小説の冒頭をラストシーンから書き出すのはアリか?の返信
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投稿者 サタン 投稿日時: : 2
割とある構図なので問題ないでしょう。
ただラストとなると、ラストシーンは序盤からクライマックスを経て盛り上がり、そのシメになるシーンです。作者の脳内においては物語の内容ないしイメージがあるので「序盤からラストまでの流れ」を知ってる上での選択となるため ラストから始める 構成が良いものに見えますが、読者はそうではないので、スベる可能性は大きいと思います。
ラストから始める構成で大事なのは、「そのラストを知って読者の興味はどこに向かうのか」を把握することだろうと思います。
単純に考えると、例えば「二人の会話」から始めた場合は二人の関係性や二人がどういう人物なのかとか、あるいはその話の内容などに興味が向かいやすい。
もっとテクニカルになると、『刑事コロンボ』やその日本版『古畑任三郎』などが良い例で、これらは推理小説・ドラマなのに「犯人による犯行現場が冒頭にある」という、本来ラストに来るべき「犯人」が冒頭に置かれています。
読者は最初に「犯人」を知ることで、その犯人が何故犯行に至ったのかとか、犯人が探偵役(刑事)にどうやって追い詰められるのかとか、そうした事に興味を持つことになります。
ミステリになるとミスリードにも使われることがあります。
例えば「俺は~」という一人称からプロローグが始まって、次の第一章で主人公が出てくれば「プロローグの独白は主人公のもの」という先入観を持つので、しかし、ラストで冒頭と同じシーンが敵役視点で書かれており、「冒頭のシーンは黒幕の独白だったのか!」とわかる。そういうパターン。
序盤は「これはこういう物語ですよ」と読者に伝える場面であるため、本来はこれに注力したほうが良く、余計なギミックを仕込むと盛りすぎてしまう(例として意味不明な伏線など)ため、冒頭にラストシーンを持ってくるといったテクニックは、正直ちょっと難度が高いと思います。
でも一方で、「ラスト」まあ終盤というのは、物語の設定など何もかもがわかった上でのシーンなので、「こういう物語です」という提示がしやすいメリットもあると思います。
例えば「黒幕二人の会話」となれば何かの悪巧み(の後始末の相談?)でもしてる会話でしょうか。
すると読者は「その悪巧みを主人公たちがどうにかする話なんだな」ということがわかるので、非常に提示しやすい。
ようはテーマないし結論を先に言うような構成なので、追うべきものが見えやすい。
ラストから始めるというのは時系列順に語る基本とは逆行していて尖っているので、正直、見栄えは良いと思う。
Web連載や趣味で書いてる小説程度ならそういうカッコイイ演出で選んでも良いと思うけど(難しいことを考えず演出だけで選ぶなら難度は高くない)、でも、尖ってるからこそ下読みさんや編集者の目は厳しくなると思う。
つまり、演出だけだとプロの厳しい目からすると「序盤のラストシーンは何の意味があったんだ?」という疑問を与えかねないので、新人賞で挑戦するのは、ちょっと冒険かなと。
意味ありげな感じにしたい・伏線として活用したいってだけなら間違いなくスベるから止めといたほうがいい。
でも、メリットとして書いたけど、物語の主旨を提示しやすいのでアリかナシかで言えばアリ。
時系列に語るよりもコンパクトに端的に情報を伝えられる。
例えば、冒頭に「殺し合う男女」を書いて、次のシーンで「その男女がめっちゃ親しくイチャついてる」という場面を書けば、それだけで「こんなに仲の良い男女が殺し合うんですよ」という事が簡単に伝えられる。
これは時系列に語ると最初は「すごく仲が良い二人」を書かなきゃならないから主旨である「二人が殺し合う」という事を序盤で伝えることが出来ない。
そのため、構成的にラストシーンを冒頭に置くのは非常に有効な手段です。
懸念は既に書いたけど、まあ、身も蓋もない言い方だけど、テクニックとしては問題ないが扱える技量があるかが問題。という感じ。
カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 小説の冒頭をラストシーンから書き出すのはアリか?