ライトノベル作法研究所
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  4. 下読みがラノベ新人賞の疑問に答えます公開日:2014/01/06

下読みがラノベ新人賞の疑問に答えます。その9

あまくささんの意見2014/01/12

>ただ、このヒロインを主人公にした場合、テーマは「少女のドロドロと煮えたぎる執念・執着の恋愛劇」になる(というか、せざるをえない)かと思いますので、

 粗筋で伝えきれていないのが問題だと思いますが、そういう部分は薄めにする作りにはしています。煮えたぎるドロドロは過去の二人の王女の伝説の中に凝縮して、その迷路からいかにして脱出するかというテーマに、過去の悲劇が行われた古城というフィールドの描写、《審判》というの設定をメタファーとして重ねる趣向でした。

>成人女性は綺麗なものも好みますが、綺麗なものの裏側で煮えたぎる汚さにこそ共感するものですから。

 レディコミを読んでいると、ほとんどハードポルノじゃんという問題はさておいて、非常に濃厚な物語性があるんですね。そこが100パー下半身だけの男性向けポルノとの違いで、実はたいへん注目しています。
 ……て、話がどんどんラノベから離れていくんですけど(汗

 もどします。
 拙作のキャラが十代と感じられなかった点について。

 ヒロインの愛憎にストーリーを寄せすぎてしまったこともそうでしょうし、もう一つは、やはり私があまり若くないからだろうなと。本業と実生活を持っていると、どうしても思考が手堅くなるんですね。それがキャラの言動に表れてしまうようです。
 最近は、

1・キャラクターの感情の振幅を多少気恥ずかしいくらい大きくする。
2・若さゆえの、未熟・無謀・愚かさ・純粋さを意識する。

 そんなことを心がけて書いていますが、この作品ではそういうことがあまり出来ていなかったかもしれません。

>オリジナリティは斬新さだけのものではありません。

 同じなんだけど、違うやつ。
 そんな作品を目指したいと思っています。

 Cノベルスの本は読んだことがなかったのですが、デルフィニア戦記のKindle版が出ていたので購入してみました。あと何冊か読んでみて、近年の受賞傾向を調べてみるなどして少し考えてみようと思います。
 他にこのレーベル、ジャンルでお勧めの本などありましたら、教えていただけると有り難いです。

ジジさんの回答2014/01/10

 これは悪い点ではまったくないのですが、あまくささんの思考は拝見するかぎり「感覚」ではなく大人の「知性」から発するものなので、個人的にはやはり成人女性向けを勧めたいところですね。

 知的な人が
1・キャラクターの感情の振幅を多少気恥ずかしいくらい大きくする。
2・若さゆえの、未熟・無謀・愚かさ・純粋さを意識する。
 をやると、大半が上滑りするんですよ。想像がうまくできなくても、頭の中でムリヤリ考えてしまうせいで。

 それでもラノベを目指すのであれば、思考ではなくキャラを変えるのが早いかと思います。
 そして、キャラのなにを変えるかといえば「年齢」です。
 敵役の年齢を幼児・幼女にするとかですね。
 あまくささんの作品の主要キャラは、基本的に適齢期ですよね。そして全員が「頭で考えて行動する感じ」なのです。だから、この年齢をズラしてやることで(下げる一択です!)物語環境を変えてしまいましょうというわけです。

 また、私のCノベオススメ作品ですが、
多崎礼氏の『煌夜祭(古いので絶版しているかもしれませんが)』
あやめゆう氏の『RINGADAWN 妖精姫と灰色狼』
 この2作品はドラマチックでお気に入りです。
 特に後者はあまくささんには参考になるものと思います。

月冴ゆさんの質問2014/01/12

1・応募先の規定字数が10万字ですが、まだ9万字しか達していません。少しでも字数が少ないと選考から外されるでしょうか?

2・メインの登場人物が男女二人ずつです。
 男性1(高校二年生)
 男性2(二十代以上?)
 女性1(大学一年生)
 女性2(十五か十六歳)
 メインキャラは高校生にしたほうが読者も感情移入しやすいそうですが、誕生日の関係で女性1は十八歳という設定にしてます。実家から地元の大学に通っているので、生活習慣も高校生の頃とあまり変わっていません。メインキャラが大学生でも構わないでしょうか?

3・異能ものではありませんが、登場人物たちはある敵と戦っており、その中には超能力者も含まれます。主に男性1・2と女性2が戦い、女性1はサポートというポジションになることが多いです。特に多いのが、男性1・2がコンビを組む という場面ですが、ラノべではこうした男性二人のバディものが少ないです。これは読者にも受け入れられるでしょうか?
 それとも読者受けを狙って、男子高校生の主人公と美少女とのコンビを選んだほうが無難でしょうか?

4・近頃のラノべではSFネタが増えてきていますが、私が今書いている小説もSFネタです。十代にとって難解な理系用語を避け、中高生にもわかりやすい解説する形で書いています。
(なにせ私自身理系のことはちんぷんかんですから・・・)
 ハードSFのような専門用語は使わないにしても、解説する形でSF用語は出しても構わないでしょうか?あるは科学に関する用語も。

 例)パンスペルミア説、ハビタブルゾーン、インテリジェントデザインなど(ここまで書くと、作品のあらすじになってしまいますが・・)

ジジさんの回答2014/01/12

> 1・応募先の規定字数が10万字ですが、まだ9万字しか達していません。少しでも字数が少ないと選考から外されるでしょうか?

 10万字“程度/相当”なら10万字近く(9万8千くらい)まで伸ばしたほうがいいでしょう。
 10万字以内なら、極端に少なくなければ大丈夫です。ちなみに、ちょっと多い場合もたいがいは目をつぶってしまうものです。

> ②メインの登場人物が男女二人ずつです。

 編集者によってはイヤな顔をするかもしれません。そして、下読みによっては減点対象にする可能性はあります。

 なぜラノベ界がこんなに中高生史上主義かと言えば、読者が中高生だからというだけでなく、世間一般が思い浮かべる「青春」の定義が“思春期”であり、その年代にあるのが中高生だからです。

 小学生は、まだ子供。大学生は、もう子供とは言えない(自分が中学生のとき、友達が大学生とつきあってるなどと言ったら「な、なんだってー!?」となりませんでした? 相手が高校生なら「キャー」もしくは「ギャー」なのに)。
 基本的に、作品がおもしろければなんでもいいのですが、受賞確率を0・01パーセントでも上げたいと願うなら、中高生メインでキャラを組むのが無難です。

> 3・異能ものではありませんが、登場人物たちはある敵と戦っており、その中には超能力者も含まれます。

 そのネタをおもしろく調理できているなら、特に受けは狙わなくて大丈夫です。また、読者受けは受賞できたら鬼の編集者にムリヤリ狙わせられるので、まずは月冴ゆさんが「おもしろく書ける」と断言できるほうで書き上げてください。

>4・近頃のラノべではSFネタが増えてきていますが、私が今書いている小説もSFネタです。

 味つけ程度ならそれで大丈夫だと思います。
 ただ、SFというやつは時代物と並んで新人賞では鬼門です。
 なぜなら、SFは「科学考証」、時代物は「時代考証」という厄介な壁があるからです。そして審査側は、知識がある場合は考証を気にしますし(ウソや無茶苦茶な設定だと困りますので)、知識がない場合は考証含めたネタの完成度を判断できないので、どちらにしても審査が辛くなる傾向があります。
 異能力物が一ジャンルを築いた理由はまさにこのあたりの事情もありますね。審査側にも読者にもあら探しをさせず、もしくは理解不能状態に陥らせずに、ぶっとんだ設定をいくらでも設定できますので。

月冴ゆさんの質問2014/01/12

 最後に一つだけお願いします。
 今書いている小説のメインキャラAは、ある出来事がきっかけで他人の体に宿っています。
 持ち主の魂Bはとっくに消滅していますが、AはBとある契約を交わします。それはBの恋人C(女性)を見つけて彼女を殺し屋から守ることです。

 Aは紛れもない人外で、物語開始前は人類を利用価値のある駒程度にしか考えていませんでした。いうなれば、契約を持ちかける悪魔そのものです。願いを叶えると同時に対価として大切なものも奪います。Bの肉体も報酬の前払いとして入手しました。
 しかし正義感が強くて優しかったBの肉体を得ることで、Bの人格の影響まで受けてしまい、ほかのメインキャラとの絡みもあって、次第に人間の持つ弱さと優しさまで自分のものにしてしまいます。
 物語の結末でAはついにBの恋人Cを見つけだしますが、本当のことを告げるべきかどうか悩みます。
 Cから見れば、Bの中身は別人です。それどころか、AはBの体を奪った張本人です。それがBの願いだったとしても。
 そんな事実を恋人が受け入れることができるでしょうか?

 ラノべにしてはシビアな内容だと思いますが、アドバイスや改善点などの指導をお願いします。

ジジさんの回答2014/01/12

 その恋人の選択がひとつのクライマックスになるかと思いますので、個人的にはまずAに告白はさせてほしいところですね。それを恋人がどのように受け入れるのか、もしくは受け入れないのか。過剰なくらいドラマチックに書いてみてください。

 そして、その告白に至るまでのAの心情変化の過程を、幕間劇として各章の最初に入れる、というのもいいかと思います。

 さらに一案ですが、恋人がAと同じく中身別人にしてしまうのもおもしろいですね。主人公の苦悩を恋人にも共有させることで、物語の深みをさらに増す効果が期待できます。

高海さんの質問2014/01/12

1. よく「一次選考では内容が面白いかどうかの踏み込んだ評価はしない。日本語として理解できる文章が書けていれば一次は必ず通過する」、つまり一次選考では設定やストーリーがよくないという理由では落とさないので一次で落とされたならそれは言葉遣いの問題だという話を聞きますが本当ですか?

2. ラノベファンの会話ではキャラが立っていて読みやすい文体の小説であれば明らかにラノベとして作られていないものでもラノベと呼ぶことがよくありますが(私も北方謙三はラノベ作家だろと言っていた時期があります。比喩などではなく文字通り)、出版社の人が業界人に特に説明なくライトノベルと言った時には通常どのくらいの範囲のものを指しますか? 業界人同士の会話では、若者受けしそうな大衆小説であるとかアニメ調の挿絵がついているというだけでは一般的にライトノベルとは呼びませんか?

3. 下読みの中で小説家、小説家ではない業界人(編集者やルポライターなど)、全くのアマチュアだが特別に依頼された人の比率はどのくらいですか? また、一次選考から最終選考まで全ての過程に参加する人はどのくらいいますか?

 創作というよりもほぼ業界についての好事家的な質問ですが、差し障りなければお答えいただければ幸いです。

ジジさんの回答2014/01/12

 1は、ウソです。
 一次審査を通る作品というのは、通常の場合全体の1割です(賞の規模やスタンス、年度によって変化がありますが)。
 基本9割の作品が落ちるわけですから、その審査は質問1のようなことを言う人が想像する1000倍くらいは厳しいものになります。

 この記事の「その8」の方に、あまくささんとさせていただいたやりとりがあります。そこで私はそこそこ以上にイヤなあら探しや言いがかりをつけていますが、あれは「それほど多くは気になる点がない人用の対応」になります。
 つまり、少なくとも私という下読みは、一次審査であのやりとりが優しく見えるだろう程度の鬼対応をしているわけです(もちろんそれは応募者の方には見えないところで、ですが)。

 とにもかくにも、壁としてもっとも厚いのが一次審査です。一次で落ちる作品と二次で落ちる作品には、ちっちゃいおっさんとプリキュアくらいの差があります。
 このサイトを利用される方は賞へ応募される方だろうと思いますのであえて極端な言葉を使いますが、一次審査を通って初めて応募作には審査を受ける価値が認められ、下読みなり編集者なりからメッセージを受け取る権利が得られるのです。

> 2. 出版社の人が業界人に特に説明なくライトノベルと言った時には通常どのくらいの範囲のものを指しますか?

通常はライトノベルという出版枠の中で出版されているもの以外、ライトノベルとは呼びません。
一般方面の、十代後半から二十代をターゲットにした小説は、ラノベっぽいもの含めて「ヤングアダルト」というジャンルにカテゴライズされます。

> 3. 下読みの中で小説家、小説家ではない業界人(編集者やルポライターなど)、全くのアマチュアだが特別に依頼された人の比率はどのくらいですか? また、一次選考から最終選考まで全ての過程に参加する人はどのくらいいますか?

 私は他の下読みさんとあまり交流しないので出自はわかりませんが、まったくのアマチュアという人はそれほどいないはずです。
 これは下読みが評価シートを作らなければならないからですね。おもしろい・おもしろくないが判断できるというだけでは、下読みは務まりません。そのおもしろさとおもしろくなさの内容を分析し、文章で伝えられなければ、応募してくれた方に大損をさせてしまいますから。

 ただ、アマチュア関係から下読みになる人も確かにいます。これは大学の読書系サークル(書評を本にまとめているレベルの人達)や文芸系サークルに所属していて、そこと縁のある編集者から頼まれるパターンが多いようです。

 また、新人もしくは売れていない作家が混ざっている率は少量ないし微少。多くは編集部と縁のあるライターが務める場合が多いかと思います。

 最終選考まで関わることがあるのは、一部の編集者とこれまた一部の審査員という人ですね。
 通常、編集者は一次から読まないことが多いですし(小さい賞などでは例外アリですが)、審査員は最終審査で呼ばれるものなのですが、この一部の人たちが一次からいることがあります。
 自分の目で、自分が信用して推せる作品を見つけたいというのが理由のようです。
 なので、選評などで強烈に一作品を推している審査員や編集者がいたらそうかも、と思ってください。

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