元記事:小さなカタルシスと違和感の両立について
自分の中でもうまく言語化できず、抽象的な質問で申し訳ないのですが、意図を汲んでいただけると幸いです。
質問の本旨としましては、いま作ろうと思っている長編についてになります。『ファンタジー異世界に転生して、なろう主人公の様な好き放題を目指そうとする主人公』が『やたら厳しく・面倒くさいリアリティを持った異世界』に直面し、やがて『自分は義務感で小説で見た主人公っぽく振舞おうとしているだけで、本当にやりたかった事と違うのではないか』と気付き、苦悩と迷走の末に『好き放題に生き始める』という展開を考えています。
『迷走の末、目的を見つける』という事が長編一本でのあらましですので、冒頭から中盤にかけての主人公はひたすら失敗と挫折を繰り返してもらう事になるのですが、一方で作品内で読者の期待感を煽り切れない・読者にカタルシスを与えづらい事に悩んでいます。
そもそもラノベでやるネタじゃない、といわれるとごもっともと思うのですが、形にしたいと思ってスレを立てさせていただきました。
解決策として、『なんとなく無双してるっぽい展開』『微妙に成功したけど大成功しない内政チート』みたいなのをいくつか繰り返してから主人公が悩みだすパターンも考えたのですが、テンプレとしての突き抜けなさや主人公の苦悩が小さく見えてしまわないかという不安が残ります。
他方で『全体的にギャグ調にする事で、主人公の無目的さを気付かせない』方法も考えたのですが、日常部分を愉快にし過ぎると、主人公がそれに溺れて自分の空虚さに気付けないのではないか/結果として『シナリオの都合で急に鬱になる主人公』に見えてしまうのではないかという懸念があります。
別案として、ラブコメやアクションを軸にして、途中で主人公の周囲の人が主人公から離れていくことによって主人公が自分の裡の問題点に気付くパターンも良いかとは思うんですが、こちらの場合周囲のキャラクターが悪印象を持たれてしまうと、続きを書く段で続投させ辛く、悩みどころです。
何か打開策になる物、あるいは策のヒントになる物があれば嬉しいです。自分の中で未整理な題材ですので、あるいは人に話すだけでも光明が見えるかも知れません。返信お待ちしています。
上記の回答(小さなカタルシスと違和感の両立についての返信)
投稿者 サタン : 1 投稿日時:
カタルシスを得るためには抑圧と解放が必要で、その抑圧を書くにあたって、例えばイジメに立ち向かうストーリーなら本編の内容はひたすら 虐められて不快になる場面 を書くことになるので、そんなん面白くないのではないか。という話かな。
であれば、そもそも「面白くないことを面白く書く」って意識ないし発想が必要だと思うかな。
スレ主さんが考えられた対策は、「物語のテーマ」とは別に「面白いもの」を用意して無双なりギャグなり成功体験なり面白いものを読んでもらう中に作者の言いたい事を置いてそのテーマでまとめるという方法かなと思います。
個人的にはそれで充分だと思うけど、んーと、例えばイジメの例で続けると、
虐められてる主人公は、しかし囲碁の才能があって碁会所では負けなしの天才。学校でのイジメがエスカレートするうち精神が不安定になり囲碁も負けはじめる。そんなとき碁会所に同年代の女の子が現れて彼女を切っ掛けに囲碁の調子を取り戻す。それは自信を取り戻すということで、彼女のおかげで学校でもイジメっ子に反抗することができた。
こんな感じの話と似たような構造だよね。「イジメから立ち直る」っていうテーマに「囲碁」を混ぜて「囲碁を切っ掛けにイジメから立ち直った」って話にしちゃう。で、面白い部分は囲碁のシーンに集約させて、虐められる場面(抑圧)は「利き手に怪我をする」とか「碁石を捨てられる」とか「対局の時間に間に合わない」とか、囲碁のシーンに絡ませることで「面白いこと」をより面白くするためのスパイスにする。
こうすると「解放」と「抑圧」の、「ただ虐められてる場面を書いただけじゃ面白くない」という抑圧シーンが物語の「障害」としても成立するので、面白くなる。
「物語のテーマ」とは別に「面白い事」を用意してカタルシスの抑圧を書く場合の構造は、こんな感じのが多いと思う。
だから、ギャグテイストにした場合も抑圧部分の「主人公役に縛られてる」っていう要素が物語の展開ないし主人公の行動の障害として機能してれば、終盤でいきなり雰囲気変わるって事もないし、仮にそうなっても割と問題なくギャグの中にあるシリアス程度の展開だと思う。
あとは、考え方は同じなんだけど、最初に書いた「面白くないことを面白くする」をダイレクトにやっちゃう。
例えば「虐められてる」というのは抑圧だけど、そこに「助けてくれる女の子」を入れると読者は主人公と女の子の展開を気にするので、「抑圧」自体は最小限に抑圧シーンを書ける。例えばヤンキー女に助けられたとして「それからヤンキー女に気遣われるようになった」とか「イジメは続いててイジメっ子にヤンキー女を呼び出せと脅される」とか「ヤンキー女のヤンキーたる事情を聞く仲になる」とか、こう言っちゃイジメられた経験のある人にはごめんなさいだけど、こうなると「イジメ」というイベント自体が「ヤンキー女との関係性の進展」になるから、本来「抑圧」であり実際抑圧として機能してるイジメシーンが楽しめる場面つまり「面白いもの」になる。
「抑圧」を抑圧のまま面白くないものとして書くこともテクニックの一つではあるけど、エンタメを考えるなら「面白いもの」にするロジックを利用すれば、読者の期待を裏切ることなくカタルシスを書けるかなと思います。
まあ、言うは易しですけども。
カテゴリー : ストーリー スレッド: 小さなカタルシスと違和感の両立について
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