ライトノベル作法研究所
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  4. 下読みが回答。ラノベ新人賞Q&A公開日:2014/07/09

下読みが回答。ラノベ新人賞Q&Aその11

みきさんの質問2014/07/11

 再び、みきです。
 受賞した作品を読んでいて少し気になっているのですが、受賞時とどれだけ直しが入っているのか教えてください。
 やはり、プロである校了さん、編集さんを通しているので少しは違いがあると思うのです。 

 また、これまでにないジャンルの物語を書いてしまいました。この場合は、ジャンルが特定できないということで選考からはずされることはないのでしょうか?
 三度、質問へのご回答宜しくお願いいたします。

ジジさんの回答2014/07/11

> 受賞した作品を読んでいて少し気になっているのですが、受賞時とどれだけ直しが入っているのか教えてください。

 私自身の職域外の話ですので、平均値でお話することはできないのですが、基本的になにも改稿指示が出ない作品はありません。
 改稿にはストーリーやキャラクターの大がかりな修正から、文言や言い回し等の小さなもの修正まで多々あります。

> また、これまでにないジャンルの物語を書いてしまいました。この場合は、ジャンルが特定できないということで選考からはずされることはないのでしょうか?

 「まあこれはラノベってことでいいだろう」というラノベならではの懐の広さ(あいまいさ)をもってしてラノベっぽいと判断できるなら、それはラノベの範疇に入ります。
 ですので書き上げた作品がカテエラ確定でないなら、それでいきなり落とされることはないかと思います。
 ただ、相対評価の中でどの作品を上げるか悩んだ際、おそらくは候補から外される筆頭に置かれる危険性はありますが。とはいえもちろん、作品がおもしろければその危険性は下がっていきます。

どあのぶさんの質問2014/07/11

 こんにちは。どあのぶです。
 迅速な返信ありがとうございます。

> こちらの世界とあちらの世界のギャップがカギになるかと思いますので、とにかくこちらの世界の常識が通用しない世界でどう主人公たちにあがかせるかを、ぜひ考えてみてください。

 はい。頑張ります! ギャップとなると、同じところと違うところのリストアップが必要ですね。まずは、向こうの世界の常識を構築することから始めてみたいと思います。ご指摘ありがとうございます。

> 応募作品にタイトルをつけるのは応募者の方の特権ですのでこのまま悩んでいただくとして、一例として私が思いついたキャッチを挙げます。
> 「成人式-死亡率=成人率(30パーセント)……です?」
> なんてのも、自分の中で書き進める際、指針にできるかもしれませんね。このキャッチはあくまでも他人用ではなく、自分の中で要素を整理するためのものなので、重要な要素さえ抜き出せていれば大丈夫です。
> ちなみにうまいキャッチが思いついたら、劇中でキャラクターに言わせましょう。印象的な決めゼリフは好評価につながりやすいです。

 あ、わかりやすい!と思わず膝を打ちました。
 自分のキャッチコピーがしっくりこなかった理由は、長い割に内容が薄いことにあるようです。
 重要な要素を抜き出すことも、面白さを短く凝縮することも、まだまだ修行が足りませんでした。
 ジジ様のキャッチコピーを参考に数パターン作ってみようと思います。アドバイスありがとうございました。

> ケモナーはかなり重度の選ばれし民なので(倫理的規制の厳しいアメリカではこれをこじらせたあまり、ドラゴン×車というすさまじい性癖が誕生してしまったりもしていますね)、ケモノ成分は抑えていくのがよいかと思います。
> ですので、4をベースに1を混ぜ込み、3はむしろ主人公が、人間離れした能力ばかりか命をかけて成人式に挑むヒロインに感化されていき、自分はこの娘のとなりで助けられてばかりでいいのか? などと葛藤する図式のほうが、クライマックスで主人公を生かすきっかけを作れるように思います。
> 2に関しては、やはりヒロインはかわいいほうが無難だと思いますので、最初はとっつきにくい性格にしたり、最初からすごく人なつっこいのにどこか影を感じる、などの思わせぶりなしかけをするなど、かわいい容姿と性格・内面でギャップがある、としたほうがよいかと。

 ケモナーは選ばれし民ですか!
 ヴェルタースオリジナルみたいでいいですね。私は特別な存在だったとか、実にかっこいいです。
 私はまだまだケモナー初心者なのですが、かっこいいのでこのまま邁進しようと思います。
(それにしても、ドラゴン×車はレベルが高すぎました……。ゴジラ×東京タワーみたいなかんじですか)
 ジジ様のおかげで、かなりヒロインの描写が絞れました。
 最初は、青い肌のトカゲヒロインを想像していたのですが、……誰も得をしませんね(汗)
 ちょっと油断すると忘れがちになりますが、読者を常に意識する姿勢を大事にしようと思います。

> 不明点、新たな疑問等ありましたらまた再質問してください。

 またしても、新たな疑問が生まれました。何度も恐縮ですがよろしいでしょうか。

> あちらの世界の成人式は決死であるのに対し、こちらの世界の連中は成人式はやんちゃのお披露目会だと思っている……というようなギャップを各エピソードに効かせられるとおもしろそうですね。
> たとえば「親の首を刈り、友の屍を踏みしだき、成人を目ざしたところでなんになるというのかっ?」な人々に「成人ひゃほー」な輩が混ぜ込まれたとき、どんな化学変化が起こるのか? というような。

 ちょっと、ジジ様の提案を拝見してギクッとしました。
 というのも、本作をコメディにするなら「ヒャッハー」な人たちが異世界に乗り込む話にしようと考えていたからです。
 自衛隊も米軍も行方不明になる異世界に乗り込んで、異世界人もかなわないドラゴンとバトルしたら面白いだろうなと。

 ……何を隠そう元ネタは、ネットスラングの「グンマー」です。
 すなわち、本作のコンセプトは「異世界×成人式×グンマー」となっています。
 読んだ方が口揃えてカオスと言ってくれるような、そんな作品に、私はしたい(所信表明)

 そこで、問題が発生するわけでして。
1.実在する特定の地域を元ネタにした作品は許されるのか
2.ネタの発祥がネットスラングだと何か問題はあるのか (著作権的な?)

 一番目は、かなり微妙かなとドギマギしています。
 なんと、群馬県公認で「秘境グンマー」をネタにしたラノベがあるのですが……アマゾンレビューが怒りの声で溢れています。
 レビューの中に“群馬県民は傷付いています”という文章もあったので、県民の方々の心情を考えたら没にすべきでしょうか。
 勿論、作中では「グンマー」という言葉は出さないつもりです。群馬県に対するリスペクト精神も持っています。
 しかし、本作では「○○〇ー」という「グンマー」を想起させるネーミングがあり、グンマーネタがストーリーの根幹に関わってくきます。ここまで来ると、アウトと言われたら反論できません。その場合速やかに没にしたいと思います。

 なんだかジジ様に質問してばかりで申し訳ありません。お手すきの折にでも、お答えいただければ幸いです。

ジジさんの回答2014/07/11

> ジジ様のキャッチコピーを参考に数パターン作ってみようと思います。アドバイスありがとうございました。

 私のセンスのようなものを踏み台にして、スタイリッシュなキャッチを作ってください(私作のキャッチの最後の「です」はもちろん「DEATH」にかけているのですが、あまりの恥ずかしさに言い出せませんでした)。

> ケモナーは選ばれし民ですか!
> ヴェルタースオリジナルみたいでいいですね。私は特別な存在だったとか、実にかっこいいです。
> 私はまだまだケモナー初心者なのですが、かっこいいのでこのまま邁進しようと思います。

 世間様からいただけるのは飴ならぬ鞭ですので、それを喜びに変えられる性癖の習得も同時におすすめしたいところです。

 と。
 お返事もここからが本題ですね。

> 1.実在する特定の地域を元ネタにした作品は許されるのか

 それ自体に問題はないのですが、地域ネタはまずドメスティックになりすぎ、その他大勢の読者にまったく伝わらないということが起こりがちです。
 また、グンマー問題についてはやはり県民のみなさまの感情もからむ問題ですので、「○○○ー」といういかにもグンマーを連想させるワードはもう少しソフトにして、「○○シスト(○○市の住人を揶揄するワード)」、「○ッケンジー(○○県の住人を揶揄するワード)」等に抑えておくほうがよいかと思います。
 こうなると、使用する県や市はまったく架空のものにしたほうがよいですね。市民性や県民性は元ネタから連想するとしても、やはりなにかしらの配慮はあるべきです。

> 2.ネタの発祥がネットスラングだと何か問題はあるのか (著作権的な?)

 これについては程度問題の範疇ですが、上記の理由からワードの変更をおすすめします。今回の場合はワード変更と良心回路の発動だけですむ問題かと思いますので。

ラノベの王妃さんの質問2014/07/12

 改めて聞こう。
 それは、読者の反応を見るための作品投稿についての、注意点だ。
 私の考えでは、ラノベの究極のマーケティングって、実は、作品を投稿するに限るのではないかと考えている。 

 というのも、マーケティングって、言っているほど、簡単ではないし、傾向をつかめても、自分が書きたいものと一致しなければ、モチベーションも持たない。それでは、マーケティングなんて意味がない。そんな無駄なことを学ぶくらいなら、作品を投稿や公開をして、直接評価を貰えばいい。
 けど、読者の生(ヒステリーや幼稚性も混じった)の感想を聞けるほど、皆が強くはない。だから、少しでも、自分の作品の提供する読者の意見を聞こうと、マーケティングの手法を学び、その反映度を上げようとする。これでは、イタチごっこのような気がする。
 少し回りくどくなったが、賞に応募する前に、読者の反応を見るための作品投稿では、どういったことに覚悟しておいたほうがいいのか?また、聞き捨ててもいい意見は、なんなのか?そして、こういった行為に意味があるのか?

 ぜひ、聞かせていただきたい。

ジジさんの回答2014/07/12

> 少し回りくどくなったが、賞に応募する前に、読者の反応を見るための作品投稿では、どういったことに覚悟しておいたほうがいいのか?

 ネットでは特にそうですが、基本的に不特定多数の方に意見を求める場合、「それぞれの方が好むジャンル/設定(ネタ)/キャラはどのようなものなのか?」を明確にしておかないと、こちらが望むデータ――この作品は果たしておもしろいのか?――が得られないまま終わってしまいます。

 たとえば、あっさり塩ラーメンが好きな方に超こってり熊本ラーメンの感想を求めても、聞けるのは「拒絶の意」だけです。どういう理由でその味が嫌いなのか、なにがどうしておいしくないのか、という大事なことは一切ない、感情的に切り捨てるだけの言葉が出てくるのみです。
 逆に作品を好きになってくれる人の感想にしても、その好意を裏づける好みの傾向がわからなければデータとしては使えません。

 ですので、覚悟というより注意点ということになりますが、投稿によって意見を求める際は、意見をくれる人の言葉をプラス・マイナス値を弾き出すためにデータ化する準備をするべきです。
 そしてなによりも「他人の感想は常に極端なものであり、充分な文量を満たしてくれることはありえない」と心得ておくべきでしょう。
 極端且つ短すぎる好き嫌いコメントを大量に集め、そこからデータを抽出するのは精神的にこたえる作業になりますが、成功すれば応募前に大きなアドバンテージを得ることができます。

>  また、聞き捨ててもいい意見は、なんなのか?そして、こういった行為に意味があるのか?

 ひと言レスの酷評は、データになり得ないので除外してもかまわないかと思います。
 ただ、10文字以上かけて書き込まれた酷評は大事にしてください。その中にかならず酷評の理由が練り込まれています。

 このような感じですが、不明点、疑問点等ありましたら、また再質問をしてください。

川田組さんの質問2014/07/12

 作家が欲しいのか、作品だけが欲しいのか。
 新人賞とは結局のところ、有能な作家を発掘したいのでしょうか?
 それとも商品化出来る作品が欲しいのでしょうか?

 無論、有能で商品になる作品を量産できる作家が発掘できればそれに越したことはありません。
 が、多くの作家は一作か数作で消えて行きますよね?

 私が質問したいのは、作品を見るときに「この作品は商品化できるぞ」というのを重要視するのか。
 あるいは「使えそうな、あるいは実力のある書き手だぞ」というのを重視するのか。 
 賞やレーベルによっても違いがあると思いますが、ぜひお答え頂きたいです。

 余談ですが、以前ここの交流掲示板で「ドラクエ10のクエスト(ショートストーリーのようなもの)を募集します」という、スクエアエニックスの広告が話題になりました。

 一見自分の作ったストーリーがゲーム化されるので面白そうに見えます。
 が、実際は出来のいいストーリーのみを採用するのであり、作り手をスカウトするような内容ではなかったために、ラ研民の興味をほとんど引きませんでした。
 これと同じ現象が、実は新人賞で普通に行われているのでは?と思い、質問させていただきました。

ジジさんの回答2014/07/12

> タイトルにも書きましたが、新人賞とは結局のところ、有能な作家を発掘したいのでしょうか?
> それとも商品化出来る作品が欲しいのでしょうか?

 納得していただけるかわかりませんが、まさに「商品化できる作品を量産してくれる有能な新人を発掘したい」のです。

 しかし、実際は受賞作が「偶然書けた作品」という新人も多いわけです。
 そうなったとき、編集者は2タイプに分かれます。
 使い捨てるか、あがくか。
 ビジネスライクな編集者はあっさり使い捨てます。新人は毎年現われますし、そのほうが効率がいいと考えているからですね。このタイプの編集者は担当作品や担当作家を自己基準に照らし合わせてえり好みします。
 しかし、あがく編集者は業務時間外の時間すべてを捧げて作家に書かせようとします。このタイプの編集者は、作品に惚れ込んだらどうにもならなくなるまでその作家を見捨てません。

 整理すれば、新人作家の多くは「生涯にただ一作しか書けない体」だからこそ消えるのであり、その場合、命を長らえるか落とすかは当たった編集者の質による場合も多い。ということになります。

 と、ここまで書いてみたのですが、お返事になっている自信がありません。
 お返事になっていないようでしたら、再質問をお願いいたします。

風月さんの質問2014/07/12

 ライトノベルにおける性表現の許容範囲について質問したいと思います。
 一般文学では性に関する用語として、「セックス」、「自慰」、「ペニス」などがごく普通に使用されていますが、
 ライトノベルにおいてストーリ上で必要性がある場合、どこまでが許容範囲でしょうか?

 わたしの考えでは、表現がNGだったとしても、作品そのものが受賞に値するレベルのものであれば、改稿で変更の指示を受けるので、応募段階ではそんなに気にする問題でもないと思っているのですが、実際のところどうでしょうか?

 たとえばわたしの作中で、下記のようなセリフが登場します。

「うわーっ! いやだいやだいやだ。助けてっ、お願いだから! なんでも言うことを聞くから、命だけはやめて! オナニーをするなと言うんだったら、週に一回だけにする! 姉ちゃんの下着を身につけるなと言うのなら、そうする。だから命だけは助けて!」

 「オナニー」という文言が登場します。
 この程度ならば、どうでしょうか?

ジジさんの回答2014/07/12

> 一般文学では性に関する用語として、「セックス」、「自慰」、「ペニス」などがごく普通に使用されていますが、

 まずこの部分に関してですが、文学というものはそもそもが青年向け――現代で言うヤングアダルトのジャンルです。
 そして一般向けの最重要要素は「共感」ですので、それをを得るために、その年代(青春時代)にありがちな恋愛感情の持て余し――若さゆえの苦悩や懊悩を表現する手段として「性」が取り上げられがち、という背景があるわけです。
 ここで大事なことは、「性」はテーマではなく、「青春」を掘り下げるための手段であるということです。
 話がズレましたが、

> ライトノベルにおいてストーリ上で必要性がある場合、どこまでが許容範囲でしょうか?

 程度問題でしょうね。例に挙げていただいたセリフ程度の内容なら特に問題はないかと思いますが、私が全年齢向けで商業作品を作る場合、直接的な文言は絶対に入れません。入れるとしても「姉ちゃんの下着~」のくだりのみで、「~週一回」のくだりはカットします。
 これは全年齢向けというものが年齢のみならず、男子にだけ向けた媒体ではないからです。
 そして「全年齢向け」の看板を掲げるラノベに直接的な性表現が本当に必要か? それは本当に物語をよりよく成立させるために不可欠なものなのか(大切なストーリーがエロシーンによって不当に削られてしまっているのではないか)? という疑問もあります。

 ただ、前述したとおりエロは程度問題ですので、それが物語を成立させる設定(ネタ)でないかぎり、よほど露骨だったり大量でさえなければ大丈夫かとは思います。

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