ライトノベル作法研究所
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  4. ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答公開日:2014/04/01

ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答。その7

加藤 汐朗さんの質問2014/03/27

 前スレの続きです。
 私からの説明が不足していたようなので、またお付き合い願えればと思います。

 すみません、前日談という書き方が悪かったですね。私が前スレで言いたかった前日談というのは、応募作の時系列から見て二年前の出来事なんです。
 ですから、そこから繋がっていく内容と随分と毛色が違います。主人公は肉体的にも精神的にも大きく変わってしまいますし、雰囲気も大きく変わります。作品は指定しませんが、第一部第二部と分けられるくらい違います。

 また、書いてみないと分かりませんが、濃密した、あっという間に流れてしまった月日について書きたいので、応募作とするだけの分量に揃えることは無理だと思います。(できる限り、薄くしたくはありません)
 長いストーリーの中の重要なピースではありますが、これを応募作として書くつもりはありませんし(短編としては長すぎるので)、したとしても評価を受けられる自信もありません。

 以上を、前スレに関する補足と私の意思表示とさせていただきます。

 ……話は変わりますが、私も今日一日考え抜いてみて、もしかすると群像劇風にするといいかもしれないという考えに至りました。書きこんでいなかったかもしれませんが、新作の方は現代ファンタジー気味のバトル作品?となっています。(よくある奴ですね)
 主人公勢力と敵対、もしくは不仲な勢力、組織が三つあります。思惑の違う人間もいます。

 そこで質問なのですが、視点主を頻繁に切り替えてストーリーを展開していく三人称の応募作というのはどういった評価を受けるでしょうか? また、数は多いでしょうか?
(おそらく、視点主は基本主人公とヒロインともう一人。あとは都合によって出す形で、割合でいうと主人公が五割近くをもっていくくかなと考えています)

ジジさんの回答2014/03/27

 プロローグか冒頭に「主人公が昔と変わってしまった理由」を入れるとよいかと思います。そしてそれを、箇条書きのようなリズムで簡潔に述べるようにして、「時間の流れ」を演出するのもいいですね。
 主人公の持つ背景ドラマを知ることで、読者は主人公に思い入れを持ちますので。

> ……話は変わりますが、私も今日一日考え抜いてみて、もしかすると群像劇風にするといいかもしれないという考えに至りました。

 ちょうど記事ナンバー93490で視点移動・視点切り替えは応募作では難しい、というコメントをしていますのでよろしければご参照ください。

 そして、応募作において多視点による群像劇というものはほぼ見かけません。それだけ難しい題材だからということかと思います。
 実際のところ、よほどうまく書けていなければ私も上へは送らないです。頻繁に視点が切り替わるスタイルは読者を混乱させるので、それをフォローできているかどうか、辛い目で見ることになるからです。

 不明点、疑問等ありましたらまたご質問ください。

たたた宅急便さんの質問2014/03/27

 どうもm(__)m たたた宅急便と申します!
 では、早速。
 ラノベにおいて、ヒロインの登場のタイミングとゆうものの正解とはあるのでしょうか?
 書き始めて7行で出て来ちゃったんですが、早すぎやしないでしょうか?

ジジさんの回答2014/03/27

 物語的な必然性がないなら、できるかぎり早く登場させ、読者にこの子がヒロインだと認識させるべきです。

 読者は最初に出逢ったヒロインこそメインヒロインだと認識しますので、そのキャラがメインヒロインならとにかくどの女の子よりも早く登場させてあげてください。
 ですので、

> 書き始めて7行で出て来ちゃったんですが、早すぎやしないでしょうか?

 大正解です。

サイラスさんの質問2014/03/27

 返信有難うございます。サイラスです。

> 賞を狙うなら、今感はかならず取り込んでください。
> ただ、この今感は「テイスト」であり、「ネタそのものである必然性はない」という点は重要です。

 それを聞いて、なんか安心しました。賞を狙うなら個性を捨てて、トレンドを組み込むしか手がないのかと悩んでいましたから。

> マンガの構造が理解できていなければ、マンガで映えるセリフ構成やストーリーラインは構築できないと思うからですね。
> 実際やってみると本当に難しいものです。

 僕も、昔、それを実感しましたので、分かります。
 また、バクマンに掲載されているネームを読んでいると、絵はきれいでなくても、コマ割りはできないと、原作者は、きついなぁという読んでいてわかります。

 答えてもらったすぐで申し訳ないのですが、追加の質問です。

1・年を取るデメリットの克服方法
 自分は、これを克服しようと思って数年ぶりにラノベ(ラブコメ)を買ったのですが、ヒロインがわがままで、子供すぎるという点で拒絶反応が起きてしまい、最後まで読まず、捨てるという事態になってしました。
 どうやったら、克服できますか?また、20代後半の人間でも、読めるここ2,3年のラノベってありますか?

2・ジジさんの考えるラノベの王道とは
 タイトルのままです。
 私にとってラノベの王道って、実は、10代の若者に夢を与える以外なく、その点を守れていれば、やれ王道だ、萌えだ喚かなくてもいいような気がするのですが、どうでしょう(ただし、文法的なこと、技術的なことは守れていることを前提とします)?

3・メディミックスとの相性
 最近のラノベって、小説というよりも、アニメや漫画の原作という気がします。そうなると、やはり選考する際に、そういったメディミックスしやすい作品を探してという要望って、出版する側から出ることってあるのですか?そうなった場合、どういったところ見るのですか?
 また、アニメや漫画化した時の成功する作品(この場合は、連載、放送機関が長い)とそうでない作品の特徴ってあるのですか?

3については、ラノベとは少々違うものの、出版社から見てお金になりそうな作品というは、欲しいし、そういったものを要素を組み込めれば、新人賞を取る際は、アドバンテージになるよう気がしますので聞いていました。
 では、よろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/03/27

 おつかれさまです。そしておつかれさまです。

>賞を狙うなら個性を捨てて、トレンドを組み込むしか手がないのかと悩んでいましたから。

 個性(オリジナリティ)をより広い読者へ届ける手段が今感。そう考えればネタに余裕が出ますし、作品の雰囲気もよくなります。

> 1・年を取るデメリットの克服方法

 近年のラノベには宇野朴人氏の『天鏡のアルデラミン(電撃文庫)』のような厚みのある戦記ものや、ラノベテイストのあるヤングアダルト作品(ソノラマノベルスやCノベルスといった新書シリーズや、それこそメディアワークス文庫等)が多数存在します。
 まずはそのようなものから慣らしていくのが楽かもしれません。

 ちなみに私は仕事としてラノベと出逢ったので、まずは全レーベルのその年度の受賞作を読み漁りました。
 業界の傾向というものがわからないと、次になにを読み、どこに注目していいかあたりがつけられないからです。
 異文化を自分の理解できる形に噛み砕いて理解しなければならないわけですから当然辛いのですが、これは自分の都合のためにがんばるしかないところでしょう。

 ですので、プロになりたいという念力で嫌悪感をねじ伏せ、血の涙を流してでも「自分が書こうとしているジャンルの売れ筋作品」を読みあさるべきかとは思います。

> 2・ジジさんの考えるラノベの王道とは

 範疇が広いご質問なのでずばっと言い切るのは難しいのですが、10代を中心にオタっ気のある男子(“心は未だ男子”含む)楽しめるものということになるでしょうか。
 それを背景にして「おもしろいもの」になります。

> 3・メディミックスとの相性

 応募作をほめる言葉に「ビジュアル的」というものがあります。
 地の文章がリズミカルで端的に情景やアクションを描写していて、それが目の前に浮かびやすい(想像しやすい)ことを指した言葉ですね。
 こういう作品はメディアミックスされやすいですし、特にアニメからお声がかかりやすいです。

 が、無理にそういう感じのものを目ざすよりは「自分の味」を追求するほうが、結局はうまくいきます。

> 3については、ラノベとは少々違うものの、出版社から見てお金になりそうな作品というは、欲しいし、そういったものを要素を組み込めれば、新人賞を取る際は、アドバンテージになるよう気がしますので聞いていました。

 下読み段階ではほぼそんな要素は気にしません。
 今、この手のジャンルは弱いんですよねぇというようなことは吹き込まれたりしているのですが、基本的に商売のことを考えるのは編集部の仕事です。つまりは編集部審査まで進めなければどのみちムダな気づかいになってしまうわけです。
 まずは全力で、自分がおもしろいと言い切れる物語を書いてください。

45さんの質問2014/03/27

 何度も返信ありがとうございます。

 やはり群像劇は難しいようですね。ブギーポップやバッカーノは群像劇(でしたよね?)なので行けるかと思いましたが、締め切りも近いので奇策に走るのは止めようと思います。

 前スレのジジさんの意見「課題自体はあっさりクリア。しかしそれによってまったく別の事件が勃発する」を参考に、どんでんがえしを用意してみました。

 ただその中で、別の疑問にぶつかりました。
 私の作品が、長いストーリーの中の一部を切り取ったものだというのは承知していただけていると思いますが、実はそのある意味ラスボスともいえる存在が、応募作のボスでもあるわけです。
(応募作中では主人公によって殺され、物語としては完結します。ですが、後々……という具合ですね)

 このラスボスには主人公の属する勢力と敵対する理由があります。(便宜上、とある「事件」のせいとさせていただきます。また、このボスには別の人間が取りついていて、その人間が「事件」の関係者なのですが、ボス自体は「事件」とは無関係です)
 しかし、応募作内で「事件」について触れるつもりはありません。

 その理由をひとまず三つ。
・「事件」について書こうとすると、それだけで文庫本一冊程度の内容になってしまう。
・数十年の出来事のため、主人公サイドでも限られた人間しか知らず、また話題に上がるような内容でもない。
・事件を知っている人間も、まさかその人物がボスにとりついている状態だとは考えていない。

 ……しかし、ボスからしてみれば敵対する理由があるわけで、戦う理由はそこにあります。ただ、彼も事件について応募作内で明言することはありません。(完結した作品という体を崩したくないため、匂わせるような発現も控えさせています)
 とりつかれている彼は元々狂人であり、主人公たちにはおかしな奴だ、という風にしか認識されていません。

 長くなってしまいましたが、ボスが敵対する理由を明かせないため、私は頭のネジが外れた程度の狂人として彼を登場させました。狂人として事件を企て、実行し、最後は主人公に倒されます。
 狂っているのは彼の本質なので間違いではありませんが、戦う理由ではありません。

 はたして、ただ狂っているだけのボスに魅力はあるのでしょうか? なんだか軽いキャラとなってしまって緊張感が薄れ、盛り上がりにも欠ける原因となってしまっている気がします。
 彼は四六時中微笑しているような人間なので。

ジジさんの回答2014/03/27

> はたして、ただ狂っているだけのボスに魅力はあるのでしょうか?

 おかしな人というものは、実はマッドサイエンティストのようにわかりやすい存在ではありません。
 普段はまったく普通なのに、なにか特定の事柄、物を前にするとそれに対してのみおかしな言動をするものです。
 たとえば、知的な紳士なのに、恋人の死体を生きているかのように扱う。しかもちゃんとホルマリン漬けにしておきながら。という感じで。

 応募作に多いパターンに「実は○○は●●だったのだ!」というものがあります。ですのでパターン通りのどんでん返しを今から用意するより、ボスのキャラを深める方向で考えるほうがいいでしょう。ボスを「単なるおかしな人ではないおかしな人」にできれば、ボスがらみのドラマをさらにおもしろくできるはずです。

羽生さんの質問2014/03/28

 再び登場です。回答ありがとうございます。
 3つ質問です。

 リアリティがなく、作品にのめり込めない理由にはどんなことが考えられますか? そして、リアリティを出すために必要なこととは?

 それと、「意外性がない」と評価される理由とは何ですか? その意外性を出すには?

 もう一手、最近の応募作でバトル作品の割合はどのくらいですか?
 気になります。

ジジさんの回答2014/03/27

> リアリティがなく、作品にのめり込めない理由にはどんなことが考えられますか? そして、リアリティを出すために必要なこととは?

 科学考証や歴史考証、各種常識を作者の都合でねじ曲げたり、同じく作者の都合でキャラの性格や言動がブレまくったりしている作品はリアリティがないと評されがちですね。

 対処策は「作者の都合を優先させない」に尽きます。

> それと、「意外性がない」と評価される理由とは何ですか? その意外性を出すには?

 絶対こうなる、と思わせておいて裏切る……しかないのではないかと思います。
 私としては意外性より厚みのある物語を練るほうが重要かと思いますが。

> もう一手、最近の応募作でバトル作品の割合はどのくらいですか?

 多くて3割くらいですね。自分の担当分だけで考えると1割強という感じでしょうか。
 最近減少傾向にあります。

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