第4研究室 創作に関するQ&A 47P | トップへ戻る |
夜月 彰さんからの質問  
 悲劇的な終わりについて
 
 夜月 彰です。お世話になります。

 質問させてもらいます。
 物語の終わり方はハッピーエンドが良い、と思います。
 けど、悲劇的な終わり方、っていうのはどんなんでしょうか?。
 ただ理由もなく精神崩壊して終わる主人公とか、意味もなく主人公が殺されて終わる物語。
 そういうものは私も許せないんですけど、
 主人公の苦労(苦悩との戦い)の物語の場合はどうなんでしょうか?
 私が今作っているものがそれに該当するんですけど、
 オチを言いますと正直ハッピーエンドではありません。救いもありません。
 そのような物語は読者に受け入れられるのでしょうか?
 皆さんの意見を待っています。よろしくお願いします。


●答え●

鈴忌さんの意見
 こんにちは、鈴忌です。
 ホラー作品とかは別ですが、基本的にハッピーエンドというか
 ある程度救いがある方が一般受けはしやすいと思います。

 というのも、読者の多くは主人公などに感情移入して読むと思うので、
 最終的に救いがないと色々と後味が悪いと思うんですよね。

 
 ただ、バッドエンドでも面白い商業作品はいくらでもあるわけで、
 やりようによっては充分「アリ」だとは思います。
 そういう作品を分析すれば
 「バッドエンドの作品をどのように書けば、読者に受け入れられるか?」
 が多少は見えてくるような気がします。

 以下は、鈴忌なりの分析なので的が外れている可能性もありますが、
 良かったら何かの参考にして下さい。

1,後味の悪さを楽しむ作品 → ホラー物に多い?
2,悲しいけど美しい作品 → 童話(例.人魚姫)、悲恋物
3,結末が決まっていて、過程を見せるのが主眼の作品
  → 闘病記、歴史物、最初に悲劇を提示するタイプの物語
5,バッドエンドを明示せず匂わせて終わる作品
  → ラノベに多め?(例.冥王と獣のダンス)
4,読者の視点が、最終的に不幸になる人物と切り離されている作品
  → 推理物に多い?(探偵=読者は傍観者)
5,バッドエンドだが、端から見ていると笑えるタイプの作品
  → コメディ作品に多い?

 他にも色々とあると思いますが、まぁ、一例ということで……。
 では、失礼します。


無用斎さんの意見
 どうも、無用斎です。
 まあ、できればハッピーな方が面白いと思いますけど、

 悲劇的な最後でも、受け入れられるという例を挙げてみましょう。
 日本人に、はるか昔から好かれている2人の人物、源義経と織田信長です。


 義経は、兄の頼朝に命を狙われ、奥州の藤原氏を頼って逃げていきますが、
 その藤原氏に裏切られ、殺されてしまいます。
 信長は、天下統一を目の前にしながら、明智光秀の謀叛により、本能寺で最後を迎えました。
 この2人を題材とした小説はたくさんありますが、すべて殺されるという不幸なラストです。
 (史実だから、当たり前なんですが)
 しかし、不幸なラストでも、この2人は人気があります。
 時代劇でも、数字の上がる人物らしいですから。
 
 なぜ、不幸なラストなのに、人気があるのか。
 これは、僕の私見ですが、この2人は、死に際に生き様がよく現われていて、
 共感というか、憧れというか、そういうものを感じさせてくれるからだと思います。
 また、弁慶の立ち往生や、本能寺に火を放ち切腹する、といった展開というか行動も、
 場面を盛り上げ、人を惹きつけています。
 なにが言いたいか、最後にまとめます。

 たとえ不幸なラストでも、その不幸に意味があり、
 それが納得できるものならば、人は納得するもの、と思います。



ナイトすまいるさんの意見
 ハムレット等を読みま(略)
 こんばんは、ナイトすまいるです。

 簡潔に言いますと、「ラストで悲劇になることの意味」を考えれば良いと思います。
 そして、意味の無い悲劇なんて書く位なら、ちゃんとハッピーエンドで終わらせてあげましょう。


 自分の場合、意味が無い作品は絶対に受け入れません。
 (他の人は知りません……鬱好きならあるいは)
 逆に意味がある悲劇なら「この作品すげぇ!」と思います。

 まあ、そんなわけで、悲劇を書くなら喜劇を書く以上に、
 テーマ、意味、理由、物語の流れ、その他の小さな設定等を意識しないと書きづらいと思います。
 では、頑張ってください。


次郎さんの意見

 本当の意味でのバッドエンドは、あまり一般受けはしないと思います。

 ハッピーエンドであろうとバッドエンドであろうと、読者が納得できる形でなければ、
 ただ理不尽に感じられるだけで、そこに読後の爽快感は全く無いと思いますよ。


 もし、本当に救いが全くないなら、よほど主人公やヒロインを魅力的に描き、
 読者の同情をひきつけるやり方をしなければ、
 結局はただの作者の自慰行為に過ぎなくなってしまうかと。

 でも、ライトノベルで男性主人公の魅力に頼った結末を描くのは非常に困難だと思います。
 例えば、主人公が命を犠牲にして世界を救う、とかですね。
 ライトノベルの主人公にありがちな自己陶酔型の主人公や、
 ギャルゲーによくいるヘタレ型主人公は、
 読者の感情移入が欠かせない悲劇の結末とは非常に相性が悪いです。

 たくさんの美少女に囲まれて右往左往してるような男性主人公が身を犠牲にしたところで、
 男性読者はいざしらず、女性読者は「勝手に死ね」としか思わないことでしょう。
 主人公と波長があった読者にとっては効果絶大ですが、それ以外の読者からすれば、
 「なに自分に酔ってるのこの作者……キモ」「ご都合主義過ぎ」などといった感想しか生まれず、
 かなり悪い印象を読者に与えかねません。
 作者ではなく、読者から見て共感できたり、尊敬できたり、
 同情できたりする人間が不幸になるからこそのバッドエンドです。

 分かりやすく言うと、「なぁ、俺って不幸だろ? 可哀想だろ? な? な?」
 と主張してる人間が、周りの同情を集めながら死んだところで、
 ただ吐き気がするだけだ、ということです。


 このことにさえ気をつければ、バッドエンドでも平気……だと思いますよ。


蜜柑さんの意見
 答えから率直に言うと、悲劇的結末でも全然大丈夫だと思います。
 それどころか精神崩壊エンドでも世界崩壊エンドでも、私は受け入れられます。
 その根底は、現実の戦争では流れ弾で何の予兆も無く人は死ぬとか。
 自分の恋人が実は白血病で巧妙に隠していたという可能性が0では無い、と考えるからなのです。
 よって究極的には何でもあり。これが私の持論です。

 ってこれだけで終わるのも問題だと思うので「私の希望」を書きます。
 せっかく金出して(あるいは時間をかけて)読むのですから、
 出来る事なら後味の悪い物は読みたくありません。
 ですが、精神崩壊エンドでもそこへ至るまでの仮定がきちんと書かれていれば、
 それはエンターテイメントとして通用すると私は思っています。
 やはり現実の理不尽さよりは、全てに理由や予兆がある誰かが意図して創った物語が、
 読んでいて楽しいし、ストレスも溜まりませんので。
 何の脈絡もなく展開が跳んだり、打ち切りみたいな無理やりな終わり方は、
 読者を第一に考えるならやって欲しくないです。

 バッドエンドって何でしょう? 
 バッドな要素がハッピーな要素より多かったらバッドエンドなのか?
 じゃあバッドとかハッピーって誰の視点?
 作者か読者でしょうね。そして物語の最終決定権は「作者」の方にあります。
 (出版社かもしれません笑)
 
 作者が実は地球至上主義で「人類は地球のダニだ!」とか言い出したら、
 人類絶滅してもそれはハッピーエンドなのかもしれません。
 まあそんな事書いて商業的に生き残れる作家は……いないよね。多分、うん。

 長々と失礼しました。心震えるような悲劇ならぜひ読んでみたいです。
 自分の作品で誰かを泣かせる事が目標の蜜柑でした。


みつきさんの意見
 夜月 彰さま、はじめまして。
 私は主に恋愛ものを書くことが多いのですが、
 そのジャンルでも「悲劇の結末」は結構人気があったりします。
 だから、受け入れられないってことはないと思いますよ。

 ただ、恋愛もの、というか「魂のつながり」とかいうものをメインテーマに据えた作品の場合って、
 ホラーなどのバットエンドとはちょっと意味合いが違うんですよね。
 
 多くの場合、つながりの強いもの同士(恋人同士とか)の片方か、
 もしくは両方ともが亡くなるというラストが基本になりますが、
 そのどちらも、死ぬ時には「とても強い幸せを見出している」、
 という状態であることが多かったりするんです。
 それは、愛するものに対する「自己犠牲」というのが、その動機になっているから、なんですね。

 自己犠牲こそ究極の愛の形、という考え方っていうのは、
 はるか遠い昔から根強い支持がありまして、
 だから、主人公たちに感情移入している読み手さんたちは、
 それを読んでとても強いカタルシスを得ることになる、というかなんというか。


 恋愛系などで悲劇の結末が好まれる理由は、まあこんなところでしょうか。

 といわけで。
 理由もなく精神崩壊して終わる主人公とか、
 意味もなく主人公が殺されて終わる物語は確かに不快で、私も好きではありませんし、
 読み終えたあと、大抵は「読まなきゃ良かった」とか思っちゃいます。
 でも、主人公が命を懸けてもいいくらい大切だと思うものに対しての自己犠牲の結果に
 「悲劇の結末」があるのならば、それはジャンルを問わず、
 読み手の心に強く訴えるものになるのではないかな、と思います。

 それではこれにて。


野井宮抄月さんの意見
 はじめまして、野井宮と申す者です。
 さっそくですが、私の意見を言わせてもらいます。

 悲劇的結末が受け入れられるか否かは、言ってしまえば作品の完成度次第のものだと思います。
 アドベンチャーノベルなんかに見られる、
 いわゆる「バッドエンド」にも名シナリオとして名高い作品はいくつもあります。

 重要なのは、そのような「結末を迎えるための必然性」でしょうか。
 それが欠落してしまえば、ストーリーを途中で放り出されたような嫌な気分になります。


 「クライマックスといえばハッピーエンディング」
 という期待を持っている人のほうが普通は多いはずなので、
 悲劇的な終わりはそれを裏切る形になります。
 裏切るのなら裏切りの理由、それをしっかりと明示し、
 さらには納得できるような雰囲気の文にしなければ、受け入れられるのは難しいでしょう。


榎原 優樹さんの意見
 一方で質問し、もう一方で回答する……故に自身持って回答できない素人小説書き榎原です。
 最近料理の楽しさを知りました。
 自分が作った料理が美味しいといってもらえたときは嬉しいですね。
 今度から僕もそうしようと思った今日この頃です。

 前置きが長くなりました。さて
 皆さんが仰られているように、バッドエンドも受け入れられると思います。

 自分自身、丸々ハッピーな大団円という作品は好きじゃないです。
 バッドエンドはハッピーエンドに比べて作品にかかるエネルギーが凄いのは事実です。


 悲劇で終わる理由が明確で判りやすく、
 読者を不愉快にさせない終わり方に導かなければなりません。
 もっとも、「観客に快楽を与える作品はごまんとある。中には不愉快にさせる作品もあっていい」
 という考えで理不尽極まりないエンディングにした監督もいますが。
 (そう。ラストの台詞が「気持ち悪い」で終わったあの名作です)

 個人的に好きなバッドエンドは「機動戦士Zガンダム」ですね。
 宿敵と戦い、みんなの力を借りてやっと倒したのに、道連れにされて精神崩壊を起こしてしまう。
 戦い続く戦場で子供のように笑いながら漂うカミーユと、
 それを見たファの悲痛な叫びが物語の終わりを告げます。
 明日のジョーだって最後は燃え尽きて真っ白になっちゃいます。
 
 終わりは報われなくても、そこに至る経緯や燃え尽きる瞬間の輝きが、
 悲劇の後の静寂に余韻を与えるのだと思います。


 あと、主人公の悲劇の後に希望を匂わせる終わり方もありですね。
 銀河英雄伝説は主人公のヤン、ラインハルト両名が志半ばで倒れますが、
 戦争は終わり未来を託すべき子供たちとともにミッターマイヤーが、
 戦争の無い星空を見上げて平和を誓い終わります。
 イデオンだって結局世界は終わってしまうのですが、
 さざなみの向こうに新たな命の鼓動を感じさせる終わり方をしています。

 バッドエンドでも、「後味よければ全てよし」。
 
 すみません。長々書いておいて結論はどうでもよかったですね。
 主人公たちに救いは無くても、せめて彼らが関わった人々、
 世界には救いを持たせてあげればいいのでは。
 では。これにて……

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