのとどめで政府の治安機能が崩壊。
  ↓
 戦国時代。

 宗教や、イデオロギーの違いといったものは、あくまで戦争をするための飾りであり、
 これだけではまず戦争は起こらないのです。
(上記のサイトでは、敵と味方の区別をつけるためのユニフォームのようなもの、としてありました)

 もちろん政権争いなど、政治的な切り札として、戦争を起こすことはありますが、
 不作時以外のそういった戦争は、変なミスでこじれない限りは、
 たいてい短期間でスムーズに終わります。
(例えば戊辰戦争とかなんて、政権がひっくり返る戦争ですが、丸1年程で終わりましたし。
 イギリスフランスの百年戦争も、ずっと戦っていたわけではなく、
 定期的に同じ政治理由で戦争が起こったってだけですし)

 資本主義より前の時代では、よほどのことがない限り、戦争を行うのは不経済な行為です。
 可能な限り、他の外交手段を用いる方が有用ですし、普通はそうします。


 ま、要は政治的な対立による短いスマートな戦争か、
 もしくは気候の寒冷で、不作が起こり戦争するか。
 この辺は、上のほうでも出ていましたね。

 ただ、近代以降の戦争は、多少わけが違ってくるので、
 例えば世界大戦とかを引き合いに出すと、大分ニュアンスが変わってくるわけです。
 まぁ、物を作りすぎると起こる、近代戦争の方は、
 ファンタジー系ではあまり使わないと思うのですが、なかなか面白い見方だと思うので参考までに。


渓谷さんの意見
 戦争は、表向きの理由と真の理由が違う事がしばしばあります。
 表向きの理由を挙げると、
・宗教が対立  かなり強力な理由です。
・経済体制が対立(ex:米ソ)
・領土問題。
・独立問題。
・報復(ex:アフガン戦争)。
・圧制からの解放(ex:イラク戦争)。
 一方で真の理由は、たいてい資源獲得です。
 もちろん、表向きと真の理由が一致する事もあります。


やーめるさんの意見
 何だか面白そうな話をしているようなので、私からも一つ。
 戦争のきっかけというものは、時代や地域によって大きく違います。

1、原始的戦争の場合
 この場合、戦争が起こる目的は単純に、食うに食えずに、
 もしくはあれが欲しいからと言った、略奪目的の戦争が主流です。
 農業が始まっている場合、肥沃な土地というのも略奪対象ですし、
 人つまり労働力も略奪の対象になります。また、利水目的というのも十分考えられるでしょう。

2、古代オリエントのケース
 この場合は先述したような目的が主なんですが、それに加えて民族の対立や、
 所々では宗教が動機になることもあります。
 また、金属資源の利用も始まるのでそれを巡る争いも勃発するでしょう。

2−2、アレキサンダー大王
 実の所、まれにこのような戦好きの者の出現も、立派に戦争の動機になってしまうのですよ。
 このような人物は他にもフン族のアッティラや、有名どころでは三国志の呂布など。

3、中華王朝
 統一王朝期を除いては、ほぼ全ての時代で戦乱に明け暮れてます。
 その理由は単純で、自らが中華世界の皇帝になりたい。ということなんです。
 この争いに参加するのは何も漢民族だけでなく、北方の騎馬民族や南方のタイ人すら、
 統一王朝の樹立のために戦います。
 唐以降は、漢人王朝よりも異民族王朝の方が多いですね。
 ちなみに、統一王朝期でもそうでないときでも、王化という名の拡大路線が行われていました。
 王化というのは、異民族を征服して文明化してやるという意味です。かなり傲慢ですね(汗

4、古代ローマ
 古代ローマは際限なく拡大路線を続けていますが、その理由は略奪的です。
 そもそもイタリア半島自体、そんなに肥沃でもない土地ですから、
 肥沃な土地を求めて外に出るのは当然ともいえます。
 もっとも、やりすぎてローマ市民一億総ニートになったのは、言うまでも無いですが。

5、イスラム
 このスレで誰かさんがイデオロギーによる戦争は近代になってからと言っているようですが、
 私は異論を唱えさせてもらいます。
 イデオロギーによる戦争は既にイスラム帝国の拡大(ジハード)という形で行われています。
 そもそも当時の感覚からすれば、
 イスラム教は非常に魅力的で、イデオロギーとしては申し分ないです。
 そしてこの素晴らしい思想を世に広めようと言う動機で、
 戦争を起こしても何ら不思議ではありません。

6、中央アジア&モンゴル帝国
 特にこの地域の場合、近代に至っても略奪的戦争が行われます。
 そもそも感覚として、略奪は勝者の権利として当然ですし、戦争の目的自体が100%略奪です。
 あの空前の大帝国を築いたモンゴル帝国ですが、
 戦争の目的は略奪でしかないので、帝国の維持となると途端に弱くなるのです。
 (そもそも、あんな大版図を一国で治めること自体不可能ですが)
 ですから、すぐに数カ国に分裂することになります。

7、日本
 日本の場合、金品を略奪する目的の戦争はほとんど起こりません。
 ただし、土地を巡る争いは激しいです。
 動機とは関係がないですが、戦国時代は裏切りや謀叛や一揆が多発してます。
 和風ファンタジーを書く際には参考に。

8、中世ヨーロッパ
 お待たせしました、ファンタジーといえばこの時代。
 中世ヨーロッパと一言で言ってもこの時代の戦争の要因は数多いです。
 まず、日本と同じく土地を巡る争いも起こります。
 次に、王位を巡る争いも起こります。
 三つ目は、宗教や威信を巡る争い。
 この三つが中世欧州での戦争の原因です。
 ちなみに略奪も起こりますが、これは傭兵の副業的意味合いが大きいですね。
 中世欧州では傭兵がよく使われることも特徴の一つです。

9、植民地時代
 やがて欧州列強が海外に出ると、戦争の目的は一気に略奪的になります。
 列強に言わせると、相手の文明レベルが低いなら何やってもいいという所でしょう。
 徹底的に収奪し、先住民の人口を激減させる所までいってしまいます。
 アジアやアフリカでは奴隷を売買したり、麻薬を売りつけたりと、とにかくいろいろし放題です。
 植民地を持つことが国家の威信を高めるという傾向もあり、これはWW2まで継承されます。

10、近代
 近代に入ると、欧州列強は略奪的な戦争を海外で進める一方、国際法というものが整理され、
 戦争の始まりと終わりに規定が為されるようになります。
 この時代の戦争は、必ず植民地と絡みます。
 しかし、ナポレオンだけは違う動機で立ち上がりましたが。

11、WW1、2
 話は飛んで第一次大戦、
 この戦争は略奪とか威信とかそんなものとは関係ない理由で勃発します。
 緻密な計画(シュリーフェンプラン)がわずかな勘違いにより発動してしまったのです。
 このようなすれ違いというのも、戦争が起こる原因の一つに数えていいでしょう。特に近現代は。
 WW2の原因は経済的なこともありますが、共産主義者の工作も実は原因だと思います。
 共産主義者というのは、常に拡大路線で、その拡大をするチャンスを常にうかがっているのです。

まとめ

 人が戦争をする目的の主なものは、欲望によるもの。
 ただし、所により名声目的の戦争もある。
 近現代もしくは未来を描くなら、すれ違いというのも注目に値する。



やーめるさんの意見
 身内の争いというのに触れられていない気がしたので、
 そこについて書き込ませていただきます。
 おもに後継者問題、一族の主導権争いといったところでしょうか。
 現代でも、名家の跡継ぎ問題が取りざたされることもありますね。

 一族のトップが死んで、はっきりした後継者がいれば
 彼がトップになればいいわけですが、

1.後継者が指名されていなかった
2.後継者は指名されているが、納得しない人間がいる


 こんな場合に争いが起こるのがほとんど。
 また、

3.トップが健在だが存在希薄、後継者候補が複数

 珍しいですが応仁の乱の将軍家が3のケースに当たります。
 子のなかった室町幕府8代義政が、弟義視を後継者に指名したあと、
 息子義尚が生まれてしまったという珍事。
 義政は「もし子が生まれても将軍はお前だ」と弟に言ってしまったが、
 鬼嫁日野富子はもちろん我が子を将軍につけたい。
 これに守護大名の後継者問題や、細川・山名の主導権争いが重なって戦国時代の幕開け、
 応仁の乱が起こりました。

 敵になるのが親、兄弟、親戚となまじ相手を知ってるために、
 他人同士よりひどい争いになることも多いですね。
 一般の兵士自体が、知り合いや家族と戦う羽目になっていることが多いのも特徴です。

 家族は最大の味方にも、最大の敵にもなりうる。
 そんな悲しい歴史もあるのです。



地底人Tさんの意見
 補足に一言。

 「貧困」が戦争の原因という見方が多いようですが、
 「豊かさ」が原因で戦争が起きるケースもあるみたいですよ。


 例えば中国史の北方遊牧民の侵入。
 あれも貧しくて食料がないからじゃなくて、
 家畜が増えて「余裕ができたから侵略でもするか」という場合が多いそうです。

 そもそも、戦争をしようと思えば大変な負担、莫大な富(お金)を浪費します。
 武器だってタダじゃありませんし、兵隊を集めるのだって大変です。
 ちょっとくらい戦死しても構わないくらいに若者が大勢いなければ、
 怖くてとても踏み切れないと思います。


 二次大戦だって、もしドイツが本当に経済的に困窮していたら、
 ヒットラーも侵略に踏み切れなかったのではないでしょうか? 
(だってあんな狡猾な人間が、自国が負けるとわかっていて喧嘩を始めるなんて、
 とても考えられませんから)

 思うに、戦争が起きる直接的な原因は三つです
1・国力の充実(侵略する側)
 ナチスドイツも戦争直前には、福祉政策の充実などで国力が回復していたようです。

2・つけいられる要因(侵略される側)
 分割されたポーランドは当時は近代化に立ち遅れ、背後をソ連に脅かされていました。
 またイギリスなども戦争の再発を恐れて、弱腰だったようです。

3・戦端を開くきっかけ(事件や国際情勢の変化など)
 日本も日英同盟が無効になって、軍縮やABCD包囲網に追い詰められるまでは
 開戦しませんでした(ABCDとはアメリカ、イギリス、中国、オランダです)。


 なお伏線として、背景となるような諸般の歴史・地理的な事情があったほうが良いかと。
 ドイツの場合も一次大戦の怨恨が背景にあり、
 たしか一次大戦敗戦の講和条約調印に使った列車を、ヒットラーはわざわざ持ち出しています。

 一次大戦時には、海外植民地の争奪戦で、イギリスの3C政策とドイツの3B政策が衝突したそうです。
 おそらくはそれらの事情も尾を引いていたはずです(二次大戦の頃はまだ帝国主義が花盛りでした)。


スペツナズさんの意見
 すでに出尽くした感がありますが、通りすがりのミリタリーオタクから一言。

 基本的に戦争を起こす上層部は、経済のことしか考えていないと思います。

 戦争すると、武器も火薬もすごい速度で消費されます。
 国は大量の出費を強いられ、穴埋めのために増税します。
 平時にやったら世論から袋叩きにされますが、戦時なら大半の国民が見逃してくれます。
 
 また、軍隊が増員をかけるので失業者問題が解決します。
 さらに、勝てば賠償金だけでなく、農用地や工業用地、資源採掘地を領土にして税金をふんだくれます。
 王位なんかの政権争いもそうですよね。

 つまり景気対策ですね。
 
 最近(2010年)強国同士が戦争しないのは、生きるか死ぬか全面衝突するよりも、
 領地も賠償金も無視して弱い相手を一方的につぶす方が経済効果が大きいかららしいです。
 商業より農業が主流だった時代は、領土重視でしょうが。

 でも、「俺らが儲かるために死んでくれや」なんつっても兵士たちは納得しません。
 そこでよく使われるのが、正義対悪の構造です。

 
 「ここは我々の国だ!」とか「異教徒を滅ぼせ!」とか「大量破壊兵器を回収しろ!」とか。
 とにかくみんな「正義」って大好きなので、適当に上層部が後付けした理由を信じ込んじゃうんですね。

 アラブ教徒が頑強に抵抗を続けているのは、石油利権を取られまいとしているからです。
 アメリカ側としては、もう石油はイラクで十分で、
 兵器産業を持たせるためだけに続けているように見えますが。

 北朝鮮周りで派手な戦争が起こらないのは、
 「資源もなけりゃ工業もない、寒くて農地にもならない国を誰も欲しがらないから」
 というのもありますが、韓国は戦争するほど行き詰まっていないからだし、
 北朝鮮側としては負けるのがわかりきっているからです。

 この前の哨戒船は多分、朝鮮の国際的孤立を狙った韓国のヤラセです。
 北のオンボロ潜水艦を見つけられないほど、韓国軍のソナーは無能ではありません。
 どんどんファンタジーから離れていっちゃってごめんなさい。

 まとめると、「表向きは正義、本音はカネ」ということです。

 中世ヨーロッパが舞台なら、
 「不作か人口爆発で農地が欲しくなり、適当な正義を口実に開戦」というのが自然だと思います。
 ファンタジーのかけらもない国際謀略で申し訳ありませんでした。乱文失礼。


ひろっさんさんの意見 2013/01/10
 皆様の意見を読んでいくと、大体出尽くした感がありますね。

>大体政治的、経済的な理由になるようです。

・経済的な理由
 経済というのは、生存競争も含めての話ですね。
 あの集落を滅ぼさなければ自分たちが滅びるといった切実なものから、人口が増え過ぎて土地が足りなくなったために、土地を奪い合う。
 また、内政の失敗で経済が立ち行かなくなったときも、戦争に頼ることはあるってことでしょうか。

・政治的な理由
 政治ということになると、同じ宗教を信仰する国同士が助けを求めたために発生する、というよりも、規模が大きくなる戦争もよくありますね。
 戦争が大好きで好戦的な国王が戦争を始めてしまうというのも、政治的な話です。
 もちろん、宗教などの思想や名誉関連は、すべて政治的な理由にひっくるめられます。

・ファンタジー世界における戦争の理由
 攻撃手段が違うというだけで、戦争が起こる理由は現実と大体同じだと思います。
 経済的な理由が先行するか、政治的な理由が先行するかはその時々によって違うと思いますが。

 気をつけなければならないのは、魔法の種類によっては国王が操られることによって戦争が起きることもありうるということです。
 愉快犯が魔法を使って兵士を操り、他国にけしかけるということもありえます。
 そういう、えげつない理由も十分にありうるってことは、ファンタジーの世界観で話を作る上で注意しなければなりません。

 私が言えるのは大体こんなところですね。
 何かの参考になれば幸いです。


バイツァ・ダストさんの意見 2014/02/09
 既に挙げられたものを挙げても仕方ないですから、別の視点から一つの例を出したいと思います。

 戦争に限らず、現実的な国家の動きという物を楽しみながら理解したい場合、(勿論、純粋に世界史の舞台裏に関しての参考書を読んでもいいのですが)『銀河英雄伝説』 シリーズがお勧めです。現在のライトノベルの源流にある古典の一つですが、流石現在でも読まれ続けているだけあって、不朽の名作です。

 さて。本題ですが――銀河英雄伝説の中で起こったとある戦争の勃発理由は、「政治家の人気取り」です。

 作中に登場する三大国家の一つ「自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)」は、貴族による独裁政治を行う「銀河帝国」から離反した者たちによって建国された国家で、故に、民主主義を基本理念としています。しかし今ではその崇高な理念も失われ、ただの衆愚政治と化してしまっています。そしてもう一つの問題が、現在の政府の政治家たちが、人気取りのために、都合の悪い情報を規制したり、プロパガンダで民衆を洗脳してしまったりしていることです。

 国家全体の総選挙が間近に迫り、支持率が落ち始めていた同盟政府は、対策として、戦争を打ち出します。

 戦争を行うことによって、支持率が上がる――これは、歴史上の例を見るとわかるのですが、一見おかしいようで事実です。国家全体が一致団結しますから。人間というのは、共同体という存在の中にいると、どうしても発想がおかしくなってしまう場合があります。

 もし高度な政治問題を作中で扱いたいなら、こんな展開もアリではないでしょうか。

 それと、もう一つだけ補足です。仮にナショナリズムを戦争の目的とする場合注意ですが、中世においては、実は、今ほど「国家」の概念はありませんでした。初めて人々「国家」を意識するのは、例えば現実世界で言うと、ナポレオンの時代以降です。学校の世界史でやりますがね。
 中世以前の人々は、各自のミクロな「村」を共同体として見て、マクロな「国家」まで発想が広がりませんでした。基本的に村を出ずに一生を終えますから、当たり前と言えば当たり前ですね。(だからこの時代ベースの世界観の場合、愛国心による戦争というのは考えにくいでしょう。)

 それを、ナポレオンが変えます。ナショナリズムという概念を国家や軍隊に導入し、兵士に高い士気をもたらし、一気にヨーロッパを席巻します。すると逆に、征服された一般民衆にも、その逆の発想――相手に対抗するためのナショナリズムが芽生え始めるわけです。最終的に彼を皇帝の座から追放した諸国民戦争は、被征服民の国家意識による物ですから、ナポレオンは、ナショナリズムによって栄光の座へ上り、ナショナリズムによって引きずりおろされたと言えるでしょう。

 話が脱線してしまいましたが、つまり言いたいこととしては、本当に本格的に世界観を構築する場合、ナショナリズムが存在するかしないか、
 存在するのならどういう経緯で芽生えたのかということは、決めておくといいかもしれないということです。例えば、昔、とある魔王が世界を征服しようとして、国家がそれぞれ力を合わせてそれを打ち倒した。だから国家意識が強い……などと。

 長文失礼しました。

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