第4研究室 創作に関するQ&A 555P | トップへ戻る |
鳴海川さんからの質問
 なぜライトノベルの推理小説は少ない?

 最近、とにかく何か音楽を聴いていないと妙に落ち着かない鳴海川です。こんにちは。
 耳と脳がちょっと中毒症状を起こしつつあるのでしょうか?

 閑話休題。

 この前、図書館から借りてきた推理小説を読んでいてふと思ったのですが、
 何だかラノベで推理小説って少なくありませんか?
 「ミステリ」と大きく括ってしまえばそれなりの数はあるようにも思えますが、
 事細かに「推理小説」と言うと途端に少なくなってしまう気がします。
 特に自分の好みで言えば、「日常の謎」や「本格推理小説」が少ないように思えます。

 何も見ないで挙げられるラノベでの推理作家というと、自分は数人程度しか頭に浮かびません。
 ただ単に自分の読書不足のせいかもしれませんが(汗。
 しかし、ファンタジーなどと比べるとラノベで推理小説の絶対数が少ないこともまた事実です。

 そこで皆さんに質問です。
 推理小説が苦手or嫌いな皆さんは、何故苦手or嫌いなのでしょうか?
 推理小説が好きだという皆さんは、何故好きなのでしょうか? 
 また、実際に書いておられる方は何故ミステリを書きたいと思ったのでしょうか?

 ちなみに自分は推理小説が好きで、
 実際企画ではほぼ毎回と言ってもいいほど推理小説を書いています。
 最近だと、日常の謎が物凄い好みです。
 
 理由を挙げると……
1.自分の想像力が欠けているため、戦闘などの描写が判りにくい時があるため(爆。
2.伏線が一気に回収されて答えが導き出される時が快感であるため。
3.日常の謎なら、死人の出る確率が低いため。
4.書く理由としては、おそらく一番自分のスタイルと合っているため。
5.ゴールが明確にあって、自分のいる場所とゴールの距離感を把握しやすいため。
 ……などでしょうか。簡単ですが、五つも挙げてしまいました。

 ご意見を聞かせてくださると、非常に有り難いです。
 既出の質問だったらすみません。
 では、失礼します。


●答え●

奈津川四郎さんからの意見
 初めまして四郎です。
 私も推理小説は大好きでメフィスト賞の作品は出る度に購入してます。
 『プールの底に眠る』は久々にきました。
 また『探偵』と名のつくタイトルを目に入れてしまうと、どうしようない衝動に駆られてしまい、
 中身など確認することなく、気が付くとレジでブックカバーお願いしますと言ってますね。

 推理小説はかなり緻密さが要求されるので生半可には扱えないのでしょう。
 特にミステリファンは他のジャンルのファンとは別物で別格ですから。
 
 下手くそな叙述トリックや中途半端なトリックを武器に事件を解決しようもんなら、
 ミステリファンを舐めるな! 愚弄するな! と大叩きは必至です。
 無茶苦茶ファンはミステリを愛してますから、それに臆して書かない作家もいるんじゃないですかね?
 またはこれ以上斬新なネタが思いつかないのかな?

 ライトノベルでミステリをお書きになる作家もポツポツといますが、
 やはりライトノベルは若い層が埋め尽くしてますので中々手に取るまでいかないんじゃないでしょうか?
 
 もっともライトノベルでミステリだとはっきり言って内容が手緩い。

 やはり表紙には萌えの要素がふんだんにまぶされた方に目がいくのかも知れません。
 乙一さんがライトノベルにミステリの良さを伝えたいということで『GOTH』などを投下されましたが、
 さほど若者の間でミステリは浸透しませんでしたね。私は好きでしたが。

 最近はメディアファクトリーでしたっけ? 
 入間人間さんが『探偵・花咲太郎は閃かない』をお書きになってますが、
 やはりミステリファンは空気のような扱いですからね。
 
 どうしても推理小説をお書きになるんでしたら、
 ミステリの登竜門であるメフィストに作品を送るのが妥当じゃないかなと思います。

 
 もしライトノベルからの出身でミステリ界に飛び込もうならファンは一生涯言い続けると思いますし、
 後々のことを考えれば正直それはしんどいですよ。
 では同じミステリファンとして次回は綾辻行人さんの新作について語り合いましょう。では失礼します。


野崎昭彦さんからの意見
 はじめまして、『野崎昭彦』と申します。

 ミステリはあまり読まない方なんですが……。

 ラノベでミステリが多くない理由としては、やはり
 「理屈(トリック、伏線など)が難しすぎて読者がついてこられない」、
 「ラノベレーベルが他のレーベルより一段低く見られている」

 などの理由があるんじゃないかと思います。

 「理屈などが難しすぎ〜」は単純に読者層がまだ若い、ということもあります。
 メインターゲットは中高生ですから。
 漫画やドラマならビジュアル的な説明もできるのですが、小説では全て言葉で説明します。
 そのため、トリックの説明や伏線などに多くの比喩表現や理論のたぐいが登場します。
 
 しかし、読み手にはそれを理解するのが難しかったり、面倒だったりするのではないでしょうか。
 
 実際、私の周囲には簡単な比喩表現を使っただけでも、
 考えずに「どういう意味?」と聞き返してくる友人が結構います。

 若い人=理論が苦手というわけでもないのですが、
 やはり、理論詰めのミステリより勢いで突っ走るアクションの方が人気はあると思います。


 「ラノベレーベルが〜」というのは、いわゆる「大人の都合」です。
 アニメや特撮が大人から「しょせん子供の観るもの」と扱われた時期があったように、
 ライトノベルも「しょせん子供の読み物」と扱われているのではないでしょうか。

 実際、メインターゲットは中高生ですし、異世界での大冒険や甘いラブコメなど、
 悪く言えば「子供っぽい」要素が多いです。
 
 逆に、ミステリは魔法もないし怪物もいない現実世界が舞台です。
 むやみにヘタレた主人公に想いを寄せる記号的な美少女(笑)もいません。
 
 また、ミステリの禁則の一つである、「謎解きのために超常的な力を使ってはならない」
 もラノベとミステリの相性が良くない理由ではないかと思います。


 こうした理由から、実力のある書き手はラノベレーベルではなく
 ミステリの多い新書レーベルや他の文庫レーベルに流れてしまい、
 「ミステリのラノベ」が減って、「ラノベっぽいミステリ」が登場しているのでしょう。

 以上、私自身の意見を述べてみました。
 「これおかしいんじゃないか?」的な部分があったら無視してくださって結構です。
 駄文長文失礼しました。


和月さんからの意見
 ラノベミステリーはだれが手に取るか、
 ミステリー好きは書店のラノベコーナーにはほぼ来ません。
 となると、ラノベ好きの中のミステリー好きがターゲットで、それはかなり少ないです。


 すすると売れませんから開拓もされない。
 それが理由の大部分だと思いますよ。

 あとは他の方と変わりませんね。
 面倒なトリックは興味を持たれない。

 ラノベではどのように殺したかより、何故殺したかが重要なんだと思いますよ。


鳴海川さんからの返信(質問者)
 このスレでミステリについて質問させていただいた鳴海川です。こんにちは。

 さて、今回はアンケートにご協力していただけれなぁ、と思って書き込ませていただきました。
 で、その内容はと言うとズバリ、
 「あなたの好きなジャンルは? また、何故そのジャンルが好きなのか?」ということです。
 
 これはミステリ、ファンタジー、学園などと内容を問いません。
 とにかくひたすら、好きなジャンルの良いところを語ってください。
 更に欲を言えば、僅かで良いのでそのジャンルの自分が思う欠点もお答えいただけると幸いです。

 ではまず自分から。

1.ミステリ
 解決編で全ての謎が解かれるときの快感が好き。
 また、論理的に物事を進めていくこともまた理屈が好きな自分には堪らない。
 反面、こういった解決編までにあるトリックや伏線、論理的な部分が、
 ラノベ読者層にはあまり受けないことも事実。
 難しい伏線や緻密さを要求される高度なジャンルでもあるため、ラノベ作家でも数は少ない。

2.現代ファンタジー
 作品にもよるが、自分の場合は「しにがみのバラッド。」などの戦闘がないものが好き。
 現代を舞台にすることで世界観、キャラクターに感情移入がしやすく、
 且つ「不思議に巻き込まれたい」という読者の欲求を満たしてくれるジャンル。
 
 反面、論理的でない部分が多く含まれているため、理屈が好きな自分としては物足りない。
 また、如何にこの「現代」という既に出来上がった下書きに「オリジナリティ」という色を塗っていくか、
 それがどの作家にも要求される難しいジャンルでもある。


 ……こんな感じでしょうか。
 尚、これはあくまで「鳴海川という個人の一意見」です。
 意見が被っても被らなくても、どんどん協力していただけると有り難いです。

 では、失礼しました。


夜月さんからの意見
 こんばんは、夜月と申します。
 質問の回答としては、私はミステリが大好きです(もちろんラノベも大好きです)。
 不可能興味の論理的解決や意外性、伏線の回収ぶりなどに魅了されております。

 さて、肝心の「なぜライトノベルの推理小説は少ない?」の質問に関してですが、
 個人的に思ったことを書いていこうと思います。

 やはり相性がとことん悪い、この一言に尽きるでしょう。

 一時期「人間が描けていない」などと的外れな批判を浴び、
 近年では一般向けなドラマ性に優れたミステリが多く出版されていますが、
 
 やはり私はミステリの本質は「謎とその解決」にあると思っています。

 小説的面白さが上がるのはよいこととはいえ、
 そのせいでミステリ自体の完成度の高さや切れ味が弱まってしまうのは悲しいです。
 そんな風にミステリを捉えている私ですので、
 もちろんミステリとラノベの相性が良いと言うはずがありません。
 ラノベ市場でミステリを武器に戦っていくとなると、まず以下の壁にぶち当たります。

一、ラノベ読者はキャラクター性をかなり重要視している。
二、主登場人物は中高生で、できれば中高生に親しみのある舞台が望ましい。
三、シリーズ物として刊行するのが前提。
四、三〜四ヶ月の間隔で続刊を出すのが求められている。


 アニメ化された「バカとテストと召喚獣」や「生徒会の一存」、「化物語」をみれば分かると思いますが、
 世界観やストーリーよりもキャラクター性に力が入れられています。
 さらにはミステリにおいてキャラクターは役者に過ぎないのに対し、
 ラノベの場合、ストーリー自体もキャラを引き立てる装置である場合が多いです。
 
 また読者もそのようなストーリー、要するにキャラクターの活躍を期待しています。
 2ちゃんねるにある米澤穂信の二つの板(ミステリとラノベ)を見比べてみますと、
 後者の方では皆キャラクターへの愛ばかり叫んでいます。

 この点からして、ラノベ読者がキャラクター性を重視しているのがよくわかります。

 ですから感情移入の観点からしましても、登場人物は中高生がメインである方が断然望ましいです。
 ですが、ミステリ好きの方ならおわかりの通り、この制約はミステリにおいてかなり厳しいです。

 ミステリにおける謎はほとんど殺人に基づいています。
(その理由を説明するのは筋違いですし、長くなるので省かせていただきます)
 ですからそれに中高生をメインとして関わらせること自体が困難です。
 大人の世界においても殺人は非日常なのですから、これに関しても説明は不要でしょう。

 ですから作者はこれに見合った物を創作しなければなりません。
 言うまでもなく、こればかりを創作するのは作者にとってかなりの困難でしょう。
 その上ラノベなのですから、メインキャラクターにラノベ的な活躍の舞台を与えなければならず、
 一方でミステリ自体の濃度も維持し、
 さらには年に何冊分ものトリック(もちろんそのシリーズに見合う物)を創作する必要だってあります。
 巨匠と称される作家にも困難なことでしょう。
(そもそもミステリ作家は優れているほど寡作な傾向が強いです)

 以上がラノベに本格ミステリが少ない理由ではないかと私は思っています。
 そもそもラノベにはミステリのレーベルがありませんし、文壇からも目を向けられていません。
 角川スニーカーのミステリ部門は一瞬で姿を消しましたし、
 最近まであった富士見ミステリーも早々にミステリからラブに路線が変更されました。
 桜庭一樹も米澤穂信も、大家の推薦で東京創元者に紹介されなければ、
 これほどにまで注目されなかったでしょう。

 とはいえラノベ好きの読者としては、ラノベにもミステリが増えてほしいともちろん思っております。
 相性が悪いと言いましても、ラノベの世界観でも通用する傑作ミステリは、
 例を挙げるまでもなく沢山ありますので。


まいちんさんからの意見
 こんばんは、鳴海川さん。まいちんです。
 どちらかというと推理小説嫌いです。
 今更かもしれませんが、回答します。
(推理小説が好きな方には不愉快な回答かもしれませんが、
 本音を書いた方がよいと判断して書いていますので、ご容赦ください)

>  推理小説が苦手or嫌いな皆さんは、何故苦手or嫌いなのでしょうか?

1.登場人物の名前と立場と思惑を覚えきれない(覚えるのが面倒)

2.些細な伏線を正しく拾っていかないと解けないような、引っ掛け問題的な真相はずるいと感じる。
 ご都合主義な謎。

3.そもそも私自身、小説を読んで自力で謎を解いてみたいという気持ちが希薄。
(可能性を考えるときりがなくなるし、
 正しい答えに行き着かず徒労に終わることが多かったので面倒になった。
 探偵が謎を解いていく過程を見るのは好きです)

4.物語の構造が、水戸黄門のように硬直している作品が多く
 「どうせこのおっちゃんが謎を解いて終わり、でしょ?」
 と思ったところで結末が見えたような気がして興味が失せたりもする
 (→謎解き以外に魅力のない作品だとこうなる?)

 逆に言えば、上記の条件が何らかの方法で解決されていれば
 「ミステリだから」「推理ものだから」といって毛嫌いするつもりはありません。

 ついでに、自分が好きなミステリについても、参考になればと思い、少し書いてみます。
(本格推理は好きな作品がないので……すみません)

 まず、東野圭吾は楽しく読めますね。
 読者に解かせるつもりなんか多分ない「爆ぜる」のシリーズとか、
 見事にミスリードされてご都合主義に感じない「容疑者xの献身」とか、
 
 私のような「忘れる・ご都合主義嫌い・解く頭がない」の三拍子揃った人でも楽しめるよう、
 実に細かい配慮がなされていると感じます。

 本格ミステリを逆手に取って茶化したような作品群(書名忘れましたが)も書いた作者さんなので、
 ミステリに入り込めない読者のことも考慮した、最大公約数的な作品作りをしているのでしょう。

 あとは西村京太郎の時刻表ミステリも楽しめます。
 これも解く過程を傍観して楽しむタイプであることと、
 自分自身貧乏旅行をしたり色々と時刻表を使うことが多かった時期があるせいで、
 題材を身近に感じるからでしょうね。

 それから漫画ですが「名探偵コナン」もそこそこ読めます。
 前述の1.は、絵があるので小説より覚えやすいし、
 毎回話が短いので、情報を忘れる前に謎解きが終わるので。

 4.は、コナン君の作画がかわいいので読み進められます。
 が、2.のずるさは感じるので、あまり読んでいて楽しいとは思いませんが。

 以上、参考になれば幸いです。


ぢおさんからの意見
 例えばブギーポップの発売当時はかなり衝撃でした。
 私個人はそれまでの
 「ラノベ=中高生向けファンタジー・ラブコメ」という固定概念を打ち砕かれましたからね。

 読者層やラノベ向きかどうかではなく、単にミステリ分野を書く人が少ないのではと私は推測します。
 要は面白いものを書けと。出版社をうならせるような作品が出ていないのでしょうね。

 以上、東野圭吾ファンからでした。参考になれば幸いです。


聖さんからの意見
 えーっと。
 皆さん、ミステリーとライトノベルの関係をまるで油と水の様におっしゃっている方が多いようですね。
 私の考えはそれらとは真逆です。

 ライトノベルにミステリーが少ないのは、
 一般書籍のミステリーが既にライトノベル的な要素を満たしているからではないでしょうか?


 個性的の強いキャラクター、シリーズもの、どちらも推理小説には昔から存在していますよね。
 主人公が中高生である作品も多いですし、
 一般書籍のミステリー新人賞受賞作にはライトノベルと言っても十分に通用する作品が多くあります。

 だから、ミステリーは理屈っぽいとかライトノベルでは避けられているとか言う以前の問題だと思います。
 ライトノベル的な要素が存在しようが、昔から一般書籍として認められている作品を敢えて
 二段も三段も低く見られているライトノベルから出版する必要性はないのでしょう。

 それに、仮にミステリーでライトノベル新人賞を受賞して作品を出版したとしても、
 桜庭一樹先生や米澤穂信先生みたいに実力のある人は、
 すぐに一般書籍に引き抜かれていなくなってしまいます。

 文学少女みたいなかなり面白くても論理性の弱い作品は別ですが、
 本格ミステリーを書いてる作家は特にそうですよね。
 
 そういえば、最近の本格ミステリー(2010年)は『分かりにくい』とか『ページを飛ばして解決編を読む』
 なんて言葉に代表される綾辻先生のような作品(私は大好きですが……)ではなく、
 小さな事件を組み合わせつつ最後に大きな事件の解決編、
 加えてライトノベル的なやりとりを含んだ、中間まで退屈させずに読ませるような作品が、
 増えてきた印象があります。

 本格ミステリーは持っているマイナスの要素を払拭するために、
 どんどんライトノベルに近づいて行ってるようなそんな気がしますね。


 駄文失礼しました。
 それではこれにて。
 (>_<)


ニクニックさんからの意見
 私は多分、今までで推理小説を200以上読んできたと思います。
 海外ものもアガサクリスティーを初め、有名作家のは全作読んだかと。
 その上でなにが魅力か、と言われても答えがでなかったのですが、
 まいちんさんのレスを見てなにが一番魅力かわかりました。
 水戸黄門みたい、これです。

 推理小説は根っこのところで似通っているからこそ安心して購入できるんですよね。
 肌に合わないということが少ない。最後まで読める。
 そして感情移入するのではなく、常に読者視点で物語を追える。


 今年の初めから勉強のためにライトノベルも読んでいるのですが、
 馴染むのにちょっと時間がかかりました。
 分析しながら読んでいるから。掴んだのが肌に合わなかったから。
 これも要因ですが、読んでて落ち着かなかったんだと思います。

 推理小説は一つ一つの事柄を吟味しながら読む、いわば作者と読者の勝負って一面もありますし、
 感情移入なんかしていると、作者のしかけたトリックを見落としてしまいます。
 だから一人称小説でもクセで一歩引いた視点からしか読めませんでした。
(主人公に感情移入するという感覚に抵抗があったのでしょうね。今はそんなことないですけど)

 そういう面では推理小説とライトノベルは相性が悪いと思いますが、
 それを踏まえた上でライトノベルらしい推理小説という形を作れば通用するものと思いますよ。
 推理小説を読む人間を引き入れることは難しいかもしれませんが、
 TV番組の家政婦探偵とか主婦層にはウケがいいみたいですし、
 ライトノベルに合うスタイルが絶対にあると思います。

 ちなみに私もトリック物をたまに作ります。
 なぜ作ろうと思うのか?
 トリックが思いついたから。それだけの理由ですね。
 そのとき注意していることとして、主人公の推理シーンをこまめにいれています。
 的外れな推理をさせるのですが、そこはヒントを出した直後のポイントとして、
 一度手を止めて考えてほしいという思いでわざわざ用意しています。
 これは探偵物のアドベンチャーゲームでよく見られる手法を真似しているだけなんですけどね。


 最後に東野圭吾さんの話について。
 先生は過去、結末を書かなかった推理小説を世に出したことがあります。
 そして後書きに、ヒントはこれというぐらいわかりやすく出した。
 ぜひ読者の皆様は地力で犯人が誰かに気づいてほしい。と。
 これには感動しました。東野圭吾さんは本気で推理小説の未来を案じていたのだと思います。
 しかし残念ながらこの小説は不評だったようですが・・・・・・


九郎さんからの意見
 どうも、九郎です。

 私はミステリがラノベで流行らないとは思っていないです。
 理由は一つ、まだいくらでも開拓の余地があるから。
 

 普通のミステリで勝負するのは確かに厳しいかもしれませんが、
 そこにラノベ的要素をいれればまだまだわからないと思います。

 ラノベのミステリは絶対数が少ないですが、だからといって需要が無いわけでは決してなく、
 少なくとも自分はある程度チェックしています、好きですから。
 ただ、上にかいたようにラノベでのミステリは方向性を、
 普通のミステリとは変えていかなければならないかと。

 例えば、一般のミステリよりキャラをずっと濃くする。
 例えば、非現実の要素を上手く絡める。
 少しアバウトな表現で申し訳ありませんが……やはりさじ加減の問題かなと。
 
 個人的には富士ミスで刊行していた「タクティカル・ジャッジメント」や、
 電撃で刊行していた「トリックスター」なんていい例だと思います。
 もし読んだことがなければ読んでみてもいいかもしれません。
 道のりは険しいかもしれませんが、
 私的にこのジャンルやギャンブル小説はうまくかければ流行るんじゃね? とか勝手に思っています。

 以上、参考になれば幸いです。
 自分もお題によっては次はミステリかいてみようかな……


まんごーさんからの意見
 新本格がラノベっぽいことをし始めたのは清涼院流水辺りではなかったかと。
 麻耶雄嵩なんかも人物が(あくまでも人物が)ラノベっぽい作品書いてるし。
 んで有名な西尾維新に結実すると。あれはジャンルが既にミステリとは違うけども。
 
 で、流行らない理由というのにメフィスト賞があると思う。
 
 京極から繋がるこのメフィスト賞、どうもキャラ小説が多い。
 ミステリで同人誌(トリビュートではない)が出るってどういうことなのって最初は思ったもんです。
 今更他の、萌え色が強いレーベルからミステリを出す利点は考えられないから、
 必然的に投稿数が少なくなるのではなかろうかと。
 理屈っぽい筋立てが忌避されるがために少ないのではなく、

 出版社/レーベルが売る体勢を作っていない、
 しかも他に出版する体勢ができている出版社/レーベルがある。これが原因じゃないかと思う。



鍵入さんからの意見
 こんばんは。
 ミステリ好き、また実際にミステリを書いている(つもりの)人間として回答させていただきます。

 ミステリの何が好きかといったら、他のジャンルでは絶対に味わえない衝撃と感動です。

 綾辻さんの館シリーズに代表される叙述トリックの破壊力や、
 構図の反転の意外性、最近は論理の美しさも分かるようになってきて、
 「ただの犯人当て」も楽しめるようになりました。


 また連城三紀彦や道尾秀介、東野圭吾でも「容疑者X」のような、
 真相がイコールで物語のクライマックスを生み出す手法もミステリならではのものだと思います。

 なぜミステリを書くのか。
 新本格に毒され古典にまでさかのぼる読者であれば、ミステリを書きたくなってしまうものだと思います。
 書くとまではいかずとも、自分でミステリネタを考えてニヤニヤするのは、
 ミステリ読みなら誰もが通る道……のはず。
 思い返せば、僕が初めて物語を書いたきっかけは「小説を書こう!」じゃなくて
 「叙述トリックをやって驚かせよう!」でしたし。それでいいのかはともかく。

 それと、前述した「感動を生むための手段」として、
 ミステリがとても優れている(と僕が感じている)からです。
 読んだ絶対数の問題もあろうかと思いますが、僕が読んで感動した小説は大体が本格ミステリでした。

 隠されていた真相の驚きで読者がひるんでいる隙に感動も与えてしまえる、とは言いすぎでしょうか。


 他人様の所で恐縮ですが、こちらをどうぞ。
 「ゼロ年代ライトノベル系ミステリ注目作品リスト」
 ttp://longfish.cute.coocan.jp/pages/2010/100317_zeromys/

 先日発見してびっくりです。
 ラノベ系ミステリってこんなにあったんですね(もっとも、「本格」は少ないですが)。

 個人的にはラノベとミステリの相性は良いと思います。
 なんてったって、「名探偵」というのは一つのキャラクターじゃないですか。


 「キャラ萌え本格」なんて言葉があるくらいですし。
 ミステリとしての骨組みがあるところにラノベ的な面白さをぶち込んでも違和感はありません。
 どころか、ライトノベルであることを利用したミステリまで存在するくらいです。

 最近(2010)では講談社ノベルスや創元推理文庫がラノベ化しつつあり、
 山口芳宏や似鳥鶏、野崎まどといった「本格」の書き手も台頭してきています。
 そんなわけで結論としては、ミステリとしてもラノベとしても楽しめる作品は、
 今まさに増加傾向にあるんじゃないのかな、と。
 もちろん、僕の期待も大きく混じってはいますが。


三十路乃 生子さんからの意見
 もう絶対に締め切ってると思いつつ来てしまいましたw 

 お久しぶりです。三十路乃 生子です。
 秋企画を見ても思いましたが、なんだかんだ言ってラ研のミステリ書きさんって多いですよね。
 私も一応はそっち系の出身者なのでレスをさせて頂きます。

>推理小説が好きだという皆さんは、何故好きなのでしょうか?
 また、実際に書いておられる方は何故ミステリを書きたいと思ったのでしょうか?


 本題ですが私は好きですし、書いてます(小説はもう四作書きましたが、そのうち二作はミステリなので

・まず好きな理由。
 実を言うと本格ミステリは嫌いだったりします(ぇ
 いや、新本格ですかね主に。
 あの系統は理屈し過ぎてて個人的に面倒臭いと思ってしまう節がありまして……orz
 どっちかというと私は社会派寄りです。
 
 謎の魅力を持たせつつ、その中に潜む風刺とか人間関係なんかが好きです。
 サスペンスっぽい部分も強いですが、謎が解けた時に全く新しい事実や命題が浮かび上がってきて、
 それを突きつけられた時の感覚が心に強く響きます。
 

 あとキャラ系のミステリも好きですよ。
 浅見光彦シリーズ、十津川警部シリーズなんかですね。
 ミステリとして謎の魅力は強いとは言えませんが、ストーリーへの食い込ませ方が上手くて、
 キャラも魅力的なのでスルスル読めます。
 ある意味、大人向けのラノベだとも思ってます(軽く読めてキャラがメインですから

・次に書きたい思った理由。
 処女作で書いたのは、やはり叙述トリックの魅力に嵌ってたからですね。
 一度綺麗に決まると凄く気持ち良いので好きです。


 逆にこないだ出させて頂いた四作目はストーリーを鍛えるためですね。
 本格ミステリとかは旗色が異なるので無理なんですが、
 社会派とかならストーリーに共鳴させられるんですよ。
 その力が今後のためにも欲しくて、それを目標に書いてました。
 でも両方に共通しているのが、ぶっちゃけた話、
 謎で引っ張るくらいしか技術がないという悲しい理由です(笑)

 あと最後に、質問は二つと言いつつ三つあるのでそれに自分なりの見解を述べたいと思います。

>この前、図書館から借りてきた推理小説を読んでいてふと思ったのですが、
 何だかラノベで推理小説って少なくありませんか?


 私は読書数自体が恥ずかしながら人よりかなり少ないので、ちょっとよくは分からないのですが、
 確かにパッと見で相反していそうですよね。
 ただそれはやはり新本格と言った理屈中心の作品とミックスした時だと思います。
 
 ぶっちゃけラノベ系のミステリって名前が違うだけで、
 新伝奇とかさっき言った名探偵系はそっちに属さなくもないと思います。


 少し話が逸れますが、私は十分行けると思います、ラノベミステリ。
 ただ複数の出版社がラノベミステリのレーベルを作ったけれど、確か皆潰れちゃった。
 という話は聞いたこともあるんですよね……
 そういう昔チャッレンジして失敗した出版社は敏感になっていると思います。
 だから書かないというのもまた違いますが。

 まぁその辺りの流れは良く知りませんのでこの辺りで失礼します。
 それにもしダメなら、自分で流れを作ってしまえばいいじゃないですか(マテ

 それではお疲れ様でしたノシ

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