ライトノベル作法研究所
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  4. 新人賞下読みが質問に答えます公開日:2014/11/14

ラノベ新人賞下読みが作家志望の質問に答えます10

風月さんの質問2014/10/05

> 評価シートでのプラス評価、マイナス評価については、こちらにざっくりと書いていただければ「こういうことではないか」という予想をしますので、気が向いたらレスをしておいてください。

 それでは、お言葉に甘えまして。
 プラス評価について。
・読みやすい文章。
・ライトノベルらしい。
・話のもっていき方、キャラクターの動かし方などは考えて作られている。

 マイナス評価について。
・読者にフォーカスがあっていない。
・読者に受け入れられるキャラクターではない。
・細かい情報を出していくよりも、キャラクターの印象付けが強くなるエピソードを見せていった方がよい。

 別の作品について。
 プラス評価。
・〇〇という設定が面白い。
・基本的に会話で物語を進めているのでテンポが良い。
・キャラクターを出すことができている。

 マイナス評価。
・あまりにも新感覚の作品。
・コメディなりラブコメなりと、ジャンルを明確にした方がよい。
・要素が多く、伝える部分が明白ではない。
・「スケバン」というキャラクター性が古い。

 以上です。

ジジさんの回答2014/10/05

 では、プラス要素とマイナス要素に分けてコメントさせていただきます。
 まずプラス要素から。

> ・読みやすい文章。
> ・ライトノベルらしい。
> ・基本的に会話で物語を進めているのでテンポが良い。

 会話主体のラノベらしい文章構成は、2作品とも評価されているようですね。

> ・〇〇という設定が面白い。
> ・話のもっていき方、キャラクターの動かし方などは考えて作られている。

 この部分は評価者がコメントを「置きに行っている」可能性もありますが、目につく設定や物語構成は大丈夫なようです。
 こだわるべき武器はこの部分になりますので、さらに詰めていけるとよいと思います。

 次はマイナス要素を。

> ・読者にフォーカスがあっていない。
> ・読者に受け入れられるキャラクターではない。
> ・「スケバン」というキャラクター性が古い。

 目につく最大の問題点はこの部分ですね。
 「キャラ設定」が大きな弱点になっていることがわかります。
 出そうとしたキャラの個性が、読者層に響くものではないと判断されているのは確実ですね。これはプラス要素に挙げられていた、

> ・キャラクターを出すことができている。

 は、「個性があるのはいいけれども……」とつなげるためのものであると思われます。
 個性=プラスとはかならずしもなりえないということですね。
 キャラ設定の方向性を大きく変えないと、ブレイクスルーは難しそうな印象を受けます。
 そして、

> ・細かい情報を出していくよりも、キャラクターの印象付けが強くなるエピソードを見せていった方がよい。

 これはキャラ設定を説明するセリフなり文章より、キャラ設定が伝わるエピソードを見せてほしいということです。
 キャラ同士のかけあいや心情エピソードの強化が効果的かと思います。
 また、

> ・あまりにも新感覚の作品。

 は作品の内容がわからないのでなんとも言えませんが、

> ・コメディなりラブコメなりと、ジャンルを明確にした方がよい。
> ・要素が多く、伝える部分が明白ではない。

 多様なネタを詰め込む形式がうまく機能していないと指摘されていますので、ネタを整理し、できれば本筋になるジャンルをひとつに固定する必要があるかと思います。

ティアラミスさんの質問2014/10/05

 こんにちは、ティアラミスですわ。

> このあたりが難しいところなのですが、王道とは多くの読者に支持されるからこそ王道という大きな一面があるのです。
> ただ、その王道というテンプレは、賞においては敬遠されがちです。なぜならそのテンプレは、多くの有能な作家と真摯な読者が力を合わせて築き上げてきた、物語形式の強固な鋳型だからです。
> ようは、「王道はその応募者が考えたネタではない」ということですね。

 なるほど……もっと、別のアイディアをうち(出版社)に分けて、という出版サイドの声が聞こえてきますね。
 だったら、作家に書かせるより、編集者で、その鋳型に、吹き込むアイディアを、合わせて編集者の一人に書かせたら、いい気がしますのは、気のせいでしょうか?

> 人が大人像について考えるようになるのは、通常は自分が社会人という大人の枠組に組み込まれてからのことです。
> 大人の年齢層は、子供の年齢層が7~18歳程度なのに比べ、非常に幅が広いので、憧れや目標としてかなり高い年代の人も視野に入ってきます。
> そのようなことから、子供年代が対象読者層であるラノベにおいては「かっこいい大人」が成立しづらいものと思われます。

 そうですわね。あとは、どのような人々と接してきたかと経験による違いもあるように感じました。今の読者層の人(といっていいのかしら)って、親が一人っ子が多いせいか、まず、叔父さんや伯母さんがいないことも多く、習い事も、熟など、同年代と一緒にいることような状態のものが多くなります。そうなると、年上の大人って、ドラマや漫画、あるいは、親の悪口といった者しか知らないのかもしれませんね。

 それと、一つ伺いたいことがあります。このスレで、ジジさんが言う、「性対象」とは、どういう意味でしょうか?
 一緒にいると楽しい異性?、結婚してもいい異性?レーベルや男子、女子向けによって違いますが、どういった意味で、性対象と使ったのですか?
 あっ、性対処を不愉快な意味でとったのではありませんわ。ただ、創作の際、主人公とパートナーになる相手との適正距離を知りたく聞いただけですので、あしからず。

ジジさんの回答2014/10/05

>  だったら、作家に書かせるより、編集者で、その鋳型に、吹き込むアイディアを、合わせて編集者の一人に書かせたら、いい気がしますのは、気のせいでしょうか?

 編集者は管理兼営業兼事務兼進行いちばんめの読者という、基本的には「書く以外の全部」を担当し、さらに特化しています(特化というにはあまりに業務範囲が広いのですが)。
 書く技能は高めていないので、書いてもおもしろくならないのがわかっている。だから鋳型に溶けた鉄を流し込み、さらに槌で打ち鍛え、磨き上げて仕上げることに特化した職人(作家)に頼む。という感じになるかと。

>  そうですわね。あとは、どのような人々と接してきたかと経験による違いもあるように感じました。

 確かに。大人と接する機会が少ないというのは大きな要因かもしれません。へたをすれば、同年代の友達と同じ場所に長い時間いることも少なくなっている感じもしますね。

>  それと、一つ伺いたいことがあります。このスレで、ジジさんが言う、「性対象」とは、どういう意味でしょうか?
大まかには恋愛対象を指していますが、もっと狭いところでは、お手軽に性欲を満たせる異性を指して言っています(女子向けの場合だと、主人公の女子を異常なほど好きになる等の要素も必要になってきますが)。

 ラッキースケベのような要素が取り上げられるのは、ラッキーにはスケベなことが起こっても許されるだけの、主人公とヒロインの心情エピソードの積み重ねを必要としないからです。唐突にそれが起こるからこそラッキーなわけです。
 男子はどうしても女子よりも即物的な部分が大きいので、作者側がこのヒロインはそういう需要に「対応」していますよーと示すことで、読者の男子はそのヒロインを比較的簡単に好きになります。

 もちろん、ラッキーを起こさず順当な積み重ねで好きになってもらうのがいちばんだと私は思うので、上記はあくまで参考ということで。

ポップさんの質問2014/10/5

 閉店間際ですが滑り込ませてください。
 『今感』なるものについての話題が出ていたと思いますが、それは要するに『流行』と似たようなものでしょうか?
 それを探る際には、やはり最近の新人賞を受賞した作品だとか、アニメ化している人気作などを読むのがよいのでしょうか。

 また、自分は本を読むのが遅い方で、さらに小説などを読む時にはどうしても一文字一文字じっくりと目を通してしまいます。
 娯楽として味わうなら時間をかけるのは問題ないのですが。

 たとえば『今感』を探る時であったり、自分が書こうとしているジャンルやストーリーの作品から盛り上げる技術や話の繋ぎ方を学ぼうという場合には、文章ではなくただ流れを追いかけるように読んでも問題はないのでしょうか。

 質問が大分抽象的で申し訳ありません。
 返答よろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/10/05

 今感を調べるのにもっとも簡単なのは、「今最高に売れている人気ラノベの1巻を10タイトル読む」です。
 そして読む際は、「その作品が売りにしている特徴」と「なぜその作品が売れたのかを考える」ことを心がけてください。それをすることで、なんとなく「今感ってこうじゃないか?」という像が見えてくるかと思われます。

みゆきさんの質問2014/10/5

 閉店間際に質問する事をお許し下さいませ。

 ラノベへの公募から、一般向けへの公募へと切り替えようかと思案しております。
 一般向けに公募することに於いてどのような点に気を掛けて執筆したら宜しいでしょうか。
 また差支えなければ、ラノベに近い一般レーベルを教えて頂けると幸いです。

 質問スレは一通り目を通したつもりですが被っていた場合ご容赦下さいませ。

 返答よろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/10/05

> 一般向けに公募することに於いてどのような点に気を掛けて執筆したら宜しいでしょうか。

 なによりも作品の完成度を上げる必要があります。理想を言えば、そのまま出版できるレベルにです。

 また、ラノベとちがって一般では「共感」というキーワードが最重要になります。主人公の心情や状況が読者にとって共感できるものになっているかを考えながらプロットを組むようにしてください。

> また差支えなければ、ラノベに近い一般レーベルを教えて頂けると幸いです。

 これはメディアワークス文庫か富士見L文庫あたりが筆頭でしょうか。応募方法がそれぞれちがうのでご確認ください。
 女性向けでファンタジー路線ならC★ノベルスなども範疇に入るかと思われます。

リクさんの質問2014/10/5

 かなり遅ればせながらですが、質問させていただきます。
 質問は、新人賞応募作での身体障害者の主人公というのは、編集者さんや下読みさんにとってはどういう扱いになるのか、というものです。

 今、書いているものが、SFスポーツものとでも言うべき作品で、主人公はもともと学生レベルではトップクラスだったが、事故で右腕を欠損し、生きがいを失う、という始まり方をします。

 また他の作品では、オカルト的に『声を出す』という概念を奪われたうえ、物理的にのどを潰される、と二つの理由でしゃべることの出来なくなった主人公が、声を出せなくなったがゆえに距離のできた家族や幼馴染みと、コミュニケーションを取り戻す、という話があります。

 さらに別作で(これはまだプロット以前の思いつきの段階ですが)、
 もとよりヒロインに嫌悪されている主人公が、たまたま彼女を交通事故から救うが、その際、片足が一生不随になる程の怪我を負ってしまう。ヒロインの方は大きな怪我はなかったが、顔に残る怪我を負ってしまう。
 もともとヒロインは主人公を嫌悪していたがゆえに素直に謝罪も出来ず、主人公の方も彼女にどう接すればいいかわからない、といった恋愛モノがあります。

 これらの、『四肢欠損(SF的な義手は出てくる)』『発話障害』『四肢の不随』といった身体障害者の要素が主人公に含まれているものは、やはり応募作としては受けがよろしくないものなのでしょうか?

 ついでに、二つ目のしゃべれない主人公のものは、一次選考を通過したことがあるものなのですが、下読みさんは大丈夫だと思っても、編集さんがダメだと思う場合もあるのでしょうか?

ジジさんの回答2014/10/05

>  質問は、新人賞応募作での身体障害者の主人公というのは、編集者さんや下読みさんにとってはどういう扱いになるのか、というものです。

 基本的には、よほど物語に必然性があって、読後感がすばらしくよいものでないと辛いですね。
 障害というものは、読者にとって見るのが辛いものなので、かなりおもしろくても難しい部分が大きいのです。
 特に、

>  下読みさんは大丈夫だと思っても、編集さんがダメだと思う場合もあるのでしょうか?

 これですね。
 下読みはおもしろければとにかく上に上げます。
 しかし、編集部では商業性や商品性を考慮した選考が行われるので、そこに阻まれる可能性は非常に高いです。

 ただ、一般の賞の場合、先に述べた必然性があれば武器になる可能性はありますので、もしラノベの賞に応募されているようでしたら手直ししたうえで一般に送ってみるのも手かと思われます。

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